【人生において、何が大切なのか、自分で決められるか!?】高学歴難民|阿部恭子

高学歴難民
  • 学歴、どれだけ意識されていますか!?
  • 実は、ありすぎる学歴がむしろ成功を遠ざける場合もあるのです。
  • なぜなら、学歴から判断できるのは学力や専門性だけであり、人間性までは判断できないからです。
  • 本書は、高学歴難民のルポです。
  • 本書を通じて、学歴とはなにか、そして、社会を生きていくために必要なこととは何かに触れられます。
阿部恭子
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犯罪者になることも!?

学歴はあるけれど、賞味期限が切れていて買い手がつかない?

はじめに

一時はエリートと呼ばれて順風満帆な人生を歩んでいたかと思えば、30歳を過ぎてもまだ無職の方が増えています。長年の学業での経歴は認めてもらえるけど、なかなか職業につけない・・そんな方々を「高学歴難民」と呼び、本書では、ケースを取り上げています。

職業につけないあまりに、お金に困り犯罪に手を染めてしまうケースもあります。高学歴で犯罪・・といえば、汚職事件などのケースが考えられますが、実は、オレオレ詐欺などの特殊詐欺に手を染める人も少なくないそうです。

結婚して、子どもがいるけれど、自分は働き口が見つからず、妻の収入に頼るばかりの男性が、特殊詐欺に手を染めて検挙されてしまいました。その男性は誰もが知るとある有名大学で学位をおさめた人でした。

法曹難民の憂鬱!?

高学歴イコール高い志を持つ人とは限らないと思います。

第2章 法曹難民

2004年から開始された法科大学院、現在はその半数以上が廃校になっています。理由は大学院の学費が高く、法曹資格を取得した後も奨学金の返済に苦労している実態により、入学者が躊躇していることにもあるといいます。

花形と呼ばれる職業へのあこがれをすてて、困窮を余儀なくされる人も少なくありません。司法試験の受験には、受験資格を得てから5年以内に5回までしか受験できません。 5回不合格になっても、もう一度、法科大学院を出るか、予備試験に合格すれば、再び司法試験を受験することができます。

5年という期間はあまりに長く、新入社員がおおよそ一人で仕事を回せるようになる機関でもあります。人生の成長期にその期間を学習に費やし、もちろん資格を取得することができればいいでしょうが、そうでない場合は、一般の方とは異なる求職路線で自分の価値を提示しなくてはなりません。

サンクコストも、彼らを苦しめる一つの要因でしょう。サンクコスト(Sunk Cost)は、経済学や経営学において重要な概念です。これは、既に発生してしまい、回収不可能なコストのことを指します。取り戻せるはずがないコストにいつまでも後ろ髪を引かれて、未来に向けた正しい判断を誤ることもあります。

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大切なことは何か!?

「落ちるに落ちられない、上がるに上がれない」

第5章 高学歴難民が孤立する構造

高学歴難民が社会的に孤立する要因として、連帯することの難しさがあると、著者の阿部恭子さんは語ります。男性難民は、学歴のプライドに加えて、男としてのプライドの高さが連帯を遠ざけるといいます。

プライドが高いということの解像度を上げると、自己肯定感が低いことに行き着きます。現状を周囲に知られたくないので、遠方にまで移住する人もいるそうです。

高学歴難民の方には、家族(とくに両親)の意向で難しい学校や試験を目指す人も少なくありません。親が言っているから頑張る、頑張り続けなくてはいけないという呪縛に取り憑かれています。そうして、学歴や資格でしか、自分のバリューを見いだすことができなくなり、社会的にますます孤立していきます。こうした高学歴難民の受け皿に新興宗教がなっていると、指摘されることもあります。

大切なのは、いかに「自分の判断軸や価値観」を持てるか、ということではないでしょうか。高学歴→良い仕事→高報酬→幸せな人生というリニアな人生観はすでに崩れています。もっと自分らしく、自分ならではの価値観で、独自の人生を切り拓く勇気と挑戦心が本当は大切なのです。

もっと言えば、たとえ大学に入ったからと言って、そこからが大切だということを意識できるかどうかです。有名大学であれば、たとえば大学4年間何もせずに単位だけ取得すれば、ネームバリューや卒業生のつながりで、いわゆる大手企業への道が用意されていることもあります。でもそれは本当に幸せなことに繋がっているのかについて、よく考える必要があります。

高学歴難民であろうと、普通に大学(偏差値が高い大学でも、そうでなくても)を出て、就職した人でも、自分の価値を自分で作っていく活動は一生涯続くのです。就職で人生をかけたジャンプを1回だけして、あとは、何も努力しなくていいはずがありません。

社会が根底から変化する時代に突入しています。

こうした中にあって、自分の価値観やあるべき姿を自分で描く力を磨き、意志や意図をもって学習を続けて努力し続けていくことが、何より大切です。

価値観をアップデートしていくためには、社会を俯瞰的に眺めることも大切かもしれません。当たり前だと思っていたことがらに疑いの視線をなげかけることはとてもよいきっかけになります。こちらの1冊「【自分の「価値」を俯瞰し、鍛錬し続けよ!?】超入門 資本論|木暮太一」ぜひご覧ください。

まとめ

  • 犯罪者になることも!?――社会的な孤立が、彼らを苦しめ続けます。
  • 法曹難民の憂鬱!?――サンクコストにより正しい判断が損なわれていきます。
  • 大切なことは何か!?――自分の価値観のもと、努力を続けることです。
阿部恭子
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