読書とは、自分を知ること!?『本は人生を生き抜く最強の武器である』コ・ミョンファン,小笠原藤子

本は人生を生き抜く最強の武器である
  • どうしたら人生を輝かせることができるでしょうか。
  • 実は、逃げないこと、向かっていく心意気が重要です。
  • なぜなら、向かえば向かうだけ、手応えを戻してくれるのが人生だからです。
  • 本書は、韓国において“モチベーションの専門家”とされるコ・ミョンファンさんによる読書と、自分と、人生に向かうための1冊です。
  • 本書を通じて、困難や、不安に対して向かう思想と、その結果、自らと絶えず向き合い、人生を作り出していく発想を得ることができるでしょう。
コ・ミョンファン,小笠原藤子
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人生の問いに答えていくためには!?

コ・ミョンファン(고명환)さんは、韓国で「現代最高のモチベーションの専門家」として知られる著述家・講演家です。

たった1日でYouTube動画が100万回再生され、初の著作が発売からわずか1ヶ月で全国各地から講演依頼が殺到するなど、その発信力と説得力には圧倒的な魅力があります。

毎日欠かさずポジティブなアファメーションを4年間叫び続けてきた彼の言葉は、10万人以上の購読者に勇気を与えてきました。彼のスタンスはとてもシンプルでまっすぐです。

──「自分の話を必要とする人がいれば、どこへでも行く」──
そう語る彼は、大企業から小学校、地域の読書会まで、呼ばれればどこへでも足を運び、自身の経験と読書の力を惜しみなく伝えています。

現在は、飲食店経営、講演活動、書籍執筆、公演企画など多方面で活躍中。さらに、「めちゃくちゃな図書館を建てて図書館長になる」というユニークな夢を掲げ、日々楽しみながら仕事に取り組んでいます。

2024年には、ノーベル文学賞作家ハン・ガンとともに、第11回教保文庫出版アワード「今年の作家賞」を受賞。韓国の出版界でも注目を集める存在となっています。

本書でコ・ミョンファンさんが一貫して語るのは、「読書こそが、人生を変える最強の武器である」という信念です。
その言葉の裏には、ご自身の実体験に裏打ちされた切実さがあります。

たとえば、こんな一節があります。

「ラクなことばかり探し、ラクな道ばかり行こうとすれば、体はだんだん苦痛を感じる。心も体と全く同じだ。厳しい道で鍛錬しなければ、心も病んでしまう。」

これは、厳しい環境の中でこそ“生きる力”が磨かれるのだという、著者の実感です。
そして、そのための最良の鍛錬法として彼が薦めるのが「読書」なのです。

読むことは、決して楽なことではありません。むしろ、最初はしんどいし、退屈に感じるかもしれない。
でも、毎日ほんの少しでも、本と向き合い、自分と向き合う時間を持つことで、人は確実に変わっていく。

本書では、著者が実践してきた「読書の習慣化」──たとえば、朝の5分、夜寝る前の10分でもいいから読む、というような具体的な取り組み──も随所で紹介されています。

それは、人生のどん底を味わった著者自身が、読書を通じて立ち上がり、日々を変えていったからこそ語れる、説得力あるアドバイスになっています。

本を読むということは、情報を得ることではありません。
それはむしろ、問いを受け取り、問いを返し、自分自身に向けて立ち止まる行為です。

本書には、こんな印象的なフレーズがあります。

「私たちは『回答する世界』ではなく『質問する世界』を生きなければならない。
回答する世界は『他人に奉仕される世界』であり、質問する世界は『自分が奉仕する世界』だ。」

この対比は、とても示唆的です。
「回答する世界」は、すでにある正解に自分を当てはめていく生き方。
「質問する世界」
は、まだ見ぬ未来に向かって、自らの問いを立てていく生き方

視点回答する世界質問する世界
世界観のベース他人に奉仕される世界自分が奉仕する世界
主体性他人の期待に応える自分で問いを立てる
思考の方向性正解を探す意味を探る、可能性をひらく
読書との関係情報を得るための手段問いを深め、人生を省察する道具
自己との関係比較・評価される存在探究・成長し続ける存在
時間のとらえ方即効性を求める熟成と変化を待つ
人生における態度安心・確実を求めて動く不確かさを受け入れながら歩む

そして、その「問い」を生み出す場こそが、読書なのです。

読書を通じて私たちは、
自分に問いかけ、
世界に問いかけ、
やがて、こんな言葉にたどり着くのかもしれません。

「本を読み、
問いを投げかけ、
待っていよう。

気がつけば、
決して起こらないと
思われた数々の出来事が
目の前に繰り広げられていることだろう。」

つまり、読書とは、どんな世界を信じて生きていくかを、自分自身に問う営みなのです。
問いを持ち続ける人は、答えを急がない。問いを持ち続ける人だけが、変化の中でも自分を見失わず、世界に働きかけ続けることができるのです。

自分に対しての“問い”、実は、それが人生を前に進める、唯一無二の燃料になるのです。

常に問いを持つということ!?

私たちはなぜ本を読むのでしょうか。
それは、思考するためです。
そして思考とは、自らの人生に問いを立て、成長するための営みです。

「自分に向かういい質問がひとつあれば、一瞬にして人生は変わる。
その質問を探すために本を読むのだ。」

読書は、即効性のあるノウハウではありません。
しかし、それは自分の内部に問いを蒔き、静かに育てていくという、
極めてROIの高い行動であるとも言えるのです。

なぜなら、本は何度でも読み返すことができ、
読むたびに違った問いを返してくれます。
それはまるで、何度も耕すことで栄養を蓄える「人生の土壌」のようです。

コ・ミョンファンさんが伝えるのは、
「読み、問い、そして待つ」という、ささやかだけれど確かな人生の態度。
それこそが、人生を自分の手に取り戻すための第一歩なのだと、本書は教えてくれます。

多くの人が「本を読んだほうがいい」と口では言います。
けれども、読まなくても日常は過ぎていくし、特に困ることもない。
だからこそ、読書は後回しにされ、やがて習慣から遠ざかっていきます。

でも、コ・ミョンファンさんは、そこに静かに問いを投げかけます。

「読書はつらい。けれども、つらいからこそ、その分、あとでラクになれる。」

読まない人生は、与えられた情報を受け取り、予定された人生を進んでいく道かもしれません。
それもまた、ひとつの選択です。

でも――本を読む人生も、確実に存在します。
それは、他人の正解ではなく自分の問いを持ち、
時に立ち止まりながら、自分の手で人生を編み直していくような日々。

「読まなくてもいい」という人生ではなく、
「読むことによって、人生に触れる」時間の中にこそ、
本当の豊かさがあるのかもしれません。

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読書とは、結局なにか?

読書とは、知ることです。
自分を知り、世界を知り、そして自分と世界の関係性を知ること。

「私たちが本を読むのは、まさに自分の器の大きさを知るためだ。」

資本主義の構造を知り、自分がどれだけ稼ぎ、どれだけ生きる時間を確保したいのか。
読書は、その“生きる指針”を定めるための羅針盤になり得ます。

器の大小が幸せを決めるのではなく、
自分にぴったり合った器に出会うこと。
そのためには、他者の言葉に触れ、思考を通じて自分を照らす読書という営みが、かけがえのない習慣になるのです。

読むことで、人生の幅が広がる。
読むことで、自分という器の奥行きが深まる。
だからこそ、本を読む人生は、決して他人の人生ではなく、“自分の人生”に立ち返る道になっていきます。

真なる富は所有するものではなく、自分の中に備えている。

読書のスパイラルに入るということを見つめてみましょう。

「真の『自分』を探す瞬間から、本当の『自分』の人生が始まる。」

読書とは、他人の言葉を通じて自分自身を掘り下げていく営み。
そしてそれは、努力と幸運を掛け合わせていくスパイラルを生み出すスタート地点でもあります。

「幸運は足し算ではなく、掛け算である」
「努力度が高くないと、幸運は見えないのである」
「努力 × 幸運 = 結果」

つまり、読書という行為は、単に「努力」の延長ではなく、
自分にとっての問いを育てる努力 × 偶然との出会いを引き寄せる“準備”なのです。

本の中の一節が、ある日ふと自分の中で意味を持ち始める瞬間。
まさにそれが、「読書のスパイラル」に入った証拠です。

それは、すぐに目に見える成果を約束してくれるものではありません。
けれども、問いがある限り、人生のどこかでその答えに出会うための準備が進んでいる──
本書は、そんな静かな確信を私たちに届けてくれます。

今回はここまでといたしましょう。
本を読むという営みが、自分自身の「器」を知り、問いを深め、人生をつくり直していくきっかけになる──そんな読書の本質に触れてきました。

次回は、ニーチェが語った精神の三段階「ラクダ → ライオン → 子ども」という成長モデルを手がかりに、中長期的に読書を続けていくことで、私たちにどのような変化が訪れるのかについて、もう少し深く掘り下げてみたいと思います。どうぞお楽しみに~。

読書の効用については、こちらの1冊「読書は、人格を磨く!?『読書する人だけがたどり着ける場所』齋藤孝」もぜひご覧ください。

まとめ

  • 人生の問いに答えていくためには!?――読書をして、自分に向き合うことです。
  • 常に問いを持つということ!?――それが、自ら人生に向かうことになります。
  • 読書とは、結局なにか?――それは、言葉を通じて、自分を知ることです。
コ・ミョンファン,小笠原藤子
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