“知りたい”体質を作ろう!?『いつも信頼される人がやっている「たったひと言」の質問力』坂本聰

いつも信頼される人がやっている「たったひと言」の質問力
  • 相手との距離感を上手に作ることは、何によって可能でしょうか?
  • 実は、「たった一言」に集約されるかも。
  • なぜなら、人と人の関係は互いに対する興味関心によるものだからです。
  • 本書は、ビジネスだけではなく、日常生活にも特に重要な、相手を思う感情に関する1冊です。
  • 本書を通じて、人とともにあることについて、検討するきっかけを得ます。
坂本聰
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良い質問、悪い質問?

クルマの販売店につとめ、非常に良い成績を打ち出す担当者には、どのような特徴があると思いますか?

それは、はじめてのお客さまが来店された時に、かける一言に集約されていると言います。

あなたが仮にディーラーの立場ならどのようなお声がけをして見るでしょうか?

  • どのようなクルマをお探しですか?
  • 新しい車種が入っていますよ!
  • お得なキャンペーンを今展開しているんです!

などでしょうか。

本当にお客さまの心をつかみ、そして、結果的に販売という一つの信頼の証までたどり着く担当者は、次のような質問をすると言います。

「よくおでかけになるんですか?」

この一言には、顧客のことを知りたいというさまざまなエッセンスが詰め込まれています。

それは、お客さまから感じる雰囲気だったかもしれないし、あるいは、お客さまが乗ってこられたクルマによるものだったかもしれないし、いずれにしても、クルマが主役ではなく、お客さまが主役の会話をしようという意志を感じることができます。

こうした一言は、「この人は、自分たちに関心があるのだろう」と最初に思い、そして、「普段は、買い物、街乗りが多いけど、週末はよく山歩きに行くんです」というような会話につなげることができるでしょう。

自分たちの話をしていただいた先に、信頼関係が芽生えてきます。目の前の担当者は、自分たちのことを知っている。そう思えれば、提案や発言を受け取りやすくなります。

相手を理解しようとする「ひと言の質問」が、信頼を生んだのです。

お客さまの話が聞きたいという姿勢
 ↓
お客さまに関する情報がやり取りされる
 ↓
知ってもらえたという安心感と、信頼が生まれる
 ↓
信頼できるから何でも相談する
 ↓
さらに信頼関係が生まれてくる

人と人の関係性の在り方を凝縮したような接点というのは、日常のいたるところで発生しているはずです。

今回ご紹介する本は、「今の自分のままで、信頼される人」をどうしたら目指せるのかを説く本です。

なにも別の人格になろうとか、そういうことではなく、ありのまま・あるがままを活かしながら、どうしたら他者とよりよい関係を築くためのヒントを得られるかを考えていきます。

想像と好奇心?

キーは、「相手に信頼される質問」ができるかどうかです。これが結論。この質問をすることができれば、一気に距離を縮めることができるのです。

上記の例のように、そういう質問の結果、「この人は、自分のことを知りたいんだ!」と思ってもらえ、結果、信頼関係が作れるスパイラルへと、発展させることができるのです。

「自分のことを知りたいのかな」と思ってもらうことが、信頼の第一歩。

では、どうやって?「信頼される質問」をしていけばいいでしょうか?

大切なことは、とても簡単なことです。

それは、「わからないこと」を素直に聞けばいいのです。

そして、そのためには、情景や風景をリアルに頭の中に「想像してみること、イメージしてみること」がとても大切です。

1)聞いた事実を頭の中で絵としてイメージしてみる。
2)すると、わからない部分、や解像度が低い部分に気づく
3)その不足するピースを埋めたり、あるいは確認を取っていく。
4)質問することで理解が深まり、さらに、多くのことに興味が湧く。
5)1へ戻る。繰り返す

以上です。

何を質問すればいいのかわからない!という人は、往々にして、具体的に相手の状況をイメージしていないということがあるかもしれません。

相手のことをイメージして、どんな環境の中で、どういう経験をしている人なのかを、具体的に想像すれば、あくまでそもそもが想像なので、その確認を取りたくもなるし、その確認の結果、新しいピースを探したくもなります。

人がそもそも持つ想像力と、知的欲求をフルに活用して、それを相手との関係性を作るために使っていけばいいということです。

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わからないことから?

相手のことについて、「私は、いまわからないことがある」というポジションを常に取ることが大切です。なんでもわかっているとたかを括ってしまっては、相手への知的好奇心を燃やすところまで行きづらいものです。

わからないという前提を持って、真摯に相手に向き合ってみましょう。わからないことは、悪いことではなく、チャンスなのです。

わからないことから始めることについては、こちらの1冊「【対話こそが変革を生む!?】企業変革のジレンマ「構造的無能化」はなぜ起きるのか|宇田川元一」もおすすめです。ぜひご覧ください。そういえば、対話もわからないことを互いに埋めていく作業かもしれませんね。

例えば、相手のことについてイメージしていくうえで、構文を持っていたほうが、不足するピースを埋めやすくなるかもしれません。

次のステップを活用しながら、よい質問をするための視点を探してみましょう。

ステップ1)全体を「1つの文」にする
ステップ2)「イメージの目的(結論)」を決める
ステップ3)「説明のポイント」を選ぶ
ステップ4)「結論→背景→説明→結論」で文章を再構成する

このようなステップを組みながら、相手の状況を描写していくことで、不足するポイントを見出し、より良い質問を繰り出していくヒントになります。

特に重要なのが、そもそものものごとの構成の枠組みを知っておくことでしょう。

例えば、マーケティングを考える時、顧客・自社・競合だったり、商品・価格・販売場所・コミュニケーションといった構成要素を棚卸しすると、相手が意図していることを理解する助けになったりします。

ものごとがどのように成り立っているのかについて前提の知識を身に着けておくことができれば、上述のステップをより効果的に回していくことができるはずですし、相手をさらに深く、そして俯瞰的に知るための視点を獲得することに繋がります。

こうした取り組みは日常的に行っていくことがポイントになるでしょう。

つまり、相手との信頼関係は、相手だけではなく、この世界や社会全体に対する見立てと興味関心をどれだけ持ち、日常の中ですでに絶え間ない準備を繰り返しているか、そうしたOPENな心構えを自分の中で育成させることができているか、ということに関わってくる問題だということになります。

OPENといえば、こちらの1冊「【“嫌い”も認めよ?】OPEN:「開く」ことができる人・組織・国家だけが生き残る|ヨハン・ノルベリ」もぜひご覧いただきたいです。

まとめ

  • 良い質問、悪い質問?――良い質問は、相手ご自身に向けられた質問です。
  • 想像と好奇心?――人間の性(さが)をフルに活用し、相手に向けましょう。
  • わからないことから?――わからない、という前提を持ちはじめてみましょう。
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