経済は人のため!?『お金の不安という幻想 一生働く時代で希望をつかむ8つの視点』田内学

『お金の不安という幻想 一生働く時代で希望をつかむ8つの視点』田内学の書影と手描きアイキャッチ
  • あなたは今、お金の不安に縛られていませんか?
  • 実は、その不安の多くは「幻想」かもしれないんです。私たちは、いつの間にか「お金」を目的にしてしまっている。
  • なぜなら、お金があっても、働く人がいなければ社会は回らないからです。
  • 本書は、お金という手段が目的化してしまった現代社会に、異議を唱える一冊です。
  • 本書を通じて、私たちは「見えない資産」を築く視点を得ることができます。

田内学さんは、1978年兵庫県生まれの作家です。

灘中学校・高等学校を経て、東京大学工学部機械情報工学科を卒業し、大学院で情報工学を修めました。2003年にゴールドマン・サックス証券株式会社に入社し、トレーダーとして活躍。2019年に退職後は、お金の向こう研究所代表として金融教育に関する著作を発表しています。

前著『きみのお金は誰のため』は「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024」総合グランプリを受賞し、多くの読者の共感を集めました。金融の最前線で培った経験と、工学・情報学のバックグラウンドを持つ田内さんだからこそ、お金という概念を冷静に、そして人間的に捉え直すことができるのでしょう。

本書は、700年ぶりの人口減少時代を迎える日本において、私たちが「お金の不安」という幻想にどう向き合い、何を大切にして生きるべきかを問いかける一冊です。

その不安は、あなたのものか

気づけば、何かに急かされているんです。

私たちは社会に漂う空気に無意識に焦らされているのかもしれません。

どうすれば、無りを生む空気から抜け出せるんでしょうか。

不安が増幅される仕組みは、悪意がなくても生まれてしまうものです。「モノを売りたい企業」と、「力を貯めたい消費者」は、いつしか対立し、その距離は広がっていきました。

かつて「欲しいもの」を作っていた企業は、生き残るために「欲しがらせる」ことに力を入れるようになりました。必要なものではなく、欲望を煽るもの。不安を刺激するもの。

「モノを売りたい企業」と、「力を貯めたい消費者」は、いつしか対立し、その距離は広がっていった。かつて「欲しいもの」を作っていた企業は、生き残るために「欲しがらせる」ことに力を入れるようになる。必要か不要かではなく、損をしないうちに買わせる仕組み。売りを仕掛けるカウントダウン。必要かどうかではなく、損をしないうちに買わせる仕組み。こうして、購買の動機は「憧れ」から「不安」へとすり替えられた。

企業の悪意を知っていれば、不安を煽る情報に出くわしても冷静でいられるんです。これは投資においても同じ。消費行動に共通するのは、結局のところ、大切なのは、自分自身の価値基準をしっかり持つことなんです。

他人のモノサシで生きていないか

大切なのは、「自分がどう感じたか」を見つめ直すことです。それが、自分だけの「価値のモノサシ」なんです。

だけど、私たちはつい「価格」が高いほど「価値がある」と錯覚してしまいます。

価値は本来、他人に見せられないし、自分自身の中にしかありません。他人のモノサシや価格のラベルでは測れないものです。価格はあくまで市場が決める他人の評価にすぎないんです。

「価格」より「価値」を優先する生き方。私たちが日々意識する価値は、「満足感」と「価格」の2つだ。大切なのは、「自分がどう感じたか」を見つめ直すこと。それが、自分だけの「価値のモノサシ」だ。だけど、私たちはつい「価格」が高いほど「価値がある」と錯覚する。「他人に見せられないなら買わない」という発想は、自分の価値観を他人に預けている証拠だ。自分自身の価値は、自分自身の中にしかない。他人のモノサシや価格のラベルでは測れない。価格はあくまで市場が決める他人の評価にすぎないのだ。

その不安は、あなたのものですか?
今感じている不安や焦りは、本当にあなた自身のものでしょうか?
不安は、他人のモノサシから生まれる。安心は、自分のモノサシから始まるんです。

見えない資産を築くという発想転換

もう一度、「愛・仲間・お金」の特徴を整理しておきましょう。

愛:人を強く動かすが、簡単には手に入らない。
お金:労力次第で増やせるが、それ自体を目標にすると虚しい。
仲間:愛情や共感、利己心を軸に増やすことができる。お金を頼れば、一人になる。共通の目的を見つければ、仲間と歩める。

これからの時代に必要な「お金を築く力」とは何でしょうか?大切なのは、自分の「内側」に消えない資産を築くことなんです。

人生で蓄えられる資産は、突き詰めれば次の3つしかありません。

人的資本を蓄えて、自分自身に投資する。
社会関係資本を蓄えて、身近な人や仲間に頼る。
金融資本を蓄えて、お金で他人に頼るんです。

人生で蓄えられる資産は、突き詰めれば次の3つしかない。人的資本を蓄えて、自分自身に投資する。社会関係資本を蓄えて、身近な人や仲間に頼る。金融資本を蓄えて、お金で他人に頼る。得られる知識や経験、人間関係などが「働いて稼ぐ力」を生み出す基盤になる。

これが、これまでの時代に多くの人が歩んできた王道のルートだと言えます。

共通の目的を見つける

でも、お金を貯めれば一人になる。共通の目的を見つければ、仲間と歩めるんです。

学生時代、「社会のために働く」という言葉を「きれいごとだ」と思っていたという人もいるかもしれません。でも今ではそれが孤立を防ぎ、仲間とつながるための戦略であることに気づくんです。

必要なのは知識や経験を蓄えることだと思っていたけれど、今では必要なのは、自分という大切な資本を損なわずに大切に投資するバランス感覚なんです。

それは数字ではなく、「私たちは何を選ぶべきなのか」という判断の積み重ねに他ならないんです。そこから共感が生まれ、自然に共有できる目標が見つかることもあるんです。

人口減少時代の本質と投資される側になる勇気

私たちの生活を縛る制約は、カネからヒトへと移っていく。経済の重心が、お金の量からヒトへと大きくシフトする局面を迎えているのだ。なぜ日本社会は、ここまで、ヒトの問題よりもカネの現実を優先してきたのだろうか?その背景には、日本が抱える構造的問題がある。僕が本を書き始めた理由も、まさにここにある。

お金をただ貯めるだけでは、老後資金問題の根本的な解決にならないんです。

最も大切なのは生産力の確保
少子化対策と一人当たりの生産性の向上が不可欠なんです。

本来なら、国も状況に応じて優先順位を判断できるのが理想だけれど、現実は常にカネが優先されるんです。

税はすべてお金で納められるため、国家運営はカネ中心の考えが強く根付いているからです。

これまでは、それで問題なかったのかもしれません。

戦後復興期や奈良時代のように、労働で税を納めていたなら、ヒトの問題にもっと敏感だったかもしれませんね。しかし、少子高齢化が進む今、状況は変わったんです。

つまり、なんでもいいから「高付加価値化」にすることができるわけではない。むしろ私たちの給料が物価以上に上がってきた本当の理由は、高付加価値商品の開発ではなく、効率化によって仕事を減らしてきたことにある。歴史が証明している。機械化で生産効率が高まり、多くのモノを安価に手に入れられるようになったからこそ、豊かになったのだ。

お金があっても、働く人がいなければ社会は回らない

仮に政府が1兆円を投じて巨大なピラミッドを建てようとしても、当然、大量の人材がいなければ手が足りません。人材は湧き上がらないんです。当初の予算1兆円は1.5兆円、さらに2兆円へとふくれ上がるかもしれません。

評論家たちは「経済効果が2倍になった」と称賛するだろうけれど、しかし、本当にこれはいいことなんでしょうか?

私たちの日常生活においても、お金を節約するだけでなく、「人手を節約する」という意識が求められている。「お米一粒でも残したら、もったいない」という昔からの教えには、作るものもない社会の記憶が込められていた。私たちがお金に縛られてきたのは、心が貧しくなったからではない。逆に豊かになったからこそ、終わりのない「もっともっと」を追い求めることができてきたからだ。その時代は今、終わりを告げようとしている。

投資される側になる勇気

日本には、出る杭が打たれる空気もあるんです。2022年の開業率(新規に設立された会社の割合)は4%で、1960年代にはほぼ10%を超えていたというデータもあります。

誰もが起業する必要はないけれど、挑戦を温かく応援できる社会であってほしいんです。出る杭を打つのではなく、出る杭を伸ばす。そんな仕組みが成長を取り戻せるのではないでしょうか。

仕事を減らすことが、生活を豊かにする未来をつくる投資は、誰かの挑戦から始まる。だからこそ、誰かの挑戦を歓迎する土壌を。そして後世のためを思って、考える基盤インフラを作り続ける努力が一人ひとりの責務。今を生きる大人の責務として帯びているのかもしれない。

本書を読んで、私が最も強く感じたのは、こういうことなんです。

お金があっても、働く人がいなければ社会は回らない。

この事実が、これからの時代を生きる私たちにとって、決定的に重要な視点だと思うんです。

私たちは、いつの間にか「お金を貯めること」を人生の目的にしてしまっている。でも、お金は本来、ツールであって、ゴールじゃないはずなんです。

700年ぶりの人口減少時代を迎える今、構造が大きく変わろうとしています。これまでは、効率化と生産性向上によって、少ない人数で豊かさを生み出してきました。だけどこれからは、「働く人」そのものが希少価値になる時代なんです。

政府が1兆円を投じても、人材は湧き上がらない。お金をただ貯めるのではなく、「人手を節約する」意識。そして何より、誰かの挑戦を歓迎する土壌を作ること

自分の内側に「見えない資産」を築きながら、共通の目的を持って仲間と歩む。

「ひとりでがんばる」のではなく、「みんなで進む」。必要なのは、「どうすれば自分を守れるか」ではなく、「どんな未来を一緒に目指したいか」ではないでしょうか。

誰かの挑戦を歓迎する土壌を。

そして後世のためを思って、考える基盤インフラを作り続ける努力が一人ひとりの責務。今を生きる大人の責務として帯びているのかもしれません。

お金という手段を、目的にしない生き方。
そんな生き方が、これからの時代には求められているんだと思います。

お金と人の関係性を捉えていくためには、こちらの1冊「間に生きる!?『共感資本社会を生きる――共感が「お金」になる時代の新しい生き方』新井和宏,高橋博之」も素敵な視点を提供してくれます。ぜひご覧ください。

まとめ

  • その不安は、あなたのものか――社会や情報に惑わされるのではなく、大切なのは、自分自身の価値基準をしっかり持つことなんです。
  • 見えない資産を築くという発想転換――人的資本、金融資本、社会資本を高めていくことが重要なのです。
  • 人口減少時代の本質と投資される側になる勇気――同じ目的を持ち、思想を高め、出る杭になり、さらに出る杭を育てるようなスタンスが重要になるのです。
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