- どうしたら、日常のからまりをほぐして、ラクに生きることができるでしょうか。
- 実は、大切なのは、いまの自分の状況をよく見つめてみることかも。
- なぜなら、ちょっと立ち止まる瞬間によって、自分を知ることができるから。
- 本書は、ワーママとしてコンテンツを作り続ける尾石晴さんによるエッセイです。
- 本書を通じて、自分をメタ認知して、次へと進む力を見出す方法を知ります。
4つのステップ?
からまりと、尾石晴さんが表現するのは、自分の状態が世の中の常識やタスクに巻き取られて、身動きが取りづらくなってしまっていることです。特に心の問題が大きくて、からまった状態だと、シンプルに考えたり、素直にものごとに反応したりができにくくなります。理想的な状態は、何にも絡まらずに、素の自分でものごとに向き合っていける状態です。
部屋の片付けがそうであるように、日常的に自分自身を俯瞰してみて、からまりを見つけて、それを解きほぐしてあげることが大切です。
すべて出す→選ぶ→戻す→維持する
これは、尾石晴さんがマスターした掃除、お片付けに関するステップです。まさに、この4つのステップは、目に見えない「思考」や「感情」の解きほぐしにも有用です。
人生というのは、トレードオフかのようにみえます。片方を採用すれば、もう片方を手放すかのようにみえていて、まるで二者択一のゲームをしているようです。でもよくよく目を凝らしてみると、それらの二者択一は、実は両立できることも結構あって、その中でバランスを取っていくのが人生であるとも言えそうです。
- 妊娠は喜ばしいけど、しんどい。
- 子どもは可愛いけれど、面倒くさい。
- 子どもがいないのは快適だけれど、物足りない。
- 1人っ子はじっくり向き合えていいけれど、気がぬけない。
- 子どもが2人以上はにぎやかでいいけれど、手もお金も足りない。
さまざまな分かれ道があり、そのたびに、トレードオフに悩むことがあると思います。しかし、両立という視点でものごとを見ていくと、さらに新しい判断をすることも可能になります。
両立については、こちらの1冊「【私たちは、二者択一にとらわれている!?】両立思考|ウェンディ・スミス,マリアンヌ・ルイス」もぜひご覧ください。
感受性こそ大事?
自分の情報感度について意識したことはあるでしょうか。尾石晴さんは、ヨガの事業を展開されていますが、ヨガの指導者である成瀬雅春さんという方の本の興味深い内容を引用してくれています。
初級者向けや上級者向けなどといった具合に、レベル別でヨガクラスを分けることはない
どういうことかというと、初級者、上級者というのは、与える側の問題ではないということだそうです。その反対で、受け取る側の感度の問題であり、両者は経験年数が違うので、同じ動きをしていても、気付けることが異なるということです。上級者のほうが、些細なことまで気づくことができ、自らの身体にフィードバックしていくことが可能になります。
受け取る側のレベル差によって得られることは大きく異なる
これは年齢を重ねていくことにリンクするかも知れません。若い頃だったら、気付けなかった自分の状態に、歳を重ねるほど気がつくようになるし、繊細な調整ができるようにもなります。大人になればなるほど、自分にフィットすることは他人のそれとは異なることに気がづくようになり、自分に対して素直に生きていくことが可能になります。
そして、その結果、そういう気づきを得た人から、自分の特性を十分に発揮している個性的な人になれるのかも知れません。自分という先生を育てることが、からまりから抜け出すためのヒントを提供してくれます。
そして、今の私では気づいていない繊細な変化や感覚にも、気づけるようになるだろう。そう思うと、ますます生きやすくなるはずで、これからの未来がちょっと楽しみになる。
いまここに集中する生き方も大切ですが、これからの未来が明るくなっていく感覚を持ち、いまここに向き合っているのと、そうでないのとを比べれば、大きな違いがあるものと思いました。
動的安定性・・?
人生には、大きな問いが伴走しています。生き方、働き方、家族、趣味などなど、人生の多くの時間という貴重なリソースを費やす何か大きな問いについては、なかなか答えが出せないものだし、もっというと生きていくこと自体が、実は問いを生み、答えの連続であるとも捉えることができそうです。
そうしたジレンマを感じながらも生きていると、タイミング、タイミングで、大きな問題は顔を出してきます。
人生の大きな問い(生き方や働き方)が原因でからまっているときは、すぐにからまりの場所が見つからず、ほぐれないことがある。
ほぐしたつもりでも、どこかでまたその問いは浮上します。何度も姿形を変えた問題に直面するうちに、私たちはその問題の正体を見極めていけるようになります。大切なのは、その問いから逃げないことです。絶えず形を変えているけれど、根本的な問いから逃げずに、しっかりと向き合ってみること。そのことで、その問いに向き合っている瞬間こそが、人生を積み重ねるヒントを提供してくれます。
生き方に関わる問題は姿を変えて、何度もあなたの前にやってくる
時間とともに周囲の環境は必ず変わっていきます。同じ状況は続かないという前提で、いまここに集中しながら、自分を絶え間なく変えることができるかどうか、そうした生き方を肯定してみると良いかも知れません。
少しずつ取れる範囲のリスクを取りながら、できることをやり続けることしか、人生の問いに向き合っていく方法はありません。
コマは回り続けるから倒れない。動的安定性。
いま行っていること、いま迎い入れた変化は、次の10年であなたを大きく導くことになります。
「私たちは深い準備をすることなく、人生の午後に踏み出すのです」(C・G・ユング『パーソナリティの発達』)
人生を先に進めていくのは、こうした俯瞰的な視点からちょっと立ち止まって見渡してみる行為の連続なのかも知れません。
まとめ
- 4つのステップ?――すべて出す→選ぶ→戻す→維持する、というステップを意識しましょう。
- 感受性こそ大事?――問いや、ものごとに向き合う側の感受性次第です。
- 動的安定性・・?――変化し続けていることでかえって安定する、パラドクスであり、真理です。