- なぜ小さな会社の仕組み化は、やりきれないのでしょうか!?
- 実は、本当に大切なのは、人と人の問題であるからです。
- 経営者ご自身も含む、人の問題を放置しても会社の改革は達成しません。
- 本書は、小さな会社の経営を見つめる1冊です。
- 本書を通じて、いかに経営を成長させていくのか、その重要な論点を知ります。

仕組みは重要!?
小さな会社ほど、仕組みを持ちながら、それをもとに成長のための習慣を作ることが重要な組織はありません。
社長一人の力で行える仕事の量は限界があります。一人で強力なコンセプトやとてつもない営業力で起業をして、従業員を採用しても、その後の第2次成長とも言える、組織化・仕組み化へと向かっていかなければ、順調な成長は達成されません。
その時に重要になるのが、以下のような仕組み化の論点です。
- 作業の仕組み=管理、効率化、標準化
- 事業の仕組み=ビジネスモデル、商品・サービスの開発
- 成長の仕組み=ビジョン、経営計画、人事評価
これらの論点はすべて小さな企業にとって非常に重要なものです。
これらの仕組み化は、なにより経営者のために行われるものという意識も大切なのですが、もっと重要なのは、従業員のために整えるという視点です。
社員の行動を仕組み化の中に当てはめてあげる、あるいは、もっというと社員の成長をその仕組み化の中で、目指していくことを習慣化させるということが何より欠かせないのです。
社員のためにあるのです。「何のために働くのか」「どうすれば成長できるのか」を、社員は求めています。
このインサイトに触れることをなくして、いきなり管理のルールやノルマ、アニュアルばかりを導入してしまうと、社員の成長欲求は満たされること無く、虚しく数字を追いかけている状況に捉えられて、最終的には全員がより良い状態を目指すことは難しくなってしまうでしょう。
仕組みを考えることは、実は、無機質な合理化だけを見つめることだけではありません。
感情を横に置くのではなく、一人ひとりの従業員の成長さえもその中で達成され、そのことがモチベーションの好循環を回していくような、そんな人起点、人をモチベートし続けるような視点によって、全体の設計を行っていく必要があるのです。
また、仕組み化は、とても重要なのですが、忙しい日常に忙殺されてそんなことまで手が回らないよ!とおっしゃりたくなる経営者の方も少なくないと思います。
でも実は、仕組み化によって忙しさから解放されて、本当に経営者としてやるべき仕事へ向かえるのだとしたらいかがでしょうか!?
仕組み化ができていないから忙しいということもあり、これを打破するためには、やはり実践が最も有効なのです。
仕組みかとは!?
以下のような項目について、身に覚えがあれば、実は仕組み化の必要性に迫られているかもしれません。
- 使っていない管理シートや計画表がいくつもある
- 1年以上更新していないマニュアルがある
- 給与や昇格は、なるべく社員の事情も汲んで決めたい
- 社員のノルマはキツく詰めてはいけないと思う
- 現場の仕事がやっぱり面白いと思うことがある
- 社員の相談はできるだけ自分で聞いてあげたい
- みんな忙しそうで、やってほしいことを頼みにくい
- 会社の理念やビジョンがみんなに伝わっているかわからない
- 中長期の計画より、今年度の売上でいつも精一杯
- 最後はトップ営業で数字を作らねばならないと思う
どの項目もとても会社のことを考えられておられるし、そして、社員のことを思っているからこその意識や状況に違いありません。
でも、本当に大切なのは、会社が大きくなっていく今、これまでと異なる考え方で、組織に向かっていかなければ、会社も、従業員も、取引先も、そして、経営者ご自身もWINになるような状況からかけ離れる可能性をはらんでしまっているということです。
もしかしたら上記のような項目に当てはまる会社には、以下のような“症状”が出てしまっているかも。
- 毎年度の売上がでこぼこで安定しない
- 売上、利益が何年も頭打ちになっている
- 社員が一人前になると辞めてしまう
- 次の幹部が育たない
- 新規事業、新規サービスが生み出されない
でも、経営者の方は気づいている方が多いはずです。少し立ち止まってみると、もっと別の理想的な状況があり、それについて本当は本腰に考えないといけない・・・でも、仕事が忙しい。
そのジレンマをいかに断ち切ることができるかが、本書の大きなテーマでもあります。
何より重要なのは、少し立ち止まって、「5年後、10年後に、この会社がどのようになっていたいか?」について、真剣に考えてみることです。
社長の「やりたいこと」がはっきりしていないと、小さな会社ではどんな仕組み化も機能しにくく、テタをすると仕組みが組織を壊してしまうからです。
ビジョンと呼ばれるものです。
従業員、そしてその家族、取引先、得意先、地域社会、そして経営者ご自身、みんなとともに、どのような絵(つまり、ビジョン)を見たいのか?その世界観を共有することが、一人ひとりの目的意識に働きかけることにつながります。
仕組み化は、どこまでいっても手段であることに変わりありません。
そして、ビジョンこそが目的なのです。
目的がないまま、手段を駆動させるのではなく、まず、本当に大切な目的、もっというと、会社の存在意義や存在価値について、一度考えて、言葉にする機会を作ってみましょう。
私は仕組みが人を支配するのではなく、人が仕組みを使うものであってほしいと思います。
社長の目指す会社の姿をあらためて言葉にして社員に伝える機会を持ちましょう。
その結果、社員との信頼関係が構築され、一人ひとりが目的意識を感じ、モチベーションが高まるのです。

人を活かそう!?
小さな会社において、有効な仕組み化のステップを確認してみましょう。
1)ビジョンを言語化すること
2)中期経営計画を立てること
3)専門家にアウトソーシングして、評価制度・賃金制度を作ること
これら3つ上手に組み合わせることで、社員の主体性を引き出しながら、チームい一丸となってビジョン達成に動き出すことができるようになります。
ビジョンを達成するために、数か年の活動計画とマイルストーン(数字の目標)を描き出すのが2の中期経営計画です。その計画のもとに、人にどのように成長していただくのか、その達成度に応じて、評価を行い、賃金として還元していくためにはどのようなテーブル(度合い)を用意しておくのが良いのかを、ある意味“法律やルール”のように決定して、社員に提示することが、経営者の仕事であるということです。
成長機会を望む従業員の本音に真正面から答えていきましょう。彼ら、彼女たちの頭の中には、以下のような問いが、日常的に浮かんでいます。
① どういう仕事を求められているのか?
② その仕事をするためにはどういうスキルが必要なのか?
③ その仕事ができるようになると、どういった評価をされ、どれくらいの報酬が得られるのか?
④ ステップアップしていくと、どんな仕事ができるようになり、この先はどのくらいの報酬を得られるようになるのか?
みんな自分の人生に本気です。
また、人生に本気の人ほど、会社とともにパフォーマンスを向上させていくことができるようになるでしょう。
上記のよな4つの気持ちに答えていくためにも、1~3の仕組み化のステップは欠かせない基準をなすのです。
そして、経営者ご自身も変わっていくことが重要です。
多くの会社で、経理をご自身で行って、“精緻などんぶり勘定”を運用している方が少なくないのではないか?と思います。
これは何かというと、これまでの経営(運営)の経験と勘で、月末にいくらくらいキャッシュがあればいいのかを把握できるということです。
現状の仕事の領域で対応し続けていくには、それで十分かもしれませんが、未来に向けた人の成長や事業の成長にトライしていくためには、計画ができなく、過去の結果や状況に対応するにとどまってしまうので、やはり“どんぶり勘定”では限界があります。
精緻などんぶり勘定の大きな弱点は、事業計画が立てられないことです。
ものごとや自社の会社について、“投資”という観点で判断ができなくなります。
やはり、自ら事業を展開してくためには、ビジョンとともに、主体的な計画が不可欠であるということです。
小さな会社ほど、社長の意志や思想について、従業員は敏感に反応します。それを良い状況に向かわせる力として取り入れられるかどうかが、取り組みにおいて、かかっているということでしょう。
仕組み化については、こちらの1冊「【5つのポイントにフォーカスせよ!?】リーダーの仮面 ーー 「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法|安藤広大」もぜひご覧ください。おすすめです。

まとめ
- 仕組みは重要!?――仕組みを作れば、所属メンバーの内在的な力を活用できます。
- 仕組みかとは!?――実は、ビジョンから始まる経営計画と落としこみのことなのです。
- 人を活かそう!?――人の成長意欲に応えられる環境を仕組み化によって整えましょう。
