幸せは人のつながりで生まれる!?『最強の組織は幸せな社員がつくる』PHONE APPLI出版チーム

『最強の組織は幸せな社員がつくる』PHONE APPLI出版チームの書影と手描きアイキャッチ
  • 今の職場で、本当に人らしく働けていますか?
  • 実は、多くの組織が抱える問題の根本には、私たちが「会社」という虚構に支配されてしまっているという現実があります。
  • なぜなら、本来人間は「つながり」の中で生きる存在であるにも関わらず、組織の論理が個人を分断し、役割に押し込めてしまうからです。
  • 本書は、まさにその矛盾に向き合い、組織の中で人間らしいつながりを取り戻す道筋を示した一冊です。
  • 本書を通じて見えてくるのは、従来の成果主義から関係性重視への根本的な転換の可能性です。 一人ひとりが本来の自分らしさを発揮し、互いのつながりの中で成長していく。 そんな組織のあり方が現実のものになりつつあることを教えてくれます。

私たちは長らく「会社」という虚構の中で生きてきました。 ユヴァル・ノア・ハラリが『サピエンス全史』で指摘したように、人間は虚構を創造することで大規模な協力を可能にしたけれど、その虚構に逆に支配されてしまう矛盾を抱えています。

PHONE APPLI出版プロジェクトチームによる本書は、まさにその矛盾に真正面から向き合った一冊です。 組織という虚構の中で、いかにして人間らしいつながりを取り戻すか。 その答えが「ウェルビーイング経営」にあるんです。

本書で特に印象的なのは、ウェルビーイングを単なる福利厚生や個人の満足度向上として捉えていない点です。

「ウェルビーイング経営とは、組織の業績向上と従業員のウェルビーイングの両立を目指す経営のことです」

この定義の背景には、人と人との関係性を根本から見直そうとする強い意志があります。

従来の成果主義が個人を孤立させがちだったのに対し、ウェルビーイング経営は人のつながりそのものを組織の源泉として位置づけているんです。

虚構から関係性への転換

現代の多くの組織が抱える問題の根本は、会社という虚構が個人を規定してしまうことにあります。 私たちは「営業部の田中さん」「経理の山田さん」といった具合に、組織の枠組みの中で自分を定義しがちです。

でも人間の本質は、もっと豊かで多面的なものなんじゃないでしょうか。

「人間は一人では生きていけない」

この当たり前の事実を、本書は改めて私たちに気づかせてくれます。 PHONE APPLIの事例で興味深いのは、「小さな変化に気づける組織」を意識的に作ろうとしていることです。

従来の組織では、成果や数字に注目が集まりがちでした。 でも本当に大切なのは、社員一人ひとりの微細な変化や成長に気づき、それを共有できる文化を作ることなんです。

例えば、誰かが新しいアイデアを出したとき、それを「業務効率化の提案」として処理するのではなく、「この人がこういうことを考えているんだな」という人間への関心として受け止める。 そんな些細な違いが、組織の空気を大きく変えていきます。

ここで重要なのは、関係性の質的な転換です。 上司と部下、同僚同士といった役割ベースの関係から、人と人としての関係へ。

「ポジティブな変化もあります。いままで自社商品を『こう使ってください』と売っていたのが、『どれくらい使えましたか』『どんな使い方をしていますか』という形でお客様とのコミュニケーションが現れた」

この変化は、外部のお客様との関係だけでなく、社内の人間関係にも大きな影響を与えています。 お互いを「使える人材」として見るのではなく、「どんな可能性を持った人なのか」という視点で関わる。 その結果として、組織全体に創造性とエネルギーが生まれてくるんです。

コミュニケーションの再構築

組織におけるコミュニケーションの問題は、多くの場合、情報伝達の効率性ばかりが重視されることにあります。 「報告・連絡・相談」という3つのホウレンソウも、結局は上下関係を前提とした一方向的なやり取りになりがちです。

でも本書が提示するのは、まったく違うコミュニケーションのあり方です。

「そうではなく、自由にみんながコミュニケーションを取るようになることが大切です。いろいろな人から、偶然生まれた何かが、結果的に結論としてのクリエイティビティを生みます」

この「自由なコミュニケーション」という表現に、私は深い示唆を感じました。 従来型の組織では、上司と部下といった縦の関係や、他部署との調整といった横の関係で、コミュニケーションのルートが決まっていました。 でもそれだと、どうしても情報の流れが制限され、創発的なアイデアが生まれにくくなってしまいます。

PHONE APPLIが実践しているのは、そうした既存のフレームワークから解放された、より人間的なコミュニケーションです。

「イノベーションやクリエイティビティは人と人との『統合』から生まれる」

この「統合」という言葉が重要です。 単なる情報交換ではなく、異なる視点や経験を持つ人同士が本音で語り合うことで、新しい何かが生まれる。 そのためには、まず互いを人間として尊重し合える関係性が必要なんです。

しかし、ここで注意すべきは、単に「仲良くしましょう」ということではないということです。

「自分一人で一生懸命考えていても、アイデアに限界があります。しかし、従来型の組織は、上司と部下といった縦のコミュニケーションをベースに成り立っています」

つまり、構造的な問題があるということです。 個人の努力や意識だけでは限界があり、組織の仕組みそのものを変えていく必要があります。

そのために本書が提案するのは、階層を超えた対話の場づくりです。 役職や部署に関係なく、一人の人間として意見を交わせる環境を意識的に作る。

それによって、これまで埋もれていた多様な視点や発想が表面化し、組織全体の創造力が向上していくんです。

持続可能な成長への転換

ウェルビーイング経営の真価は、短期的な成果よりも、長期的な組織の持続可能性にあります。 本書が示す3つの効果を見ると、それがよく分かります。

1)生産性が高まる
2)労働力の確保(採用と定着)
3)従業員の自発的な成長

この3つは相互に関連し合っています。 従業員が自分らしく働けることで生産性が高まり、そうした職場環境が優秀な人材を引き付け、結果として個人の成長と組織の発展が好循環を生む。

特に注目したいのは3番目の「従業員の自発的な成長」です。

「心身ともに不健康な状態では、なかなか勉強しようという気にはならないでしょう。健康な状態だからこそ学ぼうという意欲が生まれ、それが様々なスキルを身につけることや会社の役に立っているという自己効力感や、自分で状況をコントロールできるという実感が、さらなる学習意欲を向上させる」

これは、従来の人材育成とは根本的に異なるアプローチです。 会社が研修プログラムを用意して社員に受講させるのではなく、社員自身の内発的な動機から学習が始まる。 そのためには、まず一人ひとりが心身ともに健康で、自分の可能性を信じられる状態になることが前提になります。

ここで重要なのは、個人の幸福と組織の成果が対立するものではないということです。 むしろ、人間らしく働ける環境を整えることが、結果的に組織全体のパフォーマンス向上につながる。

「幸せを追うことで結果が出る」

この逆説的な構造こそが、ウェルビーイング経営の本質なんです。 従来の「結果を出すために頑張る」という発想から、「一人ひとりが幸せになることで自然と結果がついてくる」という発想への転換。

それを可能にするのが、人と人とのつながりのリ・デザインです。 お互いを競争相手として見るのではなく、共に成長する仲間として捉える。 個人の成功を組織全体で喜び合い、困難な時には支え合う。 そんな関係性の中でこそ、持続可能な成長が実現されるんです。

この本を読んで強く感じたのは、ウェルビーイング経営は単なる経営手法ではないということです。 それは、私たちが長らく当たり前だと思ってきた「会社」という虚構のあり方を根本から問い直す試みなんです。

人間は確かに虚構を作ることで文明を築いてきました。 でもその虚構に支配されてしまっては本末転倒です。 PHONE APPLIの実践が示しているのは、虚構を人間のために活用する新しい可能性です。

組織という枠組みは残しつつ、その中身を人間らしいつながりで満たしていく。 一人ひとりの幸福を大切にすることで、結果として組織全体も繁栄する。 そんな理想的な働き方が、もはや夢物語ではなく現実のものになりつつあることを、本書は教えてくれます。

これからの時代、私たちに求められるのは、技術の進歩に合わせて人間性を捨てることではありません。 むしろ、テクノロジーを活用しながら、より人間らしい組織を作っていくことなんです。

その道筋を具体的に示してくれる本書は、すべての経営者と働く人にとって必読の一冊と言えるでしょう。

まとめ

  • 虚構から関係性への転換――「どんな可能性を持った人なのか」という視点で関わることで、人と人のつながりを大切にしてみましょう。
  • コミュニケーションの再構築――組織の仕組みそのものを変えていくために、人と人のコミュニケーションのリ・デザインが重要です。
  • 持続可能な成長への転換――人間らしく働ける環境を整えることが、結果的に組織全体のパフォーマンス向上につながるのです。
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