- どうしたら、正しいPDCAを人生にインストールすることができるでしょうか。
- 実は、実験がキーかも。
- なぜなら、試してみる!という発想と行為が、道を作るからです。
- 本書は、科学者的マインドセットの持ち方で再考を促すことを説く1冊です。
- 本書を通じて、自分の生き方や取り組み方を俯瞰して見つめることができるでしょう。

再考はポジティブサイクル?
全開の投稿「【正しい自信と、実験マインドを!!】THINK AGAIN|アダム・グラント,楠木建」に続き、今回もこちらの1冊『THINK AGAIN 発想を変える、思い込みを手放す』のレビューを続けてみましょう。
前回の投稿では、より良い判断をするために、自分の中にある3つの思考モード(牧師・検察官・政治家)を理解する必要性について説明しました。これらのモードは誰の中にもあり、無意識のうちに自分の考え方を強化してしまいます。
アダム・グラントは「メンタル・フィットネス」という考え方を提唱しています。これは「考え直す、学びほぐす」能力のことで、変化する社会に対応するために重要です。しかし、人は変化を嫌う生き物でもあり、無意識に同じことを繰り返したり、安易な方向へ進んでしまいがちです。
この課題を克服するために、「科学者のように考える」というアプローチが有効です。
科学者は仮説、実験、結果、検証という流れで考えを検討します。
実際の研究でも、科学的思考を取り入れた起業家グループは、そうでないグループと比べて約40倍の収益を上げたという結果が出ています。
具体的には「再考サイクル」を実践することが重要です。
これは、
①知的な謙虚さ
②適切な疑い
③好奇心による実験
④発見と結果の活用
という循環です。
このサイクルを通じて、自分のやり方への過信を避けながらも、自分自身への健全な自信を持つ「最適な自信レベル」を目指すことができます。
実験的思考と行動でものごとにトライアンドエラーをしていくためには、仮説が大切です。
ものごとはすべて白黒がついているわけではありませんね。しっかり確かめてみたり、実際に行動してみたら、もっと複雑で、ニュアンスも大切であることがわかるはずです。
「白黒つける」より「ニュアンスを認める」
そうした非言語やニュアンスの部分も含めて感じることができるかが、実験的なマインドセットを育むためには必要かもしれません。見えないものを見ることで、よりものごとに対して深く洞察し、その結果、好奇心が駆り立てられることが期待されるからです。
トライアンドエラーといえば、サントリーさんの例の言葉を思い浮かべますね。
こちらのリンク(やってみなはれの歴史)からどうぞ。
創業者 鳥井信治郎は未知の分野に挑戦しようとして
周囲から反対を受けるたび、この言葉を発して
決して諦めなかったという。
開拓者たる覚悟と責任を問うこの言葉は、
時代を超えてサントリーグループのDNAとなり、
社員一人ひとりの次の一歩を後押しするドライブとなっている。
サントリーグループは真のグローバルカンパニーへと
飛躍する転換点にいる。
多様な考え方や背景をもつ人々が集い、新しいビジネスを
展開することで、新しい価値が生まれる。
今こそ歴史を振り返り、サントリーの根底に流れる
「やってみなはれ」の本質に目を向けるべきだ。
初代社長の口癖だった「やってみなはれ」を、
歴代の社長はどう継承し、実践したのか。
「やってみなはれ」の源流を探る。
柔軟マインドセットのためには?
重要なのは、固定的にものごとを捉えて、考えるのではなく、流動的に、柔軟に捉えていくことです。
これは、人やものの組み合わせに価値を見出す発想と近いものがあるように思われます。この反対は、人やものを単体として価値を認める思想です。
実際的には、組み合わせで価値が決まります。例えば、とあるプロジェクトAで、スピードが求められる現場で物怖じしてしまい自分の意見を言うことができなかった人も、プロジェクトBにおいて思慮深さから分析視点を多くあげて、業績を残すかもしれません。
価値というのは、組み合わせによって発現されるのです。
実験的思考を持っていれば、自分の将来像に対して多くのレパートリーを持つことができるようになります。
そうすることで、人は広い視野を持ち、再考を重ねることができるようになる。
固定的にものごとを考えずに、柔軟な発想でものごとを見続けることは、自分に対しても効果的であるということですね。
それこそ、再考を続けることができる体質を作るということにつながるでしょう。
ここで1冊ご紹介。こちら「【あなたは硬直型!?それとも、しなやか型!?】マインドセット:「やればできる!」の研究|キャロル・S・ドゥエック」もぜひご覧ください。マインドセットを2つに分けて人を見つめた非常に示唆深い1冊です。

どうしたら柔軟にものごとを捉えて、そして、将来の可能性を広げられるでしょうか。
そのためには、職場でも人生でも、今後1~2年程度で何を学びたいのか、何に貢献したいかを絶えず考えてみることです。
次の可能性を持つために、どのように心をひらいておけるかを検討してみると、ワクワクした気持ちにとりつかれて、さらに、柔軟により多くのものごとと触れ合ってみたくなります。

どうしたら科学者のようになれる?
科学者のように、実験マインドを駆動させながらものごとに向き合ってみるには、何が必要でしょうか。
1)実験を想像しながら考えてみる。
すべては仮説であり、自分の意見は間違っているかもしれないというスタンスで、ものごとに向き合いましょう。
2)信念ではなく、価値観に基づいて自分を定義する。
過去の信念をアイデンティティとして捉えると、現在を見誤る可能性があります。一方で、好奇心、向上心、思考の柔軟性、探究心を大切にして、自分の価値観を通して自分と向き合うことができれば、世界は広がっていきます。
3)自分の意見に反する情報を探す。
確証バイアスに陥らないよう、そして色眼鏡でものごとをなるべく見ないように心がけられるように、さらには、エコーチェンバー(発言がリフレインして自分の意志が誤った方向に強化されること)から抜け出せるようにするため、自分の思い込みに反する意見を積極的に見つめて見るようにするべきです。
思考するように自分を促せるか、あるいは、そういう人間関係を作ることができるかが、キーです。
絶え間なく自分を実験によってアップデートするように心がけられるように、マインドセット自体を見直してみることがポイントです。
そして実は、対話という行為もこうしたマインドセットを創造することにつながっていくかもしれません。
対話は相手との深い意見、心の交換で、互いの考え思想のニュアンスに触れることができます。そして「他者視点探求」をもって、自分を深く掘り下げていくことができるようになります。
実際に、優秀な科学者はこれを行っている。
少ない手がかりかもしれないですが、実は私たちは深層心理でそうしたヒントにすでに考えを巡らせている可能性があります。
そうした、深い部分に触れていくためにも、対話というアクションが互いにとってのよりよい状態を目指すヒントを提供し続けてくれるはずです。
まとめ
- 再考はポジティブサイクル?――やってみるという発想は、よりよいスパイラルへの入口です。
- 柔軟マインドセットのためには?――自分の意志を見つめてみることです。
- どうしたら科学者のようになれる?――対話を駆使して、自分のマインドセットから向き合うことです。
