この記事を書いた人:増田 浩一(増田みはらし書店 店主/中小企業診断士)プロフィール
【経営ビジョンの視点で読み解く本書の核心】内面の美しさは、財産や地位とは無関係に誰でも磨けるものです。リズ山﨑が説く「心の品格」とは、思いやり・誠実さ・謙虚さが日常に自然と滲み出る状態であり、それが幸せや豊かさを引き寄せる根本です。
1.品格のある人とない人の違い:感謝と笑顔を忘れない人と、不満が口癖になっている人——その差は内面の状態がそのまま言動に現れることにある
2.貢献マインドの力:見返りを求めない思いやりこそが品格を育て、人生を上昇させつづける原動力になる
3.感情と感謝の実践:「一拍おく力」と「あるものへの感謝」という2つの習慣が、品格を日常に根づかせる
- 幸せそうに輝いている人と、そうでない人。似たような環境にいながら、なぜこれほど違いが生まれるのでしょうか?
- 実は、その差は能力や運よりも、その人の言葉・振る舞い・心の在り方——つまり「心の品格」にあるんです。
- なぜなら、心の品格は外から与えられるものではなく、日常の積み重ねの中で自分自身が磨いていくものだから。思いやりや誠実さ、謙虚さといった美徳は、意識して育てることができます。
- 本書は、コーチング・カウンセリングの第一線で活躍するリズ山﨑さんが、内面の美しさを磨くための実践的なレッスンを提供する一冊です。
- 本書を通じて、自分らしく人生を豊かに生きるための「心の品格」という軸を手に入れることができます。
コーチング・カウンセリングの分野で長年活動するプロフェッショナル。クライアントとの深い対話を通じて、内面の変容を支援してきた実績を持ちます。
本書では、その豊富な現場経験をもとに、心の品格を磨くための具体的なレッスンを丁寧に提示しています。「今の自分、好き?」という問いかけから始まる本書のスタイルは、説教くさくなく、読者に寄り添う温かみがあります。
品格のある人とない人——何が違うのか
「心の品格がある人」と「ない人」を、こんなにはっきりと対比して示してくれる本は、なかなかありません。
品格のある人の特徴として本書が挙げるのは、相手の立場で考えられること、感情をコントロールできること、謙虚で素直に学ぶ姿勢があること、まわりに目を配る余裕があること、そしていつも感謝と笑顔を忘れないこと。
一方、品格のない人に共通するのは、不満や文句が口癖になっている、いつもイライラして余裕がない、何でも人のせいにして人の話を聞き入れない、無神経な発言で人を傷つける、他人の成功を妬む——といった特徴です。
これを読んで、正直ドキッとした人も多いのではないかと思います。
どちらも、特別な能力の話ではありません。「余裕があるかどうか」「感謝できているかどうか」という、日常の心の状態の話です。
ここで重要なのは、品格のある人が「生まれつきそういう人」なのではなく、日々の選択の積み重ねがその人をつくっているという視点です。不満を口にするかどうか。人のせいにするかどうか。感謝を忘れないかどうか。これらはすべて、習慣であり、意識次第で変えられるものです。
本書が問いかける「今の自分、好き?」という一言は、そのことをシンプルに突きつけてくれます。自分の言動や心の在り方を振り返ったとき、胸を張って「好き」と言えるかどうか。それが品格を磨く出発点になるんです。
コンサルタントとして多くの経営者と向き合ってきた経験から言えば、この問いかけは組織にも同じように当てはまります。不満や批判が飛び交う職場と、感謝と笑顔が自然に生まれる職場——生産性や創造性の差は、数値以前に、その場の「品格」の違いから来ていることが多い。個人の品格が、チームの文化をつくるんです。
貢献マインドが品格を育てる
本書の中で、特に印象的なのが「貢献マインド」という概念です。
見返りを求めない思いやりが心の品格を磨く 私はそれを「貢献マインド」と呼んでいます。
見返りを求めないこと、と言うと、なんだか損をするように感じるかもしれません。でも実際はその逆で、貢献マインドを持つ人こそが、長く人間関係に恵まれ、経済的な豊かさを引き寄せ続けるというのが、著者の観察から導かれた結論です。
なぜそうなるのか。
見返りを期待していると、相手がそれに応えてくれなかったとき、失望や怒りが生まれます。その感情は表情や言葉に滲み出て、相手との関係を少しずつ傷つけていく。一方、最初から「相手のために」という気持ちで動いていれば、見返りがなくても心は穏やかなままです。そしてその穏やかさや誠実さこそが、人を引き寄せる。
これは「情けは人のためならず」という言葉と同じ構造です。でも本書がさらに一歩踏み込んでいるのは、貢献マインドを「品格を磨く手段」として捉えている点です。誰かのために何かをするという行為が、自分自身の内面を育てる。
人生が上昇しつづける人は心の品格を磨きつづけている人
この言葉が示すように、品格は一度磨けば終わりではなく、日々の行動を通じて更新されていくものです。
コンサルティングの現場でも、長期にわたって成長し続ける経営者には共通点があります。それは、自分の利益よりも先に「相手にとって何が良いか」を考えられること。大きな戦略の話をする前に、目の前の人に誠実であること。これはまさに、貢献マインドそのものです。
貢献マインドは、特別な才能ではなく、今日から始められる選択です。誰かに何かをするとき、「見返りを期待していないか?」とひとつ自問する習慣——それだけで、品格は少しずつ変わっていきます。
感情と感謝——品格を日常に根づかせる2つの習慣
品格を磨くことの大切さはわかった。貢献マインドも大事だとわかった。でも、実際に日常の中でどう実践するのか——本書はその具体的な方法も丁寧に示しています。
ひとつ目は、「一拍おく力」です。
怒りや不安で心が波立ったとき、どれだけ冷静でいられるか。感情のコントロールは品格の土台ですが、それを鍛えるための3ステップが本書には提示されています。
1 即深呼吸
2 即客観視
3 即選択
まず深呼吸で体と心を落ち着かせる。次に「私はいま怒っている」と心の中で言語化して自分を客観視する。そして、言葉をのみこむか、言い換えるか、その場を離れるか——複数の選択肢があると気づくだけで、衝動的な行動は大幅に減ります。
このステップは、シンプルだからこそ強力です。感情が高ぶった瞬間に、一呼吸おける人と、おけない人では、その後の言動がまったく変わる。品格は、こういう小さな「一拍」の積み重ねで磨かれていくんです。
ふたつ目は、「あるものへの感謝」です。
「ない」部分ではなく「ある」部分に目を向ける。そして、それを喜び、感謝する。ただそれだけで、心の品格は磨かれ、現実も少しずつ変わっていきます。
「ない」に焦点を当てると、不満と欠乏感が現実をつくっていく。一方、「ある」に目を向けると、感謝と充足感が広がる。この転換は、意識次第で今日からできることです。
本書にはさらに深い言葉があります。
自分にしていることは、自分からも人様からも、神様からも「されていること」。 人様にしていることは、人様からも自分からも、神様からも「されていること」。
自分が誰かにやさしくできたとき、それは同時に自分自身にもやさしくできたということ。品格を磨くとは、他者のためだけでなく、自分自身を豊かにする行為でもあるという視点は、この本の核心をついています。
感情を一拍おいて整え、日常の中に感謝を見出す。
この2つの習慣を積み重ねることで、品格は少しずつ、しかし確実に育っていく。
経営者支援の場で「在り方」を大切にしてきた立場から見ても、この実践の積み重ねこそが、人としての深みをつくると感じます。
品格とは少し軸がズレますが、人格という器についても見つめてみることが良いかも。こちらの1冊「変化の時代だからこそ、器を認めよ!?『「人の器」の磨き方』加藤洋平,中竹竜二」もぜひご覧ください。

まとめ
- 品格のある人とない人——何が違うのか――感謝と笑顔を忘れない人と、不満が口癖になっている人の差は、能力や運ではなく日常の心の状態にある。「今の自分、好き?」という問いが品格を磨く出発点になる。
- 貢献マインドが品格を育てる――見返りを求めない思いやりが心の品格を磨き、人生を上昇させつづける原動力になる。誰かのために動く行為が、自分自身の内面を育てていく。
- 感情と感謝——品格を日常に根づかせる2つの習慣――「即深呼吸・即客観視・即選択」という一拍おく力と、「ある」に目を向ける感謝の習慣。この2つの実践が品格を日常に根づかせ、現実をも少しずつ変えていく。
実践のためのQ&A
本書の内容を踏まえ、読者が直面しやすい「1歩先の疑問」についてまとめました。
この記事を書いた人:増田 浩一(増田みはらし書店 店主/中小企業診断士)プロフィール
ビジョン思考・組織・ブランド・生き方について、良書とともに探究しています。
