【なぜ、Appleは最強になり得たか?】最強Appleフレームワーク|松村太郎,德本昌大

最強Appleフレームワーク
  • ビジネスで、欠かせない視点とは何でしょうか?
  • それは情報を事前に入手し、MECEで整理する過程で、意志を固めていくことです。
  • なぜなら、その意志こそが、持続可能性を担保してくれるからです。
  • 本書は、絶えずアップデートしご活躍されるおふたりの著者が、ビジネスの普遍的ノウハウを語る1冊です。
  • 本書を通じて、ビジネス立上げの基本を知り、今を俯瞰して捉えるヒントを提供してくれます。

2年連続起業No.1のiUとは?

情報経営イノベーション専門職大学(通称、iU)をご存知でしょうか。この4年制の大学は、なんと、経済産業省の令和5年度大学発ベンチャー実態調査により、起業数No.1を獲得した大学です。開校してから間もないものの、起業というこれからの時代のひとつのメジャーキャリアルートになりうる分野で、素晴らしい成績を残しています。いったいこの大学で何が教えられているのか、本書を通じてその非常に実践的な教育プログラムの一端を垣間見ることができます。

本書の執筆者のお一人である松村太郎さんは、2005年からテクノロジーとライフスタイル、教育の分野をカバーするフリーランスのジャーナリストとして活動されてきました。2011年からはシリコンバレーから巨大テック企業やスタートアップの栄枯盛衰、そして社会や教育とテクノロジーの関係や変化について、日本語で情報を発信してこられました。

本書は、そうした松村太郎さんの活動の中で、アップルという、いまでは誰もが知るシリコンバレーの老舗中の老舗企業が、なぜ価値を創出し続けられ、そして、多くの巨大企業や新興企業から絶えず注目を浴びて、動向調査をされているのか、その求心力の秘密を探る内容となっています。

また、共同執筆者である、徳本昌大さんは、広告会社でキャリアを積む中で、スタートアップ企業の支援に軸足を拡大しながら、いまなお精力的に日本そして社会を変革するスタートアップ企業を支援し続けられる方です。多くのベンチャー・スタートアップ企業の社外取締役、アドバイザー、マーケティング・経営戦略の立案と実行をご支援される中でえられた実践的な視点から、本書のフレームワークについて、詳細を語ってくださっています。

両名も実は、冒頭のiU大学の先生でいらっしゃいます。iUとは、こうした現場ビジネス、あるいは社会の最前線で価値を創出し続け、観測し続ける、第一人者の方が教授・講師陣として充実している大学で、そうした刺激あふれる学び舎でえられる生の情報と体験は、相当に高いものになります。

iUは、「全員起業」というコンセプトを掲げ、イノベーション人材を育成する大学として2020年に開学しました。1年生200名の大学で4年間を通じて、約40社を教える学生起業家のスタートアップを生み出しています。そうした学生たちが学び、「役に立っている」と答えているのが、「ビジネスフレームワークの授業」でした。

本書は、名物授業と評判の「ビジネスフレームワーク」のエッセンをまとめた充実した内容となっています。

なぜアップルか?

アップルは、革新性とデザインの卓越性を特徴とする企業です。ユーザー体験を重視し、直感的で使いやすい製品を提供しています。iPhone、iPad、Macなどの製品は、高性能なハードウェアとソフトウェアの統合によって、他社と一線を画しています。

さらに、エコシステムの一貫性がユーザーにシームレスな体験を提供し、顧客ロイヤルティを高めています。アップルはクリエイティビティと技術のバランスを保つ企業文化を持ち、常に新しい価値を生み出し続けることができる組織です。

スティーブ・ジョブズはアップルの創業者の一人で、革新的な製品とビジョンを持ち、同社を世界的な企業に成長させました。彼のリーダーシップの下で、iPhoneやiPadなどの画期的な製品が生まれました。

2011年にジョブズが病気によりCEOを退任し、その後、同年に亡くなりました。

彼を失った後、ティム・クックがCEOに就任し、継続的な成長と収益性の向上を実現しました。クックのリーダーシップは、効率的なサプライチェーン管理と市場拡大を重視し、ジョブズの遺産を引き継ぎつつ新たな方向性を打ち出しています。

そして今なお、アップルは世界中のステークホルダーから一挙手一投足に至るまで注目されている企業となっているのです。

アップルは史上最も早く、時価総額1兆ドル、2兆ドル、3兆ドルを達成し、なお成長を続けているのか。

これだけ価値ある企業として認められ、さらに成長を続けている企業はまれです。こうした、企業の内実を、フレームワークを通じて、観測することによって、その戦略、組織、文化に至るまで設計され、絶え間なくアップデートされている企業の真価に迫り、さらにそのことが、21世紀におけるビジネスの舵取りをしていくためのヒントにつながっていきます。

ひとつひとつのビジネスフレームワークについて馴染みのない人も、具体的な内容に触れていけるように、本書は「問い」を重視しています。

例えば、

  • なぜアイフォーンやその機械が現在の姿になっているのか。
  • 発表会のときに、毎回触れている数字にはどんな意味があるのか。
  • なぜアップルの時価総額は、世界で最も価値があるとされる地位に上り詰められたのか。

などです。

これらのひとつひとつの素直な疑問を通じて、フレームワークの内実に触れていくことで、情報の整理と相関性について意味を見出しやすい内容となっています。

ビジネスフレームワークとは?

そもそもビジネスフレームワークとはなんでしょうか?

フレームワークとは「枠組み」や「構造」のこと。

ビジネスフレームワークは、共通して用いることができる考え方や、ある情報や状況を分析するための方法論、問題解決の道筋、戦略立案のテンプレートなど、多種多様なものが存在しています。

ビジネスフレームワークを活用する中で特に重要な理由は主に、4つがあげられます。

1)戦略的な目標の達成
2)組織の方向性の明確化
3)意思決定と効率性の向上
4)組織の柔軟性と適応性の向上

フレームワークの多くでは、考え方を示したうえで、その前提に沿って行動・実行した結果が明らかになります。それが、売上やユーザー数とった数字で現れるだけでなく、ブランド構築のような非財務指標としても見える化してくることでしょう。考え方と行動と結果の因果関係が確認できることで、「効果的な活動であったのか?」「改善が必要なポイントはどこにあるのか?」といった評価を行うことができます。

また、ビジネスフレームワークに沿って行動することで「自分やチームが今何を行っているのか」「どこを目指しているのか」を明確化することで、ひとつの目標を握り続けて行動することがキーです。

さらに、フレームワークを作り込むことで、コミュニケーションのレイヤーを揃えることが可能になります。より効率的に情報を収集し、同じ視点で対話することができるようになります。

最終的には、なにを・どう考えていけばいいのかが明らかになるため、新規事業を立ち上げることも可能になります。明らかになっていることが明確化することで、それによって、思考の自由を得られるためです。条件が所与として得られない状況で、自由はありません。フレームワークには、その所与をまとめていくことが可能になります。

フレームワークについて触れたい!と思うことは、広告の現業でも非常に多くあります。

でも、実際にどのようにそれらのフレームワークを運用して、どのような思考を行って、コンセンサスをとり、行動に結びつけていくのか?については、なかなか語られていないことが往々にしてあります。しかし、本書は、21世紀のビジネスに不可欠なフレームワークを通じて、ビジネスのスジとなる着眼点を提示されているだけではなく、その内容の作り方について詳細レビューをしてくださっているところが魅力です。

また、アップルという私たちにとって身近な存在を通じて、語られているのも馴染み深い内容となっています。おすすめです!!

まとめ

  • 2年連続起業No.1のiUとは?――学生全員起業を目指す4年制の大学です。
  • なぜアップルか?――世界中のだれもが注目する企業の秘密を探ることに意味は大きいものがあります。
  • ビジネスフレームワークとは?――4つのメリットを通じて社会価値をもたらすことができます。
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