- これからの時代の生き方を見つめると、何が理想形として見出されるでしょうか。
- 実は、変化に前向きであるという法則かも。
- なぜなら、主体的な変化こそが、自分軸を大切にすることにつながるからです。
- 本書は、プロティアンという概念について触れて人生をより良くするためのヒントを提供します。
- 本書を通じて、自らの生き方やスタンスを俯瞰するきっかけを得ることができるでしょう。

資産を蓄え、投資せよ!?
前回の投稿「変化せよ!?『プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』田中研之輔」に続き、今回もこちらの1冊『プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』のレビューを続けてみましょう。
前回は、田中研之輔さんの提唱する「プロティアン・キャリア」について、その語源や背景、そして私たちのキャリア観を根底から問い直す視点を紹介しました。
キャリアとは与えられるものではなく、自らが創り上げていくもの。
そのように考えることが、これからの人生100年時代においては、重要なスタンスとなります。変化を恐れず、むしろ変化を味方につける「プロティアン」な姿勢こそが、自律的なキャリア形成の鍵となるのです。
また、キャリアの価値を“結果”ではなく“過程”として捉え直すこと、そして「仕事=苦役」という前提から自由になり、「遊び」としての仕事を取り戻すことも重要な視点でした。
そこには、仕事と生活の境界を溶かし、自分の関心や好奇心を軸に働き方を再構築していく、創造的な生き方の可能性が広がっています。
さらに、キャリア資本を「生産性資産」「活力資産」「変身資産」の3つに分け、それぞれにどう時間とエネルギーを投資していくかが、プロティアンな生き方の土台になることを確認しました。
今回はこの続きとして、さらに実践的な視点から「どのように資産を積み上げ、日常の行動と結びつけていくか」を考えていきましょう。
資産の積み上げについて、まず確認が必要なのが、どのような視点で資産を積み上げていくかです。そして、さらにそれを資本として取り扱って、さらにプロティアンな生き方を推進していくための投資をしていくことも大事です。
プロティアン・キャリアに必要な3つの資本を確認します。
1)ビジネス資本・・これは、スキル、語学、プログラミング、資格、学歴、職歴などを指します。
2)社会関係資本・・職場、友人、地域などの持続的なネットワークによる資本です。
3)経済資本・・金銭、資産、財産、株式、不動産などの経済的な資本です。
これらの3つについて、今自分に何が備わっているのか、そして、投資するべきとしたら、まずどこを充実化させるべきかを考えてみるのも、プロティアン的生き方を目指していくうえで大切にしたい視点です。
まずはあなたが自分自身に次のように問いかけてみましょう。
3年後までに、どんな資本を増やしていくのか。
5年後までに、増やすべきビジネス資本は何か。
10年後までに、どんな社会関係資本を蓄積しておきたいか。
大切なのは、それぞれの資本の構成です。
そこには、必ずしもお金(金融資本)があったところで、それだけでは、人生が豊かにならないという事実があります。
たしかに自分らしい人生を過ごすためには、自由を一定程度得るための金融資本は欠かせないものになります。しかし、本当の意味であなたの人生を豊かにしてくれるものは、「ビジネス資本」と「社会関係資本」の2つなのです。
変化のメリットを享受しよう!?
変わり続けていくことが、人生を豊かにしていくというのが、プロティアン・キャリアであることは確認してきたとおりです。
プロティアン的な生き方は、柔軟性と自立性をその人にもたらします。そして、そのことがさらに3つのメリットをもたらします。
1)これまでのような決まり決まったキャリアコースが変化し続ける中で、自らの道を作り続ける行動力です。
2)キャリア空間を拡大して、さまざまな場所でキャリア形成をすることができる機会を自らに提供します。
3)空間の柔軟性を担保しながら、さらに変化に富んだ生き方を思考していくことができます。
この3つのメリットを享受することがなぜ重要なのかと言うと、人は、環境の影響をかなり大きく受ける生き物であるということがあります。
つまり、所属する組織の影響を存分に受けるがあまり、「組織だけのために働くこと」に自分のパーパスがすり替わっていることが、結構あるものなのです。
そうした状況は、気づきにくいものです。
「忙しい毎日」で、忙殺されて、“自分”について考える暇もない状況に追い込まれてしまう可能性があるのです。なぜなら、そこには組織のロジックだけが動いていて、主導権のほとんどを組織に渡してしまっている状態なので、自分のための時間が取ることができない状態だからです。
「自分の人生を主体的に生きるために働くこと」がいつの間にか、「組織のために働くこと」に置き換わっているかもしれません。
どのような習慣を作るかどうかが、キーです。
プロティアンという自らを主体的に変化し続けるというスタンスを持つことによって、組織だけのロジックで生きるのではなく、自分を忘れずに、自分の軸を持って生きることを思考することができます。
それは守りではなく、常に攻め!!
変化という攻めを自らの力にどのように変換し続けることができるのか?をプロティアンという思想を通じて検討し続けることができます。

変化こそ人生である!?
ともすると忘れてしまいがちな、自分という存在に気づくことができます。
そもそも私とはどんな存在で、どのように社会と関わることが理想なのか?ということ、改めて考えてみるきっかけを本書は提供してくれると思います。
本書でみなさんと一緒に考えてみたかったのが、「生涯を謳歌する生き方の作法」でした。これからの時代を生き抜くための構えを定めたいとも思っていました。
義務教育→受験→終活→サラリーパーソンというキャリアをまだまだ多くの日本人が経由する中で失ってしまっている考え方やマインドセットは多くあるのではないかと思います。
それは、自分という存在に軸足を持って、自ら考え、行動する勇気とも言えるかもしれません。
会社や組織だけのロジックで生きるのではなく、自らの思想やインスピレーションを大切にするということ、そのためには、絶えず変化を受け入れていく覚悟と、行動が欠かせません。
なによりそうやって1歩具体的な行動に進めていくことで、きっと、変化を肌で感じながら、自分の可能性に気づくことで、きっと変幻自在なキャリアを獲得できるでしょうし、おそらく、そういう瞬間に人はきっと輝くのだと思います。
なぜなら、絶えずゾーンを受け入れることになりますし、そのゾーンは、自分が理想として設定して引き受けられるもの、責任を持てるものの範疇に常にあるはずだからです。
私はどのように生きて、どのように人生の終焉を迎えたいのか。
“いまここ”が、考え時、ベストタイミングなのだと思います。
本書『プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術』は、単なるキャリアのハウツー本ではありません。
それは、変化の時代を生きる私たちにとって、どのように働き、どのように生きるのかという「人生の再設計図」を手渡してくれる一冊です。
キャリアとは他人が決めるものではなく、自らが引き受けるべきもの。
そしてその軌跡は、結果ではなく「過程」として育まれる。
この視座に立つことで、私たちはようやく、自己と社会の関係性を新しく定義しなおすことができるのです。
変化を恐れるのではなく、変化を起点にして遊ぶように働き、学び続ける。
その姿勢が、キャリアの持続性と創造性の両方を育て、ひいては自らの人生をも豊かにしてくれるでしょう。
「自分という存在を軸に、自分で考え、自分で決めて生きる」——。
この本が、そうしたプロティアンな人生のはじまりを後押しする羅針盤になってくれることを願ってやみません。
そして、あなたにとっての「生涯を謳歌する生き方の作法」が、ここから始まっていくことを、心から応援しています。
まとめ
- 資産を蓄え、投資せよ!?――変化の中で充実できる資産を投資に回して人生を豊かにしましょう。
- 変化のメリットを享受しよう!?――組織・空間に縛られずに、自分主体で考えることができます。
- 変化こそ人生である!?――変化がない前提こそ、幻想ではないでしょうか。
