なぜHOWのあとに、WHATか!?――ゴールデンサークルの順番に隠された深い意味

なぜHOWのあとに、WHATか!?――ゴールデンサークルの順番に隠された深い意味

増田みはらし書店・店主の増田浩一です。

サイモン・シネックが提唱した「ゴールデンサークル」をご存知でしょうか。中心から外側に向かって「WHY(なぜ)→ HOW(どうやって)→ WHAT(何を)」の3つの円で構成された、組織や個人の行動原理を表すフレームワークです。

WHYは「なぜそれをするのか」という目的や理念。
HOWは「どうやってそれを実現するのか」。
WHATは「何をするのか」という具体的な商品やサービス。

多くの組織がWHATから始めるのに対し、優れたリーダーや組織はWHYから始める、というのがシネックの主張です。

広告会社でのプランニングにおいて、私はこのフレームワークを活用することがよくあります。

そんな中で、ずっと疑問に思っていることがありました・・・。

なぜHOWのあとに、WHATが来るのか?

WHYが核心であることは納得できます。

しかし、WHAT(何をするか)は成果や商品、つまり目に見える部分。

では、その前に置かれるHOW(どうやって)は、単なる手段ではないのでしょうか?

もしそうなら、WHATと順番を入れ替えても良いはずです。

プランニングの現場でこの疑問が膨らんだため、改めて調べてみました。すると、この順番には深い理由があることがわかったのです。

そしてその理由こそ、HOWを軽視しないための鍵でもありました。

HOWは「方法論」ではない!?

多くの人がHOWを「やり方」や「手法」として捉えています。しかし、それは大きな誤解です。

  • WHYは理念や存在意義。
  • HOWは、その理念をどのように表現し、実現するかという姿勢や設計思想
  • WHATは、その結果として形になるものです。

HOWを飛ばしてWHYからWHATへ直行すると、こうなります。
「理念は素晴らしいが、どう実現しているのかわからない」
「結局商品ありきの話に聞こえる」
「流行りの手段に振り回され、理念と接続できなくなる」

これらの現象が起こるのは、現代の分業社会にも一因があります。

専門化が進む中で、私たちは「そもそも何のために?」という根本的な問いに触れずに済む仕組みの中で生きています。

与えられた役割を効率的にこなすことが求められ、全体を俯瞰して本質を問う機会が減っているのです。

HOWの本質 ――「信念の具現化」として

HOWの本質は、「信念の振る舞い方」です。

それは理念が現実世界と接触する最初の接点であり、そこには価値観のすべてが宿ります。

WHYが内なる理念だとすれば、HOWは外の世界との最初の接点。だからこそ、ここで真価が問われるのです。

この「信念の具現化」としてのHOWは、4つの視点で捉えることができます。

1)哲学的視点 「どう世界と関わるか」という態度や姿勢。
短期利益より長期的信頼を優先する、といった根本的なあり方です。

2)(構造やシステムあるいはブランドの)設計的視点 信念を形にするための原則やデザイン原理。
例えば、Appleの「すべての製品は直感的で、美しく、シンプルであるべき」といった、創造の指針です。

3)文化的視点 ふるまいや関係性ににじみ出るあり方。
接客や社内ミーティングでの態度にまで理念が反映されている状態です。

4)経営的視点 価値観に沿った戦略や意思決定基準。
理念に反する案件を断る勇気も、ここに含まれます。

特に見落とされがちなのは、最初の哲学的視点です。

「そもそもどうあるべきか」という根本的な問いかけを、私たちは日常の忙しさの中で後回しにしてしまいがちです。

HOWの違いが「らしさ」を決める!!

同じWHYを掲げても、HOWが違えばまったく別物になります。

例えば、スターバックスと街角の個人経営の喫茶店を考えてみてください。どちらも「人と人をつなぐ場所を作る」という理念は共有できるかもしれません。しかし、そのHOWが根本的に異なるため、まったく異なる「らしさ」が生まれています。

スターバックスのHOWは、世界中どこでも同じ品質とサービスを提供することで、移動の多い現代人に安心感を与える、というもの。標準化されたオペレーションと空間デザインが、その信念を体現しています。

一方、個人経営の喫茶店のHOWは、店主との個人的な関係性や手作りの温かさを通じて、地域に根ざした居心地の良さを創出する、というもの。
常連客一人ひとりの好みを覚え、季節ごとに手作りメニューを変える、といった行動がその信念を表現しています。

それぞれ、その結果として、WHATが見出されていきます。

このように、HOWは理念が“ふるまい”として立ち上がった姿

それは簡単には模倣されない、唯一無二の資産なのです。

ゴールデンサークルが教えてくれる価値創造の本質とは!?

ここで最初の疑問に戻ります。なぜHOWがWHATより先に来るのか。

それは、HOWが決まって初めて、WHATの形が見えてくるからです。

信念をどのように表現するかが決まらなければ、何を作るべきかも定まらない。HOWという「あり方」が先にあって、その結果としてWHATという「成果」が生まれる。

この順番は、価値創造のプロセスそのものを表しているのです。

そして、今、あらためて確認したいことがあります。

いま、関係している組織のHOWは、信念にふさわしい「姿勢」になっているでしょうか。
それは単なるやり方ではなく、”あり方”として語れるでしょうか。
そして何より、そのHOWから生まれるWHATは、あなたの理念を体現しているでしょうか。

時には立ち止まり、「そもそもどうあるべきか」という哲学的な問いかけに向き合う時間を作っていただくのも良いかもしれないと思いました。

プランニングの現場で感じる疑問のように、身近なフレームワークの中にも、価値創造の本質が隠されているかもしれません。

その問いの中にこそ、あなたらしい価値創造の種が眠っている可能性があります。

それでは、また来週お会いしましょう。

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