- なぜ、同じように努力しているのに、ある人の本は何十万部も売れて、別の人の本はまったく売れないのでしょうか?
- 実は、ベストセラーを生み出す著者とそうでない著者の間には、決定的な違いがあるんです。
- なぜなら、売れない著者は「自分が書きたいこと」を書き、売れる著者は「読者が求めていること」を書くからです。
- 本書は、『人は話し方が9割』で150万部超のベストセラーを生み出した永松茂久さんが、自身の師である斎藤一人さんから学んだ「本づくりの本質」を明かした一冊です。
- 本書を通じて、私たちは「相手の目線に立つ」ことの深い意味と、それがあらゆる仕事に通じる普遍的な原則であることを理解できます。
永松茂久さんは、株式会社人財育成JAPANの代表取締役として、人材育成や組織づくりに携わる経営者です。
2021年に出版した『人は話し方が9割』は、日本年間ランキングで総合1位を獲得し、150万部を突破する大ヒットとなりました。さらに2022年には、ビジネス書部門で史上初の3年連続1位という記録を打ち立て、著書累計発行部数は485万部を超えています。
しかし、永松さんがここまでのベストセラー作家になれたのは、偶然ではありません。師である斎藤一人さんから徹底的に教え込まれた「読者目線」の哲学があったからです。
本書では、永松さんが斎藤一人さんから直接学んだ本づくりの極意、そして自身が実践してきた「売れる本」をつくるための具体的な方法論が、惜しみなく語られています。
永松さんの成功の裏には、読者への深い愛情と、徹底した相手目線の姿勢がありました。
「自分が書きたいこと」から「読者が求めること」へ
初めて本を書こうとする人の多くが、同じ間違いを犯します。
それは「自分が伝えたいこと」を一生懸命に書こうとすることなんです。
永松さんも最初はそうでした。師匠である斎藤一人さんに原稿を見せたとき、一人さんから言われた言葉は衝撃的でした。
「話の主語を『自分』ではなく相手、つまり『あなた』を増やすように意識してごらん」
この一言が、永松さんの本づくりを根本から変えたんです。
私たちは無意識のうちに、自分を主語にして話を進めてしまいます。「私はこう思う」「私はこうした」「私の経験では」と。でも、読者が本当に求めているのは、著者の自慢話ではありません。「自分の悩みを解決するヒント」であり、「自分の未来を明るくする道筋」なんです。
一人さんはさらに続けました。
「しげ、いいかい。本にやさしさを込めるんだよ。読む側の人は、その著者が本当に読者を大切に思って伝えているのか、もしくは著者が自分を良く見せたくて書いてるのかは、すぐに見抜くからね」
この言葉には深い洞察があります。
本というのは不思議なもので、著者の「本心」が透けて見えるんです。どれだけ表面を取り繕っても、「自分を良く見せたい」という欲が文章ににじみ出てしまう。逆に、心から読者の幸せを願って書かれた本は、その温かさが伝わってきます。
永松さんは一人さんから、もう一つ重要なことを学びました。
「売れない著者ってね、自分の書きたいことばかり書くんだよ。『自分はこれを伝えたいんだー』って」
これは飲食店の経営と同じだと一人さんは言います。「お客さんの求めるものから逆算せよ」という原則です。
自分が出したい料理ではなく、お客さんが求めている料理を出す。自分が書きたいことではなく、読者が求めていることを書く。当たり前のようで、多くの人ができていないことなんです。
では、読者は何を求めているのでしょうか?
一人さんは永松さんに問いかけました。
「世の中から求められてることで、あなたが手にしてることってなんだと思う?この数年間、あなたはどんな宝を手に入れた?」
この問いに答えられたとき、永松さんの執筆はスムーズに進み始めました。執筆とは不思議なもので、書けないときは半年かけても1年かけても書けない。しかし、自分の中で書くべきことが腹落ちしている場合、あっという間に原稿が終わる。その時の感覚は、「書く」というより「溢れる」といった感じだと永松さんは言います。
完成した原稿を一人さんに見せたとき、こう言われました。
「結論から言うと、よく書けてる。よくここまで自分の我を抜いて書けたな」
「自分の我を抜く」——これこそが、読者目線に立つということの本質なんです。
自分を主張したい気持ちを抑え、自分を良く見せたい欲を手放し、ただただ読者の幸せだけを考えて書く。簡単なようで、実はとても難しいことです。なぜなら、本を書くという行為自体が、どこか自己表現であり、承認欲求と結びついているからです。
でも、その誘惑を乗り越えたとき、本当に読者の心に届く本が生まれるんです。
永松さんは一人さんから、もう一つ大切なことを教わりました。
それは「出版商人であれ」という考え方です。
「本を出すってね、出版社からしたら投資なんだよな。その著者の原稿を買って、それを元に本をつくる。そして本屋に並んでどれだけ売れるかの商売なんだよ。ということは、著者になる本人に『売れなくていい』なんて気持ちがあったら、出版社に失礼だろう?」
これは単なるビジネスの話ではありません。
一人さんが言いたかったのは、こういうことです。
「どれだけ周りに儲けさせることができるかどうか、ということだよ。お金だけのことを考えれば、私はもうそんなにお金はいらない。あくまで自分の中でのこだわりの話だと思って聞いてほしい」
自分だけが満足する本ではなく、出版社も、書店も、そして何より読者も幸せになれる本をつくる。そういう意識を持つことが、プロの著者としての姿勢だということなんです。
一人さんは永松さんに「本屋に行って、ベストセラーの棚を眺めてごらん」と言いました。
「そう。眺めるんだ。そしてね、ここに並んでいる著者名、たとえば『斎藤一人』っていうこの著者の名前を『永松茂久』に置き換えてイメージし続けるんだよ」
そして、こう続けました。
「思い描いた未来は必ず現実化する。本は死なない」
この言葉通り、永松さんは後に日本一のベストセラー作家になります。でもそれは、ただ夢を見ていたからではありません。読者目線を徹底し、「自分の我」を抜き、読者の幸せだけを考えて書き続けたからなんです。
読者の体験を設計する——「最後まで読めた」という達成感
本を書くとき、多くの著者が見落としていることがあります。
それは、読者が「最後まで読めるかどうか」という視点なんです。
どれだけ素晴らしい内容が書かれていても、読者が途中で挫折してしまったら意味がありません。永松さんと編集担当の上江洲さんが考えたのは、読者に「最後まで読めた」という達成感を味わってもらうための工夫でした。
その答えが、1ページあたり13行、1行が37文字というフォーマットです。
なぜこの数字なのか。それは、読者が負担を感じずに、スムーズに読み進められる最適なバランスだからです。
ページをめくるたびに達成感が得られ、「もう少し読んでみよう」という気持ちになる。この小さな成功体験の積み重ねが、最後まで読破するという大きな達成につながるんです。
これは、単なるデザインの話ではありません。
読者の心理を深く理解し、読者の体験を設計するということなんです。
永松さんは、もう一つ重要な原則を教えてくれます。
「読者にとっての適量を考え、どれだけ引き算できるのかが、売れる本をつくる1つの条件である」
私たちは、つい「あれも書きたい」「これも伝えたい」と欲張ってしまいます。せっかく本を書くのだから、自分の知識や経験をすべて詰め込みたくなる。でも、それは読者にとっての親切ではないんです。
情報過多の時代だからこそ、読者が本当に必要としているのは「適量」なんです。
多すぎる情報は、読者を疲れさせます。読み進めるのが苦痛になり、途中で本を閉じてしまう。だからこそ、著者には「引き算」の勇気が必要なんです。
永松さんはこうも言っています。
「書いた本人が満足する本は売れない」
これは耳の痛い言葉です。
著者としては、自分が納得できる本を書きたい。自分の思いを存分に詰め込んだ本をつくりたい。でも、それは読者のためではなく、自分のための本になってしまうんです。
書いた本人が満足する本と、読者が満足する本は違う。
この事実を受け入れることが、プロの著者になるための第一歩なんです。
では、どうすれば読者が満足する本をつくれるのでしょうか?
それは、徹底的に読者の立場に立って考えることです。
読者はどんな悩みを抱えているのか。どんな解決策を求めているのか。どこでつまずきやすいのか。どこで疲れてしまうのか。
こうした問いに真剣に向き合い、読者の体験を一つひとつ丁寧に設計していく。それが、読者に愛される本をつくる方法なんです。
永松さんの本が多くの人に読まれているのは、こうした細やかな配慮が隅々にまで行き届いているからです。
1ページ13行37文字というフォーマット。
適量を考えた引き算。
最後まで読めたという達成感の設計。
これらすべてが、読者への深い愛情から生まれているんです。
そして、もう一つ大切なことがあります。
それは、読者を信じるということです。
永松さんは、読者を「本を最後まで読めない人」として扱っていません。むしろ、適切なサポートがあれば、誰でも最後まで読み切れると信じているんです。
だから、読みやすいフォーマットを用意する。
だから、適量に情報を整理する。
だから、達成感を味わえる設計をする。
これらは読者を見下しているのではなく、読者の可能性を信じているからこその配慮なんです。
ここに、永松さんの読者への深い尊敬と愛情が表れています。
本を通じて読者の未来を明るくする
永松さんは、本の存在意義について、こう問いかけます。
「何のために本は存在するのか?」
そして、こんな言葉を並べるんです。
「本物」「本質」「本心」「本音」「本気」「本流」「本懐」「本格」「本意」「本筋」「本体」「本腰」「本性」「本職」「本尊」「基本」……
これらの言葉に共通するのは、すべて「本」という文字が使われていることです。
「本」とは、物事の根っこ、核心、大切なものを指す言葉なんです。
つまり、本というのは、人生の本質的なものを伝えるために存在しているということです。
では、本が伝えるべき本質とは何でしょうか?
永松さんは、明確な答えを持っています。
「一冊の本を通して読者の未来を明るくすること」
これこそが、本が存在する理由なんです。
読者の未来を明るくする。
この言葉は、シンプルですが、とても深い意味を持っています。
それは、単に知識や情報を提供するということではありません。読者が本を読んだ後、少しでも前向きになれる。少しでも希望を持てる。少しでも自分の可能性を信じられる。そういう変化を生み出すことなんです。
永松さん自身、一人さんから学んだ最も大切なことがあります。
それは、「誰かの土台になれる本」を書くということです。
一人さんは、こう言いました。
「私は思うの。先生とか社長とか人を導く人って、トップに座ってる人じゃなくて、人の土台になれる人であるべきだって」
ピラミッドの形を思い浮かべてください。
一般的には、トップに立つ人が一番偉いと思われています。でも、一人さんの考えは違うんです。本当に偉い人は、下で支える土台になれる人だと。
本も同じです。
著者が上から目線で教えるのではなく、読者の土台となって支える。読者が自分の力で立ち上がり、前に進んでいくための土台となる。それが、本当に価値のある本なんです。
一人さんは、さらにこう続けます。
「あのね、才能ってね、誰かの役に立つためにあるんだよ。決してあんたを天狗にさせるためじゃない。その力を使って誰かを幸せにするためにあるの。もしそれを勘違いしてお山の大将になるくらいなら、出版や講演なんかやらないほうがいい」
厳しい言葉ですが、これは本質を突いています。
本を書く才能も、ベストセラーを生み出す力も、すべては「誰かの役に立つため」にあるんです。自分を誇示するためでも、自分を偉く見せるためでもない。ただ、読者の人生を少しでも良くするために使うべき力なんです。
永松さんは、この教えを深く心に刻みました。
そして、自分の本を通じて、どれだけ多くの人の未来を明るくできるかを考え続けたんです。
その結果、『人は話し方が9割』は150万部を超え、多くの人の人生に影響を与えました。でも、永松さんにとって大切なのは、部数ではありません。
本書のあとがきで、永松さんはこう語っています。
「本をきっかけに誰かと語り合い、その誰かがまた別の誰かを励ます。その連鎖が広がっていくたびに、本を通した縁が生まれ続ける」
これが、永松さんが描く本の未来なんです。
一冊の本が、一人の読者に届く。
その読者が、本から得た学びを誰かに伝える。
そして、その誰かがまた別の誰かを励ます。
こうして、本を通じた縁が、どんどん広がっていくんです。
永松さん自身、本を通じて多くの出会いがありました。心から尊敬する経営者との出会い、ともにいてくれる仲間たちとのつながり、仕事で出会ったクライアントの方々。これらすべてが、本を通じて生まれた縁なんです。
そして今、永松さんの本を読んだ読者たちが、それぞれの場所で誰かの未来を明るくしている。
これこそが、本が持つ最も美しい力なんです。
永松さんが一人さんから学んだ「本にやさしさを込める」という教えは、こうして多くの人の心に届き、さらに広がっていきます。
単に「ものを売る技術」ではなく、「人の心を動かす力」。
永松さんが本書で伝えたかったのは、まさにこの力なんです。
そして、その力を身につけた人が、業界を超えて輝く時代が始まっています。
読者の目線に立つ。
読者の未来を明るくする。
読者の土台になる。
これらすべては、本づくりだけでなく、あらゆる仕事、あらゆる人間関係に通じる普遍的な原則です。
私たちが何かを生み出すとき、誰かに何かを伝えるとき、この「相手目線」を忘れなければ、必ず心は届きます。
そして、その積み重ねが、やがて大きな縁となって、世界を少しずつ良くしていくんです。
相手に届く文章については、こちら「言葉とはなにか!?『22文字で、ふつうの「ちくわ」をトレンドにしてください』武政秀明」の1冊もぜひご覧ください。

まとめ
- 「自分が書きたいこと」から「読者が求めること」へ――斎藤一人さんから学んだ「主語を『あなた』にする」という教えは、読者目線の本質を示しています。「自分の我を抜く」ことで、本当に読者の心に届く本が生まれます。売れる著者と売れない著者の違いは、自分が書きたいことを書くか、読者が求めることを書くかという視点の違いなんです。
- 読者の体験を設計する——「最後まで読めた」という達成感――1ページ13行37文字というフォーマットや、適量を考えた引き算は、すべて読者への深い配慮から生まれています。「書いた本人が満足する本は売れない」という言葉が示すように、読者の立場に徹底的に立つことが、愛される本をつくる秘訣です。
- 本を通じて読者の未来を明るくする――本の存在意義は「一冊の本を通して読者の未来を明るくすること」にあります。才能は誰かの役に立つためにあり、著者は読者の土台となるべき存在です。本を通じた縁が広がり、その連鎖が世界を少しずつ良くしていきます。
