写真は、愛の結実!?『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』幡野広志

うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真
  • 世の中において、どのような視点が重要でしょうか。
  • 実は、好奇心と行動力かも。
  • なぜなら、写真家も、この2つを備えている人が、よい写真を残すことができるから。
  • 本書は、写真家・幡野広志さんの写真に関する論点から、社会との関わりの普遍性を見つけられる1冊です。
  • 本書を通じて、よりよい視野・視点・視座というものが、どのように育まれるかを知ります。
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よいことを突き詰めていくためには!?

幡野広志(はたの・ひろし)さんは、1983年東京都生まれの写真家・ライター。日本写真芸術専門学校を中退後、写真家・高崎勉氏に師事し、2011年に独立。Nikon Juna21受賞やエプソンフォトグランプリ入賞など、作品は高く評価されてきました。

2017年、多発性骨髄腫を発病し余命3年を宣告されるという出来事は、その後の作家活動や発信に大きな影響を与えます。狩猟免許を持ち、自然や人との距離感を大切にした作風が特徴です。

著書には『ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。』『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』などがあり、写真とエッセイを通じて「生きる意味」や「関係性の在り方」を問いかけ続けています。

時に率直な発言が議論を呼ぶこともありますが、その背景には、自身の生育経験や病を経て獲得した人生観があります。本作でも、写真をめぐる“技術”と“価値”の関係を、飾らない言葉で掘り下げています。

世の中において、どのような視点が重要でしょうか。

実は、好奇心と行動力かもしれません。
なぜなら、写真家も、この2つを備えている人が、よい写真を残すことができるからです。

幡野広志さんは、写真に向いている人の特徴としてまず「好奇心が旺盛であること」を挙げます。日常の中にあるささいな物事や風景に「おもしろさ」を見つけられる感度、そしてその感動を形にしたいと思う気持ち。さらに「行動力」が加われば、その関心をすぐに確かめに行き、誰かに会い、何かをすることができます。

「好奇心が強く行動力の高い人が写真に向いている」

この2つの特性があれば、知識や技術は後からいくらでも伸ばせます。写真は、被写体のことを深く知り、丁寧に向き合うほど、撮る人の思いが写り込むものだからです。

本書は、写真家・幡野広志さんの写真に関する論点から、社会との関わりの普遍性を見つけられる1冊です。
本書を通じて、よりよい視野・視点・視座というものが、どのように育まれるかを知ります。

幡野さんは、映画や漫画のようにストーリーやセリフで補足される表現とは異なり、写真は基本的に言葉を持たないメディアだと指摘します。だからこそ、写真の力は「説明のいらないほど伝わること」にあります。

「写真を見た人がそれぞれ感じてほしい」
「言葉にならないことを撮りたい」

確かに、言葉がなくても伝わる写真は存在します。歴史に名を残すような名作は、その一枚だけで状況や感情を呼び起こし、鑑賞者に強い印象を残します。しかし幡野さんは、同時にこうも述べます――言葉がないと伝わらない写真もあると。

つまり、「いい写真」とは単に感覚的に優れているだけではなく、それを見る人に“何を伝えるか”が伴っているもの。言葉は写真に添えられるキャプションかもしれないし、撮る人が持つ思いそのものかもしれません。幡野さんは、この「言葉と写真の両輪」があってこそ、本当に人の心に届くと考えています。

この視点は、私たちの仕事や日常においても示唆的です。成果物や行動そのものに加えて、それを支える“語る力”や“背景の物語”を持つことで、より深く相手に届くのです。

いい写真とは!?

幡野さんは、写真を「うまい/へた」と「いい/わるい」の4象限で捉えます。
歌にたとえるなら、「うまいけど心に響かない歌」と「へたでも胸に残る歌」があるように、写真にも技術と価値は別軸で存在するのです。

「写真は、うまくなくてもいいんです」

この言葉は、写真を“評価の対象”ではなく“誰かに届くための手段”として位置づける発想を表しています。もちろん、うまさを目指す努力は尊いことですが、技術だけを追い続けると、いつの間にか「何のために撮っているのか」が抜け落ちてしまう危険があります。

幡野さん自身も、専門学校を中退し、アシスタント時代に数多くの現場で腕を磨きました。しかし振り返れば、その過程で気づいたのは「写真はうまくなくてもいい」という事実。大切なのは、技術を積み上げる過程でも、未熟な段階でも、「誰に」「何を」届けたいのかを忘れないことでした。

この視点は、写真に限らずあらゆる表現や仕事に通じます。結果の“精度”を追いかけることも必要ですが、同時に“意味”や“意図”を問い直すことで、より人の心に届くアウトプットが可能になるのです。

人が写真を撮る理由は、単に出来事や景色を記録するためだけではありません。幡野さんは「何かを伝えたい」という欲求こそが根底にあると指摘します。これは食事や睡眠と同じように、人間が本能的に求める行為の一つ。

「伝えるというのはコミュニケーションだから」

言葉のない時代、人は壁に絵を描き、文字を刻み、やがては写真や映像を生み出しました。現代では、スマホのメッセージやSNSもその延長線上にあります。つまり写真は、特別な道具やスキルのある人だけのものではなく、人が人である限り持ち続ける“伝達の手段”なのです。

そして、この「伝えたい」という欲求は、誰かを感動させるためだけではなく、自分の感動をもう一度呼び起こすためにも働きます。旅先で見た光景、音や匂い、そのときの空気感。写真はそれらを閉じ込め、あとから自分の中に再び灯すことができます。

この視点に立つと、写真を撮る行為は単なる記録ではなく、「自分と世界の関係を確かめ、再びつなぎ直す営み」として見えてきます。それはうまい・へたを超えて、誰にでも開かれた人間的な活動なのです。

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好きなものへの解像度が重要!?

写真を撮ることは、突き詰めれば「好きなものとの距離感」を探る営みです。

初めてカメラを手にした人が風景や家ネコ、旅先の一コマを撮りたくなるのは、それが自分の関心や感情の延長線上にあるからです。しかし、撮り続けるうちに人はしばしば、他者の評価や“うまく撮る”ことに引きずられ、自由さを失ってしまうことがあります。

幡野さんは、そこで立ち戻るべき原点を示します。
それは「自分が見たいもの、好きなものを素直に撮る」ということ。たとえそれが技術的に未熟であっても、被写体への関心と向き合う姿勢こそが写真の核になるのです。

この「好きなものを撮る」という行為は、まさに冒頭で触れた好奇心と行動力の掛け算です。好奇心が被写体を見つけ、行動力がその瞬間にカメラを向ける。そこに技術は後からついてきます。逆に、好奇心や行動が伴わない写真は、どれほど技巧を凝らしても空虚に見えてしまうでしょう。

好きなものとの距離感を正直に保ち、それを行動で掴み取る。このシンプルな態度こそが、写真を“いい”ものに変える土台なのです。

写真家のアプローチとは、被写体を「どう見せるか」以上に、「どう関わるか」を問い続ける営みです。幡野さんが語るように、いい写真は伝わる写真であり、それは対象に向けられた愛情や関心の結晶でもあります。

「写真はキャプションひとつで見え方がまったく変わる」

言葉が伴えば、同じ写真でも印象は180度変わる。逆に、言葉がなければ、たとえ魅力的な構図や光で撮られていても、その写真は不安定な存在になりかねません。写真と言葉は別物ではなく、互いを補完し合う関係なのです。

だからこそ、写真家にとって大切なのは、技術や機材の進化にとらわれず、対象との距離感や関わり方を絶えず問い直すこと。

好奇心で被写体を見つけ、行動力でその瞬間を掴み取り、言葉でその背景や意味を編む。この三位一体のプロセスが、人の心に届く写真を生み出すのだと、本書は教えてくれます。

写真家の独自性と愛を感じるためには、こちらの写真集「みんなで働くのって、きっと楽しい!!『ニッポンのはたらく人たち』杉山雅彦」もおすすめです。ぜひご覧ください。

まとめ

  • よいことを突き詰めていくためには!?――絶えず好奇心と行動力を磨いていくことです。これらは、相乗効果で高め合うことができます。
  • いい写真とは!?――そこに独自で伝えたいことがあるかどうか、ということです。そして、それが確実に表現されているところ。
  • 好きなものへの解像度が重要!?――実は撮る人の心とスタンスを反映させるのが、写真でもあるのです。
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