【言葉の土壌に、芽吹くもの!?】言葉でアイデアをつくる。 問題解決スキルがアップする思考と技術|仁藤安久

言葉でアイデアをつくる。 問題解決スキルがアップする思考と技術
  • どうしたら、よりよいアイディエーションを続け、過ごし方や社会をより良くできるでしょうか。
  • 実は、言葉を大切に運用することかも知れません。
  • なぜなら、言葉自体がアイデアでもあるからです。
  • 本書は、言葉のプロであるコピーライター仁藤安久さんによるアイディエーションを説く1冊です。
  • 本書を通じて、いかに言葉を使いアイデアを紡ぐのか、その方法論と心構えを知ります。

アイデアの定義を見直そう!?

人は、本来、好奇心旺盛で、達成感を感じ続けていきたいいきものです。赤ちゃんや小さな子どもを見ていると、自分が持っている性(さが)にとても忠実で、自分の感情や衝動に奔放であることが伺えます。

子どもは100の言葉を持っている、しかし、そのうち99は奪われる

レッジョ・エミリア――子どもの主体性に注目した教育法を提唱した

でもそうしたある種の自由度は、大人になるにつれて失われていってしまいます。先入観から自分の発想に素直になれないこともしばしばあるのではないでしょうか。アイデアを考える際に、まず自分の心構えを疑ってみることです。

こんな思いはありませんか?

1.「アイデアはゼロから生み出すもの」という思い込み
2.「自分は独創的ではない」という思い込み
3.「ホームランのアイデアでなければいけない」という思い込み
4.「正しいことこそが答え」という思い込み

これ、全部思い込みです。

アイデアは、ゼロベースから生み出されるものではありません。あくまで、既存のものごと同士の掛け算で生まれます。例えば、アップルコンピュータだって、スティーブ・ジョブズさんのこれまでの刺激が形になってできているものです。パロアルト研究所での未来のデバイス企画に触れた経験や、学生時代に履修したカリグラフィーの教室などなど。自分の中に経験を貯め込んで、その上で、世の中に対して理想や違和感を覚える感覚に素直になれば、アイデアとして、自ずと結実するものがあります。

それは決して独創的ではなく、また、1発でホームランを放てるほど、力があるものだとは限りません。

また、同時に、正しいかどうかについても、問われていないことに自ら気づくことも大切です。正しさとは一体何でしょうか。時と場合によって異なるし、もっと多様な答えがあってもよいはずです。過去の当たり前を疑うことから、新しいアイデアが生まれることだってあるはずなので、自分を苦しめる思い込みを客観視して、一歩先へと歩みを進めてみましょう。

アイデアに積極的に関わろう!?

アメリアのとあるビジネススクールにおける問題解決の議論を行うクラスでは、次のような発言に点数が付けられると言います。

  • どんな内容でも発言をした・・・1点。
  • エクセレントなアイデアを生み出した・・・2点。
  • そして、あるアイデアを提示して、それが元になって、あらゆる人を刺激して結果として良い発展をした・・・3点。
  • その発展させたアイデアを出した人・・・2点。

という具合。

この配点の妙は、周囲を刺激するような「アイデアの芽」を出した人をいちばんに評価していることです。

3「ホームランのアイデアでなければいけない」という思い込み

大切なのは、皆とともにアイデアを創発していくということです。自分ひとりでは、よっぽどの天才(?)でないかぎり社会をより良くするアイデアを作ることは難しいでしょう。

一人で何でもするのではなく、時に人の力を借りて、巻き込んでいくことも大切です。みんなのチカラを借りることんいついては、こちらの1冊「【1+1>2!?】相談する力――一人の限界を超えるビジネススキル|山中哲男」も大変おすすめです。

毎日の活動から紡ごう!?

アイデアを発想する時に逃れられない前提があります。それは自分が知っていることの組み合わせでしかアイデアが生み出せないということです。ですから、自分の中にどんな情報を入れ込んでおくのか、そしてそれをどうやって解釈し、定着させておくかがキーになります。

例えば、新しい経験を人工的(?)に作り出してみることも大切です。毎日コンビニに行くのであれば、必ず自分が買わないような商品を買ってみるとか、毎日違う道を通って、通勤・通学をしてみるとか、そういう経験刺激を積み重ねていくことで、自分の中に新しい知識の断片を内在させることができます。そんな時、読書体験も非常に有効でしょう。

インプットだけではなくアウトプットも大切です。インプットだけではイナクティブな受け身の活動になってしまいがちです。これでは自分の頭で考えることを誘発しづらいのです。大切なのは、自分の言葉に置き換えてものごとや体験あるいは、知識を描写してみることです。このひと手間によって、自分の解釈を作り出すことができます。

そうした積み重ねにより自分の中の「価値観」を育てられて、それが土壌となって、発想が生み出されていきます。

深い洞察から生み出されるアイデアは、周辺領域の知識との掛け算である可能性もあります。上述のスティーブ・ジョブズさんのカリグラフィー×パソコンのUIについてもそうです。対象となるものごと以外にもアンテナを張って、一見無駄とも思えるような行動を積み重ねていくことが実は、なにか大きな実りに向かっていることになるかも知れません。

そう言えば、こちらの投稿「【幅こそ、力!?】RANGE(レンジ)|デイビッド・エプスタイン,東方雅美,中室牧子」に素敵な言葉がありました。

「(趣味や副業を持っている人たちは)遠くから見ていると、エネルギーを撒き散らし、浪費しているかのように見える。しかし、実際には、エネルギーを集中させ、強化している」

RANGE(レンジ)|デイビッド・エプスタイン,東方雅美,中室牧子――第1章 早期教育に意味はあるか

自らの衝動、赴くままに、新しい情報や経験を積み重ねていくことが、アイデアを芽吹かせれる概念(=言葉)の土壌を豊かに耕すということになりそうです。

名著『アイデアのつくり方』で有名なジェームズ・W.ヤングさんが、アイデアとはすなわち言葉であると、説いています。

さらにもう一つ私がもう少し詳細に説明すべきだったことは言葉である。私たちは言葉がそれ自身アイデアであるということを忘れがちである。言葉は人事不省に陥っているアイデアだと言ってもいいと思う。言葉をマスターするとアイデアはよく息を吹き返してくるものである。

ジェームズ・W.ヤング――『アイデアのつくり方』著者

人が考えるときには、言葉が不可欠であるということでもありますが、そもそも言葉としてものごとを描写すること自体がアイデアの源泉であるということかも知れません。同じものごとを見ても、人によって言葉遣いが異なります。言葉の組み合わせがアイデアであるとすれば、その描写自体、つまり言葉を作ること自体が、アイデアを紡ぐ方向性を決めるということになりそうです。

また、アイデアは、言葉にしなくては、他者と共有することもできないし、何より自分自身が知覚することもできません。積極的に言葉を磨き、そして、作り出すことで、アイデアをかたちにする活動を続けてみましょう。

まとめ

  • アイデアの定義を見直そう!?――アイデアとは何かを、先入観なく見つめてみましょう。
  • アイデアに積極的に関わろう!?――知識や経験を積み重ねて、考えるヒントにしましょう。
  • 毎日の活動から紡ごう!?――言葉を知り、使うことでアイデアを生み出しましょう。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!