- どうしたらよりよい人生を送ることができるでしょうか。
- 実は、お金に対して、「どのような態度を取るか」かもしれません。
- なぜなら、それは自分自身の価値に対する態度と一緒だから。
- 本書は、お金を通じて人生を考える1冊です。
- お金とは何か、徳とは何か、そして自分はどう生きるか――そんな問いに立ち止まる時間を与えてくれます。
人生はお金次第!?
中野善壽(なかの・よしひさ)さんは、「TSIホールディングス」「寺田倉庫」「東方文化支援財団」など、企業再生や文化支援のフィールドで独自の道を歩んできた経営者です。
そのキャリアは一貫して“物質の背後にある本質”を見抜き、それを言葉や仕組みで社会に落とし込んでいくというものでした。
特に注目すべきは、その“引き算の哲学”。ビジネスの世界において多くの人が「増やす」「拡げる」ことに意識を向ける中、中野さんは「減らす」「なくす」ことで新しい価値を生み出してきました。
お金に関して、それは、稼ぐか、使うかの2つの選択肢を私たちは持っています。あるいは、ここに貯めるということもあるかもしれませんが、基本的には入ってくるか、出ていくかで、お金の価値というのは決まるものです。
お金を稼ぐということは、それは、「不徳」を積み重ねることであると中野さんは、いいます。
なぜなら、稼ぐための営みには、人の「欲」や「恐れ」を刺激し、欲や恐れをさらに膨張させるような行いが、少なからず伴うものだからです。
この結果、私たちは逃れることのできない業(カルマ)が染み付いているのです。自業自得の業ですね。
一方で、正しくお金を使っていくことでこの業から逃れる手立てを持っています。それは、お金を真に他者のために活用していくということです。
これによって徳を積み重ねていくことができます。
徳とは、現世では運を呼び込み、良い縁を結び、幸せと豊かさを得るため感じるために機能する力です。
成長、成功、成果、望みを叶える目に見えない力であると言ってよいでしょう。
金銭には、元来、よいも悪いもありません。あるのはパワーだけ。
そして、そのパワーを発揮させるのは、それが得られたり、使用されたりした瞬間なのです。多種多様なモノやコトと交換できる、金銭のパワーをいかに使うか、それが私たちがよりよい人生を作っていくために、考えていくべきことのひとつなのです。
「正しさ」を磨くことが何より大事!?
徳を積み重ねるための行動には、「修養をする」「肉体労働をする」など色んな方法がありますが、「他人の幸せのためにお金を使う」ことはいい意味でパフォーマンスが良好であると考えられます。
他者が何より喜ぶし、そしてその喜びが、さらに他者へと伝播していくことだってあるでしょうし、なによりそのことで、自分がモノやコトを得られることもあるでしょう。そういう“ありがとう”の循環が生まれるのが、「他人の幸せのためにお金を使う」という行為なのです。
「徳を積む」という目的を果たすうえで、お金は非常に大きなサポートとなるのです。
使わなければ、お金は何も意味を成しません。
誰かを喜ばせることもできなし、やりたいことがある人を応援することもできない。
コストカットを先立って考えるのではなく、まず、何に使うのか、攻めの戦略をもって、お金と向き合うこともたいた切なのです。
何をしたらいいのかと突き詰めていくと、「正しく生きる」ことに誠実に向かう。
中野さんの語る「正しさ」とは、他者や社会との調和の中で、自分の在り方を問い直すことでもあります。経営という営みのなかで、利益を最大化することだけを目的とすれば、欲や恐れによって判断が歪む場面は少なくありません。
けれども、欲望を膨張させていく先に、本当に豊かな人生はあるのでしょうか?
むしろ、私たちが目を向けるべきは、日々の選択において「これは誰かのためになっているか」「これは社会を良くする方向に働いているか」と問う姿勢なのかもしれません。
だからこそ、お金の話は、単なる経済の話ではなく、生き方の話になっていきます。
経営者として成功するとは、結果的にお金を「集める人」になることではなく、お金を「生かす人」になることなのだと、中野さんの語りから学ばされるのです。
だからこそ、自分の中に「正」を育て、これを突き詰めていきましょう。同時に他人の「正」を理解する心も持ち合わせることも大切です。
仲間とともに行動を!?
お金の話をここまでしていますが、実は本当の財産とは、そうした「正」を突き詰めていく仲間を得ることかもしれません。
未来の自分を助ける本質的貯金は学び合う仲間づくり。
未来志向でともに学べる仲間を創りましょう。そのためにエネルギーを使うのです。
学ぶ仲間があるからこそ、未来の自分を助ける本質的な「貯金」をすることができるのです。
学びの効果を広げていくためには、「動く意識」が欠かせません。刻一刻と状況は流れていきますし、絶えず変化をしています。そうした中で、絶え間ない学びのスパイラルを獲得していくためには、ひたすらに動くこと。
実際に行動をしてみることからのみ、人は本質的に学ぶことができます。
お金も実際に使ってみるのが大切なのと同じように、私たちが、大切にするべきは、行動なのです。
「知る」より「学ぶ」。すぐに動く力が、稼ぐ力になる。仕事で成果を出して稼ぐ人と稼げない人。この違いは「気づく力」です。そして気づいた後に「反応する力」。
つまり、ただ情報をインプットするだけでは不十分で、それを血肉に変えて行動に移せるかどうか――そこに本当の“生きた知性”が宿るのです。
この言葉は、現代を生きる私たちにとって極めて実践的な指針ではないでしょうか。
膨大な情報が飛び交う今、どれだけ多くを「知っているか」ではなく、どれだけ深く「気づき」、そこから何かを「始められるか」が問われています。
そして、その「気づく力」と「反応する力」は、単独では育まれません。
だからこそ、前段で述べたように、「ともに学ぶ仲間」の存在が大切になるのです。
誰かの視点にハッとさせられ、自分には見えなかった盲点に気づく。
その気づきを放置せず、何かを“変える”一歩へと踏み出す。
こうした積み重ねが、やがて「稼ぐ力」や「生きる力」として自分に返ってきます。
だからこそ、「学びの場」をつくり続けること、「出会いの場」に投資することは、最も本質的な意味での“お金の使い方”といえるのではないでしょうか。
どれだけのお金を持っているかよりも、どんなふうに使ったか。
その記憶こそが、私たちの「豊かさ」の本当の正体なのかもしれません。
中野さんのご著書については、こちら「【「今日がすべて」という生き方とは!?】ぜんぶ、すてれば|中野善壽」もぜひご覧ください。

まとめ
- 人生はお金次第!?――なにより大切なのは、「お金の使い方」です。
- 「正しさ」を磨くことが何より大事!?――徳を正しい方向へと積み重ねていく方法となります。
- 仲間とともに行動を!?――それが自分の価値観を磨くこと、つまり学びになります。