- 子どもに教えるべき最も大切なことは何でしょうか?算数や英語でしょうか、それとも礼儀やマナーでしょうか?
- 実は、 最も重要なのは「自分だけのルールを作る力」かもしれません。前回お話しした『できる人の人生のルール』には、この力を子どもと一緒に育むための深い洞察が詰まっています。
- なぜなら、 親が一方的にルールを押し付けるのではなく、子ども自身が考え、判断し、責任を持てる力を育てることこそが、真の教育だからです。それは子どもが将来、自分軸で生きる大人になるための基盤となります。
- 本書は、 そんな「ルールを共創する親子関係」のあり方を示してくれます。失敗する自由を与え、質問で判断力を引き出し、そして社会への還元まで視野に入れた子育ての智恵が満載です。
- 本書を通じて、 親自身がポジティブな存在となり、子どもの挑戦を応援する関係性を築く方法を学ぶことができます。そして最終的には、親子で人生を楽しみながら成長し続ける道筋が見えてくるでしょう。
前回のレビューでは、この本の核心である「自らの基準を持つ」ということについてお話ししました。多くの人が他人や社会から与えられた価値観で生きている中で、テンプラーは「今より成長できる選択をする」という明確な基準を提示しています。
また、「人生の適切なスピード」という独特な概念も印象的でした。時間の流れに逆らうのではなく、その流れと協調して生きる。これは2000年以上前のストア派哲学にも通じる智恵です。「自分が変えられることに集中する」というエピクテトスの教えと、現代の実践的なアドバイスが見事に融合していました。
そして最終的には、「幸せは自分の中から生まれる」という実感を得ることの大切さ。外部の状況に左右されることなく、内なる充実感を育てていく。これこそが、真に「できる人」の生き方だと感じました。
今回は、こうした人生のルールを子どもとどう共有し、一緒に育んでいくかという視点で読み返してみたいと思います。
前回の投稿については、こちら「スピード感を大切に!?『できる人の人生のルール』リチャード・テンプラー」もぜひご覧ください!!
子どもとルールを共創する
私たちは子どもに何を教えればいいのでしょうか。テンプラーの『できる人の人生のルール』を子育ての視点で読み返すと、答えは意外なところにありました。
それは「ルールを作る力」そのものを教えることです。完成されたルールを押し付けるのではなく、子ども自身がルールを発見し、進化させていく過程を一緒に歩むことです。
「子どもには失敗する自由を与える。人は、失敗しないわけにはいかない。それなら若いうちに済ませてしまったほうがいい」
多くの親は、子どもが失敗しないよう先回りして道を整えてしまいます。でも、それは本当に子どものためになっているのでしょうか。
失敗は、自分だけのルールを作るための貴重な材料なんです。転んで初めて、「次はこうしよう」という自分なりの対策が生まれます。友達と喧嘩して初めて、「相手の気持ちを考える」という自分なりの基準ができます。
テンプラーは続けてこう言います。
「若いうちなら回復力があるので、傷も浅くてすむ」
これは本当にその通りです。大人になってから初めて大きな失敗を経験すると、立ち直るのに時間がかかります。でも、子どものうちに小さな失敗をたくさん経験していれば、失敗から学ぶ力が身につきます。
私の知り合いで、子どもにいっさい「宿題をしなさい」と言わない母親がいます。
最初は驚きましたが、話を聞くと深い考えがありました。
子どもが宿題を忘れて先生に叱られる経験を通じて、「なぜ宿題が大切なのか」を自分で理解してほしいというのです。あるいは、子どもが本当にやりたいこと、必要だと思うことを検討してみる経験というのも、実は機会として重要であるという視点もそのお母さんは持っているのです。
確かに、親に言われて渋々やる宿題と、自分で必要性を感じてやる宿題では、学習効果が全然違います。
後者の方が、自分なりの学習ルールを作ることにつながるんです。
質問で判断力を育む
「正しい方法を教え込むのではなく、正しい判断を促す質問をすることならできる。『それをやったら、どういう結果になると思う?』」
ここにテンプラーの子育て哲学の真髄があります。答えを与えるのではなく、考える機会を与える。
これこそが、自分でルールを作る力を育てる方法なんです。
「なぜそう思うの?」「他にどんな方法があるかな?」「相手はどう感じると思う?」
こうした質問は、子どもの思考を刺激します。親が一方的に「これが正解」と教えるよりも、子ども自身が答えを見つける過程の方がはるかに価値があります。
「この習慣は、相手が友人のときも使うことができる。やる気に水を差さずに、冷静な判断を促すことができるだろう」
この指摘も重要です。質問で導く技術は、子どもが友達関係でも活用できるスキルなんです。「それって本当にいいアイデア?」と頭ごなしに否定するのではなく、「それをやったらどうなると思う?」と質問で相手に考えさせる。
テンプラーが言うように、人にはポジティブな人とネガティブな人がいます。
「ポジティブな人は一緒にいると楽しくなったり、チャレンジしようという気分になる。あなたを応援し、励ましてくれるし、新しい発想で、あなたに刺激を与えてくれる」
親がこのポジティブな存在になることで、子どもは自然と前向きな判断力を身につけていきます。
「なぜダメなのか」ではなく「どうすればうまくいくか」を一緒に考える。この姿勢が、子どもの創造性と判断力を育てるんです。
社会への還元を教える
そして、自分だけのルールを作る力を育てる上で最も重要なのが、「他者との関わり」の視点です。
「人は世界に生かされている」
テンプラーのこの言葉は、子育てにおいても核心的な意味を持ちます。子どもが作るルールが、単なる自己中心的なものではなく、他者や社会との調和を考えたものになるよう導くことが大切なんです。
「この世界は、私がいることでより豊かな場所になるだろうか?この世界は、自分が生まれたから、さらにもいい場所になったろうか?私は誰かの人生に前向きな影響を与えただろうか?」
これらの問いかけを、子どもにも伝えていく必要があります。もちろん、説教として伝えるのではありません。親自身が仕事や日常生活を通じて、他者に深く関わり、社会に貢献している姿を見せることです。
「仕事のできる人」の章でテンプラーが書いているように、「つねにベストを尽くす」「チームの一員として、メンバーに貢献しなければならない」という姿勢を、親が日々の生活で実践していることが重要なんです。
子どもは親の背中を見て育ちます。
親が仕事を通じて他者に深く関わり、社会に価値を提供している姿を見ることで、子どもも「自分のルール」を作る際に、他者への貢献という視点を自然と組み込むようになります。
「今日からは、日々新しいルールを発見してほしい。これまでに紹介したルールについて、あなたの『人生のルール』をさらに進化させていくのだ」
テンプラーのこの呼びかけは、子育てにおいても重要な示唆を与えてくれます。ルールは一度作ったら終わりではありません。子どもの成長とともに、親子で一緒にルールを見直し、進化させていく。
これこそが、真のルール共創なんです。
小学生の時は「友達と仲良くする」というシンプルなルールだったものが、中学生になると「相手の立場を理解して行動する」に進化し、高校生になると「多様性を尊重しながら自分の意見も伝える」になっていく。
こうした進化の過程を、親子で対話しながら歩んでいく。
失敗があっても、それを学びの機会として捉える。質問を通じて子ども自身の気づきを促す。そして常に、社会との関わりを意識した視点を持つ。
「『いい人』となって、人生を楽しもう。ルールの実践者として生きるのは楽ではないが、とても楽しい」
この言葉こそ、親子でルールを共創することの本質を表していると思います。正解を押し付けるのではなく、一緒に答えを探していく。完璧を求めるのではなく、成長を楽しむ。
親もまた、子どもと一緒にルールを学び直す機会を得ることができます。子どもの素朴な疑問や新鮮な視点から、親自身も新しい気づきを得られるでしょう。
そして何より、このプロセス自体が楽しいものになります。子どもが自分なりのルールを発見し、それを誇らしげに話してくれる瞬間。失敗から立ち直り、より良い方法を見つけた時の達成感。他者への貢献を通じて得られる満足感。
これらすべてが、親子の絆を深め、お互いの成長を促進していきます。テンプラーが言うように、ルールの実践者として生きることは確かに楽ではありません。でも、だからこそ楽しく、意味深いものになるんです。
子どもとルールを共創するということは、結局のところ、子どもを一人の人間として尊重し、その人が持つ可能性を信じることなのかもしれません。そして親自身も、その過程で成長し続ける覚悟を持つことです。
まとめ
- 子どもとルールを共創する――子どもが自ら考えて、自らのルールを確立していけるように絶えず応援していくのが親の関わりなのです。
- 質問で判断力を育む――答えを与えるのではなく、考える機会を与えることがなにより欠かせないものです。
- 社会への還元を教える――親としてコミュニケーションを通じて、他者や社会との調和を考えたものになるよう導くことがなにより重要です。
