- なぜ、十分寝ているはずなのに、日中のパフォーマンスが上がらないんだろう?
- 実は、睡眠の「量」を確保しても、「質」が伴わなければ、脳と身体は本来の力を発揮できないんです。
- なぜなら、私たちの身体には、光やホルモン、体内リズムによって睡眠の質が大きく左右される繊細なメカニズムが備わっているからです。
- 本書は、栄養学の専門家であるショーン・スティーブンソンが、最新の睡眠科学に基づいて、日常生活で実践できる具体的な工夫を提示した一冊です。
- 本書を通じて、睡眠を「ただ休むこと」から「脳と身体のパフォーマンスを最大化する戦略的な行為」へと捉え直すことができます。
ショーン・スティーブンソンは、アメリカ国内の健康部門のポッドキャストで第1位の人気を誇る“The Model Health Show”のクリエイターです。
ミズーリ大学卒業後、個人・企業向けの健康アドバイザーとして“Advanced Integrative Health Alliance”社を立ち上げ、メディア出演や講演活動を精力的に行っています。
彼の専門性は、自身の壮絶な体験から生まれました。中距離ランナーとして将来を嘱望されていた15歳のとき、腰の骨を骨折します。その後、20歳で椎間板変性症と診断され、医師からは「治療法も治癒の見込みもない」と宣告されました。
しかし、スティーブンソンは「治す」という決意を持って、食事内容の見直しとエクササイズを開始します。
健康的な減量を実現する過程で、彼が発見したのは「良質の睡眠」が鍵を握るという事実でした。
本書は、その気づきと実践的なメソッドを集約した1冊です。絶望的な診断から自らの身体を取り戻した経験が、本書の説得力の源泉となっています。
睡眠の質を決める生体リズムの科学
睡眠は単なる休息ではなく、脳と身体が再生され、最適化されるプロセスなんです。
本書が最初に強調するのは、「睡眠は量より質」という原則です。
8時間寝たとしても、その質が低ければ意味がありません。
なぜなら、私たちの身体には、光やホルモンの分泌によって睡眠の質が大きく左右される精密なメカニズムが備わっているからです。
光とホルモンの連鎖反応
睡眠の質を決定づける最も重要な要素が、セロトニンとメラトニンという2つのホルモンです。
セロトニンがパフォーマンスを高める
朝、太陽光を浴びると、脳内でセロトニンの生成が始まります。
セロトニンは「幸福ホルモン」とも呼ばれ、気分を安定させ、集中力を高める働きがあります。
実際、職場に窓がある環境で働く人は、窓がない環境の人が浴びる自然光の173パーセント多く、睡眠時間も平均46分長かったという研究結果があります。
さらに興味深いのは、このセロトニンが夜になるとメラトニンに変換されるという点です。
コルチゾールとメラトニンについて、ぜひとも覚えておいてほしいことがある。この2つはセゾー反比例の関係にある。基本的には、一方の分泌量が増えると、メラトニンの分泌量は減る。反対にメラトニンが増えれば、コルチゾールが減るという、絶妙なタイミングで生成されるようになれば、もう一方も自然と正常に生成されるようになるというわけだ。
つまり、朝にしっかりセロトニンを生成しておくことが、夜の良質な睡眠につながるんです。
午後10時から午前2時の投資タイム
睡眠には「ゴールデンタイム」が存在します。
午後10時~午前2時のあいだに眠る
この時間帯は、ホルモンの分泌や疲労の回復が最大限に急まると言われています。
本書ではこの時間帯を「投資タイム」と呼んでいます。
なぜなら、この時間に質の高い睡眠をとることで、翌日のパフォーマンスが劇的に向上するからです。
「午後10時の元気」に惑わされてはいけません。
午後10時でまだ起きていると、代謝エネルギーの増加によって「元気が回復した」ように感じることがあります。
しかし、これは身体が本来休むべきタイミングを逃しているサインなんです。
電子機器が睡眠を妨げる理由
現代人の睡眠を最も脅かしているのが、スマホやパソコンから発せられるブルーライトです。
就寝90分前にはブルーライトを遮断する
ブルーライトはメラトニンの分泌を抑制します。
就寝前にスマホの画面を見続けることは、脳に「まだ昼間だ」と錯覚させることと同じなんです。
本書が推奨するのは、就寝90分前からブルーライトを遮断すること。
難しければ、せめて「スマホの代わりになる楽しいことを見つける」ことから始めるべきです。
電子機器はドーパミン製造機だと本書は指摘します。
スマホを見るたびに、脳は報酬系が刺激され、やめられなくなる。
この依存のサイクルを断ち切ることが、質の高い睡眠への第一歩なんです。
日常生活に組み込む睡眠最適化の工夫
睡眠の質を高めるために、特別な機器や高額なサプリメントは必要ありません。
必要なのは、日常生活の中で実践できるシンプルな習慣の積み重ねです。
本書が提示する工夫は、すべて科学的根拠に基づきながらも、誰でも今日から始められるものばかりなんです。
朝の太陽光が1日を決める
最も重要な習慣が、朝の太陽光を浴びることです。
午前6時から午前8時30分のあいだに太陽光を浴びる
光、それも太陽光には、日中に分泌されるべきホルモンや、体内時計を調整する神経伝達物質の生成を促す力があります。
太陽光が引き金となって、身体にとって最適な量の生成が始まるんです。
この習慣の効果は劇的です。
朝に太陽光を浴びることで、その日の気分、集中力、そして夜の睡眠の質まで決まってしまいます。
休憩時間に外に出る
午前中に外出できない場合でも、休憩時間に少しでも外に出ることが推奨されています。
窓際で過ごすだけでも効果があります。
自然光を浴びる機会を意識的に増やすこと、それだけで睡眠の質は大きく変わるんです。
午前中の運動が睡眠を深くする
運動のタイミングも、睡眠の質に大きく影響します。
午前中に運動するのがベスト
カリフォルニア州立大学の調査によれば、最高の睡眠を得るには午前に運動するのが理想的だということが明らかになりました。
被験者を午前7時、午後1時、午後7時に運動する3つのグループに分けて睡眠パターンを調べたところ、午前7時に運動したグループが最も深い「深いノンレム睡眠」の段階は、最大で75パーセント多かったといいます。
なぜ午前中の運動が効果的なのか。
それは、身体の回復プログラムが発動するからです。
運動では、健康にとって重要なストレスホルモンが大量に分泌され、以前よりも強い身体にするための修復プログラムが発動します。
午前中に適度な負荷を身体にかけることで、夜の睡眠中に身体を回復させる必要があると脳が認識するんです。
ただし、運動による負荷は必要なストレスですが、ストレスは必ずしも悪いものではありません。
しっかりと休養をとって身体を回復させる必要があるんです。
腸は「第2の脳」である
睡眠の質を語る上で見逃せないのが、腸内環境です。
腸は「第2の脳」
本書は腸を「第2の脳」と呼びます。
たちの身体には、細胞から出た老廃物を管理するメカニズムが備わっています。
それはリンパ系と呼ばれ、老廃物を除去し、身体を健康に保つ役割を担っています。
ただし脳はリンパ系に含まれません。
血液脳関門によって、他の部器とは独立して制御されているんです。
脳内に何が通過できて何が通過できないか、脳から送られた細胞の門番に、脳は厳重に守られているというわけです。
老廃物を除去する脳のシステムは睡眠時に活性化します。
つまり、質の高い睡眠をとることで、脳は老廃物を効率的に排出し、翌日のパフォーマンスを最大化できるんです。
そして、この脳の浄化システムが正常に機能するためには、腸内環境を整えることが不可欠です。
腸内の部器とは独立して制御されているものの、脳は腸と密接につながっています。
腸内環境が乱れれば、睡眠の質も低下するんです。
ビタミンDを生成する紫外線B
太陽光のもう1つの重要な役割が、ビタミンDの生成です。
ビタミンDを生成する紫外線Bを浴びる
ビタミンDは、免疫機能、骨の健康、そして睡眠の質にも関わる重要な栄養素です。
現代人の多くがビタミンD不足に陥っているのは、室内で過ごす時間が長すぎるからなんです。
本書は、午前中の太陽光を浴びることで、自然にビタミンDを生成できると説明します。
サプリメントに頼る前に、まず太陽光を浴びる習慣を作ることが先決なんです。
睡眠を起点とした人生の質の向上
睡眠は、単に疲労を回復するだけの行為ではありません。
睡眠の質を高めることは、人生全体の質を向上させる起点になるんです。
本書が最終的に提示するのは、「賢く眠る」ことで、脳と身体のポテンシャルを最大限に引き出すという視点です。
睡眠は脳をキレイにする
私たちが寝ている間、脳では驚くべきことが起きています。
眠りは脳をキレイにする
人間の脳はこれまで、構造は地球上に存在しない、身体が内臓をつくれるのも、衛星や宇宙船をつくれるのも、脳があるから可能になったんです。
テクノロジーの力を引き出してインターネットを生み出せたのも、DNAの力を解き明かして画期的な治療法を編み出せたのも、脳のおかげです。
私たちの脳は、どんな未知の状況に遭遇しても、対外的に考えることができます。
過去を分析することもできるし、未来を予測することもできる。
予測した未来を手にする方法を際限なく生み出すことだってできるんです。
この驚異的な器官が、睡眠中に浄化され、リセットされます。
老廃物を除去する脳のシステムは睡眠時に活性化するため、質の高い睡眠をとらなければ、脳は本来の機能を発揮できないんです。
つまり、「賢く眠る」ことは「賢く生きる」ことに直結しています。
マインドフルネスで心のおしゃべりを鎮める
睡眠の質を妨げる大きな要因の1つが、就寝前の「心のおしゃべり」です。
心のおしゃべりを鎮める
布団に入っても、頭の中で今日の出来事や明日の予定が巡り、なかなか眠れない。
そんな経験は誰にでもあるでしょう。
本書が推奨するのは、マインドフルネスの実践です。
瞑想で何が変わるのか
深呼吸を実践することで、心のおしゃべりを静め、身体をリラックス状態に導くことができます。
マインドフルネスは、特別な技術ではありません。
呼吸に意識を向け、今この瞬間に集中する。
それだけで、心は落ち着き、睡眠への準備が整うんです。
本書では、就寝前の数分間をマインドフルネスに充てることを勧めています。
この小さな習慣が、睡眠の質を劇的に改善する可能性を秘めているんです。
身体を自然に触れさせる
現代人は、自然から切り離された生活を送っています。
身体を自然に触れさせる
本書の最後に強調されるのは、身体を自然に触れさせることの重要性です。
人工光、空調の効いた部屋、電子機器に囲まれた環境。
これらは便利ですが、私たちの生体リズムを乱す要因でもあります。
可能な限り、自然光を浴び、外の空気を吸い、自然のリズムに身を委ねること。
それが、本来の睡眠の質を取り戻す鍵なんです。
人生の質は睡眠が握っている
本書の結論はシンプルです。
人生の質は睡眠が握っていることを自覚する
睡眠の世界を活用しては、成功へと通じる道には決してたどり着けません。
最高の自分になるためには睡眠が必要です。
どんな薬を飲んでも、どんな策を使っても、この事実は絶対に変わりません。
私たちは1日の3分の1前後を睡眠に費やしています。
その時間を睡ることが以外に何もできないのだから、おむなりに寝ればいいと思うかもしれません。
しかし、睡眠はムダではありません。
それどころか、健康で充実した人生を送るために絶対に必要なものなんです。
「賢く眠る」「また古いからあり罷くなくても大丈夫」といった考え方は捨て、睡眠に対する認識を改めるべきです。
十分な睡眠をとらない日々が続ければ、いずれ必ずそのツケを払わされることになります。
睡眠を軽視することは、人生を軽視することと同じなんです。
本書を通じてやってくるのは、睡眠は投資だという視点です。
質の高い睡眠に投資することで、健康、パフォーマンス、そして人生の質すべてが向上します。
今日から始められる小さな工夫の積み重ねが、やがて大きな変化をもたらすんです。
睡眠や健康の必要性・可能性、そして、作り方の本質については、こちらの1冊「ありがとうを言おう!?『10000人を60年間追跡調査してわかった 健康な人の小さな習慣』大平哲也」もぜひご覧ください。

まとめ
- 睡眠の質を決める生体リズムの科学――睡眠は量より質です。朝の太陽光がセロトニンを生成し、それが夜にメラトニンへと変換されます。午後10時から午前2時の「投資タイム」に質の高い睡眠をとることで、翌日のパフォーマンスが最大化されます。就寝90分前にはブルーライトを遮断し、脳に「夜だ」と認識させることが重要なんです。
- 日常生活に組み込む睡眠最適化の工夫――特別な機器は不要です。午前6時から8時30分のあいだに太陽光を浴び、午前中に運動することで深い睡眠が得られます。腸は「第2の脳」であり、腸内環境を整えることが睡眠の質向上につながります。ビタミンDを生成する紫外線Bを浴びることも、自然なリズムを取り戻す鍵となります。
- 睡眠を起点とした人生の質の向上――睡眠中に脳は浄化され、リセットされます。マインドフルネスで心のおしゃべりを鎮め、身体を自然に触れさせることで、本来の生体リズムを取り戻せます。人生の3分の1を占める睡眠を軽視することは、人生を軽視することと同じです。質の高い睡眠への投資が、健康で充実した人生を実現する起点となるんです。
