【本当のインサイトの話とは?】インサイト中心の成長戦略|中村陽二

インサイト中心の成長戦略
  • インサイトとはなにか、を考えたことがあるでしょうか!?
  • 実は、インサイトとは、深層心理という理解以外にもあるかもしれません。
  • なぜなら、本書は「背景知識に基づいた現象解釈による戦略」と表現するのです。
  • 本書は、ものごとをいかに見立てるかに特化した戦略書であると考えます。
  • 本書を通じて、インサイトを起点にいかに事業を作り上げるかを検討することができます。
中村陽二
¥2,376 (2024/12/05 10:08時点 | Amazon調べ)

インサイトとは?

前提として、企業が新しい取り組みをしたり、あるいは既存の事業をさらに発展したりするときには、必ず強みや自社の能力に強烈に制約されます。その制約条件をいかに自覚的になるかで、戦略構築の精度が変わってきます。

もし、能力が不足するのであれば、新たな能力獲得を得るために投資をする必要が出てきます。

また、自社の戦略的な一歩を決めるためには、「実務的に意義のある対象事業領域の設定」における初期的なインサイト発見を行っていくことがキーになります。

そのインサイトというのは通常業務の中で発見できることがあります。

なぜなら本書におけるインサイトとは、「背景知識に基づいた現象解釈による戦略」であるからです。

背景知識がキーです。

すでに何かを取り組んでいる中で、得られた視点や視野によってものごとを観察することで、独自の見立てをすることができます。それをインサイトと呼びます。

事業領域の拡大を続けるには日常的なインサイト探索に務めるべきだ。

つまり、企業の取り組みにはインサイトの活用が非常に強い制約条件として機能していくということも示唆されます。その制約条件に対して意識的になれるかどうかが、企業の戦略を構築していくうえで、欠かせないキーファクターであるのです。

また、競争力と一口に言ってもその含有要素は当然多岐にわたります。

企画、製造・サービス提供、営業、マーケティング、マネジメントなどなど、これらについて他者に対して優位性があると言える必要があり、さらには、それらを自覚的に組み合わせていくことで、さらなる柔軟な強さを発現していくことも大切な視点です。

点の技術や資産では、新しい一歩を作ることが難しいです。それらを統合し線や面として解釈することが、企業戦略の要諦となります。

点をつくり出し、線や面にしていくこと、それらをまったく新しい分野・領域で行うためには、非常な努力と不確実性が伴ってしまいます。

だからこそ、企業は日常的な業務領域の中でいかに、インサイトを見つけることができるかにまず注力することが理想であるのです。

これを実現するには常に新規顧客層の開拓・新商材の投入・新規事業への挑戦を習慣として続けるべきだ。

マインドセットをきわめて、インサイトを見つける努力を組織全体で続けていきましょう。

インサイトは2つある?

インサイトが見つかる現場は、常に他者との接点の中です。

2つの視点があることを知りましょう。

ひとつは顧客中心の世界観の中です。そしてもう一つは、先行者中心の世界観の中です。顧客中心のインサイトを、顧客インサイトと呼び、先行者中心のインサイトを、先行者インサイトと呼びます。

それぞれの特徴は、以下のとおりです。

①顧客インサイト:提供するサービス自体が他社と大きく異なる

  • 強い需要:顧客が深刻に欲しがっている・欲しがるであろうものがある。
  • サービスの需給ギャップ:しかし、既存の商品・サービスはそれを提供していない。
  • 自社の優位性:自社ならばその商品・サービスを、競合に対して持続的な優位性を発揮しながら提供することができるだろう。

②先行者インサイト:提供するサービス自体は他社と類似だが保有する能力が大きく異なる

  • 強い需要:売上成長や利益率が目覚ましい事業が存在する(この企業は強い需要を捉えていると言える)。
  • 能力の需給ギャップ:その事業にとって重要な能力を持っている企業が少ない。
  • 自社の優位性:自社はその特定の能力を保有しており、類似の商品・サービスを提供することで十分追撃可能である。

実際に顧客と対話していくこと、あるいは、先行者と対話をしていくこと、その中で、自社の固有のものごとの味方を貫くことで、インサイトを発見することが可能になります。

ちなみに、対話の可能性について、こちらの1冊「【システム思考×対話がポイント!?】ダイアローグ 価値を生み出す組織に変わる対話の技術|熊平美香」もぜひあわせてご覧ください。

頻繁な対話抜きにインサイトを発見することは極めて難しい。インサイトは客観的に説明困難であり、背景知識・経験を共有する人らとしか共有できない。

上述の引用の点についても重要な洞察が含まれています。インサイトは、背景情報を共有している人にしか、本質的に伝えることが難しいものです。

時に言語化が難しいし、その場を体験した人にしか伝わらない領域については、いくら言語化にこだわったとしても、それはこんなんです。

究極的に同じマインドセットと、同じ視野・視点を共有できている人を、チームの中で育てていくことが、インサイト発見やそれをもとにした、事業創造には欠かせないのです。

中村陽二
¥2,376 (2024/12/05 10:08時点 | Amazon調べ)

明示×現象の言い当て?

多くの背景知識を持った状態で、「あの商品が触れている」「顧客はあの商品に対して大きな不満を持っている」という現象を観察すると、「このようにすればうまくいくのではないか?」という視点を得ることができます。

逆に言えば背景知識がない状態で現象を見てもインサイトを得ることはできない。

深いインサイトを得ることができれば、「明示的には語られていないが、発生する現象を正しく言い当てている」ということになるのです。

反対に、インサイトが浅いということは、「明示的に語られており、発生する現象を正しく言い当てている」ということになるのです。

社会には、定型的に言語化されている、認識されている情報だけが流通しているわけではありません。

次回も引き続き、インサイトの発見の視点を強化するために本書のレビューを続けてみたいと思います。

ちなみに、いわゆる生活者インサイトについては、こちらの1冊「【まだ言葉になっていないこと?】インサイトブースト:~経営戦略の効果を底上げするブランドデザインの基本~|下總良則」もぜひご覧ください。

まとめ

  • インサイトとは?――「背景知識に基づいた現象解釈による戦略」です。
  • インサイトは2つある?――顧客インサイトと、先行者インサイトです。
  • 明示×現象の言い当て?――このマトリクスで、インサイトの質を判断しましょう。
中村陽二
¥2,376 (2024/12/05 10:08時点 | Amazon調べ)
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!