【商いの本質とは!?】店は客のためにあり 店員とともに栄え 店主とともに滅びる――倉本長治の商人学|笹井清範,柳井正

店は客のためにあり 店員とともに栄え 店主とともに滅びる――倉本長治の商人学
  • どうしたら、よりよいビジネスづくりを目指すことができるでしょうか。
  • 実は、商いの本質に対する考え方を磨き続けることかも。
  • なぜなら、どんな時代になっても、ブレがないからです。
  • 本書は、倉本長治さんの商人哲学のエッセンスです。
  • 本書を通じて、商い・お店の本当のあり方にふれることができるでしょう。

どうしたら会社が、社会が変わるか!?

どうしたら会社をより良い方向へと変えていくことができるでしょうか。経営戦略、経営体制、経営方針??いずれもなくてはならない要素ですが、なにより大切なのは、現場です。

なぜなら、現場は、価値提供の最前線であるためです。そしてこの現場をより良くするということは、経営者一人が努力をしても難しいのが現実です。

経営者一人がいくら有能だろうと、一人でできることには限りがあります。たとえば毎日いらっしゃるお客様に対して、一人で対応することはできません。経営はチームで行うものなのです。

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一方で、現場が自ら考えて実行するということも忘れてはなりません。いくら現場を良くしたいからと言って、ルールや方針で縛ってしまっては、一人ひとりの働きがいや手応えを作ることはできませんし、画一的な価値提供しかできずに、顧客に対して十分な価値提供をすることが難しいでしょう。

商売の醍醐味というのは、自分で考えて自分で実行することにあります。

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こうした考えに則って、実行する人が本部にも店舗にもいること、そして双方向的に討論しながら店舗運営をしていくことが、ひいてはよりよい価値提供につながり、ひいてはより良い会社・経営に繋がっていきます。

3行に込められた精神とは!?

本書で取り上げられる倉本長治さんは、明治から昭和にかけて活躍された「商人」です。「商道」を説いて、多くの方から慕われました。

倉本長治――元禄時代からの菓子商の家に育つ。山下汽船教習所に学び、商業論に傾倒。東京商工会議所から雑誌「商店界」の編集に参加、大正14年編集長となり、商業評論、広告、宣伝コンサルタントとして活躍。昭和23年創刊の「商業界」主幹となり、アメリカ式経営技法の導入と同時に“商道”を説き「儲けない商売に誇りを持っても儲からぬ商売を恥じよ」と主張商人職業への使命感を訴えた。

そんな倉本長治さんが、次のような真理を遺しました。

店は客のためにあり
店員とともに栄え
店主とともに滅びる

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店は客のためにありとは、商業の基本と言えるでしょう。関わる人々の暮らしを守り、社会と文化の発展に役立つこと、これが商いであると説きます。商業は、そうした営みがビジネスとして機能して、初めて継続するものです。

のちに「顧客第一主義」として説かれる概念ですが、倉本長治さんは戦後の混乱期にあっても、ひとりの「商人」としてこのような言葉を元に、業界に正しい道を説こうとしていました。

店員とともに栄えとは、店は客のためにあることを体現する欠かせないパートナーが店員だというのです。また、店員は、店長や経営者の分身でもあります。すべてのお客様を店長や経営者が自ら接客するということは、まったく不可能なことです。だから、自分と同じ思想と考えを持ち、適切にお客様に対して価値を提供することが可能な、店員を育て、店をよりお客様のものに近づけていくあらゆる営みを大切にせねばなりません。

業績向上の手段として、従業員満足を抱える場合もあるかも知れません。しかし、倉本長治さんはこれを断じて許さず、顧客満足度と従業員満足度に正の相関を見出し、この接点の向上を目的に据えたのです。

店主とともに滅びるとは、少し難しい表現です。倉本長治さんは、「商人である前に、人間であれ」と常に訴えました。人間としての正しさや愛情がまず持ち得なければ、店員としても店主としても、顧客と末永いつながりを作ることはできないでしょう。

それだからこそ、店という大切な場を管理監督する店主が、正しさや愛情、誠実さに裏打ちされるべき倫理観を失った時、店はあっけなく滅びるのです。

商いとは!?

商人とお客様とが
人としてあたたかいものを
与え合おうと誠実を尽くす
その営みを商いという

売上とは、お客様とのふれあいの賜物

お客様を大切な友として遇する心を持つことです。多くの店がある中にもかかわらず、当店におとずれてくれる奇跡に感謝をするべきなのです。売上とは人と人の信頼関係の中で作られるものです。だからこそ、私たちは人の心を知る必要があります。そのうえで、その心に触れることが大切なのです。心に触れるような接客をなくして、価値提供はできないものだと心がけてみましょう。

お客様と商人は対等な立場にあります。上下の関係ではありません。同じ人間として、信頼関係を構築し、互いが知恵を振り絞り、暖かな心を通わせ、他方の生活をより良くすると願う場が、店なのです。

愛される商人とは、困ったときにはいつでも頼れる隣人であり、見習いたくなるよな賢い生活者であり、心許せる誠実な友人であるべきです。商人の道、それは誠実を尽くす人間の道にほかなりません。

売上とは、お客様とのふれあいの賜物

お店の存在意義を考える時に、たとえば、スターバックスの思想も大きなヒントになるかも。こちらの投稿「【あなたの人生のミッションはなにか!?】ミッション 元スターバックスCEOが教える働く理由|岩田松雄」をぜひご確認下さい。

まとめ

  • どうしたら会社が、社会が変わるか!?――従業員(店員)の力を正しく借りることです。
  • 3行に込められた精神とは!?――お客様と店員との関係性を見直しましょう。
  • 商いとは!?――商人とお客様とが人としてあたたかいものを与え合おうと誠実を尽くす営みです。
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