【企業とはなにか!?】組織の意味を再定義する時 企業は創造性と生産性を両立できるか|琴坂将広

組織の意味を再定義する時 企業は創造性と生産性を両立できるか
  • 企業はいかにしたらオープンイノベーションで、生産性と創造性を両立させられるでしょうか。
  • 実は、この道程とは、「企業とはなにか」を問うものになるかも。
  • なぜなら、どこまでを社内ととらえ、どこまでを組織として広げるかの戦略だからです。
  • 本書は、これからの時代を生き抜くための企業に向けた問いです。
  • 本書を通じて、改めて組織を客観視する機会を得られます。

前回の投稿「【企業とは何かを、再定義せよ!?】組織の意味を再定義する時 企業は創造性と生産性を両立できるか|琴坂将広」につづき、こちらの論文のレビューを続けさせていただきます。

未来の企業のあり方とは!?

企業とはなにかを考えてみましょう。これが、オープンイノベーション、つまり、外に開かれた組織を検討していくためのヒントになります。

企業は2つの捉え方が可能です。

1つは、市場よりも効率的な取引のシステムとして機能する時、存在しうるという考え方があります。

また、これだけではなくもう1面の捉え方もあります。それは、企業は、その独特な資源の組み合わせにより模倣困難な優位性を生み出す時、存在しうるという考え方です。

これらをまとめて見てみると、市場よりもより良い価値を、より良いコストで調達して、組み合わせ、さらに価値を増強させ、高い価格で売る・・まさにバリューチェーンや、それを確認するための5フォース分析の要諦です。

企業にはいずれの顔もありこうした機能を持つものを企業として捉えたとき、何も1社で遂行する必要はなく、現実も複数社・複数組織にまたがった連携(バリューチェーン)はよくあり得ることだということに気づきます。

これらの理解の上で、複数の企業が有機的につながり合い、世界的な価値創造の連鎖を創り出すとすれば、何を新たな糸口として企業の形をとらえればよいのだろうか。

未来の企業とは

価値連鎖を戦略に取り入れるには!?

自社の関わる価値連鎖全体に視野を広げるという考え方と、もう一つ、企業境界を複層的にとらえるという考え方を持ってみましょう。

1)生産の全体性

自社が直接関係する利害関係者だけではなく、価値連鎖全体の構造を意識し、それ全体に対しての戦略、つまり「価値連鎖の戦略を磨き込む」必要があります。

社内と社外という単純な構図を脱却し、自社が貢献している価値連鎖全体の構造を把握し、それに対しての打ち手を考案することである。

未来の企業とは

バリューチェーン全体を見通して、価値提供のシステムを捉え直して、自社の活動をバックキャスティングしていくアプローチです。製品やサービスが最終顧客に届くまでの付加価値創造の連鎖には、自社とは直接関わりがない数多くの企業が関係しています。こうした意識しづらい「関係企業」を明らかに意識して、それを自社内に取り込む戦略を検討してみましょう。

2)組織の境界面

企業の境界を複層的にとらえる必要があります。社内外というステレオタイプのとらえかたではなく、解像度を上げてさまざまな関係性とそれをもたらす、組織構造が何層にも折り重なっている様子を想像してみましょう。

中心から以下のような複層構造を見ることができます。

  • 所有の境界――企業が所有権を保持する境界(伝統的な企業の定義)
  • 統治の境界――企業が統治権を及ぼす境界(注目!!)
  • 協業の境界――企業が目的を共有し協業する境界(注目!!)

今回の論点で、とらえるべきは、「統治の境界」と「協業の境界」です。

統治の境界とは、自社が支配権やそれに準ずる強い影響力を行使できる範囲のことで、伝統的なトヨタ自動車の生産系列やパナソニックの販売系列などがあげられます。

また、協業の境界とは、自社の付加価値創造の活動に協業する企業や人々の広がりの範囲を指します。明確な契約関係もなければ、さしたる報酬もないことが多いですが、組織の付加価値創造に非常に深い役割を果たします。顧客コミュニティなどもこれに含まれるでしょう。

かつては所有せざるをえなかった生産設備や配送設備、さらには知識を基礎とする重要な経営資源に至るまでを、世界的なアウトソーシング・サービスを活用することで社外から調達できる時代となった。

未来の企業とは

こうした時代において、ゆるやかな連帯を構築する企業体としての企業のあり方を俯瞰してとらえることが求められているのです。

所有か、共有か、この論点については、こちらの投稿「【21世紀の勝ち筋とは!?】価値循環が日本を動かす 人口減少を乗り越える新成長戦略|デロイトトーマツグループ」も深く触れるところがあります。ぜひご覧ください。

「所有の境界」から、企業を検討するには!?

ポイントは、自社の範囲を常識にとらわれずに解像度高く、範囲を広く捉えてみることです。

付加価値創造の連鎖全体を企業体として視野に入れる。

創造性と生産性を共存させる企業

実際に、社内外の資源を有機的にさまざまな形で接合して、それによって創造性と生産性を向上している新興企業は数多く存在します。かれらのスタディをしていくことも成長のヒントに繋がるかもしれません。

まとめ

  • 未来の企業のあり方とは!?――全体性を失わず、上手に繋がる組織です。
  • 価値連鎖を戦略に取り入れるには!?――企業の境界について意識してみましょう。
  • 「所有の境界」から、企業を検討するには!?――共有と結合に目を向けてみましょう。
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