【爆縮市場から学べ!?】2030年の広告ビジネス デジタル化の次に来るビジネスモデルの大転換|横山隆治,榮枝洋文

2030年の広告ビジネス デジタル化の次に来るビジネスモデルの大転換
  • これからの広告ビジネスを占うにはどんな視点が重要でしょうか!?
  • 実は、爆縮市場で健闘しているプレイヤーに注目するのが良いかも。
  • なぜなら、変化せざるをえない状況でこそ、本質的な力が見出されるものだからです。
  • 本書は、2030年の広告会社の在り方を説く1冊です。
  • 本書を通じて、広告業界をモデルケースに、市場変化の中の舵取りについて、視点を得ることができます。

筆者である横山隆治さん、榮枝洋文さんによると、爆縮=とてつもないスピードで縮小する市場のプレイヤーを研究することで、変化の時代を乗り越えるヒントを得られます。3つの爆縮市場の状況を見てみましょう。

そもそも百貨店とは!?

爆縮するとコアスキルを持った人財が流出する

爆縮するとコアスキルを持った人財が流出する

市場が縮小するということは、優秀な人財が流出することを意味します。上記のコアスキルとは、コアスキルとは、一言で言うとビジネス基礎能力のことです。 セブンレイヤーズモデルという、株式会社市場価値測定研究所が考案したモデル(個人、特にこれから就業する学生や、既に就業されている方の自立に必要なスキルをモデル化したもの)に基づいています。

爆縮しているということは、人財流出だけではなく、さまざまな変化にさらされるということです。そうした変化の中で、新たな成長の種が確実に見出されます。成長の兆しというのは、急激になくなる市場の周辺で生まれます。

こうした、急激な市場環境の変化をうけて、一部の企業では、「そもそも」にフォーカスすることで、生き残りをかけた戦略を見出すことも重要視されているでしょう。

爆速市場の代表格の百貨店から見てみましょう。

そもそも百貨店の前身には店舗はなく、いわゆる「外商」でした。

「爆縮」産業の代表格「百貨店」

お得意様に向けて彼らがほしいものを全国から探してくるのが、商売だったのです。

顧客が特定されていて、売り物・売り場は特定されていなかったといえるでしょう。それが、いつの間にか立地(売り場)を特定して、不特定の顧客に売る業態に変わりました。

今後百貨店が生き残るためには、上顧客を「お得意さま」として、AI外商部員が活躍する新業態に転じることかもしれません。

そもそもアパレルとは!?

アパレルも「爆縮」業種のひとつです。

服を買うということであれば、ECなどで十分でしょう。しかし、自分に似合う服を買ったり、新しい自分にであったり、カリスマ店員から刺激を受けたり、そういう「価値」を見出すとすれば、今後の新しいアパレル会社の生きる方向性も見出させるかもしれません。

ライブコマースによって新たな販売員が出現する

ライブコマースによって新たな販売員が出現する

商品をSNSやその他オンラインプラットフォーム上で紹介しながら販売を行うスタイルが今後さらに浸透していくかもしれません。

そうした中で、リアル店舗の接客からオンライン店舗の接客へと「人」のスキルもアップデートを余儀なくされるでしょう。物理的店舗は、ライブコマースのスタジオへと変貌を遂げながら、同時に販売員がさらにカリスマ化していきます。

新たしいタレントを育てることに、アパレルブランドは勝機を見出すことが重要です。その時、よりよい熱狂的な人を雇い入れたり、参加してもらうためには、熱狂的になれるブランド骨子・ストーリーが必要になりそうです。

価値は空間ではなく、販売員にあります。

ライブコマースによって新たな販売員が出現する

DNVBという新たなブランドの概念も登場しています。デジタル・ネイティブ・バーティカル・ブランドという米国発のスタイルです。代表格は、『Warby Parker(ワービーパーカー)』という眼鏡ブランド、『Bonobos(ボノボス)』という男性アパレルブランドなどでしょう。

デジタルネイティブを起点に生まれたバーティカル・カテゴリーに特化したブランドという意味で、別名「v-commerce brand」とも描写されます。従来品がEコマース上に乗っかるだけの形態と区別されます。

DNVBという概念と言葉は、『Bonobos(ボノボス)』の創業者アンディ・ダンが作りました。

DNVBの特徴として次の5つがあげられます。

  • 1)「製造直販」をテクノロジーの力で可能にさせている。中間コストが少ない分、粗利率が高い。
  • 2)「ブランド体験」がオンライン起点で拡散される。自社ブランドが提供するメッセージだけではなく、インフルエンサーを筆頭とするソーシャル上のユーザー起点のコンテンツがブランドを支える。
  • 3)通常のEコマースやアマゾンのチャネルと競合しない「第3の流通チャネル」
  • 4)顧客情報を直接保有している(サブスクライバーとしてクレジットカードが登録)。
  • 5)スタートアップの起業マインドでコミュニティを成長させるパワーを持つ。大企業の自社開発で立ち上げるブランドとは趣が違う。

DNVBとはSNSのプラットフォーム上のブランドでありう、メディアでもある、「ファン」だけで構成される世界観を作って強い絆でつながるものになります。ですからマススケールにはなりません。数万とか数十万人がいれば十分で、マス化すると「私のブランドではなくなった」といってファンが離れてしまうような性格を持っています。

DNVBによる新しい業態の誕生

これまで、アパレルはPRが主体で広告メディアを買ってもらうことはありまり無かったのが事実ですが、しかし、今後はD2Cブランドに資本とマーケティング人財を送り込んで成長させ、キャピタルゲインを得るビジネスモデルとして注目することもありえます。

アパレルの変革については、こちらの投稿「【アパレル市場は、未来市場!?】ZARA、ユニクロ圧勝の秘密を明かす 生き残るアパレル 死ぬアパレル|河合拓」もぜひご覧ください。

そもそも地銀とは!?

銀行自体が存在意義を問われる中、変化の波をまともにうけているのが、地方銀行です。

もちろん企業にとって銀行からの借り入れは引き続き重要な資金調達の手段ではあります。ただ特に中小企業などは直接金融としてのクラウドファンディングのような新たな仕組みをどんどん採用し、銀行からの融資を受ける企業はコロナ禍の一定期間で大きく膨らんだものの、その後は新たな資金調達に銀行借入を選択する事業者は増えていないと思われます。

地方銀行の存在意義が問われる

アフターコロナで爆縮する市場が見えています。

地銀が変革を期して生き残るためには、まさに「脱銀行」「脱金融機関」しかなさそうです。

ある意味「生き残るために返信できる業態」ではなく、地方でこれから「求められる機能は何か」に特化して生き残る道を選ぶことしかないのです。

地銀生き残りの道は「脱銀行」「脱金融機関」

必要とされなくなっているため、必要とされる機能をはたすためにあらゆる手を尽くさなければなりません。業態の維持ではなく、新たな地場産業や住民に役立つ存在としていかに認められるか、生きる道を見出す必要があるでしょう。

ひとつの方向性が「地場産業のデジタルトランスフォーメーション支援」です。

加えて、地場産業に対して中小を問わず全国、全世界を相手に顧客を獲得することを支援するコンサルにならなければならないでしょう。

上述のDNVBの特徴のひとつである、
1)「製造直販」をテクノロジーの力で可能にさせている。中間コストが少ない分、粗利率が高い。
を地場産業に働きかけ、かつサポートできる存在になるという機能を持つとも言えそうです。

現有人財をうまく活用しながら、小型のアクセンチュアのような機能を持つことで、地場での生き残りが可能になるかもしれません。

地方の企業を接続するハブとしての役割もフォーカスされるべきです。地場産業、地方メディア、小売事業者等との連携を強めて、地域発の産業の振興の旗振り役となるのです。異業種連携なので、自己変革を起こすことが難しい企業には異業種連携がひとつの業種変革の手法といえるでしょう。

まとめ

  • そもそも百貨店とは!?――顧客が固定で、売り物・場所が可変の「外商」でした。
  • そもそもアパレルとは!?――情報メディアともとらえられそうです。
  • そもそも地銀とは!?――地域産業のコネクタともとらえられます。
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