【両立思考は、人類の夢!?】両立思考|ウェンディ・スミス,マリアンヌ・ルイス

両立思考
  • どうしたら、柔軟にものごとを検討できる両立思考ができるでしょうか。
  • 実は、つねに自分を疑ってかかることがポイントです。
  • なぜなら、人は、不安にかられ択一思考に陥りやすいものだからです。
  • 本書は、これからの時代にかかせない、両立思考に関する1冊です。
  • 本書を通じて、複雑なものごとの中で、新しい方向性を提示する力を養えます。

両立思考は、普遍的!?

前回の投稿「【キーは、動態性にあり!?】両立思考|ウェンディ・スミス,マリアンヌ・ルイス」に続き、両立思考について考えていきましょう。

今回はまとめの投稿として、実は両立思考と人間の思考の歴史について触れた上で、今あらためて、必要とされる理由と、具体的な問いかけのヒントを見ていきたいと思います。

人類がこのパラドックスについて思索をめぐらせてきた歴史は長い。

監訳者 あとがき 日本語版刊行に寄せて

守破離やアウフヘーベンなどの概念の根底には、両立思考が存在しています。人は常に、生きるすべとして両立思考を歴史の中で繰り返し、繰り返し、試行してきたといいっても過言ではないでしょう。

守破離については、こちらの投稿「【思考信託(=まねる)で、自分を超えよ!?】流される力|泉正人」、アウフヘーベンについては、こちらの投稿「【アウフヘーベンしようぜ?】直線は最短か?~当たり前を疑い創造的に答えを見つける実践弁証法入門~|阪原淳」と「【「考える」の軸ができる!?】使える弁証法―ヘーゲルが分かればIT社会の未来が見える|田坂広志」がおすすめです。

そして、今あらためて、両立思考が特に求められるのは次にあげるような社会変化があるためです。

両立思考を求める社会とは!?

いくつかの社会変化が重なり、世界観に変化が生じてきた。

監訳者 あとがき 日本語版刊行に寄せて

1)ポスト工業化社会への産業構造の変化があります。

知識社会、デジタル社会に向かう中で、価値の中心がモノからコトになっています。コトの価値の創出には、それに関わる人の意欲やクリエイティビティを高めることが重要です。結果としてマネジメント手法もルールや手順で人々の行動を縛る方法論から、人々の自律性を重視し、人を内発的に動機付けるような方法が重視されるようになりました。

2)ダイバーシティを尊重する社会の変化もあります。

差別の解消や人権の尊重を根底としながら、昨今では、イノベーションの源泉とも見立てられています。ひとつの価値観で組織を染め上げるのではなく、さまざまな価値観を取り込むことが重要視されています。

これらに共通するのは、一つの組織にいくつかの価値観やコト的価値を創発する自由をもたらすことに経営の軸足が映ることを意味します。そして、その自由を担保し続けるためには、常にパラドキシカルな問いを持ち続けることになります。一元的に価値が決められない時代において、そのすべてを内包しながら、バランスを採っていく経営が求められていると言えます。

問いの秘訣とは!?

矛盾を両立させようとする両立思考は経営学の中でさえ当初は簡単に受け入れられなかった、本質的だが難しいコンセプトである。(中略)だがあえて、それがよい状態だとお伝えしたい。

監訳者 あとがき 日本語版刊行に寄せて

両立思考は難しいのです。だからこそ、日常的に意識的になれる問いの雛形を念頭に置きましょう。

1)アサンプションの問い

  • 択一思考に陥って拙速な解決に囚われていないか。
  • 両立が必要であるという文脈を社内外のステークホルダーにどう理解してもらうか。
  • リソースを自分に現在与えられた範囲だけで考えていないか。
  • 社内外にすでにあるリソースで活用できるものはないか。

2)バウンダリーの問い

  • 全体がパーパスに立ち戻ることで何らかの行き過ぎを防ぐことはできないか。
  • パラドックスの両極を適切に分離してそれぞれの動きを促すことはできるか。
  • 分離したパラドックスはどう接続すれば全体として利益が得られるか。

3)コンフォートの問い

  • ひと呼吸おいて、落ち着いた心持ちで今の状況を眺めるとどうだろうか。
  • 今の状況をそのまま受け入れ、味わいきってみると何が起こるだろうか。
  • より大きな目的や意義とつながると感じ方は変わるだろうか。

4)ダイナミクスの問い

  • 新しいアイデアを小さく実験するとしたらどう始められるか。
  • これを新たな変化へのセレンディピティだと捉えるとどうだろうか。
  • これまでの当たり前の中で手放さなければならないものがあるとすれば何だろうか。

上記の問いには、単なるポジティブ思考以上に、深みがあります。私たちが日々いきあたる(と勘違いする)フタマタを俯瞰し、統合して答えを出す方法が見いだすことが可能になるのです。

まとめ

  • 両立思考は、普遍的!?――これまで人類が歴史の中でトライを重ねてきました。
  • 両立思考を求める社会とは!?――ポスト工業化、ダイバーシティの尊重を見つめましょう。
  • 問いの秘訣とは!?――4つの問いを忘れることなく、適切に駆使することです。
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