【読書体験を、思考体験に!?】アトミック・リーディング: 読むことと書くことから考える読書術|五藤隆介,五藤晴菜

アトミック・リーディング: 読むことと書くことから考える読書術
  • よりよい読書体験のためには何が必要でしょうか!?
  • 実は、メモをすることかも。
  • メモは、考え続けるきっかけになるからです。
  • 本書は、ライフスパンで読書を見つめる1冊です。
  • 本書を通じて、新しい本の読み方を検討することができるでしょう。

読書を見直す!?

大きな時代の変化に合わせて、今まで当たり前だと思っていた読書を考え直してみましょう。

はじめに

みなさんは、読書と聞いてどんな活動を思い起こすでしょうか!?多くの人が、「黙読」を想像するのでは!?本に書かれた文字を黙読することは、たしかに、いま一般的な読書体験であると思われます。

しかし、本の内容を自身の仕事や人生をより良くするために、活かすことを考えると、もっと深い読書体験を目指すこともできるのです。

そのためには、読書を「読んだり書いたり」するための行為ととらえることです。

本書が提案する読書は、「黙読」から「書く」へのパラダイムシフトです。「黙読」はフロー型でどんどん内容が流れていきますが、「書く」ことでストック型の読書体験になります。

読書をしながら、この内容は面白い!この内容はぜひ人に伝えていきたい!とおもったコンテキストをメモとして残すのです。メモがあれば、自分が何にフォーカスしたのかが残りますし、その蓄積によって、コンテキストの組み合わせが可能になり、自分の発想力を伸ばすことにも繋がります。

本とはそもそも他者であるという見方もできます。他者のものごとの見立てや文脈のつくり方、あるいは、判断軸の持ちようを、知ることで、自分自身の考え方との比較から、より多くの気づきと学習機会を作ることができます。

読書という、他者とのコミュニケーションで見出された、新たな気づきや内容をストックし、さらに、自分から他者へと繋いでいく、過程こそが読書であるととらえてみるのです。

そうした視点に立つと、読書という行為は、人と人の間をつなぐ、社会性のある活動であると定義することも可能でしょう。

人は一人で生きている動物ではなりません。弱いからこそ、社会をなし、関係性の中に自己の存在を見出します。まさに読書体験もそうした関係性を紡ぐ活動にアップデートして言っても良いのではないでしょうか。

読み進めるだけではなく、書き、残し、人に伝え、著者と自分と世界とを相互につなぐ体験を目指してみましょう。

読書メモとは!?

読書は、書き考える行為であるとした時に、読書メモが有効です。

ある本について語る時、その内容を凝縮し、自分の考えを載せて伝えていくことが必要でしょう。でもそれは、ぶっつけ本番ではできません。読書をしながら、準備が必要なのです。そのために、常に読み・書き・残すための読書メモを書き続けてみましょう。

読書メモの作り方はとてもシンプルです。本書のタイトルにある「アトミック」が語るところですが、原子のようにひとつひとつの要素に分解し、メモすることをおすすめします。

次のような文脈を常に意識します。

○○とは、□□□である。

文章は、上記のようなアトミックのつながりでできています。三段論法を想像するとわかりやすいかも知れません。

Aは、Bである。Bは、Cである。だから、Aは、Cであると言える。

という感じで。

大切にしたいのは、Aは、Cである。だけを抽出することではなく、細切れの要素としてメモを残すことが大切なのです。

細かく分解することで自由に組み合わせができるようになる

細かく分解することで自由に組み合わせができるようになる

読書メモと要約の違いとは!?

本の中身を要約することでは、多くの途中経過の考えや視点が抜け落ちてしまう可能性があります。上記のAは、Cである。とだけ残せば、Bの存在が消えるのです。しかし、日常生活で大切にしたいのは、結論だけではなく、それがどのように導き出されたのか、思考のプロセスをたどることではないでしょうか。

問題が枯渇し、むしろ解決策の方が潤沢にある世の中において、着眼点や思考のプロセスを磨き、問いを立て続けることのほうが、より求められるようになりました。

そうした時代背景の中で、単に結論のみを急ぐのではなく、考えるプロセスを共有し、互いに創発しあえる機会を持てるかどうかが、人生や仕事を創り続ける活動であるとも言ってもいいかも知れません。

結論やそこから生み出されたプロダクトやサービスは、模倣困難度が低い可能性も十分にあります。でも、プロセス自体は、再現が困難であるため、真似されづらいです。特に参加者は、その場に参加したという体験価値を得られることもポイントです。

仕事をするにも、生活を工夫してより良くするにも、結論よりも、プロセスが重要になる時代において、検討過程の栄養となるような要素を残す「読書メモ」が活かされるはずです。

こうしたアプローチは、遠回りで回りくどいう方法のようにおもえるかもしれませんが、ものごとをより深く理解し、より深い洞察をえられるための「最短の方法」なのです。

一つのことをと要約することは異なる

著者の五藤隆介さんのアトミックシンキングについては、こちらの投稿「【学びをアイデアにつなげる方法とは!?】アトミック・シンキング:書いて考える、ノートと思考の整理術|五藤隆介,五藤晴菜」をぜひご覧ください。

考えの見える化によって、思考が整理された、新しい発想を導くヒントにあふれている1冊です。

まとめ

  • 読書を見直す!?――黙読ではなく、書くことまでが、読書だと捉えてみましょう。
  • 読書メモとは!?――○○は、□□である。という細かな要素に分解し残すことです。
  • 読書メモと要約の違いとは!?――ロジックの過程を残し、組み合わせを容易にします。
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!