【正しく、“ギバー(Giver)”になるには!?】GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代|アダム・グラント,楠木建

GIVE & TAKE「与える人」こそ成功する時代
  • ビジネスにおいて、ギブ・アンド・テイクが大切だ!と言われますが、それってどっちが大切なんでしょう。
  • 実は、中長期的に見れば、「ギブ」する人が、「ギブ」されて、成功を見ます。
  • なぜなら、まず先に人に与えることで、その結果、図らずもどこからかお返しがもらえるからです。(図らずも、というのがポイントです)
  • 本書は、2014年発刊のアダム・グラントさんによる、GIVE vs TAKEにまつわる超有名な1冊です。
  • 本書を通じて、仕事の仕方、そして誰と仕事をするか!?について、考えを深めることができるでしょう。

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ギブ・アンド・テイクを3つの人格で見ると・・!?

ギブとテイクを考えるときに、大切なのは、時間軸であるといいます。

三つのタイプの本質的な違いを理解するためには、それぞれのタイプの意図や行動を時間軸において見るのがよい。

誰が「成功のハシゴ」をのぼるのか

3つのタイプとは、与える人「ギバー」、受け取る人「テイカー」、そして、ギブとテイクのバランスをとる「マッチャー」です。「ギバー」は、起点がギブです。反対に「テイカー」は、起点をテイクに置きます。それぞれ思考の順番が全く異なるのです。因果関係が待った異なると言っても良いかも知れません。

あなたのまわりは、どちらの人が多いですか!?じつは、自分がどちらに当たるのか、あるいは、一緒に仕事をする人がどちらに当たるのかをしっかり見極めることが、ものごとを理想的に進める一つの着眼点になります。

なぜなら、「ギバー」が中長期的には、成功をおさめるからです。

この点、過去の投稿「【VUCAの正しい備え方とは!?】最強の教養 不確実性超入門|田淵直也」の見解に触れるところがあります。この本では、中長期的に見て、正しいことをし続けることが、不確実性に対応するひとつの方法だと説かれており、まさに「ギバー」が成功するという論拠としても捉えても良さそうです。

では、圧倒的に「ギバー」になれば、いいの?!って思うかもしれないのですが、それではいけません。なぜなら、自分の利益度外視にギブしていては、自分が幸せになれません。こうして、とにかく献身的になって与えるだけの人を著者のアダム・グラントさんは、「自己犠牲的なギバー」と呼びます。このギバーが圧倒的に足りないのが、「自己利益の関心」です。

自分の利益も相手の利益もどちらも大切にできる人を「他者志向の成功するギバー」と呼び、なるべくここを目指していきたいと言います。

そもそも人は、ギブなの!?テイクなの!?

人は、そもそもギブか、テイクかどちらなのでしょうか。あるいは、別の言い方をすれば、利己的 or 利他的ということになるかも知れません。でもこの「2つに分割してどちらでしょ!?問題」は落とし穴であることを知らなくてはいけません。どちらかではないのです。両方を持ち合わせているのが、人なのです。

たとえば、「自己利益」と「他者利益」についての著者の議論がその典型だ。多くの人は「他者に利益を渡す=自分の利益がなくなる」と考える。だから、「他者のために何かしてあげたい」「ギバーになりたい」と思っても、なかんかか行動できない。
しかし、「自己利益」と「他者利益」は一つの次元の両極ではない、したがって相反するものではない、と著者は主張する。

誰が「成功のハシゴ」をのぼるのか

そうなんです。どちらか一方では、ないのです。

そういえば、余談ですが、二項対立って、もっともなようで、ワナがあります。ちょうど過去の投稿「【わかりあえない時代の対話手法とは!?】はじめての哲学的思考|苫野一徳」においても、二項対立的な議論は、ワナだと説かれていました。もっというと、ニセの問いだと。なにも、どちらか一方を選ぶのが大切ではないのです。本質的な問いは、それらを含有した先にあります。

理想的な「他者志向の成功するギバー」を目指すには!?

「他者志向」になるということは、受けとるより多くを与えても、けっして自分の利益は見失わず、それを指針に、「いつ、どこで、どのように、誰に与えるか」を決めることなのである。

やる気に火がつく「エンジン」とは

ここでもとにかく「ギバー」は、ギバーです。「いつ、どこで、どのように、誰に『与えるか』」なのです。ギバーは、このことを考えて、テイクについては一切を放棄しているかのようでもあります。でも、最終的には、巡り巡って、もたらされるのですが。

では、どういう心構えが大切かというと、自分の利益と他者の利益が溶け合ったところを探すことです。これを見つけることが大切なのです。もしかしたら、「応援」よりももっと自分ごと化した、「協働」や「共同」あるいは「共創」というような表現が合うのかも知れません。相手と自分が溶け合って、同じ穴の狢(むじな)になって、利害関係よりもまず目標を共有する、そんな関係を作り合えるかどうかがポイントなのです。

要するに、自分がその仕事をせずにはおれないという”意義”がポイントだ。「自分にとって意義のあることをする」「自分が楽しめることをする」この条件が満たされれば、ギバーは他人だけではなく、自分にも「与える」ことができる。

誰が「成功のハシゴ」をのぼるのか

そんな「ギバー」は辛くないのでしょうか!?実は「ギバー」も、しんどくなるときがあります。

ギバーが燃え尽きるのは、与えすぎたことよりも、与えたことでもたらされた影響を前向きに認めてもらえないことが原因なのである。
ギバーは、与えることに時間とエネルギーを注ぎ込みすぎるせいで燃え尽きるのではない。困っている人をうまく助けてやれないときに、燃え尽きるのである。

「意味のない仕事」に誰もが燃え尽きる

そう考えると、「ギバー」になるためにも、勉強が大切ということになるかも知れません。助けようとしても、そこにまごころとスキルと経験がなくては、相手に正しい手を差し伸べることはできないかも知れませんから。だから、勉強が大切なんです。きっと。私は、そう思いました。

たとえば、勉強とは、別の視点の獲得だとも言えるかも知れません。一義的にものごとを決めつけるのではなくて、いろんな視点があることを知ることは、勉強がもたらしてくれる重要な能力です。これを身につけるためには、過去の投稿「【ものごとの本質的な見方とは!?】本質を見抜く「考え方」|中西輝政」がとても参考にあります。ぜひ、本書のご一読をおすすめします。

そして、話は、ギブ・アンド・テイクにもどります。さらに処世術として大切なのが、相手が、「テイカー」か「ギバー」かを見極めて、「テイカー」である場合は、こちらも身構えて、あえて「マッチャー」のように対応することです。そうでなくては、単に取られておしまいになって、幸せになれません。この時、ひとつの見極め方として喋り方がヒントになるといいます。

ギバーはゆるい話し方をすることで、相手に「あなたの利益を一番に考えていますよ」というメッセージを伝えている。

知らずしらずのうちに心をつかむ「説得術」

だから、「テイカー」はこの反対です。とても声高で、威圧的で、強気のコミュニケーションをするはずです。なぜなら、自分の主張を通して、いくらかでも多くのテイクを引き出したいからです。ただ、気をつけなくてはいけないのが、喋り方のHOWの部分だけを見ても、激しい「ギバー」やおとなしい「テイカー」も居るので、見極められません。結局、いろいろな人と付き合う中で、自分の目を養うことがポイントなのかもしれないですね。

「ギバー」は与える、そして「ギブン」を受けとる。それは、きっとそのまた「ギバー」からの「ギブン」なのかもしれないですね。「ギバー」エコノミーを信じてみたくなりました。

まとめ

  • ギブ・アンド・テイクを3つの人格で見ると・・!?――与える「ギバー」が長い目で見て成功します。
  • そもそも人は、ギブなの!?テイクなの!?――両義性があります。その両方を満たすところに正しい「ギバー」を目指す視点が隠されています。決して、ギブ or テイクという二項対立の問いに惑わされてはいけません。
  • 理想的な「他者志向の成功するギバー」を目指すには!?――どちらか一方ではなく、相手と自分が溶けたところにヒントがあります。

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