まず、心で寄り添える親になる!?『子どもの心に「自信のタネ」をまく方法』谷原由美

『子どもの心に「自信のタネ」をまく方法』谷原由美の書影と手描きアイキャッチ

この記事を書いた人:増田 浩一(増田みはらし書店 店主/中小企業診断士)プロフィール

【経営ビジョンの視点で読み解く本書の核心】「潜在意識子育て」は、親の過干渉を手放し、子どもが自ら能力を引き出す環境をつくる方法です。谷原由美が1万人のトラウマを癒やす中で発見した、10歳までの思い込みを味方につける子育て法を提示しています。
 
1.主体性を守る仕組み:「やりたくないよね」と共感するだけで、子どもは本当にやりたいことにエネルギーを注げるようになる
2.癇癪の正体を知る:「困った行動」は心の叫び――対処ではなく日常の関わり方こそが解決の鍵
3.親自身の癒やし:自分を許せないことは子どもにも許せない。親が人生を楽しむ姿勢が最大の教育となる

  • 子どもに「もっと頑張りなさい」と言いたくなる瞬間、ありませんか? 宿題をやらない、ゲームばかりしている、癇癪を起こす――そんな場面で、つい「どうにかしなきゃ」と焦ってしまうものです。
  • 実は、その焦りこそが子どもの主体性を奪い、才能の芽を摘んでいるかもしれません。
  • なぜなら、子どもは「わかってほしい」という方向にエネルギーを使い始めると、本当にやりたいことに力を注げなくなるからです。
  • 本書は、ヒプノセラピストとして1万人以上の幼少期のトラウマを癒やしてきた谷原由美が、潜在意識の法則を応用した「潜在意識子育て」を提案しています。
  • 本書を通じて、親が「教え導く」という常識から解放されたとき、子どもは驚くほど自主的に、自分の最大値を目指して動き出すことを知ります。

谷原由美は、一般社団法人意識研ヒプノセラピー協会の代表理事です。2011年の東日本大震災の年に夫がうつ病になり、専業主婦から一転、家族を養うためにヒプノセラピストとして起業しました。

自らがヒプノセラピーを学ぶ中で夫の症状が劇的に改善した経験から、潜在意識の力に確信を持つようになります。開業後すぐに個人セッションは常に3ヶ月待ちとなり、その後「SORAヒプノシスメソッド」を発表。現在は150名のヒプノセラピストと55名の講師を輩出し、人生を変える支援を続けています。

TikTokアカウント「たにゆー子育てコーチ」は3ヶ月でフォロワー1万人を超え、その実践的な子育て法が多くの親の共感を呼んでいます。自身も三人の子どもを育てる中で、潜在意識の法則を子育てに応用し、長男は東大大学院へ、次男は陸上競技で全国を目指すアスリートに、末っ子娘はオンラインゲームを通じた豊かな交流を楽しむなど、それぞれが個性を発揮して成長しました。

「しなさい」という声かけが奪う主体性

子どもの才能を伸ばそうとするほど、親は「こうしなさい」「ああしなさい」と声をかけてしまいます。習い事をさせる、苦手を克服させる、勉強させる――すべて子どものためだと信じて。

でも、この「しなさい」という声かけこそが、子どもの主体性を根こそぎ奪っているんです。

「しなさい」の声かけで「言われてからやる」と脳の潜在意識が覚えてしまう

脳の潜在意識は、繰り返されるパターンをそのまま記憶します。

「宿題しなさい」と言われ続けた子どもは、「言われてからやるもの」という前提を無意識に刷り込まれていくんです。その結果、大人になっても「指示待ち人間」になってしまう。

谷原が提案する「潜在意識子育て」の核心は、シンプルです。

子どもが「やりたくない」と言ったら、「やりたくないよね、そうだよね」と同感する。めんどくさいと言ったら、「めんどくさいよね、そうだよね」と共感する。先生が理不尽だと言ったら、「理不尽だよね、そうだよね」と理解する。

特別な手助けはしない。でも、気持ちには最大限に寄り添う。

この単純な対応が、子どもの中で何を起こすか。子どもは「わかってもらえた」という安心感を得て、本当にやりたいことに全エネルギーを注げるようになるんです。

好きなことには集中する。集中から才能が芽吹く

子どもの才能が開花するルートは、実は決まっています。

「好き」→「集中」→「得意」→「思考力」

この黄金ルートを自然にたどるために必要なのは、最初に「好きなことをとことんやらせる」環境だけです。ゲームでもいい、折り紙でも、絵でも、虫取りでも。何時間でも夢中にさせてあげる。

子育てにおいて、親ができる最も大切なことのひとつは、「子どもの集中を邪魔しないこと」です。

多くの親は、子どもがゲームに熱中していると「そろそろやめなさい」と声をかけてしまいます。でもその一言が、子どもの集中力を育てる絶好の機会を奪っているんです。

集中できる子は、将来どんな分野でも深く考える力を持つようになります。逆に、集中を邪魔され続けた子は、頑張りどきに頑張れない大人になってしまう。

習い事も同じです。親が「才能を伸ばすため」と思って通わせても、結果を求めすぎたり無理強いしたりすれば、才能は壊れます。

能力を引き出す親ダメにする親
子どもの好きにやらせて自制心を育てる禁止や制限をして、反動で子どもはもっとやりたくなる
集中を邪魔せず、夢中を見守る「そろそろやめなさい」と集中を中断させる
「大丈夫だよ」と信じて待つ「ちゃんとしなさい」と行動を正そうとする

親ができることは、子どもの未来を心からリラックスしておおらかに信じてあげること。子どもの最大値を自然に期待すること。それだけです。

癇癪は「つながりたい」という心の叫び

「うちの子、すぐ癇癪を起こすんです」――多くの親が抱える悩みです。

スーパーで大声を出す、思い通りにならないと暴れる、何度言い聞かせても直らない。親としては「わがまま」「甘え」に見えてしまいます。

でも、潜在意識の視点から見ると、癇癪はまったく違う意味を持っているんです。

癇癪は「ただのわがまま」でも「甘え」でもありません。それは、子どもの心の奥からの叫びです。

親は子どもの気持ちに応えているつもりでいます。でも、子ども側からすると、わかってくれていないと感じている。そのギャップが大きいとき、子どもは癇癪を起こします。

実は、癇癪の奥には「さびしい」「見てほしい」「つながりたい」という声があふれているんです。

大切なのは、「癇癪にどう対処するか」ではなく、癇癪を起こす前の日常の関わり方なんです。

子どもとちゃんと本気で、本音で話していますか?うわべだけで親らしい態度になっていませんか?

癇癪とは、子どもが「もっとつながりたい」と心の奥から叫んでいる状態です。親と心でつながっていないと感じたとき、子どもは不安になり、その不安が癇癪として爆発するんです。

アドバイスよりも共感を

多くの親は、子どもの行動を正そうとします。「そんなことしちゃダメ」「こうしなさい」と。

でも、ただ行動を正そうとしても、ほとんど効果はありません。それよりもはるかに力を持つのが「傾聴」と「共感」です。

親は〝アドバイス〟よりも、〝共感〟を

子どもの才能や使命を生かして、豊かに人生を歩んでほしいと願うなら、「主体性を邪魔しない」という親の姿勢が、何より大切なんです。

主体性を育てるカギは、「感情の言語化」です。子どもが何を感じているのか、その感情をそのまま言葉にして返してあげる。

「悔しかったんだね」「嬉しかったんだね」「寂しかったんだね」

この言葉がけが、子どもの自己理解を深め、自分の感情と向き合う力を育てます。そして、自分で考え、自分で決める主体性が芽生えるんです。

エンプティチェア――子どもの世界に入り込む

谷原が提案する「エンプティチェア」というワークがあります。これは、空の椅子に座って子どもの視点から世界を見る方法です。

子育てで本当に大切なのは「教えること」や「正しい方向に導くこと」よりも、子どもと同じ目線に立って、その子が感じている世界で一緒に感じることではないでしょうか。

親が子どもの立場になって考えてみると、驚くほど見える景色が変わります。子どもがなぜそう感じるのか、なぜそう行動するのかが、心から理解できるようになるんです。

親自身の10歳までの思い込みを癒やす

谷原が1万人以上のセッションを通じて発見した真実があります。

人の悩みの9割は「10歳までの思い込み」が原因だった

みなさんひとりひとりに違いはあるものの、子どもの頃の思い込み、その多くは「10歳までの思い込み」が、今の人生のつまずきにつながっていたんです。

そこで、谷原ははたと気づきます。

そうであれば、10歳くらいまでに子どもにとっての“いい思い込み”をさせるようにすれば、その子の才能が開花し、幸せな人生を送ることができるのではないか。そしてそれは一生ものになるに違いない、と。

でも、ここに大きな問題があります。

親自身が自分の幼少期のトラウマや思い込みを手放せていなければ、子どもにも同じパターンを押し付けてしまうんです。

子どもに対して許せないことがあるとすれば、それは親が自分に許していないことです。

子どものことをそのまま認めてあげたり、「勉強ができなくても大丈夫だよ」と言ってあげたりできるのは、親御さん自身が自分をそのまま認めていたり、勉強ができなくても人生を楽しめる自信がある人です。

つまり、子育ては親自身と向き合うプロセスでもあるんです。

親自身が人生を楽しむ姿勢が最大の教育

谷原は、自分の子どもたちに対して、こんな気持ちで接してきたといいます。

「私よりも、あなたたちのほうが何かを知っているかもしれない」

その結果、子どもたちは驚くほど多くの新しい世界を見せてくれました。

長男が導いた東大大学院という世界。次男の陸上競技で全国を目指すアスリートたちの世界。末っ子娘のオンラインゲームでつながる、デジタルネイティブの交流の世界。

それらは、谷原ひとりでは一生知り得なかった世界です。そこには、人の望みと喜びが、こんなにもあふれているんだということを、子どもたちが教えてくれたんです。

親が人生を楽しんでいれば、子どもも人生を楽しむことができる

親であるあなたがリラックスしてそのままでいてくれることは、子どもにとっても嬉しいことです。あなたがリラックスしていれば、子どももリラックスしていますし、あなたが人生を楽しんでいれば、子どもも人生を楽しむことができるんです。

就学前の子どもにとっては、1日1日の経験がそのまま「人生観」になります。

幸せな1日は、「私は幸せだ」「人生は安全で楽しい」と潜在意識に刻みます。子どもが安心して笑い、わくわくし、充実した1日を終えるとき、その感覚は「この世界は面白い」「自分は愛されている」という根本的な人生のプログラムとして記録されるんです。

子ども、とくに就学前の子どもにとって、その1日が幸せなら、それは「幸せであっていい自分」という人生の前提を育てます。その前提が無意識に一生を幸せに導くんです。

子どもの10年は、大人の30〜50年に匹敵する濃密な体感時間です。だからこそ、今日という1日を、子どもとともに心から楽しむこと。それが何より大切なんです。

まとめ

  • 「しなさい」という声かけが奪う主体性――「やりたくないよね」と共感するだけで、子どもは本当にやりたいことに全エネルギーを注げるようになります。「好き→集中→得意→思考力」という黄金ルートを自然にたどるために必要なのは、好きなことをとことんやらせる環境だけです。親ができるのは、子どもの集中を邪魔せず、未来を心からリラックスして信じてあげることです。
  • 癇癪は「つながりたい」という心の叫び――癇癪は「わがまま」でも「甘え」でもなく、「もっとつながりたい」という心の奥からの叫びです。対処法を考えるのではなく、日常の関わり方こそが本質。アドバイスより共感、教えることより同じ目線で感じることが、子どもの主体性を守り、才能を引き出します。
  • 親自身の10歳までの思い込みを癒やす――人の悩みの9割は10歳までの思い込みが原因です。親が自分を許せないことは、子どもにも許せません。親自身が人生を楽しんでいれば、子どもも人生を楽しむことができる。子育ては、親自身と向き合い、自分の幼少期の思い込みを手放すプロセスでもあるんです。

実践のためのQ&A

本書の内容を踏まえ、読者が直面しやすい「1歩先の疑問」についてまとめました。

子どもがゲームばかりしていて心配です。本当に制限しなくていいんですか?

制限すると、かえって反動で「もっとやりたい」という欲求が強まります。本書が勧めるのは、子どもの好きにやらせて自制心を育てることです。集中を邪魔せず、夢中を見守ることで、子どもは自然に「そろそろ他のこともやろう」と思えるようになります。親が信じて待つ姿勢が、子どもの自制心を育てるんです。

共感ばかりしていたら、子どもがわがままになりませんか?

共感は甘やかしではありません。子どもの気持ちを受け止めることで、「わかってほしい」という方向にエネルギーを使わなくなり、本当にやりたいことに力を注げるようになります。共感されて満たされた子どもは、自分で考え、自分で決める主体性を発揮し始めます。

親自身のトラウマを癒やすには、どうすればいいですか?

まず、自分が10歳までにどんな思い込みを持ったかを振り返ることから始めます。「勉強ができないとダメ」「いい子でいなければ愛されない」など、無意識に刷り込まれた前提に気づくこと。本書で紹介されているエンプティチェアのように、自分の幼少期の視点に立って、当時の自分の気持ちを感じてあげることが癒やしの第一歩です。

この記事を書いた人:増田 浩一(増田みはらし書店 店主/中小企業診断士)プロフィール
ビジョン思考・組織・ブランド・生き方について、良書とともに探究しています。

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