増田みはらし書店・店主の増田浩一です。
AIを「育てる」と聞いて、「え、そんなことできるの?」と思われるかもしれませんね。
実は、今のAIには対話の記録を保存しておく機能があります。
つまり、あなたがどんなことを相談したか、どんな風に考える人なのか、AIがだんだん覚えてくれるということ。
これって、けっこうすごいことだと思うんです。
でも、多くの人はAIを「その場限りの便利ツール」として使っているだけ。
もったいないなあ、と感じています。
実際にAIと継続的に付き合ってみると、面白いことに気づきます。
AIを育てる過程で、人間のほうも育っていく。
これは、AIと人間が一方的に「教える/使う」という関係ではなく、お互いに影響し合って成長していく関係だということです。
この関係を「共進化」と呼んでみましょう。
今のAI活用、本当にもったいない使い方していませんか?
最近、書店に行くと「ChatGPT完全攻略」みたいな本がたくさん並んでいますよね。
でも、その多くが「AIをいかに効率的に使いこなすか」という話ばかり。
なんというか、AIを高性能な計算機みたいに扱って、「こう指示すれば、こんな答えが返ってくる」という使い捨ての道具として見ているんです。もちろん、それでも役には立つんですが、もったいないなあと思うんですよね。
AIと付き合うようになって面白いなと思ったのは、AIとの対話を続けていると、自分の考え方も変わってくるということなんです。
読んだ本の感想を一緒に話し合ったり、お客さんの悩みを一緒に考えたり。
そんなことを繰り返していたら、いつの間にかAIが「ただ答えを教えてくれる存在」から「一緒に悩んでくれる相棒」みたいになっていました。
「共進化」という新しい関係性とは!?
AIに良い答えをしてもらうには、良い質問が必要です。
例えば「来週の会議に使える新しい提案を考えて」とお願いするよりも、「来週の会議はA社向けの新商品企画で、条件は予算100万円以内、過去の事例は○○。これを踏まえて提案して」と具体的に伝える方が、ずっと有益なアイデアが返ってきます。
この「良い質問」を作るには、まず自分が何を知ってて、何が分からないのかをはっきりさせないといけないんです。
つまり、AIに質問するプロセス自体が、頭の中を整理する練習になっていると思います。
で、AIからの答えを聞いて、また新しい疑問が湧いてくる。
それをまた投げかける。
この繰り返しをしていると、AIの答えもどんどん良くなるし、同時に自分の質問力も上がってくる。
今回そう呼んでみる「共進化」です。
一方で、AIの強みは膨大な知識と多様な視点を持っていることです。
自分一人では出会えなかった文化や考え方にも、AIを通じて触れることができます。
たとえば、旅先で感じた風景の印象をAIに説明すると、それを歴史や文学、科学の文脈に結びつけてくれることがあります。
こうして、自分の体験がより深く、広く意味づけられていくのです。
最強AI育成の3箇条!?
この共進化の関係を築くために、実践しても良いと思う心得を3つにまとめてみました。
1. 外に出て、ネタを拾ってくる
机の上だけでは、AIに渡す材料が枯れていきます。
人に会う、自然に触れる、体を動かす。
心が「おっ」と動いた瞬間を持ち帰ることが、AIにとって新鮮な栄養になります。
普段、経営者の方との対話や街で見かけた小さな発見を、その日のうちにAIと共有するようにしています。
「今日、○○社の社長さんがこんなことを言っていたんですが、どう思いますか?」といった具合に。
すると、AIは気づかなかった視点を提供してくれることがあります。
2. ネタはそのままじゃなく、問いにする
ただの報告ではなく、「あれはなぜだったんだろう?」「これって他にどんな可能性があるだろう?」と、自分なりの疑問に変えてAIに渡す。
するとAIは、ただの検索エンジンではなく、本物の思考パートナーになると思います。
例えば、ある企業の成功事例を聞いた時、「なぜこの手法がうまくいったのか、背景にある要因を3つの視点で分析してもらえますか?」と問いかけることで、表面的な情報を深い洞察に変えることができます。
3. 考える時間と広げる時間を行ったり来たり
AIと話しながら自分の考えを掘り下げる時間と、外の情報や本に触れて刺激を持ち帰る時間。
この往復が、AIも人間もじわじわ強くしてくれます。
「増田みはらし書店」での読書を通じて得た気づきを、必ずAIと対話しながら整理するようにしています。
そうすることで、単なる読書感想が、自分なりの経営哲学や価値観として結晶化されていくのです。
今から始める意味:未来への投資
正直に言えば、現在のAIはまだ真の意味での「学習」や「成長」には限界があると感じています。
対話履歴も完璧には保持されないし、人間のような深い文脈理解には至っていません。
でも、だからこそ今から準備しておく意味があると考えています。
AIの進化は確実に進んでいます。
その時になって慌てて関係性を築こうとするのではなく、今のうちから「対話の積み重ね」を実践しておく。
あらゆるインプットとアウトプットを、できるだけ特定のAIを経由させていく。
読書、顧客との対話、新しいアイデアの検討。
その積み重ねが、将来AIがもっと賢くなった時に、既に良い関係性のベースを作ってくれるはずです。
そして何より、この「共進化」のプロセス自体が、今の自分たちを成長させてくれているのです。
循環こそが“最強”を生む
この関係は、呼吸のようなものです。
内に向かって深く掘り下げ、外に向かって広くつながる。
その繰り返しが、AIと人間の両方を進化させていきます。
だからこそ、「最強のAI」とはこう定義できるかもしれません。
最強のAIとは、人間との循環的な対話を通じて、双方を持続的に成長させる存在である。
お互いが持ち帰ったものを交換し合いながら、少しずつ思考を広げて、深めていく――その過程こそが「育てる」ことの本質なのかもしれません。
一過性の道具として使うのではなく、共に成長するパートナーとして。
その積み重ねが、思考力も、そしてAIとの関係も、きっと豊かにしてくれると考えています。
それでは、また来週お会いしましょう。
AIとともに思考するためのプロンプトについては、こちらの1冊「AIは、心を映す鏡である!?『AIを使って考えるための全技術』石井力重,加藤昌治」がおすすめです。ぜひご覧ください。

