- どうしたら自分の人生をより豊かな時間にすることができるでしょうか。
- 実は、時間の使い方に注意を払うことが重要なのです。
- なぜなら、1日1日の積み重ねが、人生になっていくから。
- 本書は、本当に意味ある時間を積み重ねていくための秘訣に関する1冊です。
- 本書を通じて、豊かな人生を作り続ける仕組みを考えるきっかけを得ます。
時間は、作れる!?
本書の著者、ジェイク・ナップ氏は、『スプリント――最速仕事術』で知られる元Google Venturesのデザイナー。GmailやGoogle Meetの開発にも携わり、数々のスタートアップやテクノロジー企業とともに、よりよい仕事術のデザインを追究してきた人物です。現在はベンチャーキャピタル「Character」共同創業者として、投資家としても活躍しながら、プロダクト開発の現場に伴走しています。米国ワシントン州オーカス島に拠点を移し、より本質的な暮らしと時間の使い方を実践しています。
そして共著のジョン・ゼラツキー氏は、元YouTubeのプロダクトマネージャー。Google在籍時には、ChromeやAds、YouTubeなど複数のプロダクトに携わり、ユーザー体験を磨き上げる戦略を担当しました。その後は作家・講演家として活動しながら、テクノロジーとの適切な距離感、集中力の高め方、働き方改革に関する知見を発信しています。現在はシカゴを拠点に、地域再生や都市計画の領域にも関心を広げ、生活と時間の再設計に挑戦しています。
二人はともにテック業界の最前線にいながら、日々の忙しさに埋もれていく自分たちの生活に疑問を持ち、「意味ある時間」をどう確保するかを真剣に探究してきました。
その成果が、本書『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』です。
「意志力」や「生産性」を上げても意味がない
「意志力」や「生産性」をいくら高めても、人生の質は本当に上がるのだろうか――
そう問いかけるように、著者の二人は言います。時間管理の世界では定番とされる「意志の力で頑張る」「もっと効率的にこなす」という発想自体に疑問を投げかけているのです。
そして何より興味深いのは、そんな彼らが、Google や YouTube という“人々の時間をいかに消費させるか”という設計のプロフェッショナルとして働いていた経歴を持つという点です。大量の注意を集め、できる限り長く画面に滞在させる仕組みを熟知しているからこそ、その「逆張り」として、今作のような“意味ある時間を取り戻すための習慣”を提案しているのです。
この本は、いわば「テクノロジー業界の内側からの告白」であり、「自分たちが生み出した仕組みにどう抗うか」を自ら実践するための記録でもあるのです。
時間は“デザイン”できる
「生産性向上」も、実は抜本的な解決策にはならない──
そう著者たちは語ります。むしろ、やるべきことを詰め込み、片づけ、次のタスクへと急ぐ生き方は、私たちを「ハムスターの回し車」のようなループに閉じ込めてしまう。スピードを上げるほどに、見失ってしまうものがある。ここで問われているのは、そもそも「何に時間を使いたいのか」という視点です。
著者たちはこう言います。
「大事なことのために時間をつくる、方法なのだ。」
この一文に、本書『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』の本質が詰まっています。
“Make Time(時間をつくる)”とは、
- 一日の中で「ハイライト(=集中すべき一つのこと)」を意図的に決め、
- そのために他のノイズや誘惑(インフィニティプール=無限に続くSNSや動画)を断ち、
- 集中しやすい身体と環境を整える。
この一連の行動を、「時間をデザインする」という観点で捉え直しているのです。
「時間は“デザイン”できる」
「無限の泉のデフォルトを見直し、テクノロジーを利用する時間と方法をデザインし直した。」
これはつまり、「与えられた24時間」の使い方に、私たちはもっと能動的であっていい、という提案です。
ハイライトを作れ!?
「気を散らすものを遠ざける“システム”が必要だ」
これは本書の中でも、最も実践的で示唆に富んだ提案のひとつです。集中力は、気合いや意志の強さでどうにかなるものではありません。むしろ、集中できないように設計された社会システムのなかで、いかに自らの“意図”を守り抜くかが問われているのです。
だからこそ、著者たちは「気を散らすもの」を生活の外に置くための仕組みづくりを提案します。
たとえば、
- 毎朝、「今日の最優先事項(=ハイライト)」を決める
→それだけで「魔法が起きる」と彼らは言います。 - 「デバイス禁止」タイムを設ける
→スマホを見ない時間が、仕事の質を劇的に変える。 - 集中には「エネルギー」が必要
→短い散歩、軽い運動、健康的なランチなどを意識的に挟む。
こうした工夫は、すべて“環境”の設計です。
「実験すればするほど、時間が生まれる」
このように彼らは繰り返し語ります。つまり、完璧な方法は最初から存在せず、試行錯誤のなかで「自分にとっての集中のリズム」を見つけていく。これが「Make Time」の精神です。
私たちは日々、誰かが作った時間消費のシステムに飲み込まれがちです。
けれど、自らの“時間のためのシステム”を設計することができれば、生活は確実に変わります。
その選択ができるかどうか──そこに、「自由な時間」の鍵があるのです。
1日1つの“ハイライト”が、人生を変える
本書の最大のエッセンスとも言えるのが、「1日に1つだけ、最も大切なこと(=ハイライト)を選ぶ」という提案です。
私たちは、毎朝目覚めると、メール、通知、締め切り、予定、急用など、無数の“優先事項”に囲まれています。けれど、それらにすべて応えようとすれば、結局どれも中途半端に終わり、「今日は何をしていたんだろう…」という虚しさだけが残ります。
だからこそ、著者たちはこう提案します。
「今日のハイライトはなににしよう?」
そう問いかけ、自分の時間を“自分のために”デザインする。
もちろん、他の仕事や予定を手放せということではありません。けれど、たとえ30分でもいい。「これが今日の一番大事なこと」と思える活動に集中する時間を持つこと。それだけで、1日は見違えるほどクリアになり、満足感が残るのです。
この方法は、「緊急」に追われてばかりの人生から、「重要」を優先する人生へのスイッチでもあります。
「他人の優先事項に反応して終わる1日を無駄にしない」
「メイクタイムに限る限り、完璧は忘れよう」
このように本書では、完璧さを求めるより、まず“1つの意図”をもって行動を始めることの価値を繰り返し強調しています。実験でいい、失敗しても構わない。大事なのは、「自分にとっての意味ある時間を、今日つくったかどうか」なのです。
ハイライトを選ぶ「3つの基準」
「今日、何をハイライトにするか?」
それは、人生の主導権を握るうえでの小さな実験でもあります。本書では、その判断を助けるために、次の3つの基準を提案しています。
1. 緊急性(Urgency)
たとえば、「今日中に仕上げなければいけない資料」や「今すぐ対応が必要なメール」など、放っておくと大きな代償を生むようなタスク。これが最優先なら、それをハイライトに設定します。
ポイントは、追われるようにやるのではなく、“選び取る”姿勢を持つことです。
2. 満足感(Satisfaction)
終えたあとに「今日はやり切った!」と感じられるようなこと。たとえば、「中断していた企画書を仕上げる」「読みかけの本を読み切る」など、自分の中にある“やりたい”という感情に応えるものです。
忙しい日々の中でも、内なる充足感を生み出すハイライトを選ぶことで、1日に意味と手応えが宿ります。
3. 喜び(Joy)
一見、仕事とは関係のないことでも構いません。「子どもと夕方の散歩に行く」「ギターを10分だけ弾く」「お気に入りのカフェで朝時間を過ごす」──そんな心が喜ぶ時間を、あえてハイライトにするのです。
この発想があることで、「意味のある時間」は“義務”だけではなく、“自分らしさ”にも支えられていきます。
意味ある1日を過ごすために!?
著者たちは、かつてGoogleやYouTubeといった情報プラットフォームの中心で、「いかに人々の注意を長く引きつけるか(=粘着性)」を追究する側にいました。英語で言えば “stickiness”。
ユーザーが「つい」滞在し続けてしまう仕組みをどう設計するか。彼らは、その最前線にいたのです。
しかし本書は、その真逆を提案します。
「朝、スマホでメールやニュースをチェックする“巡回”をやめよう」
朝、まだ何も始まっていない静かな時間。そこに「情報の洪水」を流し込むと、1日が“受け身”でスタートしてしまいます。ニュース、SNS、未読のメール。どれも“緊急”に見えますが、実は自分の人生にとって“重要”とは限らない。
朝日を浴びる。
温かいコーヒーを淹れる。
静かに目を閉じて1日を思い描く。
家族と交わす何気ない会話。
それらこそが、自分の1日を取り戻すための“起点”になるのです。
「朝が、その日1日の使い方の“デフォルト”を決める」
だからこそ、「朝の時間に何を選ぶか」は、単なるルーティンではなく、「人生の設計」に関わるテーマなのだと気づかされます。
私たちは、“古代人”の身体で生きている
スマホを片手に、AIを活用し、画面と常に接続された生活を送る私たち。でも、本書は静かに、しかし強く、こう語ります。
「僕らの心身は、いまだに“古代人”と変わらない」
たしかに私たちは、ホモ・サピエンスとしての身体を持ち、もともと狩猟採集に適した形で進化してきました。にもかかわらず、現代社会ではその前提をすっかり忘れてしまいがちです。
だからこそ、以下のような「当たり前」を取り戻すことが、集中力や幸福感、そして“意味ある時間”を生きる鍵になるのです。
- 動き続けること
- リアルフードを食べること
- カフェインを適切に使うこと
- 騒音を離れ、静かな時間を持つこと
- 親密な時間を過ごすこと
- しっかり眠ること
それらは、決して“効率化”や“成果主義”では測れない価値かもしれません。でも、それこそが私たちの「デフォルト設定」であり、そこからズレるほど、私たちは疲れ、集中力を失い、意味を見失ってしまうのです。
テクノロジーの時代を生き抜くためには、むしろ“古代人としての自分”を正しく理解することが大切なのだと、この章は教えてくれます。
歩くように、続ける
「がっつりやる」よりも、「小さく続ける」
「やりすぎない」ことが、むしろ豊かな時間をつくる。
本書の後半では、そうした“習慣化の思想”が静かに語られます。特に印象的なのが、「運動=義務的な何か」ではなく、「歩く」というもっと本能的で、私たちの身体にあらかじめ組み込まれた行動でいいという視点です。
「人間は歩くように生まれている」
「ウォーキングは、最も自然で最も深いリセットになる」
私たちの社会は、「成果」「速さ」「効率」によって動いています。でも本当に必要なのは、「淡々と続ける」「疲れすぎない」「満ち足りた一歩を重ねる」ことなのかもしれません。
- エスカレーターより階段を選ぶ
- 駅から1駅分だけ歩く
- 夕暮れに少しだけ外を散歩して空を見る
そんな些細な時間にこそ、身体と心のチューニングを取り戻す鍵がある。
そして、こうした“本当の習慣”は、「自分の意思」ではなく、「自分の設計」によって育まれるのです。
歩くように、ハイライトを選ぶ。
歩くように、集中を整える。
歩くように、今日を閉じる。
この感覚が、「とっぱらう」というタイトルの背景にある、優しさと賢さなのではないでしょうか。
歩くについては、ぜひこちらの1冊「人が歩けば、幸せになる!?『歩く マジで人生が変わる習慣』池田光史」もご覧ください!!

“生産性”を高めるのではなく、
“意図ある時間”を生きる。
本書『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』は、そんな人生への設計図を私たちに手渡してくれます。
- 1日にひとつのハイライトを選ぶこと
- 気を散らす“システム”から意図的に距離を取ること
- 完璧を手放し、実験を重ねること
- 情報の粘着性から自分を守ること
- そして、自分が“古代人の身体”を持っていることを思い出すこと
これらの小さな選択の積み重ねが、豊かな時間と人生の質を取り戻す鍵になるのです。
今夜、改めて問いかけてみませんか?
「私は、今日、自分の時間を“選んで”使っただろうか?」
まとめ
- 時間は、作れる!?――自分の意図するように、時間をデザインすることができるという前提で、1日1日を積み重ねていきましょう。
- ハイライトを作れ!?――1日の中で1つのハイライトを設定することが、メリハリある1日を設計するヒントになります。
- 意味ある1日を過ごすために!?――ある意味、古代人のOSに適応したシステムを自ら立ち上げてあげられるかどうかです。自然がキーですね。
