【ブランディングよりも大切な視点!?】パーセプション 市場をつくる新発想|本田直也

パーセプション 市場をつくる新発想
  • 商品やサービスのコモディティ化が進む中、たとえ認知があっても、モノがうごかない!営業がしにくい!と思うことはありませんか?
  • 実は、そんなときこそ、世の中からの認識「パーセプション」の状況を見極めることが大切かもしれません。
  • なぜなら、パーセプションが構築されていなければ、ブランドは片手落ちの状態だからです。
  • 本書は、これからの時代の販売促進を狙う上で重要な視点として「パーセプション」を説いた1冊です。
  • 本書を通じて、マーケティング活動のアウトプットにおいて大切な課題点の特定にヒントを得られるでしょう。
本田直也
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パーセプションが求められる社会背景とは!?

モノやサービスのコモディティ化が進む中で、売れづらい環境が続いているとお感じの方も多いでしょう。これまでの時代は、とにかくモノやサービスが不足していたので、そもそも需要が高い状態でした。でも、いまは、モノを手に入れることがさらに容易になり、サービスのバリエーションも莫大に増えました。人の需要よりも相対的に供給が高くなる中で、何らかの差別化を強化しない限りは、売れない、売れ続けない状況なのです。

だから、たとえ、認知が90%とか100%近いブランドであっても、売上苦心する時代であると言えるのです。

認知を上げる活動に加えて重要になっているのが、世の中から商品・ブランドに向けられる認識、つまり「パーセプション」の正しいコントロールスキルだ。パーセプションを正しく理解することで、マーケティング課題の突破口が見つかる可能性がある。

第1章 パーセプションの正体――なぜ「パーセプション」が重要か

また、さらに社会背景を詳しく見ていくと、パーセプションが受けいられる土壌が広がりつつあることがわかります。著者である本田直也さんは、次の3点をあげます。

1)メタの時代

現代においては、「自分を客観視できること」の価値が上がっています。ここ最近のビジネスでは、「メタ認知」の重要性が説かれることが多くなっています。メタ認知とは、「認知していることを認知すること」などと定義される概念です。つまり、自分の思考や行動を客観的に認識することで、自分自身の認知行動を把握できる能力のことです。SNSの普及や、WEB3などの技術も相まって、企業やブランドが所有の中心であった時代はおわり、消費者との関係はますますフラットになっています。1つのパーソナリティとしてブランドが捉えられる今、ブランドも自身を客観視する力=つまりパーセプションを意識せざるを得なくなっていると言えるでしょう。

2)社会との接点;パーパスの時代

企業やブランドにとって、関心事の1つが「社会との接点」なのは間違いありません。「パーパス」が注目を集めていることもこの影響を受けているでしょう。パーパス、つまり企業の社会的意義、あるいは存在意義を問う時代でもあるのです。

3)長期的なしなやかさを求められる時代

明日には何がおこるかわからないVUCA時代を私たちは生きています。数直線的に常に成長する社会ではなく、定常化の中で、飛躍的の進化する技術革新やパンデミックなどの社会構造自体をゆらがす大きな変化の中を生きているのです。時代の変化が抜本的かつ、急激になっている中、事業やブランドは永続性を志向するに至っています。「長期的なしなやかさ」を目指すブランド管理が必要とされ、その具体的な方法がパーセプションであると言えるのです。

パーセプションを形成する5つの要素と、作り方とは!?

パーセプションを形成する要素は5つあります。

  • 1)事象
  • 2)リテラシー
  • 3)グループ
  • 4)タイミング
  • 5)コントラスト

これらをコントロールすることで、パーセプション構築を目指すのです。具体的には、とくに1~3について、次のようなアプローチを検討します。

  • ①「事象」とのサイクルでつくる・・パーセプションをつくるには、ファクトが必要です。かつ、パーセプションが形成される中で新しいファクトが生まれます。ファクトが起点となる好循環を形成させましょう。
  • ②「リテラシー」のギャップからつくる・・リテラシーとは知識のことです。消費者や社会がまだ身につけていないリテラシーを提起することで、新鮮なギャップ構造から認識をつくりあげます。
  • ③「コントラスト」を活用してつくる・・モノゴトはつねに相対評価をされます。このギャップをうまくつかいましょう。例えば、コントラストの事例としてUberというサービスが登場する前後の「タクシー」の利便性を考えると鮮やかでしょう。

スタートアップ・新規事業が陥りやすいワナとは!?

本田直也さんは、PR業界(特にグローバル)で提唱されている「PRのミラミッド」が重要だといいます。PRは3段構造になっていて、

  • 上段・・ビヘイビアチェンジ(行動変容)
  • 中段・・パーセプションチェンジ(認識変容)
  • 下段・・パブリシティー(認知)

となっています。より、上を目指していくことが理想とされます。

ただし、ここに落とし穴があります。

スタートアップや新規事業が陥りがちなのは、ピラミッドの上段にある行動変容にフォーカスし過ぎることだ。

第3章 パーセプションを「つくる」――新たなる認識の創造で市場開拓

パーセプションをすっとばしてしまうのです。「使えばわかるだろう」と、とにかく早く製品を世に出し、資金調達である程度の予算ができたら、認識をつくることを意識せずに一足飛びに認知向上の広告施策に予算を投下してしまうケースもあります。

atama+というAIサポート学習の事例は、このパーセプションを大切にしながら、市場拡大を果たした好例です。atama+は、たった3年で1900教室が導入するに至ったのには、理由があります。

大切なのは、大手学習塾Z会が採用し、かつ、生徒の成績がぐっと向上したファクトを得て、大手予備校城南予備校が導入を決め、そして、右に習えの業界において他社が続々と導入を決めたという流れを作ったのです。まさに、上記の「①『事象』とのサイクルで、パーセプションをつくる」ことの実際の事例ですね。

atama+は、創業後、メディア露出が増えたことで、「大手との提携」や「資格試験勉強の効率化」などの魅力的な新規事業案件のオファーが舞い込みました。しかし、代表はこの方向性にアクセルを踏むことをやめました。なぜなら、atama+は「基礎学力の習得はAIによって効率化できる」という、限られた小さな領域のパーセプションを作り上げるべきだと判断したからです。当社のビジョンは、「日本国内の塾マーケットの中高生に基礎学力を向上させる」であったのです。目指すべき姿が明確に規定されているからこそ、自分たちの強みや得意を発揮できる領域を間違えない判断をすることができました。

また、強みを特定の得意先で発揮し、結果を出すことで、より多くの導入をプル型で獲得できたことも、投資対効果が非常に高いアクションとなりました。ほとんどatama+は、営業活動をしていないといいます。

さらに、「教育の変革」を追いかけている記者が数多くいる、というメディアインサイトにも合致し、よりおおくの露出を獲得できたことに成功の要因があったでしょう。

本田直也さんの著書は、こちらもおすすめです。ぜひご一読ください!「【戦略PRの作り方!?基本を大切に!】戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則|本田哲也

まとめ

  • パーセプションが求められる社会背景とは!?――コモディティ化の中で、単なる認知では購買が進まない社会背景があります。
  • パーセプションを形成する5つの要素と、作り方とは!?――事象、リテラシー、グループ、タイミング、コントラストです。3つの工夫でパーセプションを構築します。
  • スタートアップ・新規事業が陥りやすいワナとは!?――パーセプションを構築せずに、一気に行動変容を狙ってしまう点にあります。対象市場の領域を狭めて、かつ、メディアインサイトも踏まえたパーセプションを構築しましょう。
本田直也
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