- どうしたら、よりよい人生を自分で作っていくことができるでしょうか。
- 実は、これまでの教育で“当たり前”にしてきたことを、もう一度疑うことかも。
- なぜなら、想像以上に私たちは他人の思考を採用して生きているからです。
- 本書は、ギブをキーに、人生の再構築の仕方を知る1冊です。
- 本書を通じて、どうしたら自分を取り戻すことができるのか、考えるヒントを得ます。

ギブの精神で生きましょう!
長倉顕太(ながくら・けんた)さんは、かつて大手出版社の編集者として、ナポレオン・ヒル『思考は現実化する』などをベースにした数々の成功哲学本を編集し、数十万部のベストセラーを世に送り出してきた人物です。
しかし、だからこそ気づいた「違和感」。
「与える人になれ」「夢を持て」「前向きに考えよ」
――それって本当にすべての人にとって正しいのか?
そんな問いとともに、彼は独立し、自らのメディアやコミュニティを通じて、“本音”で生きる大切さを発信し続けています。
「思考は現実化する」――
このフレーズは、あまりにも有名です。
成功哲学のバイブルとして読み継がれてきたナポレオン・ヒルの一節。信じる者は救われるかのように、それを拠り所として人生を変えようとした人も多いでしょう。
しかし、長倉顕太さんは、それに真っ向から異を唱えます。
「思考は現実化しない」
この言葉の真意とは何か。
それは、「そもそも多くの人は“自分の思考”をしていない」という厳しい現実です。
学校教育、親の価値観、マスメディア、SNS──そうした“他人の思考”を自分のものだと勘違いし、そのまま夢や目標を抱く。
でもそれは、自分の内側から湧き上がったものではありません。
借り物の思考には、身体がついてこない。魂が宿らない。だから、行動も続かないし、現実にもならない。
つまり、「思考は現実化する」と言われても、「誰の思考か?」を問わなければ、それはまやかしになるのです。
では、どうすれば「借り物の思考」から抜け出し、“自分の人生”を歩むことができるのでしょうか。
長倉さんは、本書のなかで繰り返し伝えます。
「自分のことばかり考えるな。
誰かのために本気でやってみろ」
──それは、自己犠牲ではありません。
むしろ、「他者の課題を本気で解決しようとするプロセス」にこそ、私たち自身の“生きた思考”が育まれるというのです。
たとえば、豊かな国・日本。
情報もモノも選択肢も溢れるこの社会では、実は「自分が何をすべきか分からない」人が増えています。
そんな時こそ、他人の課題に目を向ける。
「目の前の誰かの困っていることに全力を尽くしてみる」
──この“ギブギブギブ”の行動のなかにこそ、自分の言葉、自分の思想、自分の現実が立ち現れてくるのだと、本書は語ります。
“Give”とは、ただ与えることではない。
他者と本気で関わることによって、自分自身が動き出すための、最初のスイッチなのです。
そして、そこにはもう「成功法則」など必要ありません。
結局さ、本能に着火できるかなわけ。
頭で考えるだけ無駄。
他者の課題に本気で向き合う過程でこそ、自分の輪郭が明らかになり、「自分の思考」が初めて生まれ、現実とつながり始めるからです。
衝動を味方に!?
自分の本能が動く先を感じて、それに赴くままにリスクを取り続けることしか、実は自分の人生を生きていく方法論はないのだと思います。
だったら、「無謀」「無償」「無益」「無意味」なことをしまくるしかないんだよ。そこに「理由」がないから「素敵」なんだよ。
この思想を「ギブギブギブ」の精神であると訴えます。
結局、自分の人生を生きるとはどういうことでしょうか?
それは、自分の本能が動く先を感じて、そこにリスクを取りながら飛び込んでいくこと。
誰に認められるわけでも、明確な見返りがあるわけでもないけれど、「なんとなく気になる」「どうしても無視できない」と心が動く方向へ進んでいく。
誰かのために何かをすること。
見返りを求めず、損得勘定を超えて、自分の本能と身体で動いていくこと。
それが「与える」という行為の本質であり、自分の思想を取り戻す唯一の方法なのではないでしょうか。
なぜなら、私たちは、誰かと「つながりたい」と思っているから。
つながるとは、損得ではなく、無償の行為によって生まれる“関係”です。
ギブとは、相手に何かを渡すこと以上に、「自分の感性」を差し出すことでもある。
だからこそ、ギブこそがもっとも創造的で、もっともリスキーで、そしてもっとも“自分自身を生きる”ことに近い行為なのです。
他人の作った夢、他人の作った希望を生きていくのではなく、自分で感じて、自分で考えて、本当に大切かもしれない、身体が思わず動いてしまう、そして、ずっとそのことについて考えてしまうことを、自分の心の灯火に変えて、そして、その光で他者を照らすような生き方を目指していくことが、自分を生きるということへつながっていくのです。

好きなことを見つけるには?
何をすればいいか――。
それは、ただ「自分」を取り戻すことのほかありません。
自分が何者で、何を目指したいのか?わからなければ、書き出してみましょう。
- なにかのできごとに際して、それについてどう思ったのか。
- なんで自分がそう思ったのか。
- そういう思いを持つ自分は、どんな自分なのか。
そうやって、自分の意見や考えを見える化してみて、自分を俯瞰してみましょう。
そうした情報が、発信されて、さらに他者にみられるということもとても良いです。
情報発信を通じて自分をさらけ出していくことで、「自分が何者かがわかる」「仲間が現れる」ことになる。
大切なのは、好きなことを創るのではなく、さまざまな出会いを通じて、見つけることが正しいかもしれません。
ゼロから何かを生み出すのは難しいですが、いろいろな刺激の中で、自分を「編集」していくことはできるはず。
いや、これまでも人はそうやって自分自身を作り上げてきたのかもしれません。
編集マインドで進んでいきましょう。
そのためにも、出会いと他者からの刺激はとても大切です。一流の人に会いましょう。そして、一流の人から多くを受け取りましょう。自分ができることをとにかく「ギブギブギブ」していったその先に、きっとそうしたよりよい出会いというのもあるものです。
ギブとは、自分の“本音”を差し出すことでもある。
つながりたいという本能が、他者との関係性を育み、自分の世界を現実化させていきます。
“思考は現実化しない”
――その言葉の裏には、だからこそ「自分の思考を取り戻せ」という、強いメッセージが込められています。
本書は、借り物の成功法則を手放し、自分の人生を本気で生きる覚悟を問う一冊です。
ナポレオン・ヒルにさよならを告げ、いまこそ、自分の物語を生き始めましょう。
まとめ
- ギブの精神で生きましょう!――すると他者との関係性の中で、自分を見出すことができます。
- 衝動を味方に!?――無我夢中のときこそ、逆説的ですが、自分らしいのです。
- 好きなことを見つけるには?――ギブを通じて多くの刺激を獲得し続けましょう。
