- AIとより良い協働をしていくためには、どのような観点が必要でしょうか。
- 実は、AIの特徴を活用しながら、人間の連想を止めない視点が重要かも。
- なぜなら、人がいかに考えを豊かに持ち、意志を見出すかが、何より大切だから。
- 本書は、AIの活用シーンと方法を具体的に説いてくれる1冊です。
- 本書を通じて、これからの時代において、どのような論点を持つことが手応えある人生を切り拓いていくのかを考えるヒントを得られます。
AIとは一緒に何かをするべきである!?
石井力重(いしい・りきえ)さんは、創造的思考の分野で日本を代表する実践者・研究者のひとりです。
アイデア創出支援の専門会社「アイデアプラント」の代表を務める一方で、早稲田大学や名城大学、東北工業大学などで非常勤講師として教鞭もとっています。専門はデザイン論や創造的思考法、アイデアの基礎など。
東北大学大学院(理学)を修了後、ハイテク専門商社での勤務を経て、創造工学を学ぶべく工学・経済学の両大学院に進学。途中退学ながらも、その後はNEDOフェローとして大学発ベンチャーに従事し、2009年にアイデアプラントを設立。以来、創造工学の研究や、ブレインストーミングツールの開発、アイデアソンや創造性研修の設計・実施など、現場と理論を往復する実践を続けています。
これまでに携わった企業や教育機関は600以上、延べ2万人以上が彼のプログラムを体験。Google、Microsoft、NTTドコモ、富士通、KDDIといった国内外の大手企業でも、創造性開発のパートナーとして信頼を得ています。
開発したツールも高く評価されており、アイデア創出カード「ブレスター」は「みやぎものづくり大賞」を、発想用メモ紙「nekonote」は日本創造学会の学会賞を受賞。著書に『すごいブレスト』(フォレスト出版)などがあります。
AIは、いつでも、どこでも、何度でも頼れる相談相手。
このフレーズを見て、「そんなこと、もう当たり前では?」と感じる方もいるかもしれません。
たしかに、ChatGPTのような生成系AIを使えば、情報検索や文章作成、要約、翻訳、コード生成など、私たちの仕事や生活は格段に効率化されるようになりました。
けれど、著者・石井力重さんが本書で提示しているのは、そうした「AIにやらせる」使い方ではなく、「AIと一緒に考える」という発想です。
重要なのは、AIをツールとして使うのではなく、対話のパートナーとして活用するという視点の転換です。
AIは、疲れも気分も、上司も部下も気にしない。反論しても怒らないし、何度でも質問に答えてくれる。つまり、私たちが思考を深めたいとき、あるいは発想を広げたいとき、気兼ねなく、何度でも、安心して問いかけられる相手なのです。
たとえば、アイデアが浮かばないとき、「もっと視点を変えて考えたい」「別の業界ではどうしているか知りたい」「この発想に似た事例ってある?」と、脳内で独り言のように問いかける──そんなとき、AIが返してくるのは、まるで信頼できる知的な相棒のような反応。ときには、自分では思いつかなかったような切り口を提案してくれたりもします。
思考とは、そもそも対話的な営みです。
自分自身と、他者と、あるいは世界と対話しながら、認識を更新していく行為です。
であるならば、AIという存在を、思考のための“対話の器”として使いこなすことこそ、私たちがこの新しい時代において、思考を拡張していくための鍵なのかもしれません。
本書『AIを使って考えるための全技術』は、まさにその「AIと考える」ための土台を、実践的な視点で与えてくれる一冊なのです。
創造性は特別な人のもの? それとも、すべての人に求められるもの?
「創造性」と聞くと、どこかクリエイターや芸術家、あるいはデザイン職の人たちにしか関係のない話だと感じてしまう人も多いのではないでしょうか。
けれども実際には、ビジネスの現場で日々必要とされているのは「自分の頭で考えること」──つまり、あらゆる職種で求められる創造的な姿勢なのです。
商品企画、販売促進、ユーザー課題の発見、新規事業の構想、ブランディング、予測困難な社会課題への対応…。いま、あらゆる現場において「誰かが決めたことを遂行する」だけでは済まされない局面が増えています。
こうした背景から、創造性はもはや一部の人にとっての特権的な能力ではなく、私たち一人ひとりが現場で発揮すべき「共通スキル」となりつつあります。
そしてそこに、AIという新たなパートナーが登場しました。
著者・石井力重さんは、以下のように語ります。
AIが人の「創造性」をアップデートする。
創造性とは、ひとりでひねり出すものではなく、刺激によって生まれるもの。
であるならば、問いかけに応じ、角度を変え、ヒントを返してくれるAIこそが、創造性をもっと身近にしてくれる存在ではないでしょうか。
自らを見つめること!?
大切なのは、AIを思考プロセスに組み込んでいくことです。
連想 → 想像 → 創造 という思考のスパイラルを回すとき、AIが提示するアイデアや情報を“きっかけ”として活用することで、自分自身の思考の幅がぐっと広がります。
たとえば、
「アイデアが出ない……」と悩むときに、AIにジャンルを横断した類似事例を尋ねてみる。
あるいは、「これはありきたりかな?」と思った案を、AIに意図や背景ごと説明し、“もっと意外性のある表現”を提案してもらう。
こうしたプロセスは、単なる補助ではなく、発想そのものを共創する関係へと進化しているのです。
本書『AIを使って考えるための全技術』は、まさにそのような「AIと共に考える」実践を、ステップバイステップで導いてくれる一冊です。
AIとの対話のコツ、発想の広げ方、アイデアの評価と絞り込み、さらにはプロンプト(指示文)の設計技術まで──
これまで石井さんが600以上の創造性ワークショップで培ってきた知見をもとに、「個人の発想力」と「AIの知識力・連想力」を融合させる技術が惜しみなく紹介されています。
特に印象的なのは、「AIは創造性を奪うのではなく、創造性を鍛えるパートナーである」という明確なスタンスです。
本書は、AIとの付き合い方に不安を感じている方にも、「あ、こんな使い方ができるのか!」という発見を与えてくれます。
そして、創造的な仕事をしたいすべての人にとって、“思考の第二脳”としてのAI活用法を実感させてくれる、実用的かつ哲学的なガイドブックとも言えるでしょう。
アイデアとは、既存の要素の組み合わせです。
この言葉は、広告業界で知られるジェームズ・W・ヤングの発想法に由来する有名な定義です。まったくのゼロから何かを生み出すというよりも、異なる要素をつなぎ合わせることで新しい意味を構築するのが、創造という行為なのだという考え方です。
そう考えると、AIはこの「組み合わせの起点」を提供してくれる存在だといえるかもしれません。
たとえば、自分が何気なく打ち込んだプロンプトに対して、AIが異分野から引っ張ってきたユニークな事例や、これまで触れてこなかった視点を提示してくれたとします。
その一つひとつは、単体ではありふれていたり、ピンとこないこともあるかもしれません。
けれども、そうした“素材”を自分の知識や関心と掛け合わせていくことで、自分だけの問いや仮説が生まれる──そこにこそ、AIとの共創の価値があります。
つまり、AIは“完成された答え”を出してくれる存在ではなく、「発想のきっかけ」をいつでも提供してくれる相棒なのです。
創造のプロセスとは、連想→想像→創造へと向かうなかで、あらゆる可能性を受け入れ、取捨選択し、編集していく連続的な営み。その過程において、AIの提案に「これはどうだろう?」「なんか違うな」「でもこの切り口はおもしろいかも」と問い直していく中で、自分自身の“考える力”が鍛えられていくのです。
このように、本書はAIを“外部の知能”としてではなく、“内省の鏡”として使う道を示してくれます。
連想と問いがキー!?
創造性は、特別な才能ではなく、誰もが必要とされる“日常のスキル”になりつつあります。
そしてAIは、その創造性を引き出す柔らかな相棒として、私たちのそばにいます。
大切なのは、「AIに考えてもらう」ことではなく、「AIと一緒に考える」こと。
ときに広げ、ときに揺さぶり、ときに疑問を返してくれる存在として、思考のプロセスにAIを組み込んでいくことが、これからの時代に求められるスタンスではないでしょうか。
AIが出したアイデアを素材にして、そこから一段上がったオリジナルのアイデアを出すことが大切です。
本書『AIを使って考えるための全技術』では、そんなAIとの対話を豊かにするための56の具体的な技法が紹介されています。
連想を刺激する方法、問いを設計する工夫、AIとの対話を思考の訓練に変える技術──まさに、AI時代の“創造的思考の教科書”ともいえる内容です。
AIをただのツールとして使いこなすのではなく、思考を共にするパートナーとしてどう育てていくか?
そんな問いに、きっと本書は応えてくれるはずです。
ぜひ、あなた自身の「考える力」をAIとともにアップデートしてみてください。
まとめ
- AIとは一緒に何かをするべきである!?――考えさせるのではなく、一緒に考えるということです。
- 自らを見つめること!?――AIを通じて、自らの思考や視点にふれることが重要です。
- 連想と問いがキー!?――自分の思考の刺激剤として、AIを上手に活用してみましょう。
