【1+1>2!?】相談する力――一人の限界を超えるビジネススキル|山中哲男

相談する力――一人の限界を超えるビジネススキル
  • どうしたら、より良いアイデアを見出して、協働を引き出していけるでしょうか!?
  • 実は、相談する力がキーになるかも。
  • なぜなら、人の思考は、1+1>2なのです。
  • 本書は、仕事やプロジェクトにおいて相談する力の重要性を説く1冊です。
  • 本書を通じて、いかに人と協働していくのかについて、解像度を上げてみましょう。

相談の力とは!?

相談は、最強のビジネススキルである、と、著者の山中哲男さんは説きます。

  • 新しい事業を始めるとき。
  • やりたいことを実現しようとするとき。
  • 与えられた課題を高いレベルで解決するとき。

こうしたタイミングで、相談は力を発揮します。「一人で考えて行動する」から「みんなで考えて行動する」へと思考と行動を変えて、ぜひ、相談をものごとを成り立たせるステップの一つに取り入れてみましょう。

新しいことを始めようとするとき、一人で考えて行動しても、次の選択肢を見いだせなかったり、考え続けて立ち止まってしまったり、何を考えてよいかが分からなくなってしまうこと、が、ときどきあります。

「自力」にこだわってしまうと、そこから前に進めなくなってしまいます。

そういうスタックしてしまったときこそ、相談がものをいいます。自分だけでなく、さまざまな視点やさまざまな経験をした人に相談することで、新しい視点を得たり、新しいアイデアを見出して、状況を変える力にすることができます。

相談をすれば、もしかしたら、相談相手が、応援者になって、そのまま自分のプロジェクトを応援してくれたり、メンバーにジョインしてくれることだってあるかもしれません。相談を力にものごとを前に進める力を養いましょう。

相談こそが、最強のビジネススキルなのです。

はじめに――なぜ相談が、一人の限界を超える最強スキルなのか?

ここで、冷静に「一人で考えて行動する」ことのデメリットと、「みんなで考えて行動する(相談する)」ことのメリットを比べておきましょう。

「一人で考えて行動する」

  • 自分の考えが「思い込み」に縛られていることに気づけない。
  • 行き詰まった状況を打破するための「ネクストアクション」が見いだせない。
  • やりたいことに共感してくれる「応援し合える仲間」が増えない。
  • やりたいことや事業の「解像度」が上がらない。

「みんなで考えて行動する(相談する)」

  • 「思い込み」にツッコミをもらい、思い込みを外すことができる。
  • ネクストアクションが見つかり、行き詰まった状況を打破できる。
  • やりたいことに共感してくれる「応援し合える仲間」が増える。
  • やりたいことや事業の「解像度」が上がる。

ものごとには3段階がある!?

そもそもものごとを進めるときに、どんな段階があり、それらの段階において、相談は具体的にどのように力を発揮するでしょうか。多くのものごとは、次の3つの段階を経て、進行していきます。

1)見立て・・未検証のアイデアや思いつきのことを指し、「自分ひとりで考えている段階」です。
2)仮説・・事業やアイデアを実現していく上で、欠かせない「5つの要素」について、一度でも検証を行っている状態です。
3)計画・・「5つの要素」が一貫性をもって説明できる状態のことです。

仮説段階の「5つの要素」とは、
 ・何のためにやるのか。
 ・誰のためにやるのか。
 ・どんな商品、サービスをつくるのか。
 ・顧客との関係をどうつくるのか。
 ・実現するうえでどんな制約があるのか。
のことです。

5つの要素について、自分なりの見立てを立て、相談・検証により仮説へと進化させて、磨きをかけることで、事業の実現可能性が高まっていきます。

事業とはこの3つの段階を常に行ったり来たりして前に進んでいく、と言えます。

見立て、仮説、計画の「行ったり来たり」で事業は前進する

見立てを、仮説へ進化させるのは、相談です。「5つの要素」を一度でも、相談で仮説検証してみれば、それは仮説の段階へと進化して次のアクションを見いだすヒントを得られていることになります。例えば、「こんなことをやってみたいけど、ユーザーとしてどう思う?」という質問を投げかけて、帰ってくる言葉がそのまま一次仮説となります。

ものごとは、「5つの要素」を横断的に検証しながら、進化させて、解像度を上げていく過程です。その第一歩を相談が支援してくれます。

さらに、計画の段階において大切なのが一貫性です。ひとつひとつの要素が正しくてもそれが全体として整合性を取れていなくては、長続きしないものになってしまいます。そんなときにも、相談が力を発揮します。ものごとや事業のただ中にいる身としては、なかなか自分の進めている内容を客観的に見つめることが難しいものです。他者に相談することによって、全体観を改めて得ることができます。

「そもそも~~」や「ところで、全体を見てみると~~」などのような起点や俯瞰に立てる相談が得られると効果的です。

どんな人に相談するか!?

相談相手には、専門性の高い相手にお願いしてみましょう。「専門性が高い人」は2種類存在します。

まず、「実践知が豊富な人」です。この方は、プロジェクトや事業を前に進めるために、自ら仮説・検証を繰り返し、実践を通じて知識を深めてきた人です。そのひとならではの一次情報を大量に持っていることから、見立てをより解像度の高い仮説にしたり、一貫性のある計画に落とし込む際に、具体的な視点を提供してくれます。

さらに、「見識が深い人」の存在も貴重です。例えば、修士号・博士号を持っている人や、大学教授などのいわゆる研究職に就いている人です。あるいは、多様な企業と接点を持っているコンサルタントなども当てはまります。これらの方には、全体観で事業全体の計画や仮説のベクトルを検証する際に、視点の提供を求めるのが良いでしょう。

「実践知が豊富な人」には、余白を埋めることを期待して、「見識が深い人」には、余白を広げることを期待するイメージです。

相談を持ちかけるときには、ぜひ次の3つを必ず具体的に伝えましょう。

1)目的・・何のためにやるのか。
2)原体験・・なぜそれを自分がやろうと思ったのか。
3)現在地・・やりたいことに対して、今自分はどの位置にいるのか。

かならず上記3つを伝えます。相談相手が忙しいからと行って、1や2を省いてはいけません。目的を共有することが実はとても大切だからです。あなたが目指している未来がどんなものかを具体的に伝えることで、相談者のマインドセットを自らの方向へと引き寄せ、同じ方向(ビジョン)を見つめる視点を得て頂けます。

相談の場でまず行うべきは、答えを安直に得ることや、手段を質問してしまうことではなく、できるだけ具体的に目的を伝えることです。

相談相手の経験や知見をうまく引き出すためにも、あなたがどんな未来を目指しているのか、すなわち「目的」をなるべく具体的に伝える必要があるのです。

どんな時でも伝えるべき「目的」と「原体験」

相談というのは、答えや手段を得るため(だけ)ではありません。上述の通り、仲間を増やすことだってできるのです。あなたの思想や志に共感する人を一人でも増やすことによって、計画するものごとや事業を共にしてくれる人を増やしていく過程もとても大切なのです。

変化の時代において、ステークホルダーを集めながら、事業を再定義し続けていく進め方に注目が集まっています。こちらの投稿「【「手中の鳥」を探せ!?】エフェクチュエーション|吉田満梨,中村龍太」もあわせてぜひご覧ください。

まとめ

  • 相談の力とは!?――ものごとの解像度を上げ、さらに俯瞰する力を提供してくれます。
  • ものごとには3段階がある!?――見立て、仮説、計画を行き来しましょう。
  • どんな人に相談するか!?――2つの視点で、相談をもちかけ、仲間を集めましょう。
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