【疑えば、思考が深まる?】哲学はこう使う 問題解決に効く哲学思考「超」入門|堀越耀介

哲学はこう使う 問題解決に効く哲学思考「超」入門
  • 自分を大切に生きるためには、どんなアプローチが大切でしょうか。
  • 実は、哲学的に、自分のあたまでそもそもを考えてみることかも。
  • なぜなら、どんなことでもまず批判的に疑ってみることができるようになります。
  • 本書は、哲学的思考の実践に関する1冊です。
  • 本書を通じて、創造的に疑う視点を日常生活にインストールするヒントを得ます。

自分を大切にできる?

昨日の投稿「【哲学は自分を開くこと?】哲学はこう使う 問題解決に効く哲学思考「超」入門|堀越耀介」に続き、本日のこちらの1冊『哲学はこう使う 問題解決に効く哲学思考「超」入門』のご紹介を続けてみたいと思います。

哲学的な思考とは、そもそもや当たり前や常識を疑うことで、自分の頭で考えていく行為です。哲学的な思考を行っていくことでいくつかのメリットを得ることができます。

1.自分の本心に気づくことができる。
2.自分の行動指針や信念を発見できる。
3.自分の言葉で自分の考えを表現できる。
4.他者との対話が深まり、人間関係が改善される。

哲学的な考えたにたち、そもそもをよく考えていくと、世の中で語られている「~~すべき」という内容に、まった!をかけることがでるかもしれません。よくよく考えてみれば、大した根拠もない、誰かの勝手な意見であることに気づきます。私たちは、こうした無数の「規範」や「言葉」を無意識に取り込んで、自分の行動規範を作ってしまっていることもあるのです。(そうでなければ、いちいち立ち止まって考えないといけないので、大変なのですが・・)

それでも哲学的な思考をすることによって、自分の頭で考えて、答えを求める態度から、自分の考えや本当の気持ちに気づくことができます。仕事って、なんだっけ?自分がめざしたいことって、そもそもなんだっけ?などなど、自分のそもそもにも思考の範囲を広げることも可能です。

哲学的な思考とは「他者の言葉」を借りずに、可能な限り自分の言葉で説明し、考えていくということです。自分との対話を深めていくことによって、自分の奥底から湧き上がってくる、信念や感情を言葉にできるようになります。

そして、その言葉を見出し続けるという態度を拠り所にしながら、難しいと感じる問いについても考え続けたり、他者の智慧を借りたりする心構えを養い続けることも可能です。

哲学的なことを考えていくと、「わからないこと」が増えていきます。正義とか、信頼とか、信念とか、人生とか、仕事とか、そういうのって、なんだっけ?と考えていくと、実際には、自分なりの定義って、案外、他者のそれとずれていたりします。

それらのついて探求の姿勢を持つことによって、人の意見を聞いてみたくなります。人はどう考えているのか?それはなぜか?そうした意見を常に聞くことが、自分の問いを考える態度に新しい刺激になります。

だから哲学するということは、自らを開くことにもつながるのです。

もっと知りたいと思うようになる――このプロセスの中で、私たちは他者や自分、世界に対して、本当の意味で関心をもち、深めることができるわけです。

わからないが増える?

哲学がもたらしてくれるのは、「わかり」の経験であるということだといいます。

「何かがわかっている」というとき、同時に「何をどこまでわかっていて、どこまではわからないのか」も理解しているということになります。

知れば知るほど、むしろ「わからない」が増えていくのです。

哲学は、こうした「わからないことは何か」を考えることによって、さらに深く「わからない世界」へと自らを導いていく態度でもあります。

哲学は、言葉を使います。言葉を通じて、世界を深く知るために、考えるのです。

言葉は問いとなって、自分に常に考えることを促します。

ところで、哲学的な問いとは何でしょうか?以下の2つのコップに対するアプローチを比べてみましょう。

  • コップは、いつ誰が発明したのか――どのくらいの時期から使われているのか?
  • どれくらいの種類のコップが、世界には存在するか。
  • コップを持たない文明はあるか。あるとすると、どのように水を飲むのか。
  • (この)コップは何でできているか。高さや重さはどれくらいか。
  • どの材料でできているコップが一番流通している・使われているか。
  • コップは、なぜ「コップ」という名前なのか。
  • コップの各部分に、それぞれ名称はあるのか。
  • 世界で一番高い、または安いコップはいくらか。
  • (考えにくいが)コップが嫌いな人・好きな人はいるか。いるとすればなぜか。
  • コップが特別な意味をもつときがあるのはなぜか――たとえば、「優勝杯」など。
  • コップから音を出してすすって飲むのは失礼にあたるのか。そうだとすればなぜか。
  • このコップを今ここで落としたら割れると本当にいえるか。
  • 「割れたコップ」には価値がないといえるか。
  • 「割れたコップ」は、コップか。
  • コップを「大切にする」とはどういうことか。使うべきか、飾るべきか、しまっておくべきなのか。何が「コップを大切にする」ことになるのか。
  • 今ここにあるコップは、本当に存在しているといえるか。
  • (今は見えていない)コップの「底」は、いま確かに存在しているといえるか。
  • (この白い)コップは、暗闇でも「白い」といえるか。
  • コップに「本質」は存在するか。「飲む」という用途に使用することが、コップの本質だといえるか。コップがコップであるための条件は何か。

上のグループは、インターネットや本で調べることで答えのわかる問いです。一方で、下のグループは、必ずしもそうでない問いです。哲学的な問いとは、下のグループのような問いに対して、答えを求めていく行為です。

常識に捉われず、どんなことでもまず「批判的に疑ってみる」というエクササイズをしてみることで、哲学的思考に必要な感性がはぐくまれます。

自分を自分で変えていく?

より良い問いを見出すためのコツは、次のようなポイントで説明ができます。

1.根源や意味にさかのぼる
2.善悪や価値、べき/べきでないを問う
3.自分の経験から考える/前提や定義をはっきりさせる

哲学的思考で捉えるのは、具体的方法の前段階にある、私たちの「価値観」や「目的そのもの」であり、その前提や意味を吟味し、改変することにあります。

「そもそも」を問うということは、「わかりやすい他人の仮説や成功体験」に安易にのらないことを目指します。そのことで、自分の頭で考える必要が生まれますが、それは、自分なりにものごとをとらえ、そして答えを見出す機会を得ることになります。そのことによって、自分にとっての有効な解決策を見出すことができるのです。

価値観や目的に立ちかえっているからこそ、うまくいかなければ、いくつかの手段からよりよいものを選択すればいいのです。そうすれば、結果にあわせてブレずに方向転換をし続けることができます。

思考を深めるときには、「まずは、具体的な経験や状況、例を思い浮かべてみる」ことが大切です。自分の経験から考えられることを優先しましょう。一般論や常識を使わずに身体を使って考えてみるのです。自分の経験を拠り所にすることで、いつでもその感覚に戻って答えの方向性や焦点がずれていないか?を点検しながら、考えを深めていったり、他者の意見に耳を傾けることができるようになります。

まずは、「自分」の内側や中心から世界を見つめてみましょう。

自分自身の感覚を通じた意見により、自分の考えを持ちましょう。この行為はとても「孤独」かもしれません。でもその孤独の時間が自分の「軸」を創り出すことにあります。そして、その軸があれば、他者を尊重することができます。自分と同じように他者にも軸があることを知り、その軸からの視野・視点を知ればいいのです。

「尊重」という感覚は本来個々人が自分の頭で考える存在であるという、一人ひとりの自律性があってはじめて成り立ちます。

問いや対話を深めていくときには、次のようなティップスを活用してもいいでしょう。

1)定義・意味を問う
2)区別し、関連付ける
3)慎重に一般化する
4)隠れた前提や理由、判断基準を疑う
5)思考実験を行う
6)例・反例・類比を使う

これを機に、哲学的な思考のために、ちょっと立ち止まって、当たり前や常識と言われることについて、あるいは、仕事に関連してそもそもの意味を問い立ててみることをトライしてみましょう。

哲学的な問いや対話は、自分を変容させていく力をもたらしてくれます。

まとめ

  • 自分を大切にできる?――哲学的思考で、自分の言葉に触れ、自分の本心に気づくヒントを得ます。
  • わからないが増える?――膨大なわからない領域に触れ、さらに問いを持つことができます。
  • 自分を自分で変えていく?――問い続けていくことが、自分の考えを変え続けます。
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