- より良い人生やより良い仕事を目指していくためには何が必要でしょうか?
- 実は、視点のブラッシュアップかもしれません。
- なぜなら、世界とは私たちの認識でできているためです。
- 本書は、写真家・菅原一剛さんの写真と視点の切り取り方に関する1冊です。
- 本書を通じて、視点をいかにアップデートして、結果的に自分らしさを得る方法論を知ります。
世界は、光の中にある!?
菅原一剛(すがわら・いちごう)さんは、1960年生まれの写真家。1985年に大阪芸術大学芸術学部写真学科を卒業後、早崎治氏に師事。その後フランスに渡り写真家として活動を始め、国内外で数多くの個展を開催してきました。
1996年には撮影監督を務めた映画『青い魚』がベルリン国際映画祭に正式招待され、2004年には作品がフランス国立図書館にパーマネントコレクションとして収蔵。さらに2005年、ニューヨークのPace MacGill Galleryで行われた「Made In The Shade」展では、ロバート・フランクとともに参加を果たしました。
また、アニメ『蟲師』のオープニングディレクターを務めるなど、従来の写真表現にとどまらず映像や多分野での創作活動も展開しています。
近年は光をとらえる方法として湿板写真を探求し、古典技法と最新デジタル技法を融合させることで、新しい写真表現を切り拓いています。
2013年には初の作品集『Daylight | Blue』を刊行。写真の世界を専門家に限らず広く人々に届けることを使命に活動を続けています。
“観光”という字をよく見てください。光を観ると書きます。観光とは、もともと“光を観る”ことではないでしょうか。
菅原さんは、観光という言葉を文字通りに分解し、「光を見る」という本来の意味を取り戻そうとしています。
写真家にとって光は存在の条件そのものです。
光がなければ写真は生まれない。
だから観光とは、単なる名所巡りではなく、世界を光の変化を通じて観る行為にほかなりません。
この視点の転換は、日常を豊かにするヒントになります。
私たちは忙しさの中で、景色を「場所」としてしか見なくなりがちです。
けれども、光の加減や季節の移ろいに注意を向ければ、同じ場所が全く異なる表情を持ちます。
そこにこそ、当たり前を捉え直す契機が潜んでいるのではないでしょうか。
そしてこの「光を観る」という態度は、写真に限らず仕事や人生にも応用できます。
情報の洪水にさらされる現代において、本当に重要なのは「何を見るか」ではなく「どう見るか」。
光の射し込み方に気づくように、状況の微妙な変化を観察することで、次の行動や判断が変わっていくのだと思います。
“思い”こそが、いい写真を撮るために欠かせないと、ぼくは考えています。
菅原さんは、技術や装備よりもまず「思い」が先にあると説きます。
瞬間を切り取ることを期待する!?
写真は光と被写体の関係だけで成立するのではなく、撮る人の心がそのまま反映される営みです。
だからこそ、自分の気持ちを感じることが、写真を形づくる根幹になります。
私たちは日常の仕事においても、しばしば「やり方」や「成果」を先に考えがちです。
けれども、その奥にある「なぜ取り組むのか」「そこにどんな感情が動いているのか」を見落としてしまうことがあります。
写真が“思い”を抜きにしては深みに届かないように、行動や仕事も、気持ちを伴わなければ伝わる力を持ちません。
むしろ少し未熟であっても、思いが宿った表現や行為は、人を動かす力を持つのだと感じます。
つまり「思いを感じること」こそが、自分らしい視点を得るための第一歩なのではないでしょうか。
上手く写らないからこそ、写るもの。
菅原さんは、写真を「技術でねじ伏せるもの」ではなく、むしろ未熟さや偶然を受け入れる営みとして描きます。
少しピントが甘くても、構図が定まらなくても、そこにその瞬間だけの気配が刻まれていれば、それは唯一無二の写真になるのです。
この姿勢は、「完璧」を追い求めがちな私たちへの示唆でもあります。
どんなに準備を整えても、現実は揺らぎます。
ならばむしろ、揺らぎの中にだけ現れる瞬間を信じて、“今ここ”を切り取る勇気が大切ではないでしょうか。
「同じ時間、同じ光は二度とない」
この言葉が示すのは、二度と訪れない瞬間の価値です。
私たちは繰り返しを生きているようでいて、実は一度として同じ時を生きてはいません。
だからこそ、写真を撮ることは「瞬間を生きる」ことの延長線なのだと思います。
仕事においても、きっと同じです。
完璧な資料や計画をつくることよりも、いま起きていることに気づき、反応する。
一度しかない光を逃さずにシャッターを切るように、一度しかない会話や出会いを丁寧に受け止める。
その積み重ねが、本当の意味で「上手い」結果を残していくのではないでしょうか。
スナップ写真に“入れる”ものは、ひとつだけにしよう。
菅原さんは、あれもこれもと欲張らずに、被写体をひとつに絞ることをすすめています。
待つことを、否定しない!?
同じ画面の中に多くを詰め込もうとすると、かえって伝わる力は弱まります。
むしろ、たった一つに集中することで、その存在は際立ち、光や時間の流れと響き合うのです。
さらに大切なのは「待つこと」です。
被写体がふと笑う瞬間、光が差し込む一瞬。
そのときを焦らずに待つ。
写真とは、待ちの芸術でもあるのです。
仕事や人生も同じではないでしょうか。
複数の課題を同時に抱え込むと、焦点がぼやけ、何も際立ちません。
けれども一つに集中し、時の到来を待つとき、不思議なほどに「今だ」という瞬間が訪れます。
シャッターを切るのは一瞬でも、その背後には集中と待機の積み重ねがあります。
この姿勢こそが、写真を“いい写真”にし、人生を“自分らしい瞬間”で満たしていくのだと思います。
そうすることで、「あ、今だ!」と思える瞬間がかならず訪れます。
菅原さんは、ただ偶然を待つのではなく、待つことで瞬間を引き寄せる姿勢を強調しています。
写真を撮るとき、慌ててシャッターを切れば、どこか借り物のような画しか残りません。
けれども、ほんの10秒でも20秒でも、心を澄ませて待っていると、不思議なことに光も人も応えてくれるのです。
待つことは、単なる消極的な時間ではありません。
むしろ「瞬間を作り出す能動的な時間」なのです。
対話を楽しむように、その場に溶け込みながら相手を感じ取ることで、ふとした仕草や笑顔が訪れます。
これは仕事や人間関係にも通じます。
結論を急がず、相手の言葉や状況が熟すのを待つ。
その時間があってはじめて、本当に響く言葉や行動が生まれるのではないでしょうか。
写真における「待つ」という態度は、世界を信じ、相手を信じ、自分を信じること。
そしてその信頼の中で、「あ、今だ」と切り取る。
その繰り返しが、唯一無二の瞬間を紡ぎ出していくのです。
写真家・菅原一剛さんの言葉は、単なる撮影技法を超えて、私たちの生き方そのものに響きます。
独自の視点を持つこと。
それは、誰もが見ている世界に自分なりの「光」を見いだすことです。
同じ景色を見ても、捉える光が違えば、まったく新しい表現が生まれます。
この態度は、仕事や日常の中でも、自分だけの問いや答えを探し続ける姿勢につながっていくでしょう。
そして、自分の感性を信じて待つこと。
焦って行動するのではなく、じっと耳を澄まし、目を凝らし、心が動くのを感じ取る。
その待つ時間こそが、偶然ではなく「必然の瞬間」を生み出していくのです。
やがてその瞬間の積み重ねが、人生という物語を紡ぎ出していきます。
写真も人生も同じように、光と影が交差する時間のなかで、私たちがどんな視点で切り取るかによって輝きを変えていくのではないでしょうか。
つまり――世界は、独自の視点を持つことで確かに輝く。
その輝きを信じ、感性に従って待ち続けること。
それが、一瞬一瞬を自分らしく生きることにつながるのだと思います。
写真家の視点は、ぜひこちらの1冊「自分なりの“愛”はそこにあるか!?『カメラは、撮る人を写しているんだ。』ワタナベアニ」をご覧いただけると嬉しいです。

まとめ
- 世界は、光の中にある!?――私たちは、世界の多くの情報を光として認識することで、その捉え方をアップデートしていく視点にします。
- 瞬間を切り取ることを期待する!?――クリティカルな瞬間を待つこと、そして待つ時間の中にも、自らにフィードバックできることがあるということを知ります。
- 待つことを、否定しない!?――自分の感性を知り、自分の視点をアップデートして、そして、より良い状況、機会を待つことも重要なのです。
