【問)地域経済は、復活するのか?】地域循環型経営|島原俊英

地域循環型経営
  • 中央集中化がいちじるしいこの日本において、地域の経済は、どうしたらよみがえるのでしょうか。
  • 実は、「地域循環型経営」にヒントがあるかも知れません。
  • なぜなら、この経営は、地域の特性を考慮した、地域の資源をフルに活用する再生循環モデルだからです。
  • 本書は、宇部興産退職後、家業を継ぎ、宮崎後で新たなこの経営モデルを実践する島原俊英さんによる、ロールモデルの1冊です。
  • 本書を通じて、地域経済を新たな角度で考えられる視点を得ることができます。

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島原俊英
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地域循環型経営とは何か!?

人口減少、過疎化、産業の下請け体質、低付加価値率、などなど、地方が抱える産業の問題点は山積しています。そんな地方の問題に真正面から取り組んだのが、島原俊英さんです。島原俊英さんは、宇部興産で15年間働き(海外赴任も経験)、父の会社を担うため宮崎へUターンしました。そこで、こうした問題に直面し、なんとかしなければとさまざまな活動を始めていきます。

そして、最終的にひとつの経営コンセプトにたどり着くのですが、それが、「地域循環型経営」です。

これは地方の衰退を食い止めるために地域のヒト・モノ・カネを活用しながら持続的な拡大再生産のサイクルを回し続ける経営です。

はじめに

そもそも、地域の資源が外へ流出し、外での消費・付加価値付与になってしまっているのが問題です。

例えば、林業。宮崎では高品質な木材が取れるのですが、これを加工するのは県外に加工・生産拠点を持つ民間企業・・すると、原料の生産だけにとどまり、付加価値を付与できる工程をみすみすのがしてしまっているのです。域内での循環経済に着目し、富を外部流出しない、持続的なモデルを構築するというのが、島原俊英さんの課題になったのです。

事例:「ひむか野菜光房」とは!?

島原俊英さんは、あるときひとつの事業を構想します。それが「ひむか野菜光房」です。注目したのは、地域の資源です。

  • 宮崎県は、日照時間に恵まれ温暖である。
  • 一次産業が盛んで、全国一物価も安い
  • 出生率も高く、担い手確保が容易である。
  • 農業産品のブランド数も多く、県外からのイメージも良好である。
  • 林業も盛んで、再生可能エネルギーの燃料となるバイオマスの入手も容易である。
  • 急峻な土地を利用した、小水力発電も可能である。
  • 土地にもゆとりがある。

こうした資源に対して、自社の経営力・工業力・ファイナンス力を組み合わせ、かつ、水耕栽培のスペシャリストという「出会い」も活かし、新しい再生可能エネルギーによる工業化された農業事業を展開します。

農業(生産技術)、商業(販路開拓)、工業(企業経営とファイナンス)のどれかひとつがかけても、この野菜工場はできなかったと思います。

「ひむか野菜光房」を設立

需要サイドのフィードバックに基づく、継続的な工夫とは!?

さらに、生産する野菜の選定や、生産計画は、需要を研究し、選定している点も特筆されます。

核家族化が進む大都市圏向けには、大型の野菜は、過剰供給となります。そうではなくて、小さくても付加価値が高く設定できる野菜がポイントになる・・そう考えた島原俊英さんは、グリーンレタス、フリルレタス、フラワーレタス、サニーレタスに着目します。これらを日産なんと8,000株できる体制を構築します。

さらに、レタスの需要は季節性があることから、露地栽培と真正面から競合しない出荷タイミングを設定し、工業化ならではの特徴をフルに活かした生産計画を立案。これを実行することで、一定量あたりの販売価格を高値で維持する工夫も行いました。

販路開拓についても、こうした活動に賛同し、協力的な会社に絞り込むなど、価格抵抗力を高めながら、取引コストが低くおさえられる工夫にも余念がありませんでした。

このようにして、地域の資源で循環可能な新たな農作物の工場が誕生したのです。

島原俊英さんの活動は、野菜工場だけにとどまりません。

2020年6月に私が代表になっている一般社団法人日向地区中小企業支援機構が運営する日向市産業支援センター「ひむか-Biz」内に「ひなたイノベーションセンター」を設けました。

イノベーションを起こす仕組みをつくる

このセンターでは、地域経済を支える地元企業や行政、団体、学校等が相互連携しながら、新たな「地域循環型経営」のモデルと実践を行っていく取り組みを支援していくといいます。これからの活動に期待が集まります。

地域には、地域の魅力があり、そして、これらを活用することで、多様な魅力を後世に残せる日本になると思います。中央集権、中央集中は、生産性や効率性が圧倒的に高まるけれど、どこか面白くないのも事実かと思います。これまでの社会のように一義的に良さを定義するのではなく、多様な価値観を大切にしながら、工夫を楽しむ経営のあり方というのも、また、面白いのだと思いました。

中小企業の独自のキャラクターを生かした工夫については、こちらの企業も注目です!過去の投稿「【小売の未来が、高崎にあった!?】おいしいものだけを売る-奇跡のスーパー「まるおか」の流儀|丸岡守」をぜひご覧ください。群馬県高崎市の超個性的なスーパーマーケットの事例です。

まとめ

  • 地域循環型経営とは何か!?――地方の衰退を食い止めるために地域のヒト・モノ・カネを活用しながら持続的な拡大再生産のサイクルを回し続ける経営です。
  • 事例:「ひむか野菜光房」とは!?――地域資源をフルに活かした持続可能型農業工場です。
  • 需要サイドのフィードバックに基づく、継続的な工夫とは!?――消費スタイル、需要時期などの課題を見据えてさまざまな工夫を展開しています。

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