真のバリュー(価値)とは何なのか!?『AI時代に仕事と呼べるもの』三浦慶介

『AI時代に仕事と呼べるもの』三浦慶介の書影と手描きアイキャッチ
  • あなたの今日の仕事は、本当に「仕事」と呼べるものでしたか?
  • 実は、私たちの多くは、AIによって効率化されるべき作業に追われながら、それを「仕事」だと信じ込んでいるのかもしれません。
  • なぜなら、テクノロジーの進化は、これまで当たり前だと思っていた業務の多くが、実は誰にでもできる「作業」に過ぎなかったことを明らかにしつつあるからです。
  • 本書は、AI時代において真に「仕事」と呼べるものは何か、そして「あなただけ」の価値をどう生み出し続けるかを問いかける一冊です。
  • 本書を通じて、ブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)にしがみつくのではなく、それを客観的に理解し、改めて自分は何を生きていくのかを感じ、考えることの重要性が見えてきます。その一つ一つの活動が、今後の社会をつくっていくための人々の共通基盤になっていく――そんな可能性を本書は示してくれるんです。

三浦慶介さんは、ビジネスの最前線で実践を重ねてきた方です。AI技術の急速な発展を目の当たりにする中で、多くの人が自分のキャリアに不安を感じている現実に向き合いました。

本書を執筆した動機は、テクノロジーが進化する時代だからこそ、人間にしかできない仕事の本質を明らかにしたいという思いにあります。単なる効率化や生産性向上の議論を超えて、「仕事とは何か」という根本的な問いに向き合うことで、読者一人ひとりが自分の働き方を見つめ直すきっかけを提供しています。

三浦さんの視点は実践的でありながら哲学的です。AIに奪われる仕事を嘆くのではなく、人間ならではの価値を再定義することで、これからの時代を生きるヒントを示してくれます。

ブルシット・ジョブの罠――「仕事らしきもの」に埋もれる日々

毎日、会議に出て、資料を作成し、メールを処理する。

それは確かに「仕事」のように見えます。

でも、その活動の多くは本当に価値を生んでいるんでしょうか。

AIを使いこなすことより、AIを使いこなすための本質的な仕事スキルと経験を得ることの方が、よほど価値があります。

この一文が示すのは、私たちが「仕事」だと思っているものの多くが、実は表面的な作業に過ぎないという厳しい現実です。

「AIを使いこなすことより、AIを使いこなすための本質的な仕事スキルと経験を得ることの方が、よほど価値がある」

本書では、この価値を「3+1の価値」と呼んでいます。

AIには決して真似のできない、人間に残されたもの。

それは「経験知を積む」「決断する」「レビューする」、そして、それらを支える「フィジカルで価値を生む」という4つの本質的な仕事です。

考えてみれば、私たちが日々行っている業務の大半は、知識を用いて資料を作成したり、数字を分析したり、プレゼン資料を整えたり、メールを処理したりといった作業の積み重ねでした。

しかし、そのほとんど一つが現在ではAIに置き換わっているんです。

つまり、これまで「仕事」だと思っていたものの多くは、人間に残された「本当の仕事」ではなかったということになります。

ここで重要なのは、AIに奪われる仕事を嘆くことではありません。

むしろ、これは大きなチャンスなんです。

なぜなら、ブルシット・ジョブ――本当は誰にとっても意味のない、形式的な業務――から解放される可能性が生まれたからです。

「美徳」の価値は、限りなくゼロに近づかって「仕事」とは、知識を用いて資料を作成したり、数字を分析したり、プレゼン資料を整えたり、メールを処理したりといった業務の積み重ねでした。

この「美徳」とは、かつて評価されていた「真面目さ」「勤勉さ」「従順さ」のことです。

指示待ちでいることが美徳とされた時代は、もう終わりを迎えつつあります。

「指示待ち」はAIと同じ土俵で戦うことになるんです。

そして、その土俵では人間は必ず負けます。

では、どうすればいいのか。

答えは、客観的に自分の仕事を見つめ直すことから始まります。

今やっている業務のうち、どれが本当に価値を生んでいるのか。

どれがただの作業で、どれが「あなただけ」にしかできない判断や創造を伴うものなのか。

この問いに向き合うことなしに、AI時代を生き抜くことはできません。

むしろ失敗を味方につける――この視点が、これからの時代を生きる鍵になります。

失敗を恐れて安全な作業にしがみつくのではなく、失敗から学び、経験を積み重ねていくこと。

それこそが、AIには決して真似できない人間の強みなんです。

ちなみに、ブルシット・ジョブについては、こちらの投稿「【気づこう!?】ブルシット・ジョブの謎 クソどうでもいい仕事はなぜ増えるか|酒井隆史」もぜひご覧ください。

3+1の価値が生み出す「あなただけ」の存在意義

人間に残された「本当の仕事」とは何か。

本書が提示する答えが、「3+1の価値」です。

まず3つの価値を見ていきましょう。

①経験知: 自分の経験や行動に基づいた、AIが知らない情報を積み重ね、成果を決め、取るべき行動方針を決めること
②決断: 何をするのかを決めるのは常に人間である
③レビュー: 目的に照らして、AIあるいは人がアウトプットした成果物を評価し、目的達成に必要な質を実現するためのフィードバックや認定を行うこと

この3つは、すべて「判断」を伴う活動です。

AIは膨大なデータから最適解を導き出すことはできますが、「目的」を定義することはできません。

何のために、誰のために、どんな未来を目指すのか――これを決めるのは、常に人間なんです。

「決断とは、何をするのかを決めるのは常に人間である」

そして、この3つの価値を支えるのが、4つ目の価値「フィジカル」です。

④フィジカル: 人間にしかできない身体的な価値。人間の体という物理的な存在があるからこそ生み出せる価値を表すインフラのような存在を言えます。フィジカルは、他の「経験知・決断・レビュー」を支える、インフラのような存在を言えます

ここで言う「フィジカル」とは、単に肉体労働を指すのではありません。

人間社会の永遠の価値、ここまで書いてきた「経験知」「決断」「レビュー」の価値を支える、人間ならではの価値の土台がフィジカルです。

つまり、実際に身体を動かし、五感を使い、他者と対面することで初めて得られる情報や洞察のことを指しているんです。

事業人材
――価値の起点を創る人。

この4つの価値を統合的に発揮できる人材を、本書では「事業人材」と呼んでいます。

マネージャーとスペシャリスト
――これら両方の力をあわせもち、事業全体を俯瞰して事業構造を設計し、顧客への価値を生み出す人材。

それが、AI時代における最も希少で、最もインパクトのあるポジション、「事業人材」です。

ここで大切なのは、事業人材になるために特別な才能が必要なわけではないということです。

むしろ、一つ一つの経験を大切にし、そこから学び、自分なりの判断基準を磨いていくこと。

仮説を構築し、再現性ある実行ができる人のことです――この言葉が示すように、地道な実践の積み重ねが「あなただけ」の価値を生み出すんです。

経験知を言語化する
――これも重要なポイントです。

自分が何を経験し、そこから何を学んだのかを言葉にすることで、初めて他者と共有可能な知恵になります。

そして、その言語化された経験知こそが、次の世代への贈り物になるんです。

AIが持っているのは、過去のデータから導き出されたパターンです。

でも、人間が持っているのは、未来を創造するための判断基準なんです。

この違いを理解することが、AI時代を生き抜く第一歩になります。

スペシャリスト:AIを「最強の道具」にする知見
――この視点も見逃せません。

AIを単なるツールとして使いこなすのではなく、自分の専門性と組み合わせることで、これまで不可能だった価値を生み出すことができます。

マネージャーとスペシャリストの両方の視点を持ちながら、事業全体を動かしていく。

それが、これからの時代に求められる働き方なんです。

一次経験という共通基盤――身体を使い、本気で関わる意味

会うことは最大の価値――この言葉が、デジタル全盛の今だからこそ、深く響きます。

なぜ、わざわざ時間をかけて人と会うのか。

オンラインで済ませられることを、なぜ対面でやる必要があるのか。

その答えは、身体性にあります。

「会うことは最大の価値」

対面だからこそ伝わる「あなたの情報」を伝えられるため、信頼関係が構築できる窓口対面でしかわからない「相手の情報」が把握できるため、経験知・決断・レビューの精度を上げるきっかけになるため、逸わわざ会いに行くことで、相手が「この人に何かしてあげたい」と思ってくれる

この3つの要素が、デジタルでは決して再現できない価値を生み出すんです。

特に注目すべきは、「この人に何かしてあげたい」と思ってもらえるという点です。

これは、単なる情報交換を超えた、人間関係の本質に関わるものです。

わざわざ足を運ぶという行為そのものが、相手への敬意や誠意を伝えるんです。

「報告+感謝」こそが、次のチャンスを呼ぶ最強セット――この言葉も、一次経験の重要性を示しています。

何かをやり遂げたら、それを言語化して報告する。

そして、関わってくれた人々に感謝を伝える。

この当たり前のように見える行為が、次の機会を生み出す土壌になります。

無茶なハードワークという手法自体は、もう古いです――これは誤解してはいけないポイントです。

本書が言っているのは、闇雲に長時間働けということではありません。

健康とは、行動の質を最大化する資産――この視点が重要なんです。

身体を大切にしながら、本気で取り組む。

そして、その経験を丁寧に言語化し、次につなげていく。

この循環こそが、「あなただけ」の価値を生み出す源泉になります。

本気で仕事して、本気で苦労するのも、悪くない――この言葉に、私は強く共感します。

AIが台頭する時代だからこそ、逆説的に人間らしさが際立つんです。

汗をかき、失敗し、そこから学び、また挑戦する。

その一つ一つのプロセスに、代替不可能な価値があります。

ひとつひとつの経験こそが、「あなただけ」の価値を生み出す
――この結論は、とてもシンプルですが、深い意味を持っています。

特別な才能や資格がなくても、目の前のことに本気で向き合い、そこから学び続けること。

それが、AI時代を生き抜く最も確実な方法なんです。

そして、そのひとつひとつの経験が積み重なることで、社会全体の共通基盤が形成されていきます。

あなたが今日、身体を使って得た経験。
誰かと対面で交わした対話
そこで感じた違和感や発見。

それらすべてが、これからの社会をつくる素材になるんです。

ブルシット・ジョブに埋もれるのではなく、本当に価値のある仕事に向き合う。

その選択をする人が増えれば増えるほど、社会全体が豊かになっていくはずです。

まとめ

  • ブルシット・ジョブの罠――「仕事らしきもの」に埋もれる日々――AI時代の到来は、これまで「仕事」だと思っていた業務の多くが、実は誰にでもできる作業に過ぎなかったことを明らかにしました。指示待ちの美徳は終わりを迎え、客観的に自分の仕事を見つめ直すことが求められています。失敗を恐れず経験を積み重ねることこそが、AIには真似できない人間の強みなんです。
  • 3+1の価値が生み出す「あなただけ」の存在意義――経験知・決断・レビュー、そしてそれらを支えるフィジカルという4つの価値が、人間にしかできない仕事の本質を形作ります。これらを統合的に発揮できる「事業人材」として、一つ一つの経験を言語化し、自分なりの判断基準を磨いていくこと。その地道な実践が「あなただけ」の価値を生み出します。
  • 一次経験という共通基盤――身体を使い、本気で関わる意味――対面で会うことは、デジタルでは決して再現できない価値を生み出します。身体を使って得た経験、誰かと交わした対話、そこで感じた違和感や発見――それらすべてが、これからの社会をつくる共通基盤になるんです。本気で仕事し、本気で苦労することで得られるひとつひとつの経験こそが、AI時代における最も確かな資産になります。
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