人生の手応えを、“働く”で得るには!?『最後はなぜかうまくいくイタリア人』宮嶋勲

人生の手応えを、“働く”で得るには!?『最後はなぜかうまくいくイタリア人』宮嶋勲
  • どうしたら“働く”がより豊かになるでしょうか。
  • 実は、イタリア人的に、仕事を見つめてみることかも。
  • そこには、自分の手応えを見える範囲の強いつながりを大切にする思想があります。
  • 本書は、イタリア人の働き方から、国や会社が担保してくれない人生の物語の内、仕事について、思想を巡らせることができる1冊です。
  • 本書を通じて、自分を俯瞰し、仕事を捉え直すきっかけを得ることができます。
宮嶋勲
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イタリア人の労働感とは!?

前回の投稿では、『最後はなぜかうまくいくイタリア人』(宮嶋勲)を手がかりに、変化の激しい時代をどうしなやかに生きるか、そのヒントを探りました。

本書で描かれるイタリア人の生き方は、「予定通りにいかないこと」を前提とし、むしろそこに人生の面白さを見出していくものです。段取りに固執せず、“今できること”に集中しながら、不測の事態すらも「なんとかなるさ」と笑い飛ばす。そのマインドセットには、私たち日本人が忘れがちな柔軟さが宿っていました。

さらにその姿勢は、前野隆司先生の「幸せの4因子」とも重なります。すなわち、「やってみよう」「ありがとう」「なんとかなる」「ありのまま」という4つの因子です。イタリア人は、これらを肩肘張らず自然に体現しているように思えるのです。

もちろん、課題もあります。経済の停滞、政治の混乱、治安の不安。けれども、そうした現実を前にしても、「今この瞬間を生きる力」は、やはり魅力的です。そこから私たちが学べることは、きっと少なくありません。

今回は、そうしたイタリア的価値観の中でも、“働くこと”にまつわる意識──つまり、イタリア人の「労働観」に目を向けてみたいと思います。

「働く」とは、何のためなのでしょうか。
日本では、「会社のために尽くす」「責任感を持つ」「一所懸命やるべき」といった価値観が根強くあります。
一方で、イタリア人はまったく異なる土壌から労働を見つめているのです。

本書の中において、近代的な労働観──つまり「雇用主が対価を支払う代わりに、労働者はその義務を果たすべき」という“契約”ベースの働き方について、イタリア人の距離感が描かれています。

イタリア人は、基本的にこの関係が得意ではない。
労働者が無機質に義務を果たすという労働には、なかなか情熱を持ち込めない。

むしろ、イタリア人にとって仕事とは、「自分のもの」と感じられるかどうかが極めて重要なのです。

ここがまさに、日本人とイタリア人の労働観の分かれ目です。
日本人は、職務に忠実であることや“義務感”を大切にしがちですが、
イタリア人は、「これは自分の仕事である」と納得できなければ、真剣に取り組むのは難しい。

逆にいえば、「自分が本当にやりたい」と思えることであれば、
時間や効率を超えて、深くのめり込む。そこには創造性や自由が宿るのです。

このように、労働を“感情移入できるもの”として引き寄せられるかどうかが、
イタリア人にとっての“やる気の出どころ”になっているように感じられます。

この感覚は、義務教育や公共機関、あるいは大企業の事務仕事などにも通じるかもしれません。
「誰のものでもない仕事」には、誰も責任を取らず、誰も熱心に関わらない。
裏を返せば、それは「自分の仕事ではない」と心のどこかで距離を置いている証拠とも言えます。

もちろん、これには課題もあります。
組織全体の統一感が保ちにくくなり、義務感で動く“縁の下の力持ち”的な働き方が軽視される側面もあるでしょう。

「自分のもの」という範囲が、決定的にイタリア人と日本人の感覚で異なっている。私はそのように本書から受け取ることができました。

意味を見出し続ける国!?

「自分のもの」の射程が違う──イタリア人の労働観をさらに深掘りしてみましょう。

イタリア人にとって、仕事とは「自分のもの」として感じられるかどうかがすべてだといっても過言ではありません。
それが自営業でも、家業でも、プロジェクト単位の仕事でも、「これは自分が引き受けている」という主観が生まれた瞬間、彼らは途端に力を発揮します。

逆に言えば、「自分のものではない」と感じた仕事には、情熱も責任感も注がない。
ここには、単なる“怠慢”ではなく、「本当に自分が関われることにしか魂を注がない」という、一種の美学のような感覚が通底しています。

対照的に、日本人はどうでしょうか。
日本社会では、会社の仕事を「自分のもの」として捉える範囲が、かなり広く設定されています。

たとえば、

  • 「会社のために尽くすことが美徳」
  • 「全社最適を考えて動くべき」
  • 「国や組織のために働くことに意味がある」

という感覚は、多くの日本人が無意識に身につけている文化的背景です。

つまり、日本人の多くは、「自分のもの」という範囲を組織や社会全体にまで拡張して引き受ける傾向があるのです。

イタリア人が最も力を発揮して一生懸命働くのが、この家族工房型の企業である。イタリアの経済を支えているのもこの家族工房型で、世界的菓子メーカーのフェッレーロ、ファッションのサルヴァトーレ・フェラガモ、ベネトン、ワイナリーでいえばアンティノリやフレスコバルディなどは、世界的成功にもかかわらず、いまだに家族工房的特徴を完全に保持している。

イタリア人は「自分で選んだもの」しか“自分のもの”にならない

一方、イタリア人にとって「自分のもの」とは、自分で選んだもの、自分が関与できる実感のある範囲だけです。
国家に対しても組織に対しても、“義務感”で働くという感覚にはなかなか入り込まない。

だからこそ、イタリア人は国家に対して批判的でありながらも、逆に「小さな自分の現場」においては、ものすごく責任感を持って動く。
「自分が納得してやっているか」が最優先されるのです。

この点は、日本のように「空気を読んで全体を支える」「所属組織の一員として貢献する」ことが評価されやすい文化とは、根本的に異なる価値観です。

日本人が重視するのは「帰属意識」──どこに属しているか。
イタリア人が重視するのは「選択感覚」──自分で選んだかどうか。

たとえば、同じ「営業の仕事」をしていても、
日本人は「会社の一員として、与えられた任務を果たす」のに対し、
イタリア人は「このクライアントとのやり取りが自分にフィットしているからやる」という動機に
なる。

この違いが、働くときの集中力、熱量、感情移入の仕方を大きく分けていくのです。

自分の“意味”が見えないと、やる気が出ない──その強さと、弱さ

イタリア人の労働観の大前提として、「いま自分がしている作業が、全体にとってどういう意味を持つのか」が見えていないと、やる気が湧かない──という価値観があります。

分業が進むと作業の全体像が見えなくなることも、イタリア人の労働意欲を下げる。
いま自分が行っている作業が、全体にとってどのような意味があるかが見えないと、意味がわからないのである。

この言葉に、彼らの「自分のものとして仕事を引き受けたい」という強い意志を感じます。
しかし、それは同時に、「分業による効率化」や「大量生産の仕組み」とは、決して相性が良くないことも示唆しているのです。

フェラーリとフィアット。どちらもイタリアの代表的自動車ブランドですが、本書ではこの2社に象徴される“働き方の思想の違い”も言及されています。

  • フェラーリ:手仕事やクラフトマンシップに価値を置き、「作り手の誇り」や「自分の作品であるという実感」が保たれる文化。
  • フィアット:効率化・分業・量産体制によって、作業と目的が切り離され、労働意欲が湧きづらくなってしまった構造。

つまり、イタリア的価値観の「意味が見えることが重要」という美学は、少量・高付加価値の世界では花開くけれど、
マスプロダクションの文脈ではむしろ弱点になってしまうことがあるということです。

現代社会は分業によって成り立っています。
その中には当然、「自分のしている仕事が何の役に立っているのかわかりづらい」場面も多い。
日本人は比較的それを“役割として割り切る”ことが得意ですが、イタリア人はそこで“気持ちが入らなくなる”という構造がある。

この感覚の違いは、組織の設計思想にまで影響を与えます。
意味が見えないと人が動かないなら、上司は「やる意味」を語らなければならない。
逆に、個人の自律性や誇りを引き出すマネジメントができれば、小さな組織でも圧倒的な力を発揮する可能性がある。

結局、「意味」と「仕組み」はトレードオフ?

つまり、

  • 意味を深く追求すると、小回りは効くがスケールしにくい
  • 仕組みに頼ると、効率は上がるが、情熱は下がる

この二項対立をどこで折り合いをつけるかが、働き方・組織づくり・国家運営において、現代の課題そのものではないでしょうか。

ちなみに、二項対立について考えるとき、両立思考についても、ぜひケアしておくのが重要ですよね。こちらの1冊「【私たちは、二者択一にとらわれている!?】両立思考|ウェンディ・スミス,マリアンヌ・ルイス」もぜひ!

イタリア人的、労働観から、学べることはどんなことでしょう。自らをいかに大切にするか?という主題で、次のセクションに向かっていきましょう。

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自らの感性に蓋をするな!?

では、ここまでの論点を活かして、私たちはどうすればイタリア的な働き方に学び、自分の仕事に対して“自分ごと感”を高められるのでしょうか?

全体像が見えて、自分がすべての工程に関われる仕事には、驚くべき集中力を発揮する。イタリアが誇る職人芸の世界がそうである。

それは単に「好きなことを仕事にする」という話ではなく、
目の前の仕事に対して、選びなおし・意味づけしなおす回路を持つことだと思います。

たとえ会社員であっても、「このやり方なら自分なりに意味がある」と感じられれば、
その瞬間から仕事は“自分のもの”に変わっていくのです。

やはり私はいかに「意味」に素直になれるか・・・?がキーポイントなのではないかと思います。

普段のルーティンに隠れてしまっている「意味」に触れよう!と思うとき、人の本当の力がめきめきと立ち上がってくるのではないでしょうか。

例えば、この仕事って本当に意味あるのかな?とか、この時間って何を生み出しているのかな?というある意味生産的な批判的眼差しを向けるということは、健全な自責へと自分をいざなうことでもあります。

これは、単なる否定でも投げやりでもなく、
自分の感性を信じて、働き方や生き方にもう一度手ざわりを取り戻そうとする行為です。

本書を通して印象的だったのは、イタリア人が「意味がある」と感じたときだけ、ものすごい情熱を注ぐということ。
裏を返せば、「意味を見出せないことには、徹底的に熱中できない」。

これは組織から見ると扱いにくさにも映るかもしれませんが、
一人の人間として見たとき、それはとても誠実な態度だと思います。

効率や義務ではなく、感情の納得や内的な整合性を重んじる。
だからこそ、そこに“自分の力を注ぐ価値があるかどうか”が、最大の判断軸になるのです。

忙しさや慣れ、空気や遠慮。
私たちはいつのまにか、「意味なんて考えてたら回らないよね」と自分に言い聞かせながら、日常を消化していることがあるかもしれません。

でも、本当はその「意味ってなんだろう?」という違和感こそが、
人間の創造性や責任感、そして納得感の出発点なのだと思います。

イタリア人のように、「意味がなければやらない」のではなく、「意味を見つける努力をしながらやる」という態度。
そんな柔らかくも鋭い感性を、私たちもどこかで取り戻せるのではないでしょうか。

地中海の風と、ストア哲学のまなざし

ふと立ち止まってみると、この「意味に素直であること」「自分のできることに集中する姿勢」は、実は今に始まった話ではないのだと気づかされます。

約2000年前──
ストア哲学の担い手たちは、まさにイタリア近辺、ギリシャからローマにかけての地中海世界において、次のような思想を説いていました。

「私たちがコントロールできるのは、自分の意志と行動だけである」
――エピクテトス

「できることに最善を尽くし、あとのことは天に委ねよ」
――セネカ

それは、現代のイタリア人が「最後はなんとかなるさ」と微笑む、その根っこにある世界観と、どこか地続きに感じられるのです。

「自分の仕事を、自分の手に取り戻す」

変化が多く、複雑な時代にあっても、自分にできることは何か?
そして、それに意味を見出しながら、納得して働くことはできているか?

ストア派の教えも、イタリア人のマインドセットも、
どちらも私たちにこう問いかけてきます。

「あなたは、自分の人生を、自分で引き受けようとしているか?」

意味と自責の旅を、日常に取り戻す

本書は、単なる「イタリアあるある本」ではありません。
それは、地中海の風が運んできた、意味と自責を大切にする哲学のかけらなのです。

忙しさに流されそうになるときほど、
一度立ち止まり、こう問いかけてみてください。

「この仕事は、自分にとってどんな意味を持っているのだろう?」

その小さな問いから、人生が少しだけ自分の手に戻ってくるのかもしれません。

ストア派の思想については、こちらの1冊「【真の生き方とは?】2000年前からローマの哲人は知っていた 自由を手に入れる方法|エピクテトス」やこちら「自分を確かに!?『STOIC 人生の教科書ストイシズム』ブリタニー・ポラット,花塚恵」もぜひお手にとってみてください。おすすめです!!

まとめ

  • イタリア人の労働感とは!?――自らの感情移入が基準です。決まりやルールは、その後。
  • 意味を見出し続ける国!?――そんな労働観を集約するとものごとの“存在意義”へと向かう思考と行動を誘発するようになります。
  • 自らの感性に蓋をするな!?――感じたように行動するという「自由」の本当をもう一度、大人になったからこそ手にするべきではないでしょうか。
宮嶋勲
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