- どういうチームを作ることが、成果につながるでしょうか。
- 実は、組織と個人のパーパスのすり合わせにキーがあります。
- なぜなら、人はパーパスがなければ、力強く駆動できない生き物だからです。
- 本書は、これからの時代の人々の欲求に応える1冊です。
- 本書を通じて、自分も組織も満たすリーダーシップ論の切り口に触れます。
個人のインサイト?
驚くべき研究データがあります。それは、組織の価値観の明確度と、自分の価値観の明確度によって、個人の挙動は大きく変わるというものです。
以下の表をご覧ください。
自分の価値観・不明確× | 自分の価値観・明確○ | |
---|---|---|
組織の価値観・明確○ | 組織への参加意欲が最も低い層 | 組織への参加意欲1番 |
組織の価値観・不明確× | 組織への参加意欲3番目 | 組織への参加意欲2番 |
組織の価値観が明確で、かつ、自分の価値観も明確であれば、組織への参加意欲が最も高まるのは当然であると思われます。
しかし、問題は、最も低いところです。なんとなく、組織×&自分×が最も低いだろう!と思われますよね。
違うのです。組織の明確度がありながら、個人の明確度が低いところが最も組織への参加意欲が低減してしまうという結果なのです。
これは、サンタクララ大学リービー経営大学院のリーダーシップ論の教授ジェームズ・M・クーゼス氏による研究結果を元にしています。
クーゼス教授たちは「自分の価値観や信念を理解していないかぎり、いくら経営幹部が膝を突き合わせて組織の価値観を考えても効果はほとんど期待できない」とまで言い切っています。
この結果に、私たちは真摯に向き合うべきなのかも知れません。
つまり、個人のパーパス(信念や信条、生きる目的)が明確になっていない限り、トップダウンマネジメントはほとんど効果をなさない可能性があるということです。
いや、もしかしたら作業を指示して、滞りなく遂行するという業務に関しては、行ってもらえるのかも知れませんが、人間が本来行うべき創造性を発揮したり、自ら主体的に問題や課題を発見する行動をすることは、期待できない、と言ったほうが正しいかも知れません。
価値観を自覚することの意義意味とは?
価値観を一人ひとりが自覚的になって、共有することはとても多くのメリットをもたらします。
個人と組織をつなげば離職は防げる
- チームの一員であることを意識し、チームへの愛着が高まる
- ルールを守ろうとする
- チームの目的と目標を理解するようになる
- 協働が促進される
- 仕事へのストレスや緊張感が緩和される
そして、さらには、その先に価値観を共につくり出していく、という究極のチームに欠かせないカルチャーを醸成していくことに寄与する動きが伴っていきます。
そのための出発点は、上述の通り、「自分のことを理解すること」になります。
- 私とは、どんな経歴を持ってきて、これまでどんな経験をしてきたのか。
- そしてその中で、どういった感情を抱いてきたのか。
- よりよいと思ったことはなにか。
- 避けたいと思ったことはなにか。
- 理想状態はなにか。
- そして、その理想の状態に対して、現状を俯瞰した時に、何が不足しているか。
こうした視点を通じて、一番知っているようで、知らない存在の自分について解像度をあげていくことが欠かせないのです。
よりよいリーダーはこうしたニーズを機敏に察知をして、メンバーに内省を促していきます。
リーダーの役割とは?
チームをつくり、メンバーの力を掛け算し、足し算以上の効果を引き出すためには、リーダーはどのような存在であるべきでしょうか。
以下の要点をおさえていきましょう。
1.ビジョンを描く、共有する。
2.仕事の仕組みをつくる。
3.チームの文化をつくる。
4.人を育てる。
5.メンバーの手本となる。
6.チーム全体で学ぶ。
7.変化を作る。
8.新しい時代、変化の時代を生きる。
まず欠かせないのが、私たちのチームが何を目指して、役割は何で、どんな価値観を大切にするのか、ビジョンをシンプルかつ明確に示すことです。また、そのビジョンは可能な限り一人ひとりのメンバーが思いを込められるものが理想でしょう。一人ひとりの内発的な意志から作り出されているものだということを忘れてはなりません。
文脈は、I(私)ではなく、常にWe(私たち)であるはずなのです。
具体的な行動を引き出せるようなビジョンである必要もあるでしょう。肝心なのは、次の2点を満たすことです。「その指針に沿った行動をすることにどうやら価値がありそうだと感じられること」と「『それなら私でもできそう』と思ってもらえること」です。
その上で大切なのが、仕事の仕組みを作ることです。メンバー個人の意志だけに頼るのではなく、その意志を継続させるような管理の仕組みと協働の仕組みを整えるのです。
特に管理の仕組みについては、定量的・定性的な目標設定とその見直しが欠かせません。組織の利益だけではなく、個人の成長にもしっかりフォーカスした目標を納得感をもって互いに作り出すし、定期的に見直し、運用することで、行動を意志の力だけに頼ることなく、続けることができます。
この論点については、こちらの1冊「【5つのポイントにフォーカスせよ!?】リーダーの仮面 ーー 「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法|安藤広大」もぜひご覧下さい。
そして、仕組みを継続的に運用していく中で、チームのカルチャーを共に見出していくということも欠かせません。
チームの文化とは、メンバー間で共有している行動や考え方のパターンや暗黙の了解をいい、どんな企業、チームにも「文化」があります。
ビジョンを包み込むような文化がチームには欠かせません。また、それは必ずしも言語化できないことも含むということです。忘れてはならないのは、その文化を積極的に提示していくのはリーダー自身であるということです。
ですから、リーダーは、ひとりの人格者として、学びを続け、自分自身が行動や発言に対して想いを込めていくという覚悟が必要なのです。
独断的に人を配下で動かすのではなく、あくまでメンバー一人ひとりが生き生きと自分のパーパスとチームのパーパスを融合させながら、安心して自分を成長させていけるような環境を整え続けていくことが、もっとも重要な仕事なのです。
そのためには、実は変化を積極的に受け入れることも欠かせないのです。なぜなら、定常状態からははつらつとして新しいエネルギーが絶えず湧き上がることは期待しづらいためです。
人や人と人は、なにか課題に向き合い乗り越えていく過程で、何らかの手応えを感じ、そして結束を改め、自分たちとは何者であるのか?を考えるヒントを得続けていきます。
課題を提供してくれるのは、変化やギャップです。そうしたチャンスを掴み取るためにも、変化に対して自信をもってオープンでいられる自分をリーダーは率先してつくり出していくことが欠かせないのです。
まとめ
- 個人のインサイト?――自分のパーパスを知らなければ、組織に入っていけません。
- 価値観を自覚することの意義意味とは?――自分の行動をOPENに作り出せる原動力になります。
- リーダーの役割とは?――8つの役割を常に、自信を持つため、絶え間ない行動をしていることです。