【全員・需要文化の作り方?】社員が会社のファンになる 就労幸福度アップの教科書|平栗健太郎

社員が会社のファンになる 就労幸福度アップの教科書
  • どうしたらみんなが、幸せに働き続ける組織を作ることができるでしょうか。
  • 実は、社員をファンにするという視点が大切かも。
  • なぜなら、一人ひとりの想いが会社を作っていくから。
  • 本書は、就労幸福度を考える1冊です。
  • 本書を通じて、幸せ起点のマインドセット作りの方法を知ります。

需要文化とは?

本書の著者・平栗健太郎さんは、「需要文化」という概念を軸に本書を展開されれます。需要文化(=Culture of Acceptance;COA)は、一人ひとりの社員のアイデンティティを“丸ごと”取り入れてしまう、そんな社内文化のことです。

“丸ごと”なので、酸いも甘いも、清濁併せ呑む形で、ポジネガひっくるめてその人を受け止めてしまうというスタンスです。

「家と同じように、会社でもありのままの自分でいられる」という「心理的安全性」のなかで仕事ができると、人間の心は「自由」と「豊かさ」で満たされます。

そしてその状況が、「働きがい」や「幸福感」に結びつくのです。

日本で働くビジネスパーソンの多くが「自己否定」をしてしまっていると、平栗健太郎さんは言います。

日本の職場が「信頼」と「信用」が混在している場所が原因です。信頼とは、見返りなしに相手を尊重する心です。

そこには、「あの人はできる/できない」という掛け値はいっさいなく、ただ相手を受け入れるというマインドセットがあります。

一方で信用とは、実績ありきで相手を認める気持ちです。相手に何らかの実績があれば、「あの人はできる」と神事、ものごとをまかせるような態度です。

多くの日本の職場には、「信用」の価値観・カルチャーが根付いているのです。

そのために、多くのビジネスパーソンが「会社や上司の期待に応えなければならない!」という過剰の強迫観念に駆り立てながら必死に働いています。

でも、冷静に考えて下さい。そんな心構えで、本当に“顧客のための”よい仕事ができるでしょうか。

日本の「就労幸福度」は「129カ国中128位」で最悪レベル

働くことは、社会とのかけがえのない接点を考え、そして人生の多くを作っていく学びの機会を提供してくれます。

もう一度、働くことについて真剣に考えることなくして、よりよい未来はえられないという心構えで、何を変えていったほうが良いのかを検討したいものです。

理想状態を定義しよう?

理想の状態は、「働く幸せにあふれる社員たちの笑顔」に日常的に触れられる職場です。

互いが自分のありのままを受容して、同じ場所と時間を共有しながら、自分の幸せの瞬間をそこに見出すことができるか?そんな職場の環境が求められているのです。

ポイントは、何が変えられて、何が変えられないか、ということにきづけるかどうかです。

大切なのは、人材に対する認識です。

一人ひとりの特性は生まれ持ったものも含めて変えることはできません。大切なのは、その配置です。まるでレゴブロックを組み立てるように、一人ひとりの特性を引き出せるようなチーム構成を検討し、その中で一人ひとりが自らを信じ、チームを信じ活躍できる場を設定できるかどうかがキーです。

そこからは、個人を点数化して、過剰に評価する信用の世界が遠ざかるようになります。

むしろ一人ひとりのありのままを活かすことに着目が及ぶため、一人ひとりがさらに生き生きとして、働く機会に恵まれるようになるでしょう。

ゴールまでの道のりは100人いたら100通りあっていい

目的を互いに共有する目的志向も、とても大切になります。

なぜなら、それがCOA組織、つまりインクルーシブな組織にとってなくてはならない原動力になるからです。

互いの特徴は異なるかもしれないけれど、同じように描く未来のビジョンの実現に向かって、共にチームのメンバーとして頑張っていけるかどうかです。

これらの論点については、こちらの1冊「【人は、なぜ共に働くのか?】働くということ 「能力主義」を超えて|勅使川原真衣」もぜひご覧下さい。能力主義ではない、新しいロジックで人を見つめることから、可能性を拓く認識の仕方を提供してくれます。

一人ひとりの特性を活かしていくためには、まずその本人の自己認識がとても大切になります。

チームや組織のパーパスだけを伝えても、それはその社員のモチベーションになりづらいからです。この論点についてはこちらの1冊「【大切なのは、“パーパス”のすり合わせ?】成果が出るチームをつくる方法|知念くにこ」もぜひご覧ください。

いかに自分のパーパスを意識的に見つけて、言語化できるかがキーです。

自分自身が「この会社で、なし得たいこと」は何なのか、それを見つけておくことが、自分のためになり、そしてチームのためになり、会社のためになります。

どうしたら受容文化を作れるか?

自分自身のパーパスももちろん重要ですが、同じように組織のパーパスやビジョンも欠かせません。

いろいろな方のポジネガも含めて協働を引き出すためには、会社の存在意義と向かう先の提示が欠かせないからです。

パーパスやビジョンを言語化し、需要文化を養い、協働を引き出していきましょう。

キーは、トップの意識改革です。

トップが態度を変えるだけで、社員のエンゲージメントは高くなります。なぜなら、エンゲージメントは、上司や部下などのお互いの人間関係で大きく左右されるからです。

トップが自分の言葉でパーパスやビジョンを語れないのは寂しいですし、ましてや「近づくな!」オーラを出してしまっては、メンバーに余計な気遣いや仕事を押し付けてしまいます。

トップの態度や言動が、実は需要文化の起点となる可能性を秘めています。

これからの時代のよりよい幸福な会社を作っていくために、以下の6つの原則に照らして自社の舵取りを検討してみることが良いでしょう。

原則1)社内に「需要文化COA」をつくる
原則2)リーダー・管理職が「自分の感情」を自覚する
原則3)目標は「数字」だけではなく「情景」も共有する
原則4)「ポジティブ・フィードバック文化」を作る
原則5)会社と社員がつながる「居場所」を作る
原則6)「パーパス(=存在意義)」と合致する人材を採用する

トップマネジメントが、どうしたら需要文化を積極的に作れるかどうかですが、それについては、次のような示唆を著者・平栗健太郎さんがしてくれています。

特に経営層がマネジメント層を受容する土壌を作るために、最も大切なことがあります。それは、経営者が、自分自身を受け容れることです。

自分自身を受け入れるということは、自分の弱みを客観的に理解することです。

人は特に弱みに注目することを、無意識のうちに忌避してしまいます。そして、「自分自身、苦手なことを隠しているな」と自分で感じてしまったり、「会社の目標に向き合うためにはどうしたらいいだろう・・」と心のなかで思ってしまっている状態では、他者に対して心を開くことは難しいのです。

大切なのは、自分の強みと弱みを俯瞰的に見つめて、一人の人材として、いかに組織を頼ることができるかを検討してみることです。

そしてそういう行動をしてみることから、さらにありのままの自分を受け入れていくことにつながっていきます。

まとめ

  • 需要文化とは?――トップから現場まで、互いのありのままの自分を受け入れるカルチャーです。
  • 理想状態を定義しよう?――働く幸せを、ありのままを受け入れる土壌がつくり出している様です。
  • どうしたら受容文化を作れるか?――トップマネジメントが自己認識をすることから始めるべきです。
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