大切なことに対して、資源を集中させていくために!?『イシュー思考』和氣忠

イシュー思考
  • 解決するべき問題に、集中するには、どのような論点が重要でしょうか。
  • 実は、イシューを見極めることです。
  • なぜなら、優先順位の検討こそが、戦略に紐づいていくのです。
  • 本書は、大切なことを見誤らないための教訓を伝える1冊です。
  • 本書を通じて、考えることを考えるについて、ヒントを得ます。
和氣忠
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イシュー思考とは?

本書が提言する「イシュー思考」では、次のような問題点を解決することができます。

  • 解決すべき問題が目の前にあっても、どこからどう手をつけたらいいのかわからない。
  • 頑張っているのに成果が出ない。
  • 無駄な作業を繰り返している気がする。
  • チームのメンバーがバラバラに作業を進めていて、成果をまとめるのが難しい。
  • 議論をしても話が全く噛み合わずに、いつまでも意思決定されない。
  • そもそも何のためにやっているのか、何を目指しているのかが曖昧。

こうした問題点というのは、組織の中において、少なからず内在しているものです。

そして、その解決の糸口がわからないからこそ、放置されているものが多くあるのではないでしょうか。

イシュー思考は、本当にフォーカスするべきことを特定し、その解決のための行動プランを検討することによって、具体的なアクションと振返りの好循環への入口を提供します。

「問題の本質を捉え、その課題を解けば確実に問題を解決することができる」課題のことを「イシュー」と呼びます。

とても簡単な例を上げてみます。

日常生活において、「このままの収入では生活が立ち行かない」という問題を解決するシーンを想像してみてください。

このときいずれかの問題、どれをあなたはチョイスしますか?

A)どうすれば宝くじで1等を上げられるかを考える。
B)どのカードローンでお金を借りるかを検討する。
C)いかにして収入を増やすか、そして、同時に生活コストを下げるか検討する。

答えは明確だと思います。Aの確立は限りなくゼロに近いし、そもそもBは、本質的な問題に触れていません。

この場合、問題の本質は、生活習慣(コストを何にかけているか?無駄な出費はないか?)という点と、生活水準を維持するための収入バランスの検討が欠かせない論点になるはずです。よって、Cが選択されるべきなのです。

イシューの要件というのは、こうして考えてみるととてもシンプルです。

1)解くことができる。
2)解いた結果のインパクトが大きい。

まとめると、イシュー思考は、
・問題解決に向けて本質的な課題を見極める「イシューの特定」
・特定されたイシューを実際に解いていくために分解して体系化する「イシューアナリシス」
この2つのフェーズで構成されています。

イシューアナリシスというのは、イシューを細分化して、アクションプランを検討する構造化のことです。

上述の生活コストの例で言えば、生活水準を下げずにどうしたら収支のバランシングが検討できるか?というイシューに対して、2つの論点、つまり、収入(インカム)と支出(コスト)の2つのツリーで検討するという大まかな構造を見て取ることができます。

大本のイシューに影響度を与えるものを大別しながら、それぞれのアクションプランを検討しやすくするのが、構造化です。

インカムを増やすことを検討するのであれば、現業の交渉(賃上げ・業務量)、複数の収入源の確保、家族メンバーの労働などが検討できますし、コストであれば、変動費(食費、移動費等の検討)と、固定費(家賃、保険料等の検討)というふうにさらに、細分化してものごとを、もれなく合理的に判断することが可能になります。

心動くステートメントを?

これらのイシュー思考を検討していくのにあたって、間違いなく大切になるのが、「仮説思考」です。

「仮説思考」があれば、思考停止に陥ること無く、状況の認識に対して、どのようなアクションをしていくことが重要か?ということを絶えず検討することができるようになります。

仮説を持ちながら、次のステップで、問題に向き合ってみましょう。

1)イシューの特定:ある問題に直面した時、目的を明確化して、その目的を達成するために、どのような切り口から捉えて問題を解決していくか、有効なイシューを特定することです。
2)イシューアナリシス:特定されたイシューを論理的に分解して、よりシンプルな課題(サブイシュー)のセットへ落とし込み、効率的に分析・解釈・判断できるよう体系化して問題を解いていきます。

この分解は、仮説に基づいて、イシューを論理的に検証できるよう展開していく。

仮説をベースにすることは変わりないのですが、重要なのは、何を考えれば、より効果的にかつ、現実的に検討を進めることができるか?という、思考の地図を見える化するということが欠かせないのです。

イシューというのは、文字として表現されます。

イシューとして表現される文字情報は、人のこころをくすぐるものである必要があります。この要件を満たした文言を「イシューステートメント」と呼びます。

「優れたイシューステートメント」とは、イシュー思考にいおける仮説思考を始動させるような、本当か?検証したい!書き換えたい!と気持ちが湧いてくる具体的な表現で書かれた一文です。
「優れたイシューステートメント」は、仮説の書き換えアップデートサイクルを高速化して、イシュー思考の生産性を高めます。

優れたイシューステートメントは、次のようなものになるでしょう。

「どのように生成AIを活用すれば、顧客の利便性を上げつつ、3年以内にコールセンターへの問い合わせを半減させて、オペレーターの報酬を5割アップし、同時に収益性を1割向上させることができるか?」

「市場に出回った不良品事案について、いかにして半年以内に顧客からの信頼を取り戻し、1年以内に当社全体の売上を以前のレベルまで回復するか?」

いずれも疑問形で書かれているところ、そして数値的に明確なバーが設定されているところ、そして、具体性が担保されている、この3点を満たしていることに気づくことができます。

重要なのは、最初からこうした完璧な文言を書く必要はないということです。

間違っても構わないから、具体的なイシューステートメントを最初に書いてしまって、その後にそれを検証するための調査や分析を組み立てていくというステップで臨みましょう。

例えばたたき台としてのイシューステートメントは、以下のようなもので十分です!

「10年後までに、重要施設、居住区域を安全地盤・安全標高の区域に限るよう移設・移住することによって、地震発災後の死傷者を○○○人未満、ライフラインの復旧期間を△△日以内にできるのではないか?」

これを起点にチームで調査・検証をしながら、問題の全体像を特定しながら、何が解決するべきイシューなのかを検討していくステップをともにすることができるようになります。

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スジのよさとは?

イシューの体系図(イシューアナリシス)において、重要なのは、サブイシューの項目の全てについて分析・解釈・判断を完了すると、大元のイシューステートメントを解いて、証明できる論理構造となることです。

そのためには、次の5つでサブイシューをチェックしながら、全体像を見つめていくことが重要になるでしょう。

1)ユニバース(全体観)を明確にする。
2)目的達成にむかってゼロベース思考する。
3)ファクトベース(現地現物主義)を徹底すること。
4)分析手法の適用限界を越えないこと。
5)サンプルバイアスを排除すること。

全体観について、例えば、「生成AIを活用して業務の生産性を3割向上させる」というイシューを取り扱う時、対象とする業務はどこまでにするのか、その線引が重要になります。この境界線をつくるという行為が、全体観にはかかせない論点となります。

また、同時に大局(Big Picture)を見つめることを促してくれるのが、全体観です。ものごとの大局を俯瞰して、大きな構造、方向、動きを把握しなくては、解くべき問題として合理的にチョイスすることは難しいでしょう。

ゼロベース思考というのは、前例に囚われること無く、常識を排除してものごとを見つめるということです。その時、ファクトベース(現地現物主義)がサポートしてくれるでしょう。

4と5については、調査の限界を常に確認しながら、現実を捉える方法論を間違えないということを意識せよということです。

イシューの体系が問題解決のすべてを見渡せる「マップ」となっている点でしょう。

イシューというのは、いくつでも設定されうるということに、ケアが必要です。例えば、よく語られるような人口減少問題について次のイシューを比較してみましょう。

a「いかにして、人口が減少しないレベルまで出生数を上げて、必要な労働力が充足され、高齢者が不安なく十分な介護・サポートを得ながら生活し、次世代にとっては、過度な税負担や高齢者の介護・サポートのために将来の可能性を制約されたり不自由な生活を強いられたりせずに、将来も十分な社会保障制度が維持される社会とするか?」

b「いかにして、人口が減少して、高齢者ヘビーな年齢構成ピラミッドがより進んでも、必要な労働力が充足され、高齢者が不安なく十分な介護・サポートを得ながら生活し、次世代にとっては、過度な税負担や高齢者の介護・サポートのために将来の可能性を制約されたり不自由な生活を強いられたりせずに、将来も十分な社会保障制度が維持される社会とするか?」

スジのよい課題設定というのは、スタートラインで決まるということです。

そもそも、人口が減少していくことは、構造的に解決し得ない問題のように捉えることができます。ですから、a方向で検討していくとすぐに行き詰まってしまうのです。

だから、問題の本質を捉え直し、そもそも人口が減少していくことの中で、「社会の構造をどのように理想的な状態を維持させていくか?」という論点が採用されるべきであると考えられます。

bを採用しながらイシューステートメントのたたき台を書いていくと次のようなものが検討できそうです。

「いかにして、10年後までに、高齢者における平均健康寿命をXX歳以上、平均介護期間をXX年未満、65歳以上高齢者の労働継続割合をXX%以上にして、必要な労働力が充足され、高齢者が不安なく十分な介護・サポートを得ながら生活し、次世代は過度な税負担や高齢者の介護・サポートのために、将来の可能性を制約されたり不自由な生活を強いられたりせずに、将来も十分な社会保障制度が維持される社会とするか?」

イシューステートメントを執筆していくためには、次の論点(行程)をひとつずつチェックしながら、チームで検討を進めることが良いでしょう。

1)何に困っているのかを言語化してみる。
2)どうなりたいのか?どんな姿になりたいのか?を言語化してみる。
3)その姿を目指すそもそもの目的は?を検討してみる。
4)ということは、改めて目指す姿というのはなにか?を再検討してみる。
5)では、どのような切り口で目指す姿を実現するのか?を検討してみる。
6)とすると、イシューは、どのように言語化されるのか、たたき台を作成してみる。

という流れです。

ここで気づくことは、そもそもそうした思考のスパイラルをチームで共有することが、実は、イシューに基づくチームマネジメントという切り口となり、パーパスと日々のオペレーションの整合性を絶えず取り続けることができるようになるということです。

パーパスだけが先行して、実体化がなにもなされていかないというのは、問題ですし、現場だけががむしゃらにがんばって、個別バラバラの成果が量産されてもそれは問題です。

それらを統合しながら、一人ひとりが、全体観を持ちながら、具体的なアクションプランを担っていけるようにするには、上述のような6つの視点を共有し、考えていく共通の機会創出が不可欠なように思えます。

イシューの重要性について、触れるにはこちらの1冊「【レイヤーで思考しよう!?】コンサルが「マネージャー時代」に学ぶコト|高松智史」も大変おすすめです。ぜひご覧ください。

まとめ

  • イシュー思考とは?――全体観と個別具体をつなぎながら、仮説思考を駆動させる枠組みの言語化です。
  • 心動くステートメントを?――人の原動力となるような文字情報としてイシューを書き上げましょう。
  • スジのよさとは?――解決できて、インパクトが大きいことを選定する着眼点にあります。
和氣忠
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