- 毎日しっかり眠れていますか?
- 実は、睡眠は私たちの健康、知能、感情のすべてをコントロールしている最強の味方なんです。
- なぜなら、質の良い睡眠は脳のゴミを掃除し、記憶を整理し、免疫システムを強化する――これらすべてを無料で、毎晩自動的に行ってくれるからです。
- 本書は、スウェーデンの睡眠研究者クリスティアン・ベネディクトとジャーナリストのミンナ・トゥーンベリエルが、最新の睡眠科学を分かりやすくまとめた1冊です。
- 本書を通じて、「スマートに寝ること」がいかに「スマートであること」に直結しているか、そして今日から実践できる睡眠改善の方法が見えてきます。
クリスティアン・ベネディクトは、スウェーデンのウプサラ大学で神経科学と睡眠を研究する准教授です。
彼の研究は、睡眠が代謝、食欲、認知機能に与える影響に焦点を当てており、世界中の科学誌に論文を発表しています。
共著者のミンナ・トゥーンベリエルは、科学ジャーナリストとして複雑な研究成果を一般読者に届ける役割を担っています。
2人の協働により、本書は最先端の睡眠科学を、誰もが理解できる形で提示することに成功しています。
研究室での発見を、私たちの日常生活にどう活かせるか――その橋渡しをしてくれる貴重な1冊『Sleep, Sleep, Sleep』です。
睡眠は「無料の万能薬」――健康・感情・認知機能すべてをコントロールする
睡眠には驚くほど広範囲な効果があります。
本書が示すのは、睡眠が単なる休息ではなく、私たちの心身を根本から整える「万能薬」だという事実です。
睡眠研究者が「今、知っていること」すべてをまとめた
この一文が象徴するように、本書は睡眠科学の集大成といえます。
そして何より重要なのは、この万能薬が完全に無料だということ。
だが睡眠の最も優れている点は、「無料」ということにつきる。時間さえ不要だ。というのも、余分にとった睡眠は翌日、高いパフォーマンスという形で1000倍になって返ってくるからだ。
時間を投資すれば1000倍のリターンが得られる――こんなに効率的な投資は他にありません。
では、睡眠は具体的に何をコントロールしているのか。
本書によれば、それは「健康」「知能」「感情」の3つです。
質のよい睡眠をとったあとは、自分自身や他者の感情をよりよく理解し、整理分類できるようになる。感情移入スキルや共感力が高まるのだ。
つまり、よく眠ることで私たちはより賢く、より健康に、より穏やかになれるんです。
逆に言えば、睡眠不足は健康を損ない、判断力を鈍らせ、感情的に不安定にさせます。
現代社会では「睡眠時間を削って働く」ことが美徳のように語られることがありますが、それは大きな誤解です。
睡眠不足になると、前頭葉は良心の呵責を感じにくくなり、大胆担になり、ほんやりとし、衝動を抑えられなくなってしまう。
睡眠不足の状態では、理性的な判断ができなくなります。
つまり「頑張って働く」つもりが、実際には生産性も判断力も低下した状態で時間を浪費しているだけなんです。
さらに興味深いのは、睡眠が記憶の整理において果たす役割です。
レム睡眠中の記憶内容の選択は、むしろ偶然に支配される。日中に登録したこと、その中でもとくに、感情を呼び起こしたものや覚醒時に完全には処理されなかったものが優先されている
睡眠中、脳は自動的に重要な記憶を選別し、整理し、定着させています。
この作業は意識的にコントロールできるものではありません。
だからこそ、十分な睡眠時間を確保することが、学習や仕事のパフォーマンスに直結するんです。
また、睡眠には「ゴミ掃除」の機能もあります。
脳の「ゴミ」は寝てきれいになる
日中の活動で脳には代謝産物が蓄積します。
これらは認知機能を低下させる原因になりますが、睡眠中にはこれらの老廃物が効率的に排出されるんです。
つまり、睡眠は脳のメンテナンス時間でもあるわけです。
ここで重要なのは、睡眠の効果が「影響しないこと」は何ひとつないという点です。
私たちの体にとって睡眠とは、ベッドの中でまどろんでいる時間だけを指すのではなく、じつは24時間労働なのだという点だ。睡眠の準備は朝、目を覚まし、網膜に太陽の光を受け、体内時計に1日が始まるというシグナルが幸せられたそのときから始まっている。
睡眠は夜だけの問題ではなく、朝起きてから夜眠るまでの24時間すべてが関係しているんです。
つまり、良い睡眠を得るためには、日中の過ごし方から見直す必要があります。
この「“24時間”で睡眠をデザインする」という視点は、睡眠の本質を点ではなく線で捉える重要な発想です。
体内時計という「見えない設計図」――人間は朝型→夜型→朝型で成長する
私たちの体には、目に見えない時計が組み込まれています。
この体内時計は、単なるタイマーではなく、人生の各段階で最適な睡眠パターンを設定する精密な設計図なんです。
人間の体は「1日2回」眠るようにできている
これは驚くべき事実です。
私たちは夜にまとめて眠る「単相性睡眠」が当たり前だと思っていますが、実は体は昼間にも短い休息を求めているんです。
私たちの体は日中、短い休息をとるようにできているのだ。
だから昼食後に眠くなるのは、怠けているからでも、食べ過ぎたからでもありません。
それは体内時計が「今は休息の時間だ」と教えてくれているサインなんです。
私たちの体は本来、1日2回睡眠をとるように設計されていて、連続して7〜9時間眠るようにはできていないと考える研究者も多い。
この知見は、昼寝を「さぼり」と見なす文化に一石を投じます。
むしろ、昼寝は生物学的に自然な行為であり、午後のパフォーマンスを高める有効な手段なんです。
昼寝は「15分以内」ならプラスになる
短時間の昼寝は、疲労を回復させ、集中力を高めます。
ただし、長すぎる昼寝は深い睡眠に入ってしまい、起きた後にぼんやりしてしまうため、15分以内が理想的です。
次に注目すべきは、年齢による体内時計の変化です。
思春期になると、体内時計が後ろにずれていく。つまり、ティーンエイジャーが夜遅くまで起きているのは本来の姿なのだ。もっとも驚くべき発見は、体内時計は、女子の場合20歳頃から、男子の場合は21歳頃から再びゆっくりとシフトしはじめる。言い換えれば、歳を重ねるにつれ、進んだ時計は再び元の朝型人間へと回帰していくのだ。
人間は「朝型→夜型→朝型」という順で成長するんです。
子どもの頃は早起きが得意で、思春期になると夜型になり、大人になるとまた朝型に戻る。
これは怠惰や生活習慣の問題ではなく、生物学的なプログラムなんです。
だから、10代の若者に早朝から授業を受けさせるのは、体内時計に逆らった非効率的な教育システムだといえます。
彼らの脳が最も活発に働くのは、もっと遅い時間帯なんです。
また、体内時計は光によって調整されます。
体内時計を「自分」で調節する方法①外に出て日光を浴びること。体内時計はとりわけ朝に働くので、日の出の時間に外を歩くのが最も効果的だといい。晴れた日なら30分も屋外にいれば十分だ。曇りの日は、光の照度が弱いため外で過ごす時間を長めにとろう。②外出する暇がない場合は、窓際に座ること。それもかなわない場合は、朝のうちに太陽光に似た光を浴びられるよう「昼光色ランプ」の導入を勧める
朝の光を浴びることで、体内時計はリセットされ、その日のリズムが整います。
逆に、夜に強い光を浴びると体内時計が狂い、寝つきが悪くなります。
寝る2時間前に「スクリーン」をオフにする
スマートフォンやパソコンのブルーライトは、脳に「まだ昼間だ」という誤った信号を送ります。
これによってメラトニンの分泌が抑制され、眠りにくくなるんです。
だから、寝る前のスマホいじりは睡眠の質を確実に下げています。
③タブレット、パソコン、スマートフォンを利用する際は、「ブルーライトフィルター」を起動させること。少なくとも最新モデルであれば対応しているはずだ。「設定」メニューから確認しよう。④運動は明るいうち
運動も体内時計に影響を与えます。
日中の運動は体温を上げ、夜の自然な体温低下を促進することで、良い睡眠につながります。
しかし、夜遅くの激しい運動は逆効果です。
体が興奮状態になり、寝つきが悪くなってしまいます。
さらに興味深いのは、睡眠と記憶の関係です。
睡眠は「起きている時間にしたこと」でできている
これは深い洞察です。
睡眠中に整理される記憶は、起きている間に経験したことだけです。
つまり、質の高い睡眠を得るためには、日中の活動も重要なんです。
質のよい睡眠の合言葉は「タイミング」だ。コーヒーには覚醒的な効果があるが、それは朝だけの話で、夜は飲まないほうがいい。スポーツも同様で、トレーニングは日中に。睡眠・覚醒リズムと睡眠の質に悪影響を与え、結果的に心身の健康にも負の作用を及ぼす。つまり忙しくて夜にしか時間がとれないからと、就寝直前の睡眠衛生に気をつければ、質のよい睡眠を手に入れることが可能になるのだ。
すべては「タイミング」なんです。
コーヒーは朝に飲めば覚醒効果があり、夜に飲めば睡眠を妨げます。
運動も、日中に行えば体内時計を整え、夜に行えば眠りを妨げます。
同じ行動でも、タイミング次第で効果が真逆になるんです。
睡眠負債からの脱却――今日からできる科学的実践
睡眠不足は借金のように蓄積します。
そして、その「負債」を返済しない限り、心身のパフォーマンスは低下し続けるんです。
7〜9時間眠る人は「有病率」が最も低い被験者の病気への罹患状況と睡眠時間との関係を調査した研究がある。同試験を通じて研究者たちは、成人では7〜9時間眠る者で、最も有病率が最も低いことを突き止めた。
7〜9時間の睡眠が、統計的に最も健康的だというのは明確なエビデンスです。
これより短くても、長くても、病気のリスクは上がります。
では、具体的にどうすれば質の良い睡眠を手に入れられるのか。
本書は科学的根拠に基づいた実践的な方法を提示しています。
まず重要なのは「目を閉じる」だけでも効果があるという事実です。
「目を閉じる」だけですごい効果がある
完全に眠れなくても、目を閉じて横になるだけで体は休息します。
「眠らなければ」というプレッシャーから解放されると、かえって眠りやすくなることもあります。
次に、睡眠環境の整備です。
寝て「賢者」になる正しい眠りは頭をよくする
質の良い睡眠は、記憶の定着と脳の機能向上に直結します。
そのためには、静かで暗く、適温の環境が必要です。
睡眠中に脳に「空きスペース」ができる
睡眠中、脳細胞は収縮し、細胞間に隙間ができます。
この隙間を通って脳脊髄液が流れ、日中に蓄積した老廃物を洗い流すんです。
この「脳の掃除」が妨げられると、認知機能が低下し、長期的にはアルツハイマー病などのリスクも高まります。
熟睡することができないと、「眠らなければ、がんや過体重、アルツハイマーになってしまう」という気持ちに陥りやすくなる。だが、このことはつねにほかのリスク要因との関連で考なければならない。人生の長い期間にわたり質のよい睡眠がとれないということだ。アルツハイマー病と診断される人の約80%上昇するのは、実際そのとおりだ。しかしながら、どのような確率から50%増しとのか、、基準値が極めて低ければ50%必要である。
睡眠不足のリスクは確かに存在しますが、一晩や二晩の睡眠不足で即座に病気になるわけではありません。
重要なのは、長期的に質の良い睡眠を確保することです。
また、免疫システムとの関係も見逃せません。
「ナチュラルキラー細胞」は眠って活発になる
睡眠中、私たちの体では「ナチュラルキラー細胞」という免疫細胞が活性化します。
1に、睡眠中には、タバコや化学物質、特定の食品に含まれる発ガン性物質にさらされたかもしれない損傷を受けた細胞を発見し、殺すことができる免疫系の「ナチュラルキラー細胞」が活性化される。
この細胞はがん細胞やウイルス感染細胞を攻撃する最前線の防衛部隊です。
睡眠不足になると、この細胞の活動が低下し、免疫力が落ちます。
だから、風邪をひきやすくなったり、疲れが取れなくなったりするんです。
病原体との接触後の「最初の夜」が、きわめて重要な役割を果たしている。夜の睡眠が妨げられたり、短すぎたりすると、樹状細胞とT細胞の間の情報交換がうまく行われず、結果として免疫反応が低下するのである。
特に、病気にかかった直後の睡眠が重要です。
「風邪の引き始めにしっかり寝る」というのは、科学的に正しい対処法なんです。
幼児は夢で「世の中」を理解する
さらに、幼児期の睡眠は人格形成にも影響します。
乳幼児は非常に多くの夢を見る。これは研究室での測定を通じて証明できる。子どもたちが眠っている間、脳に2か所、まぶたの左右に動く様子(レム睡眠中であることの証拠)を観察するだけで十分に確認できる。ももとも幼い子どもたちにとって、このことはきわめて重要だ。この未知の世界に生まれたばかりの彼らは、生命を理解し、危険を認識し、他者の行動を正しく解釈し、自分の価値を伸ばしていくために可能なかぎり創造的な夢を見る必要があるのだ。別の言い方をすれば、子どもたちが個性を伸ばし、周囲の環境を理解するうえて、じゅうぶん睡眠が欠かせないということだ。
子どもの睡眠は単なる休息ではなく、世界を理解し、人格を形成する重要なプロセスなんです。
だから、子どもの睡眠時間を削ることは、その子の発達を妨げることに直結します。
最後に、実践的なアドバイスをまとめると、のようになります。
朝の習慣
- 起きたらすぐに日光を浴びる(晴れた日なら30分、曇りの日はもっと長く)
- 朝食をしっかり食べる
- 朝のコーヒーは1〜2杯まで
日中の習慣
- 適度な運動を明るいうちに行う
- 15分以内の昼寝で疲労回復
- 午後遅くのカフェイン摂取は避ける
夜の習慣
- 寝る2時間前にはスクリーンをオフにする
- ブルーライトフィルターを活用
- 寝室は暗く、静かに、涼しく保つ
- 規則的な就寝時刻を守る
仮に前の日の夜、満足に眠れなかったとしても、朝の光を浴びては、大陽の光を受け、そして1杯のコーヒーを1杯飲み、しっかり朝食をとり、体内時計と睡眠・覚醒リズムを整えよう。
一晩の睡眠不足で諦めるのではなく、翌朝からリセットすることが大切です。
体内時計は毎日調整できるんです。
睡眠は人生の約3分の1を占める時間です。
その時間を「無駄」と考えるのではなく、「投資」と考えることで、残りの3分の2の質が劇的に向上します。
スマートに寝ることは、スマートに生きることそのものなんです。
睡眠について、考え、行動することは、実は、野生に変えることに発想としては近いかも。動物としての自分を認め、それに素直になれるかということかも知れません。こちらの1冊「あなたに眠る野生の力とは!?『GO WILD 野生の体を取り戻せ!』ジョンJ・レイティ他」もぜひ!

まとめ
- 睡眠は「無料の万能薬」――健康・感情・認知機能すべてをコントロールする――睡眠は健康、知能、感情の3つすべてに影響を与える最強の味方です。質の良い睡眠は脳のゴミを掃除し、記憶を整理し、免疫力を高めます。時間を投資すれば1000倍のリターンが得られる、完全無料の万能薬なのです。
- 体内時計という「見えない設計図」――人間は朝型→夜型→朝型で成長する――私たちの体には精密な体内時計が組み込まれており、人生の段階ごとに最適な睡眠パターンを設定しています。人間は本来「1日2回」眠るように設計され、年齢とともに「朝型→夜型→朝型」へと変化します。すべては「タイミング」が重要です。
- 睡眠負債からの脱却――今日からできる科学的実践――7〜9時間の睡眠が統計的に最も健康的で、質の良い睡眠は記憶の定着と脳の機能向上に直結します。朝の光、適度な運動、夜のスクリーンオフなど、科学的根拠に基づいた実践的な方法で、今日から睡眠の質を改善できます。
