- あなたは今、本当にやりたいことをやれていますか?
- 実は、多くの人が「こうあるべき」「こうしなければ」という思考に囚われて、本来の自分の感情や欲求が見えなくなっています。完璧な理想を追い求めるほど、かえって行動できなくなる。そんなパラドックスに陥っているんです。
- なぜなら、私たちは「やるべきこと」から考える減点評価の世界で生きているからなんですね。TO DO思考が染み付いていて、がんばって終わらせよう、がんばって変わろうとする。そのたびに自分を厳しく評価し、疲弊していくんです。
- 本書は、そんな状態から抜け出すための「理想(仮)」という新しい考え方を提案しています。完璧な理想を探すのではなく、仮でもいいから目標を設定してみる。そうすることで、変化のための「行動」が見えてくるんですね。
- 本書を通じて、TO DO思考からTO BE思考へ、そして「理想(仮)」という柔軟なゴール設定へと、段階的に思考を転換していく方法を学んでいきましょう。
本橋へいすけさんは、feppiness株式会社のCEOであり、ライフコーチ、コンサルタント、そして『pure life diary』の考案者です。
東京都出身で、京都産業大学経営学部を卒業後、ユニークなキャリアを歩んできました。大学卒業後はギタリストとして活動し、その後外資系保険会社や国内大手保険総合代理店で営業、営業教育、新規事業立ち上げ、マネジメント業務などを経験しています。
福岡県糸島市へ移住後、地域ブログを運営したところ月間12万PV以上を記録し、テレビや雑誌で取り上げられるようになりました。その後、フリーランスのWEBコンサルタントとして独立し、YouTubeやInstagramなどのSNS運用からビジネス全般のコンサルティングやセミナーを、個人、企業、官公庁向けに提供してきました。
しかし、顧客を支援する中で「やり方」の限界を感じ、脳や心の仕組みであるマインドからのアプローチや「あり方」の必要性に気づきます。Mindset Coaching Academyを経てプロコーチとなり、2021年にfeppiness株式会社を創業しました。
現在は、ペンシルベニア大学のポジティブ心理学のオンラインプログラムを経て、2025年4月より桜美林大学大学院国際学術研究科心理実践プログラムポジティブ心理の修士課程へ進学し、東京と糸島の2拠点生活をしています。ビジネスと学問の両輪で、人がより良く生きるための方法を探求し続けているのです。
なぜ私たちは行動できないのか――「TO DO思考」の罠
私たちは外から、自分の感情や欲求を理解してあげられていません。
本来の感情、感覚、「こうありたい」「こうなりたい」が、知らず知らずのうちに「こうあるべき」に侵され、閉じ込められ、抑え込まれてしまっているんですね。本書ではこの状態を「人生の純度が下がっている」と定義しています。
私はこの状態を「人生の純度が下がっている」と定義しています。
この言葉には、深い洞察が込められています。純度が下がるというのは、不純物が混ざり込んでいるということ。その不純物とは何か。それは、他人からの期待や社会の価値観、「こうあるべき」という固定観念なんです。
私たちの多くは、「TO DO思考」に支配されています。
やるべきことから考える。TO DOを全て進められたか?完了できたか?という減点評価の世界で生きているんですね。この思考モードでは、常に「がんばって終わらせよう」「がんばって変わろう」としてしまいます。
そして、この思考の最大の問題は、自分に厳しくなってしまうことです。
できなかったことを責める。まだ足りないと自分を追い込む。完璧を求めるあまり、小さな前進も認められなくなる。心の状態は常に緊張状態で、疲弊していくんです。
TO DO思考の世界では、課題設定も課題克服のための行動も、時間管理もタスク管理も、すべてが「やらなければならないこと」になります。取り組む姿勢は「がんばって終わらせよう」で、変化への向き合い方も「がんばって変わろう」です。
でも考えてみてください。
「がんばって」というフレーズが付いた時点で、それはもう苦しいんです。義務感に駆られた行動は、長続きしません。一時的にはできても、持続可能ではないんですね。
さらに、TO DO思考には別の罠もあります。
それは、完璧な理想を追い求めてしまうこと。理想的な目標や理想的な計画を立てようとして、かえって行動できなくなるんです。「もっと良い方法があるはずだ」「もっと完璧な準備をしてから」と考えているうちに、時間だけが過ぎていく。
仮でもいいから目標を作ること(コーチングの世界では「ゴール設定」と呼ばれます)はとても大切なステップになるのです。
本書が指摘する通り、純粋で崇高な目標や理想には、障壁感やワクワク感を抱くことはできません。つまり大切なのは、人生の純度を上げること。本来の自分の感情や欲求に気づき、それを大切にすることなんです。
でも、どうすれば純度を上げられるのか。
その答えが、次のセクションで見ていく「TO BE思考」への転換なんですね。
「TO BE思考」への転換――ありたい自分から考える
TO DO思考の対極にあるのが、「TO BE思考」です。
この2つの思考モードの違いを理解することが、人生を変える第一歩になります。ここで、本書が示す重要な対比表を見てみましょう。
TO DO思考とTO BE思考それぞれの特徴
| 項目 | TO DO思考 | TO BE思考 |
|---|---|---|
| 考え方 | やるべきことから考える | ありたい自分から考える |
| 評価基準 | TO DOを全て進められたか?完了できたか? | 自分の感情や感性を大切にできたか? |
| 評価方法 | 減点評価 | 加点評価 |
| やっていること | 課題設定 課題克服のための行動 時間・タスク管理 |
理想に近づくためのゴール設定 理想を叶えるための行動 自己肯定感・自己効力感の醸成 |
| 取り組む姿勢 | がんばって終わらせようとする | ワクワクしながら取り組む |
| 変化 | がんばって変わろうとする | ゆるく自然に変化していく |
| 心の状態 | 自分に厳しい | 自分にやさしい |
この表を見ると、TO BE思考の本質が見えてきます。
まず、考え方の出発点が違うんですね。TO DO思考が「やるべきこと」から考えるのに対し、TO BE思考は「ありたい自分」から考えます。この違いは決定的です。
TO DO思考では、外部から与えられた課題やタスクが起点になります。でもTO BE思考では、自分の内側から湧き上がる「こうありたい」という感覚が起点になるんです。
評価基準も大きく変わります。
TO DOを全て完了できたか?という減点評価から、自分の感情や感性を大切にできたか?という加点評価へ。この転換は、自己評価の仕方を根本から変えるんですね。
減点評価の世界では、どれだけ頑張っても「まだ足りない」という感覚が残ります。でも加点評価の世界では、小さな前進も認められる。できたことを素直に喜べるんです。
やっていることの違いも明確です。
TO DO思考では、課題を設定し、それを克服するための行動をとり、時間やタスクを管理します。一方、TO BE思考では、理想に近づくためのゴールを設定し、理想を叶えるための行動をとり、自己肯定感や自己効力感を醸成していきます。
この違いは微妙に見えるかもしれませんが、実は大きな差なんです。
課題を克服するというのは、欠点を補う発想です。でも理想を叶えるというのは、可能性を広げる発想。前者は守りで、後者は攻めなんですね。
取り組む姿勢の違いも重要です。
「がんばって終わらせよう」という姿勢は、義務感から来ています。でも「ワクワクしながら取り組む」という姿勢は、内発的動機から来ているんです。前者は燃料を消費して進むイメージ、後者は自ら発電しながら進むイメージと言えるでしょう。
変化への向き合い方も対照的です。
「がんばって変わろう」とすると、変化は苦痛を伴うものになります。でも「ゆるく自然に変化していく」という姿勢では、変化はプロセスそのものになる。無理に変わろうとしなくても、気づいたら変わっているんですね。
プロセス自体を楽しめるので、失敗しても続けられる
本書が指摘する通り、TO BE思考ではプロセス自体が楽しいので、失敗しても続けられるんです。これは持続可能性という点で決定的に重要です。
そして最も根本的な違いが、心の状態です。
TO DO思考では自分に厳しくなります。常に「もっとできたはず」「まだ足りない」と自分を責めてしまう。でもTO BE思考では自分にやさしくなれる。不完全な自分も受け入れられるんですね。
この自分へのやさしさが、実は長期的な成長を支えるんです。
厳しくしすぎると、心が折れてしまいます。でもやさしくすることで、失敗しても立ち上がれる。小さな前進を喜び、また次の一歩を踏み出せるんです。
TO BE思考への転換は、単なるテクニックの変更ではありません。
それは、自分との関係性を変えることなんですね。自分を追い込む関係から、自分を応援する関係へ。この転換こそが、人生の純度を上げることにつながるんです。
ありたい自分から考える。
このシンプルな転換が、私たちの日常を根本から変えていくんです。
「理想(仮)」という新しいゴール設定
TO BE思考を理解したら、次は具体的なゴール設定の方法です。
ここで本書が提案するのが、「理想(仮)」という考え方。これは従来の完璧な理想とは全く異なるアプローチなんですね。
両者の違いを整理してみましょう。
理想と理想(仮)の見分け方
| 項目 | 理想 | 理想(仮) |
|---|---|---|
| 原動力 | 他人からの承認や期待がなくてもやり続けられる | 他人からの承認や見返りを得ることが原動力になっている |
| 欲求の源泉 | 自分の心の奥底から出てきた欲求に基づいている | 他人や社会の価値観に基づいている |
| プロセスへの姿勢 | 結果が出るまでのプロセス自体を楽しめるので、失敗しても続けられる | プロセス自体を楽しめず、失敗と自己否定がセットになり続かない |
| 行動との関係 | 自分の純度の高い欲求と重なるので、自然と理想に近づく行動を取れる | 臨場感が持てないので、現状を変える行動につながらない |
| 感情の動き | 長期的な充実感や達成感を得られ、後悔することもない | 短期的な快楽に終わり、後々罪悪感や空虚感に苛まれる |
| 成長への影響 | 純粋な興味や、成長への渇望から生まれる | 現実逃避、ストレスや不安の軽減から生まれる |
| こだわり方 | 達成するまでのやり方にこだわらない | 特定のやり方で達成することに固執する |
この表から見えてくるのは、「理想」と「理想(仮)」の本質的な違いです。
まず原動力が違います。
本当の理想は、他人からの承認や期待がなくてもやり続けられる。それは自分の内側から湧き上がるものだからです。でも偽の理想は、他人からの承認や見返りが原動力になっている。だから、それが得られないと続かないんですね。
欲求の源泉も重要な違いです。
本当の理想は、自分の心の奥底から出てきた欲求に基づいています。でも偽の理想は、他人や社会の価値観に基づいている。「こうあるべき」という外部からの声が、自分の本当の声を覆い隠してしまっているんです。
ある論文にも「人生の初期段階において、意欲的に年齢を重ねられるかが、年齢が上がるにつれてその傾向性はよりネガティブなものとなる」とあります。つまり、人は意欲を決めているにもかかわらず、適切な方法でなければ幸福感を得られず、探索を続けることで逆に幸福感を損なってしまう可能性もあるということです。一般に言う、自己探求を続けることは良いことに見えて、それは時として危険なのです。
本書が引用するこの論文の指摘は、重要な警告を含んでいます。
完璧な理想を探し続けること、自己探求を延々と続けることは、一見良いことのように見えます。でも実際には、それが幸福感を損なってしまう可能性もあるんですね。
だからこそ、「理想(仮)」という発想が必要なんです。
プロセスへの姿勢も対照的です。
本当の理想では、結果が出るまでのプロセス自体を楽しめます。だから失敗しても続けられる。でも偽の理想では、プロセス自体を楽しめず、失敗と自己否定がセットになってしまうんですね。
行動につながるのは「ゴールを決める」ことです。私たちはとちすれば「どうやるか?」「何を使うか?」など「やり方」「手段」に目が行きがちですが、大切なのは「行先」よりゴールです。
この指摘は核心を突いています。
私たちはついつい「どうやるか」に目が行ってしまいます。完璧な方法、最適な手段を探そうとする。でも本当に大切なのは、ゴールを決めることなんですね。
行動との関係を見ると、さらに明確になります。
本当の理想は、自分の純度の高い欲求と重なっているので、自然と理想に近づく行動を取れます。でも偽の理想では、臨場感が持てないので、現状を変える行動につながらない。頭では理解していても、体が動かないんです。
仮でも作ることはほうが大事だからです。それは先ほどの、現実が変わっていくという理由が外にもあります。
ここに「理想(仮)」の真髄があります。
完璧な理想を探し続けるよりも、仮でもいいから作ることが大事。
なぜなら、仮の理想でも、それがあることで行動が引き出されるからです。そして行動することで、現実にフィードバックが得られる。そのフィードバックをもとに、また理想を修正していけばいいんですね。
感情の動きも見逃せません。
本当の理想では、長期的な充実感や達成感が得られ、後悔することもありません。でも偽の理想では、短期的な快楽に終わり、後々罪悪感や空虚感に苛まれる。「これは本当に自分が望んでいたことだったのか?」という疑問が湧いてくるんです。
成長への影響も重要です。
本当の理想は、純粋な興味や成長への渇望から生まれます。でも偽の理想は、現実逃避、ストレスや不安の軽減から生まれる。前者は引き寄せられる感覚、後者は逃げ出す感覚なんですね。
こだわり方の違いも示唆的です。
本当の理想では、達成するまでのやり方にこだわりません。様々な方法を試し、柔軟に対応できる。でも偽の理想では、特定のやり方で達成することに固執してしまう。「この方法でなければ意味がない」という硬直した考えに陥るんです。
作るゴールは仮でもいい
この言葉が、すべてを物語っています。
ゴールは「探す」よりも「仮でいいから作る」。
最初から完璧な理想を探そうとすると、考えすぎていつまでも動けなくなります。でも仮でもいいからゴールを作ると、一歩目が踏み出せる。
そして一歩踏み出すと、見える景色が変わります。
フィードバックが得られます。「あ、こっちの方が自分に合っているかも」「これは思っていたのと違うな」という気づきが生まれる。そうしたら、ゴールを修正すればいいんです。
理想(仮)の図解が示すように、最初から完璧な理想を探す人は、「問違えられない」「失敗したらどうしよう」と考えすぎていつまでも動けません。でも理想(仮)を作った人は、「違っていたら変えよう」「チューニングしていこう」と一歩目を踏み出すことができる。
そして、一歩目を踏み出すことができるから、フィードバックが得られる。
行動しないので変わることができない状態から、行動することで変化し続けることができる状態へ。この転換こそが、「理想(仮)」という考え方がもたらす最大の価値なんです。
完璧を求めず、仮でもいいから始める。
そして行動しながら、チューニングし続ける。これが、ちゃんと迷って、ちゃんとなりたい自分になる方法なんですね。
目標を叶えるための習慣については、こちらの1冊「時間をデザインせよ!?『とっぱらう――自分の時間を取り戻す「完璧な習慣」』ジェイク・ナップ他」もぜひご覧ください。

まとめ
- なぜ私たちは行動できないのか――「TO DO思考」の罠――私たちは「こうあるべき」という思考に囚われ、本来の感情や欲求が見えなくなっています。TO DO思考の世界では、やるべきことから考え、減点評価で自分を厳しく評価し、がんばって終わらせよう、がんばって変わろうとする。この状態を本書は「人生の純度が下がっている」と表現しています。完璧な理想を追い求めるほど、かえって行動できなくなるパラドックスに陥っているのです。
- 「TO BE思考」への転換――ありたい自分から考える――TO DO思考からTO BE思考への転換が、人生を変える第一歩です。やるべきことから考えるのではなく、ありたい自分から考える。減点評価ではなく加点評価。がんばって終わらせるのではなく、ワクワクしながら取り組む。この転換により、自分に厳しい状態から自分にやさしい状態へ、義務感から内発的動機へと移行していくことができるのです。
- 「理想(仮)」という新しいゴール設定――完璧な理想を探し続けるのではなく、仮でもいいからゴールを作ることが重要です。理想(仮)は、完璧でなくても行動を引き出し、行動することでフィードバックが得られ、そのフィードバックをもとにまた修正していける。違っていたら変えよう、チューニングしていこうという姿勢で、一歩ずつ踏み出すことができます。これが、ちゃんと迷って、ちゃんとなりたい自分になる方法なのです。
