【懐かしくも、新しい経営!?】「21世紀の経営」を語る|田坂広志

「21世紀の経営」を語る
  • 21世紀の経営において、何が重要になるでしょうか。
  • 実は、古きをたずねることかも。
  • なぜなら、世の中は、弁証法的にらせん状に登っていくから。
  • 本書は、21世紀の経営の内実を語る1冊です。
  • 本書を通じて、古くも新しい新時代の経営の着眼点を知ることができるでしょう。
田坂広志
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螺旋的発展とは!?

社会やものごとは、螺旋的に発展していきます。「弁証法的発展」です。

「古く懐かしいものが、新たな価値を伴って復活していく」のである。

第12話 日本型経営の未来

ドイツの概念論哲学者、ゲオルク・ヘーゲルは、その弁証法の哲学において、こうした成長曲線を唱えました。右肩上がりに階段を上るような発展ではなく、らせん状に発展していくというものです。上から見れば、堂々巡りに見えるもの(復活・復古)でも、横から見れば、それは確実に上に登って(新たな価値が付与されて)いきます。

本書は、「日本型経営」の復活を通底にしています。まさに、古きを知る視点を得ることが、今後の経営に一筋の光を持たらすのです。

2つの潮流の合流とは!?

大きな潮流として次の2つがあげられます。

  • 「営利企業」が、その社会的責任から「社会貢献」を重視する方向に向かう。
  • 「非営利企業」が、長期継続性から「収益獲得」を重視する方向に向かう。

つまり、すべての組織や企業が、「いかなる社会貢献を目指して事業を行っているのか」が問われるとともに、収益基盤を確立しているかが問われていくことにもなります。

「社会的企業(Social Enterprise)」のビジョンであろう。

第1話 21世紀、日本型経営の新たな復活がはじまる

こうした中で、日本がこれまで当たり前のように重視してきた経営スタイルに注目が集まることは必然かもしれません。

なぜなら、日本型経営においては、昔から「営利」と「非営利」という対立概念は存在せずに、「収益獲得」と「社会貢献」は、本来、一体のものとして捉えられてきたからです。

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5つの資本との向き合い方とは!?

5つの資本をベースに、「日本型経営」の真髄を触れていくことで、21世紀に求められる経営スタンスの解像度をあげていくことにしましょう。

1)「知的資本」
社員の持つ知識や知恵は、目に見えないけれど、企業にとって極めて重要な資本です。

2)「関係資本」
社員が必要な知識や知恵を持っていなくても、よりよい人とのつながりの中からそれらを見つけてくることも可能です。

3)「信頼資本」
社員や会社が外部の組織とより良い関係を作るためには、信頼がなければ、成り立ちません。信頼を保ち、向上することができれば、関係資本も次第に増加する構造にあるといえるでしょう。

4)「評判資本」
社会から評判があれば、信頼も生まれやすくなります。

5)「文化資本」
社内で知恵を共有し、社外の人々とも知識や知恵を交換する自由な文化があるならば、その企業には、自然に「目に見えない」資本が生まれ集まり、それを有効に活用することができるようになります。

5つの資本は、目に見えないものです。

日本型資本主義や日本型経営と呼ばれるものは、古くから、この「目に見えない資本」を重視し、活用してきたのである。

第2話 「目に見えない資本」を融資してきた日本型経営

これまで、日本型の経営が重視してきた「目に見えない」資本の理解の解像度をあげていくために、ことわざや格言を引用してみましょう。

1)「知的資本」
「衆知を集める」や「三人寄れば文殊の知恵」といった言葉・・これは日本的経営の中で伝統的に語り継がれてきたものです。企業において、社員の持つ知識や知恵を活用することの大切を説いています。

2)「関係資本」
「縁」という言葉や、「お陰さま」といった言葉・・顧客との関係を単なる「売り手・買い手」の関係に留めず、文化的・宗教的に裏打ちされたかけがえのない出会いとしてとらえる言葉です。

3)「信頼資本」
「一意専心」や「浮利を追わず」といった言葉・・顧客のために徹底して使えることをかたり、利益のみの観点から、お客様をみないことを戒める言葉です。

4)「評判資本」
「世間様が見ている」や「恥を知る」とった言葉・・たとえ「法律」に触れなくとも、「倫理観」や「美意識」に基づきこうどうすることの大切さを語った言葉です。

5)「文化資本」
「一期一会」という言葉や、「おもてなしの心」という言葉・・人間同士ので出会いを大切にし、相手との最高の時間を過ごそうという覚悟、ひいては、それが文化の土台を形成するものになります。

そして、「顧客は心の鏡」という言葉や「以心伝心」という言葉・・自分の心がそのまま顧客に伝わるという思い定めて仕事に取り組むことの大切さを述べた言葉であり、共感という名の資本の存在を感じるものです。

まとめ

  • 螺旋的発展とは!?――螺旋的に社会は発展していきます。懐かしい新しさを経営に取り入れましょう。
  • 2つの潮流の合流とは!?――社会性と利益性が合流します。
  • 5つの資本との向き合い方とは!?――パーパスを達成するために、5つの資本と向き合いましょう。
田坂広志
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