人は、“問題”でできているのかもしれない・・!?『なんで僕に聞くんだろう。』幡野広志

人は、“問題”でできているのかもしれない・・!?『なんで僕に聞くんだろう。』幡野広志の書影と手書きコメント入りアイキャッチ
  • 人を悩ませる問題って、どういうところから起きるのでしょうか?
  • 実は、人間関係に尽きるかもしれません。
  • なぜなら、人は人とともに生きていくことしかできないからです。
  • 本書は、写真家であり、がんを患い闘病を体験、そして、死を強く意識した幡野広志さんによる、人生相談の記録です。
  • 本書を通じて、人の深い問題の所在について、さまざまなカタチにふれることができるでしょう。
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問題はヒント!?

幡野広志(はたの・ひろし)さんは、1983年東京都生まれの写真家です。
日本写真芸術専門学校を中退後、写真家・高崎勉氏に師事し、独立しました。
風景や人物を切り取る作品を発表する一方、がんの診断を受けたことを契機に、自らの生と死を見つめ直し、その経験をもとに多くの人生相談に応じる活動を続けています。

「なんで僕に聞くんだろう」という本書のタイトルが示すように、彼のもとには、病気、恋愛、家族、仕事など、人々が抱えるさまざまな悩みが寄せられました。
その相談に、幡野さんは決して正解を押しつけず、等身大の言葉で応答します。
その姿勢は、彼自身の「限られた時間をどう生きるか」という切実な問いと地続きにあります。

写真家としての表現者の視点に加え、死と隣り合わせで生きる者のまなざし。
その両方を持つからこそ、幡野さんの言葉は、多くの人の心に深く届いているのではないでしょうか。

幡野広志さんががんを公表したのをきっかけに、彼のもとには多くの相談が寄せられるようになりました。
「死」と向き合う経験をした人だからこそ語れることがあるのではないか。
人々はそう感じて、自分の抱える深い悩みを打ち明けていったのです。

こうして積み重なった相談への回答をまとめたのが、本書『なんで僕に聞くんだろう。』です。
相談のテーマは、恋愛や結婚、家族、仕事、生き方と多岐にわたります。
一見すると個別の悩みですが、そこには人間の普遍的な問題が浮かび上がってきます。

じつは人生相談というのは、回答者の人間性や性格を表すものなんです。答えることのハードルを自分であげてしまったけど、さいきん気づいたことです。それでぼくは、相談はすべて自分の息子からされたものだと想像するようになりました。だから内容にかかわらず答えている。

幡野さんは、相談に答えるという行為そのものが人間性の表れだと語ります。
この言葉は、相談者が抱えている「問題」そのものよりも、それをどう受けとめ、どう応答するかに価値があるのだという逆転の視点を示しています。

人は誰しも、心の奥に言葉にしづらい問題を抱えて生きています。
それは、家族との葛藤かもしれませんし、病気や不安、あるいは自分自身への問いかもしれません。

そして多くの場合、それを人に見せることは難しい。
だからこそ、「なぜ自分に?」と戸惑いつつも、幡野さんはあらゆる相談に向き合い続けます。

ここには、「人は問題でできているのかもしれない」という示唆があるように思えます。
問題があるからこそ、私たちは他者に手を伸ばし、関わろうとする。

そして、相談に応じる側もまた、その問題を自分ごととして想像し、自分の答えを差し出すことで、人としての姿が浮かび上がるのです。

つまり、問題そのものが人間関係をつなぐ起点になる。
私たちは問題を避けたいと願いながらも、結局はそこにこそ自分や他者を理解するきっかけがあるのではないでしょうか。

コミュニケーションは、距離感である!?

幡野さんは、人がどのような言葉を選ぶかに敏感です。
相談の内容そのものよりも、その中でふとこぼれる言葉の方が、むしろ本音を映し出していることがあるからです。

例えば、不倫の相談について触れるとき、幡野さんはこんなエピソードを紹介します。

不倫相談をするかたがよく使う言葉があります。それは「大切」という言葉です。彼には大切な家族が……、私は大切な子どもが……。

私たちは日常の会話で「大切」という言葉を強調することはあまりありません。
にもかかわらず、こうした場面で「大切」と繰り返すのは、無意識に自分の葛藤を言葉に乗せてしまっているからかもしれません。

「大切」という言葉には、邪魔という意味が込められているんだなあっていつも感じます。

幡野さんは、この表現の裏ににじむ本音を見抜きます。
「大切だから手放せない」と言いながら、同時に「大切だから縛られている」とも感じている。
そんな矛盾や迷いが、言葉の選び方に正直に現れてしまうのです。

ここで重要なのは、不倫の是非を論じることではありません。
このエピソードは、あくまで“例えば”として、人が抱える矛盾や無意識がどのように言葉ににじむかを示すものです。

つまり、相談とは助言を求める行為であると同時に、自分の心の深層を映す鏡でもあるのです。
私たち自身も「大切」という言葉を口にするとき、その裏にどんな感情や迷いが潜んでいるのか。
その“無意識の正直さ”を見逃さずにいたいものです。

幡野さんは、コミュニケーション能力の高低を「言葉の巧拙」や「社交性」で測るのではなく、距離感でとらえます。
これは、人と人との間合いを敏感に捉える写真家ならではの視点だと感じます。

本当にコミュニケーション能力が低い人というのは、相手との距離感が遠い人ではないんです。相手との距離感が近すぎる人のほうが、むしろコミュニケーション能力が低い人だと僕らは言うのかもしれません。

近すぎる距離は、相手に息苦しさを与えてしまいます。
自分のことを一方的に話しすぎたり、相手の言葉を遮ったりするのもその表れです。
逆に、適度な間合いをとれる人は、相手が話したくなる余白を残すことができます。

距離感が近すぎて相手が距離をとって引いてしまい、本人はますます孤独を感じることになります。

この言葉には、コミュニケーションの失敗が「孤独感」につながるという厳しい現実が表れています。
相手に寄り添おうとする気持ちがあっても、その距離感を誤ればかえって関係を損なってしまうのです。

では、どんな人が「うまい」と言えるのでしょうか。

じゃあどんな人がコミュニケーション能力が高いかというと、ぼくは、知らないことについてちゃんと知らないといえる人や、相手の言葉に耳を傾けられる人だと思っています。

幡野さんの答えは、実にシンプルです。
「知らない」と率直に言えること、そして相手の言葉に耳を傾けること。
これは、距離をうまく調整できる人だけが持ちうる態度ではないでしょうか。

さらに幡野さんは、「うわべだけと感じる相手」であれば、それは仕方のないことだと述べます。
人は誰とでも深くつながれるわけではなく、合わない人がいることを受け入れることも、コミュニケーションの成熟の一部なのです。

写真家が被写体との距離を探るように、人と人の関係もまた「近すぎず、遠すぎず」という間合いが必要だと教えてくれます。

そこには、相手を尊重する姿勢と、自分を無理に作らない自然さが重なっているのだと思います。

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大人の学びとは!?

幡野さんが語る「距離感」の話を振り返ると、その根底には相手への敬意があります。
無理に合わせようとせず、合わないことを認める。

近づきすぎず、余白を残す。

そうした姿勢は、相手を一人の人間として尊重しているからこそ生まれるものです。

そして、その敬意は彼の言葉に自然とにじみ出ています。
「知らないことは知らない」と言える率直さや、相手の言葉に耳を傾ける誠実さ。
それらが積み重なって、幡野さんの文章には温かみと信頼感が宿るのです。

だからこそ、人は彼に相談してしまうのではないでしょうか。
正解を押しつけるのではなく、自分のこととして想像しながら向き合ってくれる。
その人柄が文章の端々に透けて見えるからこそ、「この人なら話してみたい」と思わせる力を持っているのだと思います。

相談される側に必要なのは、特別な知識や立派な答えではないのかもしれません。
むしろ、敬意と誠実さをもって言葉に向き合うこと。
幡野さんの営みは、そのことを静かに示しているのではないでしょうか。

本書を通じて浮かび上がるのは、人は「問題」でできている存在だということでした。
誰もがそれぞれの悩みを抱え、時に言葉にならないまま抱え込みます。
しかしその問題は、避けるべきものではなく、むしろ人と人とを結びつける起点となりうるのです。

また、相談という場面で人は無意識のうちに本音をにじませます。
「大切」という言葉に潜む矛盾や揺らぎのように、言葉の選び方にその人の正直さが表れます。
幡野さんはその言葉をすくい上げ、相手を否定せずに受けとめていきます。
相談とは答えを与える場ではなく、無意識を映し出す鏡なのだと気づかされます。

さらに、コミュニケーションの本質を「距離感」ととらえる視点も印象的でした。
近すぎれば相手は息苦しくなり、遠すぎれば孤独を深める。

その絶妙な間合いを見極めるには、相手を尊重し、無理に合わせないという敬意が必要です。
その敬意こそが幡野さんの文章ににじみ、人が「この人なら相談してみたい」と思わせる理由なのでしょう。

そして最後に語られる「勉強」の話。これは、子どもが勉強をぜんぜんしない!という親御さんからのお悩み相談です。

そもそも、勉強ってすごくたのしいことです。知らないことを知ることができるってたのしいのです。

これは、子どもに向けたメッセージでありながら、大人にとっても大切な示唆を含んでいると思うのです。

勉強とは点数や成果のためではなく、好奇心に突き動かされて世界を広げる営みです。
大人にとっての学びは、新しいことに触れ、自分を少しずつ変えていくこと。
その積み重ねこそが人生を豊かにします。

だからこそ、本書は悩みを抱える人だけに限らず、誰にとっても「学び」のきっかけとなる一冊です。
幡野さんの言葉を通じて、自分の抱える問題の意味を問い直すことも、何げない言葉の裏に潜む自分の本音を知ることもできるでしょう。

そしてまた、学ぶことの喜びを思い出し、日々を新しく生きるためのヒントを手に入れることもできるのです。

読者の皆さんにとっての「学び」とは何でしょうか。
新しい知識に触れることかもしれませんし、人と語り合う中で自分を知ることかもしれません。
幡野さんのまなざしを借りて、自分にとっての学びの意味を改めて考えてみてはいかがでしょうか。

大人のための勉強には、知的インプットも大切かも。こちらの1冊「【令和時代の教養勉強法とは・・!?】39歳からのシン教養|成毛眞」もぜひご覧ください。

まとめ

  • 問題はヒント!?――それは自分を理解していくための、入口に他なりません。
  • コミュニケーションは、距離感である!?――人との距離感、そして自分との距離感を表してしまうものです。
  • 大人の学びとは!?――問題に向かい、そして、さまざまな体験と経験をしながら、自分自身を絶えず変えていくことかもしれません。
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