- なぜ、世界中のビジネスエリートたちが、今、茶道に惹かれているんでしょうか?
- 実は、彼らが求めているのは、単なる日本文化の知識や作法ではありません。忙しい日常の中で失われがちな「心の余白」を取り戻し、本質的な豊かさに触れたいという切実な願いがあるんです。
- なぜなら、茶道は単に抹茶を点てる技術を学ぶ場ではなく、500年以上続く禅の精神に根ざした「心を整える場」だからです。一椀のお茶を通じて、相手を思いやる心、今この瞬間を大切にする姿勢、足るを知る美学を体得できる。それが、世界中のエリートたちを魅了してきた理由なんです。
- 本書は、年間30カ国の人々に茶道を伝え、延べ3万人以上を指導してきた著者・竹田理絵さんが、茶道の精神とその現代的意義を解き明かした一冊です。ブルネイ国王即位50周年での茶会披露、ハーバード大学での研修実績など、グローバルに活躍する著者だからこそ語れる、茶道の本質が詰まっています。
- 本書を通じて、私たちは茶道が単なる伝統文化ではなく、現代を生きる私たちの心を豊かにし、日々の暮らしを丁寧に整えてくれる「生きた知恵」であることを知ることができます。
竹田理絵さんは、株式会社茶禅代表取締役、一般社団法人国際伝統文化協会理事長として活躍するグローバル茶道家です。神楽坂生まれの3代目江戸っ子で、青山学院大学文学部卒業後、日本IBMに入社されました。
その後、日本の伝統文化の素晴らしさを世界に伝えたいという想いから株式会社茶禅を創設し、銀座と浅草に「敷居は低いが本格的な茶道を体験できる茶室」を開設されました。
茶道歴40年、講師歴25年という豊富な経験を持ち、年間世界30カ国の方々に日本の伝統文化を伝え、延べ生徒数は3万人を超えています。
ブルネイ国王即位50周年のイベントでの茶会披露をはじめ、各国首相や大使館、官庁、VIP、一部上場企業からの信頼も厚く、数多くのお茶会を実施されてきました。特に「千利休から学ぶビジネス研修」は経営者から注目され、企業研修に取り入れられています。ハーバード大学など、茶道を取り入れた教育・教養研修の実績も多数お持ちです。
竹田さんは、茶道裏千家教授、日本伝統文化マナー講師として、和の教養や精神を身につけて世界で活躍したいビジネスパーソンを支援し続けています。その活動は、日本の伝統文化を単に保存するのではなく、現代のグローバル社会で生きる知恵として伝えることに重点を置いています。
なぜ世界のエリートは茶道に惹かれるのか
畳に座り、お抹茶を点て、一椀のお茶をいただく。
ただそれだけのことですが、湧いていた心が潤い、満たされていきます。
これが、世界中のビジネスエリートたちが茶道に魅了される理由なんです。彼らが求めているのは、喉の渇きを癒すことではありません。心の渇きを満たすこと。忙しい日常の中で失われた心の余白を取り戻し、本質的な豊かさに触れたい。そんな切実な願いが、彼らを茶室へと導いているんです。
竹田さんは本書の中で、こう語っています。
茶道は一椀のお茶を召し上がっていただきますが、その時にのどの渇きを潤すだけでなく、心の渇きも一緒に潤すことができます。
この言葉が示すように、茶道の本質は単なる作法やマナーの習得ではありません。心を整え、満たすための「場」なんです。
実際、著者のもとには、世界中からビジネスパーソンが訪れています。エリートが魅了される茶道の精神。それは、織田信長の茶頭を務めた千利休、アップル創業者のスティーブ・ジョブズ、そして今日も茶道の精神を取り入れて大成功を収めているビジネスやスポーツ界の名だたる方々に共通しています。
彼らが茶道に見出しているのは、単なる日本文化の知識ではなく、人生やビジネスの本質を見極める「眼」を養う場所なんです。
茶道はおよそ500年前から続いている伝統文化です。
これだけ長く続いてきたのには、明確な理由があります。茶道は、言葉や華道、香道、着物、建築、和食など、日本の美意識がすべて入った総合伝統文化といわれているからです。教養として茶道を学ぶことは、幅広い日本の伝統文化を学ぶことにもなります。
しかし、それ以上に重要なのは、茶道が私たちに教えてくれる「生き方の知恵」です。
毎朝同じ時間に起きて、電車に乗り、会社で代わり映えのない1日を過ごす。そんな日々の中で、「本当にそうでしょうか」と問いかけてくれるのが茶道なんです。その筒単で単調に思えるものをどのような心持ちで過ごすかで、1年後、1年後か大きく変わるのではないでしょうか。その日々を大切に生きること。それが茶道の精神の重要な部分だと思います。
茶道も掃除や目指すところは、余計なものを捨ててシンプルに生きるということです。
この教えは、現代のビジネスパーソンにこそ必要なものではないでしょうか。
情報過多の時代に、本当に大切なものを見極める力。
複雑さの中に、シンプルな本質を見出す眼。
それらを養ってくれるのが、茶道という場所なんです。
茶道に息づく禅の精神
茶道の精神は、4文字の中に凝縮されています。
「和敬清寂」という言葉です。
茶道の基本精神は「和敬清寂」という言葉で表され、「和やかな心、敬い合う心、清らかな心、動じない心」という意味があります。茶道の修練によってこの教えを心に刻み、人間として成長しようとする日本独自の道でもあります。
この4つの文字、それぞれに深い意味が込められているんです。
- 「和」は、お互いに心を開き、和やかに周りと調和する心を意味します。
- 「敬」は、自らは謙虚に、そしてあらゆるものを尊敬し、喜んで人に譲る心です。
- 「清」は、茶室や茶道具を清潔にし、気持ちも邪念のない清らかな心を表します。
- そして「寂」は、どんな時にも静かで落ち着ける心、どんな時にも動揺しない心のことです。
これらの精神は、実は禅の教えから深く影響を受けています。
茶道と禅。この2つは切っても切れない関係にあるんです。なぜなら、茶道の歴史そのものが、禅とともに歩んできたからです。茶を飲む文化が中国から日本に伝わったのは平安時代ですが、それを精神性のある「道」として確立したのが、禅の修行を積んだ千利休だったんです。
禅の教えの中に、「一期一会」という言葉があります。
これは、二度とないこの瞬間を大切にするという意味です。茶道では、この精神が何よりも重視されています。今、目の前にいる人と、今この瞬間にお茶をいただくこと。この一度きりの出会いを、どれだけ大切にできるか。それが問われているんです。
禅の思想については、こちらの1冊「【禅は、生きる知恵!?】人生を整える 禅的考え方|枡野俊明」をぜひご覧ください。

さらに、茶道には「わび・さび」という美意識があります。
「わび・さび」は足りないことを美しさとして見出すこと
この言葉の背景には、禅の「足るを知る」という教えがあります。「わび」は、さびを楽しいと思う心や内面的な豊かさを楽しむ美意識です。わび茶が理想としたのは、例えば、自然のありのままを尊んで、自然の中にある素朴な美を楽しむというものです。大切なのは、無駄を取り除いた花で、野に咲く花を思わせるという、物事の本質を追求することです。
「さび」は、時間の経過とともに古くなり、色あせ、錆びて劣化していきますが、逆に古くなることで出てくる味わいやわれたものの趣ある美しさを楽しみます。
日本人は時間とともに移ろいいく様を愛でて、そこに美意識を見出しているのです。
これは、現代社会の「新しいものこそ価値がある」という価値観とは真逆の考え方です。古いものの中に、使い込まれたものの中に、むしろ深い美しさを見出す。それが「さび」の精神なんです。そして「わび」は、完璧でないものの中に、むしろ個性と独自の魅力を見出し、不完全なものでも趣があるのが、わびの心の表れです。
置かれている状況を悲観するのではなく、それを楽しみ精神的な豊かさを楽しむ言葉です。
この考え方は、ビジネスの世界でも非常に重要です。完璧を求めすぎて前に進めなくなるのではなく、今あるものの中に価値を見出し、それを活かしていく。そんな柔軟な思考が、茶道の「わび・さび」から学べるんです。
利休の7つの教えに学ぶ、日常への応用
千利休が残した教えの中に、「利休七則」と呼ばれる7つの教えがあります。
これは茶道の基本でありながら、私たちの日常生活にも深く応用できる知恵なんです。それぞれを見ていきましょう。
茶は服のよきように点て(気配りの大切さ)
「服」とは飲むこと、「服のよきように」とは飲む人にとってよい加減であるという意味になります。
つまり、「お茶は飲む人にとって最もよい加減になるように点てなさい」という意味です。自分が理想とするお茶を点てることが茶道の基本ではありますが、気配りを持って接しなさいという教えです。
飲む人が若者なのか、年配の方なのか、お茶に慣れている人なのか。相手のことを考えて、その人に合わせたお茶を点てる。茶道のおもてなしの心です。
炭は湯の沸くように置き(準備の大切さ)
茶は服のよきように点て(気配りの大切さ)「服」とは飲むこと、「服のよきように」とは飲む人にとってよい加減であるという意味になります
「炭はお湯が沸くように置きましょう」という意味です。
昔は今と違い、ボタンひとつでお湯が沸きませんでした。炭を使ってお湯を沸かす場合には、お湯を沸かすのに時間がかかっていたのです。お茶を点てる時にたっぷりの水を注ぎ、炭を使ってお湯を沸かします。美味しくておいしい加減にあたる適量がとても大切で、置き方一つでお茶の味が変わるというほど、炭の置き方はとても大切なのです。
これは、準備の重要性を教えてくれています。お茶会は、お客様が来る前から始まっている。同じように、ビジネスでもプレゼンでも、準備が8割を決めるんです。
花は野にあるように生け(自然体でいること)
「花は野に咲いているように生けなさい」という意味です。
ただし、ここでいう「野にあるように」というのは、野原に咲いているそのままの状態で入れなさいという意味ではありません。大切なのは、無駄を取り除いた花で、野に咲く花を思わせるという、物事の本質を追求することです。
作為的な美しさではなく、自然の中にある素朴な美しさを大切にする。これは、私たち自身の生き方にも通じます。飾らず、自然体でいることの大切さを教えてくれているんです。
夏は涼しく冬暖かに(相手を思いやる心)
これは言葉通りの意味で、心地よい空間を提供するという、相手を思いやる心を表しています。
単純に見えますが、これは非常に深い教えです。相手の立場に立って、何が心地よいかを考える。それが真のおもてなしなんです。夏に涼しさを、冬に温かさを提供する。当たり前のようで、実は相手への深い配慮が必要なことです。
刻限は早めに(時間に余裕を持つ、気持ちにゆとりを持つ)
刻限とは、定められた時刻のことをいいます。
「時間は早めに余裕を持ちましょう」という意味です。
亭主にとっても客にとっても、早めに行動することで焦りがなくなり、気持ちにゆとりが生まれるという教えです。
現代人は常に時間に追われています。しかし、だからこそ、時間に余裕を持つことの大切さを思い出す必要があるんです。早めに準備することで、心に余裕が生まれ、相手への配慮もできるようになります。
降らずとも傘の用意(不慮の事態に備える)
「雨が降らなくても傘を用意しましょう」という意味です。
時代に関係なく、雨が降ったり、時には急に雨が降ったりしあったものでした。傘を持たずにお茶会に行った客は濡れが心配で、心配で心が落ち着きません。また、降らないときでも傘を借りて帰る客体は濡れが心配で心配りなのです。
これは、リスク管理の教えです。最悪の事態を想定して準備しておく。それが、真の安心につながるんです。
相客に心せよ(お互いに尊重し合う)
「相客」とは同席したお客様のこと、「心せよ」とは気を配りなさいということです
つまり、同席したお客様同士がお互いに気遣い、尊重し合い、共に楽しいひとときを過ごせるよう思いやることで、より心地よい空間を作るという教えです。
この教えは、現代の職場やチームワークにも通じます。お互いを尊重し、思いやること。それが、良い関係性を築く基本なんです。
利休の7つの教え、いかがでしょうか。
これらは500年前に語られた言葉ですが、現代を生きる私たちにこそ必要な知恵だと感じませんか。気配りの心、準備の大切さ、自然体でいること、相手を思いやる心、時間にゆとりを持つこと、不慮の事態に備えること、そしてお互いを尊重すること。
これらすべてが、一椀のお茶の中に込められているんです。
茶道とは、単にお茶を点てる技術を学ぶ場ではありません。人として、どう生きるべきか。どう他者と関わるべきか。何を大切にすべきか。そうした人生の本質的な問いに向き合う場所なんです。
だからこそ、世界中のビジネスエリートたちが、茶道に惹かれるんです。彼らは気づいているんです。本当の豊かさとは、物質的な成功ではなく、心の充足にあることを。そして、その心の充足を得るための知恵が、茶道という500年の伝統の中に凝縮されていることを。
茶道には、数多くの禅の考え方が生きています。禅の思想については、こちらの1冊「【禅は、生きる知恵!?】人生を整える 禅的考え方|枡野俊明」をぜひご覧ください。

まとめ
- なぜ世界のエリートは茶道に惹かれるのか――茶道は単なる作法ではなく、心の渇きを満たす場所です。世界中のビジネスエリートが茶道に魅了される理由は、忙しい日常の中で失われた心の余白を取り戻し、本質的な豊かさに触れられるからです。500年続く伝統の中に、現代を生きる私たちに必要な「生き方の知恵」が凝縮されています。
- 茶道に息づく禅の精神――茶道の基本精神「和敬清寂」は、禅の教えから深く影響を受けています。一期一会の精神、わび・さびの美意識は、完璧を求めすぎず、今この瞬間を大切にし、足るを知ることの大切さを教えてくれます。時間とともに移ろいいく様に美を見出す日本人の感性は、現代社会の価値観に新しい視点を与えてくれます。
- 利休の7つの教えに学ぶ、日常への応用――千利休が残した7つの教えは、気配りの心、準備の大切さ、自然体でいること、相手を思いやる心、時間にゆとりを持つこと、不慮の事態に備えること、お互いを尊重することを説いています。これらは500年前の教えでありながら、現代のビジネスや日常生活にそのまま応用できる普遍的な知恵です。
