【新しい秩序のつくり方とは!?】フローとストック 世界の先が読める「思考」と「知識」の法則|細谷功

フローとストック 世界の先が読める「思考」と「知識」の法則
  • どうしたら、世の中の流れを読むことができるでしょうか。
  • 実は、混沌の中にいかに秩序を見出すかが、キーになります。
  • なぜなら、こうして人類は社会を構成し、アップデートしてきたからです。
  • 本書は、社会の仕組みをフローとストック、抽象と具体で見出す1冊です。
  • 本書を通じて、社会の仕組み化の流れを理解し、「次の動き」に敏感になることができます。

ものごとのサイクルとは!?

前回投稿「【企業は“ストック”!?】フローとストック 世界の先が読める「思考」と「知識」の法則|細谷功」に続き、今日も本書『フローとストック 世界の先が読める「思考」と「知識」の法則』のレビューを続けてみたいと思います。

フローとストック、さらに抽象と具体で、世界を知ること、そしてこれからの展開を予測することを志向する本書。今回の投稿では、さらに踏み込んで、どのように4象限を行き来していくのかを知ります。

4象限の行き来とは、まさに社会や世の中の一般的な流れです。これを知ることによって、毎日の生活に新しいアンテナを張り巡らせ、これから人類や社会が向かっていく先を知ることができます。

日々の事象の構造を理解し、仮説を立てよう

日々の事象の構造を理解し、仮説を立てよう

ものごとの起点は、混沌にあります。それは、4象限のうちフロー×具体の状態です。混沌状態に耐えられない多くの人は、それを整理しようとします。整理とは、「同類のものをまとめる」ということです。まさに抽象化そのものとなります。この過程で、フロー×抽象に移行します。

さらに、人は、整理されている状態をキープしたいと願うようになります。その結果、言葉にして、ラベリングしたり、あるいは棚を作って整理することを目指します。これがストック×抽象への移行となります。ルール化と言ってもよいでしょう。

このあとの整理整頓は円滑に進みます。結果的にある程度の期間、秩序が保たれていくということになります。

辺境から変化が生まれる!?

しかし、この秩序も長く続かないのです。一度決めた整理方法ではうまく整理できないものが徐々に増えてきます。これらのことを例外事項=アノマリーと言います。一部が、再度混沌に向かうことで、さらに大掃除の必要性が高まってきます。この時、新たに棚を整理して、新たな整理方法を確立しようとします。

そして、その試行錯誤からベストであると判断された整理の仕方(ストック×抽象)が再び、新しいライフスタイルに応じて確立されていきます。

例えば、法整備についてもこれと同じようなことが見られるでしょう。新しいニーズや新しい暮らし方、あるいはサービスが登場する中で、それまでの世界観が混沌とします。最近では、ライドシェアや空き家を活用したスポット宿泊施設、ドローンの利活用などが記憶に新しいでしょう。ある程度の「線引き」のコンセンサスが得られてからルールとして明文化されて、制度として施行されていきます。

この明文化された状態が、ストック×抽象の状態と言えます。そして、その明文化された状態に応じて、社会が適応していくことが、ストック×具体と言えます。

つまりこうした、世の中の流れを一般論として見つめていくことで、少し先の未来を予測することが可能になります。

上記の流れを俯瞰すると,以下のような流れになります。

  • 世の中の変化によって、集団からはみ出して秩序を乱す何らかの事象を制限する必要が生まれる。
  • そのためには、何らかの「線引き」(ここまではOKだが、ここから先はNGなど)が必要となる。
  • そうした「線引き」+制限をルール化して、人々に普及させる。
  • しばらくのあいだはルールが有効に機能し、集団生活がスムーズに進行する。
  • 時間の経過とともに世の中が変わり(技術革新や人々のライフスタイルの変化など)、先に定めたルールがうまく適用できない場面、理に適っていない場面が出てくる。
  • 世の中の状態に合わせて新たな「線引き」が定義され、そして新しい様式として定着していく。

変化の時代は「その他」に属するものから

時代の変化は「その他」に属するものから

変化の時代を捉えるキーは、混沌の中にあります。これまで当たり前だった枠組みから外れるものごとに焦点を当てることで、それらが何かを破壊的に創造していくさまを想像することが可能になります。

結果として、未来を予測することが可能になります。未来は辺境から生まれる。そう信じて、新しい流れに敏感になってみましょう。

人も社会も同じ!?

4つの象限の行き来とは、実は、一人の人の知識の蓄積とアンラーンにも関わってくるのです。

知識はいかに生まれ、更新されるのか

人間の学びのサイクルとアンラーン

人が混沌の中から経験を積み、自らの知恵として蓄積していきます。こうした過程により自らのノウハウと呼べるような予測体系を作ることができます。こういう人は、こういう考え方や行動をするな・・とか、こういう状況のときは、きっとこうなる・・というふうに。

そうすることによって、状況に応じた対応が上手になります。

しかし、それが積み重なることで、これまでとは異なる新しい取り組みやアクションが取りづらくなっていきます。社会は変わっていっているのに、自分が何も変わらない状態では、進展が見られづらくなっていき、スタックしてしまいます。

そこで、必要になるのが、アンラーンです。まさに、ストック×抽象、ストック×具体の状態を破壊して、新しい行動や考え方を取り入れることで、自分をアップデートしていく過程です。

一生の中では、こうしたアンラーンとアップデートが繰り返し行われていき、人は成長していくのです。これらの破壊的創造には、痛みを伴うこともあるでしょう。これまで当たり前だと信じてきたことが、揺るがされるのです。人は変化を危機だと捉えるバイアスを持っているので、余計に不安になります。

でも、そうした変化をポジティブに受け入れていった先に、新しい地平があるのだと信じることが、実は、自らの未来を唯一作る方法でもあります。

知恵や知識のストックは両刃でもあります。しかし、それと上手に向き合うことで、人生や社会をよりよく変えていく力になります。可能性を信じて、変化を受け入れ続けて、再定義を繰り返していくことが、私たちが歩む道なのかもしれません。

まとめ

  • ものごとのサイクルとは!?――フロー→ストック→抽象→具体を回りめぐります。
  • 辺境から変化が生まれる!?――常に変化は周辺領域から生まれていきます。
  • 人も社会も同じ!?――概念や知識の新陳代謝をポジティブに受け入れてみましょう。
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