自分貧乏にならないために・・!?『豊かな人だけが知っていること――時間貧困にならない51の習慣』長倉顕太

『豊かな人だけが知っていること――時間貧困にならない51の習慣』長倉顕太の書影と手描きアイキャッチ

この記事を書いた人:増田 浩一(増田みはらし書店 店主/中小企業診断士)プロフィール

【本書の要約】時間がないのは、自分を知らないから。時間術では解決しない「時間貧困」の正体を、長倉顕太が4つの資産(時間・能力・人間関係・お金)の観点から解き明かす。効率化の罠を抜け出し、内省を通じて自分の人生を取り戻すための51の習慣。余白と非効率の中にこそ、本当の豊かさがある一冊。

  • あなたは今日、自分のために何分使いましたか?
  • 実は、多くの人が「時間がない」と嘆きながら、本当に必要なのは時間ではなく、自分を知る機会なんです。
  • なぜなら、どれだけ効率化しても、自分が何を求めているかわからなければ、ただ忙しさが加速するだけだからです。
  • 本書は、時間術の本ではありません。「時間貧困」という現代病の正体を暴き、4つの資産(時間・能力・人間関係・お金)のバランスを取り戻すための実践書です。
  • 本書を通じて、効率化という名の罠から抜け出し、内省という習慣が人生の方向性を決める理由が見えてきます。

長倉顕太さんは、作家・プロデューサー・編集者として活動する人物です。これまで200冊以上の書籍プロデュースに関わり、累計1000万部を超えるベストセラーを生み出してきました。

彼の特徴は、単なるノウハウではなく、「人生のルール」を見抜く視点にあります。本書でも、時間管理の表面的なテクニックではなく、なぜ私たちが「時間貧困」に陥るのか、その構造を解き明かしています。

長倉さん自身、年に1回の「ひとり合宿」を実践し、外部からの刺激を遮断して自分と向き合う時間を大切にしています。この習慣が、彼の仕事や人生の方向性を決める軸になっているといいます。

本書(『豊かな人だけが知っていること――時間貧困にならない51の習慣』長倉顕太)は、彼が自ら実践してきた51の習慣を通じて、読者が「自分の人生を生きる時間」を取り戻すための道筋を示しています。

「時間貧困」の正体は「自分貧困」である

時間がないと嘆く人は多いけれど、本当の問題は時間の量ではないんです。自分が何を求めているかわからないまま、ただ目の前のタスクをこなしている——それが「時間貧困」の正体なんですね。

長倉さんは本書で、こんな人たちの姿を描いています。子どもが「ママ、見て!」と呼びかけても、仕事のメールから目を離せない親。運動する時間も病院に行く時間もなく、気づけば取り返しのつかない病気になるビジネスパーソン。話し合う時間がないまま、心の距離だけが広がって離婚に至る夫婦。

やりたいことをする時間がない。 ゆっくり考える時間がない。 新しいことに挑戦する時間がない。 大切な人と過ごす時間がない。 そして何より、自分の人生を生きる時間がない。 これが、「時間貧困」です。

この状態に陥る理由は、実はシンプルです。自分に対する解像度が低いからなんです。自分が本当に何を大切にしたいのか、どんな人生を送りたいのか、その輪郭がぼやけている。だから、他人の基準や社会の常識に流されて、気づけば自分の時間を失っているんですね。

従来の時間術は、むしろこの問題を悪化させてきました。効率化、生産性向上、タイムマネジメント——これらはすべて「いかに多くのことを短時間でこなすか」という発想です。でも、そもそも「何をすべきか」が明確でなければ、効率化しても過去の延長線上の人生が加速するだけなんです。

いくら生産性を上げたところで、人生が変わることはありません。過去の延長線上の人生が加速するだけなのです。過去が強化されると言っていいかもしれません。

ここで長倉さんが提案するのが、「ひとり合宿」という習慣です。年に1回、ホテルや旅館にこもり、徹底的に自分に向き合う時間をつくる。外部からの刺激を遮断することで、深い思考や内省が可能になる。この習慣は、人生の方向性を再確認し、未来の時間を整理するための最高のリセット機会だといいます。

内省の機会がある人とない人——この差は、これからの時代でますます大きくなっていくと思うんです。自分を知らずして、時間を活かすモチベーションもわかない。逆に言えば、自分への解像度が高まれば、自然と時間の使い方が変わってくるんですね。

「時間貧困」は、実は「自分貧困」なんです。自分という存在の輪郭を取り戻すこと——それが、豊かな時間を生きるための第一歩なんです。

4つの資産の中で「時間」だけが平等な理由

人生を支配する資産は4つあります。時間、能力、人間関係、お金——長倉さんはこう整理しています。そして、この4つの中で唯一、すべての人に平等に与えられているのが「時間」なんです。

能力は生まれつきの才能や育った環境に左右されます。人間関係も、どんな家庭に生まれたか、どんな人と出会えたかで大きく変わる。お金も同様です。でも、時間だけは誰にでも1日24時間、平等に与えられている。

よほど恵まれていない限り、「時間」以外の資産は自分ではコントロールできません。ですから、本書のメインテーマを「時間」にしているのです。

だから、考えるべきは「時間という資産をどこに投資するか」なんですね。そして、投資の順序を間違えてはいけない。

まずは「時間」という資産を活用することです。 そこから、「能力」→「人間関係」→「お金」という順番でゴール地点に向かいます。 この順序を間違えると、人生がおかしくなってしまいます。

多くの人は、この順序を逆にしてしまっています。まずお金を稼ごうとする。そのために時間を犠牲にする。結果として、能力を磨く余裕も、人間関係を育む余裕も失っていく。これが、時間貧困のメカニズムなんです。

長倉さんが強調するのは、「人生のルールを知っている人は、お金よりも時間を優先する」ということです。例えば、移動手段を選ぶとき、一番安いものではなく、一番速いものを選ぶ。それは、時間という資産の価値を理解しているからなんですね。

ただし、ここで誤解してはいけないのは、効率化がすべてではないということです。長倉さんは「非・効率時間」の重要性を説いています。

「時間」という資産を増やすことと「非・効率時間」を増やすことはイコールです。なぜなら、「非・効率時間」を多く持つことが豊かな人生につながるからです。

何も予定のない時間、ぼんやりと過ごす時間、目的のない散歩——こうした余白の時間からこそ、クリエイティビティやユニークな発想が生まれる。効率化を追求しすぎると、この余白が失われていくんですね。

これからの時代は、「クリエイティブ」と「ユニーク」が重要になります。 なぜなら、テレワークの浸透によって、距離の壁がなくなるからです。いままでは近くに存在していたという理由で相手にされていた人も、これからは「その他大勢の存在」になるかもしれない。 人と違っていることこそが、生存戦略になってくるのです。

つまり、時間を「効率的に使う」だけでは不十分なんです。時間を「豊かに使う」——その中には、一見無駄に見える余白も含まれている。その余白があるからこそ、自分らしさが育まれ、他者との違いが生まれる。

4つの資産のバランスを考えるとき、時間を起点にして、能力を磨き、人間関係を育み、結果としてお金がついてくる。この順序を守ることが、時間貧困から抜け出す唯一の道なんです。

内省の習慣が人生の方向性を決める

自分を知るための最も確実な方法は、習慣化された内省です。長倉さんは本書で、ルーティン化の重要性を説いていますが、その本質は単なる継続ではなく、自己理解の深化にあるんです。

ルーティン化のコツは、「小さく始めて、続けること」だと長倉さんは言います。完璧主義は最大の敵です。「毎日やらなければいけない」と思い込み、1日でもできなかったら「もうダメだ」と諦めてしまう。でも、それは間違っている。

過度なプレッシャーに意味はありません。なぜなら、結局は、「続けたものしか結果は出ない」からです。

そして、習慣化には明確な節目があります。

最初の90日を乗り越えられるかどうかで、そのルーティンが定着するかどうかが決まります。 よく言われることですが、90日、180日で「踊り場」がくるのです。 90日続けると、それが習慣になり始めます。180日続けると、それをしないことのほうが気持ち悪くなります。 だから、最初の90日は、とにかく続けることだけに集中してください。

この「踊り場」を超えることの意味は大きいんです。90日という期間は、単に習慣が定着するだけでなく、自分という存在の輪郭が少しずつ見えてくる期間でもある。毎日の小さな積み重ねが、自分への解像度を高めていくんですね。

長倉さんが推奨するのは「読書」の習慣化です。

読書は「続ければ続けるほど効果が出る」ものだからです。1冊読んだだけでは大きな変化はありませんが、100冊読めば、世界の見え方が変わります。

読書は、自分と向き合う最も手軽な方法です。本を読むという行為は、他者の思考を通じて自分の思考を見つめ直すプロセスなんです。100冊読めば世界の見え方が変わるというのは、実は自分の見え方が変わるということでもある。

そして、内省の習慣は、人間関係という最強の資産にもつながっていきます。

この本の冒頭で、「時間」「能力」「人間関係」「お金」の4つのトータルの資産を増やそうと書きましたが、この中で最も強力な資産が「人間関係」です。 なぜ、「人間関係」が最強なのか。 それは、「人間関係」という資産を最大化すれば、他の3つの資産をカバーできてしまうからです。

でも、豊かな人間関係を築くためには、まず自分を知る必要があるんです。自分が何を大切にしているか、どんな価値観を持っているか——それが明確でなければ、相手の時間を大切にすることもできない。

相手の時間を大切にする

これは、コミュニケーションコストを下げることにもつながります。

コミュニケーションコストが高い人というのは簡単に言うと、「なかなか伝わらない人」です。懇切丁寧に説明してもらわないと理解できない人は、コストが高いとみなされます。 一方、何も言わなくても伝わる人もいます。相手が何を求めているか理解して、言われる前にやってしまうような人です。こういう人はコミュニケーションコストが低くて優秀な人ということになります。

自分を深く理解している人は、他者の感情や意図も理解しやすくなります。なぜなら、自分の内面を見つめてきた経験が、他者の内面を想像する力を育てるからです。

内省の習慣——それは、自分という存在の輪郭を描き続ける作業です。毎日少しずつ、自分が何者であるかを確認していく。その積み重ねが、人生の方向性を決めていくんです。

年に1回の「ひとり合宿」も、日々の読書も、すべては自分との対話のための時間です。
その時間を確保できるかどうかが、これからの時代を豊かに生きられるかどうかの分かれ目になっていくと思うんです。

まとめ

  • 「時間貧困」の正体は「自分貧困」である――時間がないのではなく、自分が何を求めているかわからないことが問題です。内省の機会を持ち、自分への解像度を高めることで、初めて時間を豊かに使えるようになります。
  • 4つの資産の中で「時間」だけが平等な理由――時間→能力→人間関係→お金という順序を守ることが重要です。そして「非・効率時間」という余白こそが、クリエイティビティとユニークさを生み出す源泉になります。
  • 内省の習慣が人生の方向性を決める――90日、180日の「踊り場」を超えて習慣化することで、自己理解が深まります。読書や「ひとり合宿」を通じた内省が、人間関係という最強の資産を築く土台になるのです。

この記事を書いた人:増田 浩一(増田みはらし書店 店主/中小企業診断士)プロフィール
ビジョン思考・組織・ブランド・生き方について、良書とともに探究しています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!