【人類 vs AIは、古典!?】温かいテクノロジー AIの見え方が変わる 人類のこれからが知れる 22世紀への知的冒険|林要

温かいテクノロジー AIの見え方が変わる 人類のこれからが知れる 22世紀への知的冒険
  • いまさかんに語られている対AIという文脈は、古典になります。
  • 実は、AIは人間の最高のコーチ・パートナーとなりうるからです。
  • なぜなら、実際にラボットが新たなAI(ロボット)の可能性を切り拓いてくれているからです。
  • 本書は、ラボット開発者林要さんのAI、そして人間考の1冊です。
  • 本書を通じて、これからの時代に必要な技術と人への見立ての新たな角度を得られます。

ペットはなぜ、ずっとともにいられるのか!?

AIやロボットなど新しい技術と人類の接点を考えるタイミングに来ています。2045年のシンギュラリティに向けて、人類が産み出す技術は、確実な進歩を遂げているように感じます。

シンギュラリティ(技術的特異点)とは、1980年代からAI研究家の間で使用されるようになった言葉で、人間と人工知能の臨界点を指す言葉です。 つまり、人間の脳と同レベルのAIが誕生する時点を表しています。

次第にぼくは、「人類は、テクノロジーの進歩の方向性を考え直すべき段階に来たのではないか」と考えるようになりました。

1章 LOVOTの誕生

「人に寄り添うこと」目的のロボットがいること、これが本書の著者でありラボットというかわいらしいペット型のロボット開発者でもある林要さんの着眼点です。

この思想で開発されたロボットの最大の目的は、人とともにあることなので、生産性や利便性の観点で捉えられることはありません。まさにペットのような存在になるのです。

私たちは、「ペット」に「飽きた」という感覚を持ちにくいものです。新たなものから刺激を受ける際に興奮物質としてドーパミンが分泌されます。これはだいたい3ヶ月ほど続き、興奮状態が続きます。おもちゃやゲームはだいたいがこのドーパミンの分泌が不足するタイミングで飽きてしまいます。ペットに対しても同様で、3ヶ月ほどでペットと接する際のドーパミン分泌は現象していくとのこと。でも、私たちは、ペットに飽きたという感覚を覚えません。

しかし、ペットをかいがいしく面倒を見ている過程で、今度は別の物質の「オキシトシン」が分泌されるようになります。これは、「愛情ホルモン」と呼ばれており、人類が何かに愛着を感じている時に分泌されると言われているものです。

なぜ、わたしたちは「推し」を持つのか!?

また、ペットは上手に喋ることができませんので、明確なコミュニケーションが難しいです。この余白が実は、愛着のポイントでもあります。これについては、なぜ人が「推し」を持つのかで説明することができます。

私たちが持つ「推し」の情報はどんなに詳しくても、限定的です。完璧に理解できない、いわば余白を持つことが「推し」に対するスタンスになります。この余白に対して、私たちは自分たちの願望や、願い、理想の意味を勝手に見出すことができます。

つまり「推し」とペットに共通することとして、次のような特徴を見出すことができます。

犬や猫と同様に、余白があることで自分だけの大切な存在としてパーソナライズされ、結果的に自分自身を投影する余地をつくることができます。

2章 愛とはなにか?

このメカニズムは、「プロジェクション・サイエンス」と呼ばれる新しい研究によるものです。「推し」を持つことは、自分自身との対話を促進する効果を持ち、結果としてメンタルが安定するといった多くの良い影響があります。

ペットが新たなテクノロジーへのヒント!?

これからの時代、「アンラーニング」は確実に重大な問題になります。人は、ラーニング能力が非常に高い生き物です。一度手に入れた認知を土台に次の学習を積み重ねていきます。土台から作り直すレベルのアンラーニングは、自分の世界を一変させるほどの大きな変革をもたらしてしまいます。人は、現状維持を良しとして、変革を無意識のうちに避けるバイアスを持っています。個人の努力だけでは、アンラーニングは困難な課題です。

しかし、アンラーニングは私たちに必須の取組課題と言えます。年金だけでは、生涯収入が賄えない時代において、受給年齢は70歳、75歳と引き上げられていくことも考えられます。長寿命化に伴うアンラーニング問題は、エネルギー問題や環境問題といった大きなテーマと同様に、社会全体がケアしなければならないものなのです。

人類がテクノロジーを必要としてきたように、今度は「テクノロジーのほうが人類を必要とする」ことで、多くの人が本来は持っている「他者を愛でる能力」を引き出し、開花させることができたら。

1章 LOVOTの誕生

ペットのように常に人類とともにあり、かつ、自己を投影するような存在のAIロボットに、上記課題解決のヒントがあります。

アンラーニングを促すために必要なことは、新たなことに自ら「気づく」ということです。

いつかロボットを人類に寄り添う「コーチ」にまで進化させ、「気づき」を得るサポートをすること。

4章 人生100年時代、ロボットは社会をどう変えるのか?

アンラーニングについてはこちらの投稿「【成長の秘策は「学びほぐし」!?】仕事のアンラーニング|松尾睦」も大変おすすめです。ぜひご覧ください。

まとめ

  • ペットはなぜ、ずっとともにいられるのか!?――「愛情」が芽生えるからです。
  • なぜ、わたしたちは「推し」を持つのか!?――自己を投影できるからです。
  • ペットが新たなテクノロジーへのヒント!?――愛情で寄り添い、気づきを与えるコーチ的存在に可能性を見出します。
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