- どうしたらより良い時間の使い方をすることができるでしょうか!?
- 実は、集中力をいかに高めていくか、がキーかもしれません。
- なぜなら、私たちの世界は情報化社会で発展しましたが、私たちの身体はかつての動物のままなのです。
- 本書は、動物の要素をまだ持つからこそ、集中力が持続しない私たちの身体をハックするための手引書的な1冊です。
- 本書を通じて、時間という貴重な資源の活用方針を再検討することが可能です。
より良く生きるために欠かせないことは!?
鈴木祐(すずき・ゆう)さんは、新進気鋭のサイエンスライターです。
1976年生まれ、慶應義塾大学SFCを卒業後、出版社勤務を経て独立しました。これまでに10万本以上の科学論文を読み込み、600人を超える海外の学者や専門医にインタビューを重ねています。
近年では、自身のブログ「パレオな男」で心理・健康・科学に関する最新知見を紹介し、わずか3年で月間100万PVを達成しました。さらに、ヘルスケア企業などを対象に、科学的エビデンスの見分け方や活用法を伝える講演も行っています。
代表作には『最高の体調』『超ストレス解消法』『パレオダイエットの教科書』などがあり、科学的知見をわかりやすく日常に応用するスタイルで幅広い読者から支持を得ています。
本書『ヤバい集中力』も、その活動の延長線上にある1冊であり、最新の科学をもとに「集中力」という普遍的な課題に挑んでいます。
私たちが日常で成果を上げる上で、集中力が大きな意味を持つことは直感的にも理解できます。気を散らさず、重要な課題に取り組めれば、それだけで仕事や勉強は前に進み、空いた時間を趣味や余暇にあてることもできます。
「集中力が人生の成功を左右する」との研究データが増えています。
著者が紹介するのは、ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンの研究です。彼は数万人規模の子どもを対象に性格特性や学力テストを調査し、数十年にわたって収入や健康状態を追跡しました。その結果、人生の成功を決める最大の要因は「IQ」でも「家庭環境」でもなく、「誠実性(Conscientiousness)」と呼ばれる資質にあると結論づけました。
この「誠実性」は、端的に言えば「目標に向かって注意を維持し、コツコツ取り組む力」です。
つまり集中力こそが、長期的な成果を左右するもっとも重要な要素であることが、膨大なデータから明らかになったのです。
著者はここで、集中力を「生産性の問題」ではなく、「人生を形づくる根本的な態度」と見立てます。私たちが時間をどう過ごし、どんな成果を積み上げるかは、この一点に大きく依存している。
だからこそ、集中力を鍛えることは単なる効率化ではなく、より良い生き方をデザインする営みだと強調しているのです。
集中力を高めるキーは!?
人間の身体は、実は原始時代からさほど進化していません。目の前の危険や飢餓に備えるため、私たちの脳は「反復」に強く反応するよう設計されています。
「獣の内蔵には『反復』に強く反応するセンサーが備わりました」
これは現代に生きる私たちにも引き継がれています。だからこそ、スマホの通知やニュースの見出しといった「繰り返し提示される刺激」にどうしても注意を奪われてしまうのです。
情報化社会はまさに、この古い反応システムを突いてくる仕組みに満ちています。
一方で、現代にはテクノロジーという強力な補助手段があります。記録する、アプリで遮断する、ポモドーロタイマーでリズムをつくる──これらはすべて、旧式の身体が持つクセを制御し、集中を守るための工夫です。
著者は「身体は原始的だが、世界は進化した」というアンバランスを認めつつ、そのギャップをどう設計で埋めるかを提案しています。ここに、単なるハックを超えた「集中の哲学」が見えてくると思います。
集中力を支えるのは、単なるテクニックや環境調整だけではありません。
むしろ、自分自身をどう定義するか――セルフイメージが大きな影響を与えます。
「私は根本的に読書家なのだ」と自己を定義していた場合は、事態が大きく変わります。もし集中が続かない状況に陥ったとしても、反射的に「読書家」という自己像を守ろうとする意識が働き、本の内容に意識を戻す確率が自然に上がるのです。
ここには重要な示唆があります。
つまり「自分は何者か」というイメージを持つことで、その行動が自動的に修正されるのです。これは意志力に頼らず、自己認識そのものを集中の支えにする方法だと言えるでしょう。
さらに著者は、マインドフルネスの実践も集中力を回復させる方法として取り上げています。
「あなたの感情を正しくコントロールするには、自分をじっくりと観つめる作業が欠かせません。」
私たちは気づかぬうちに、感情の波に注意を奪われてしまいます。
しかし、呼吸を整え、自分を観察する時間を持つことで、その波から距離を置くことができます。
すると注意は自然に戻り、再び集中を取り戻すことが可能になるのです。
集中力とは、外から与えられるものではなく、自己像と自己観察によって内側から築くもの。
この視点は、日々の実践に直結する深い示唆だと思います。
いかにコントロールを取り戻すことができるか!?
ただし、セルフイメージがいつも集中を助けるわけではありません。
むしろ誤ったイメージを持つことで、自分を追い込んでしまう危険性があります。
「集中力を発揮できない場面は必ず訪れます。獣がもたらす注意散漫の影響はとても大きく、つねにパーフェクトな集中力を発揮できる人など存在しません。」
それなのに、「自分は集中できない=能力がない」と考えてしまうと、セルフイメージが自己否定の根拠になってしまうのです。ここから「私の敵は私」というスパイラルに陥りやすくなります。
著者は、そもそも人間の本性は注意散漫であると強調します。
狩猟採集の環境で進化してきた私たちは、外部からの刺激に敏感に反応するようプログラムされています。つまり、集中できないのは「欠陥」ではなく、人間として自然な状態なのです。
この前提を理解することがとても大切です。
集中力を追い求めすぎても、うまくいかないときに自分を責めてしまう。むしろ「人はそもそも集中力が続かない存在」と受け入れることが、結果的に持続的な集中の第一歩になるのだと思います。
私たちは本能的に、食べたいときに食べ、遊びたいときに遊ぶといった「瞬間的な快楽」を幸せと錯覚しやすいのかもしれません。これは進化の過程で獲得した、動物としての自然な性質です。
しかし、現代の情報化社会においては、それだけでは真の自由を手にすることはできません。なぜなら、その快楽の多くは他者によって設計され、私たちの注意や行動を消費に結びつける仕組みに組み込まれているからです。
「『ヤバい集中力』を手に入れる作業は、あなたに真の自由を与えてくれます。」
集中力を鍛えることは、単なる効率化ではなく、自分の欲望や行動を自分で選び取るための基盤をつくる営みです。つまり、主体的にゴールを設定し、それに向かって歩むことこそが、本当の意味での自由なのです。
このとき自由とは、「何にも縛られない」ことではなく、「自らを方向づけること」です。瞬間的な快楽を否定する必要はありませんが、それだけに生きるのは、むしろ不自由にほかなりません。
集中力を通じて得られるのは、目先の刺激から解放され、自分の人生を自分の手でデザインするための力。その意味で本書は、時間術や仕事術の枠を超え、自由論としての示唆を私たちに与えているのだと思います。
集中力に関する1冊は、ぜひこちら「自由は、創る!?『一点集中術――限られた時間で次々とやりたいことを実現できる』デボラ・ザック」もご覧ください!!おすすめです。

まとめ
- より良く生きるために欠かせないことは!?――自らの集中力を知り、そしてそれを最大限高めるためのアプローチを取り続けることです。
- 集中力を高めるキーは!?――自己イメージの確立と、それに基づいた行動をしていくということが近道です。
- いかにコントロールを取り戻すことができるか!?――どうしたら自らが主導権を持ち、主体的に時間を使っていくことができるかが欠かせない論点です。
