【ブランド起点の事業戦略をいかに描けるか!?】ブランドで競争する技術|河合拓

ブランドで競争する技術
  • 実行性が高く、効果をもとめやすいブランド戦略はどのように構築されるべきでしょうか。
  • 実は、本書『ブランドで競争する技術』が非常に参考になります。
  • なぜなら、著者である河合拓さんは、数多くのハンズオン支援をもとに、実践的な本書をかきあげたからです。
  • 本書は、2012年の10年前に執筆されました。しかし、普遍的なブランド論が詰まっています。
  • 本書を通じて、現在の問題点を特定し、そして新たな戦略を描く視点を得ることができます。

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河合拓
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ブランドはなぜ、必要なのか!?

みなさんは、ブランドと聞いてビジネスで重要なポイントはどこにあると思われますか。そもそもブランドは、「企業が顧客に持ってもらいたいイメージ」と「顧客が企業に持つイメージ」の重なりで表わすことができます。そのブランドの内実が豊かで強固なものであればあるほど、さまざまなメリットを享受することができます。

確立された「ブランド」は、企業の営業活動に多くの競争優位と収益をもたらしてくれる。

ブランドこそ日本企業の課題

ブランドがあれば、販売活動を円滑に行えます。顧客が勝手によいイメージを想起してくれますし、売り場も獲得しやすくなるでしょう。結果的に、利益確保が容易になります。また、仕入れについても一定の交渉力を働かせ、コスト低減につながったり、より効果的な資材や知恵を得たりすることもできるでしょう。

さらに、人材採用についてもメリットがあります。良いブランドのもとには、良い人材が集まります。顧客の視点でもそうで、良い顧客が集まることで、さらにブランドが光り輝くものになります。

ブランドを作り、そして経営力に転換していくためにはどんな要素を検討することが望ましいでしょうか!?

ブランドが提供する3つの価値とは!?

河合拓さんは、3つの視点で語ります。

1)機能価値

機能価値は、商品そのものが持つ価値です。物性価値とも呼ばれるものと理解しました。もっとも理解しやすい価値かも知れませんが、モノやサービスが過剰に供給される中で、これだけでの差別化は困難を極めることになっています。

これについては、過去の投稿「【これからの働き方の羅針盤!】ニュータイプの時代|山口周」でも詳しく説かれています。産業革命以降、人は、モノの不足を補う中で経済や社会を発展させてきましたが、基本的なモノニーズはいま、満たされつつあります。6枚歯7枚歯のひげそりや、おしゃべりする電気ポットなど、人のニーズをおいてきぼりにして、モノの進化が止まりません。

2)サ-ビス価値

一言でいえばホスピタリティです。人が人に接して提供できる価値のことです。このためには、相手のことを先読みして、相手ありきの言動を行っていくことが基本になります。サービス業ではもちろん、小売業や製造業であってもこのサービス品質が求められる時代になりました。

サービス品質についての知見は過去の投稿「【全業種サービス業化時代の必読書!!】JALファーストクラスのチーフCAを務めた「おもてなし達人」が教える“心づかい”の極意|江上いずみ」がおすすめです。

3)イメージ価値

その商品が持っている世界観やストーリーであると、河合拓さんは表現します。ブランドが醸し出す、言葉にならないような雰囲気も含めて顧客は魅力として捉えてくれるのがポイントです。しかし、難しいのは、これは言葉にならないという特徴を持っている場合が多々あるのです。

これをうまく表現してくれているのが、モードとコードという言葉で、文化を記述してくれている編集工学研究所さんのものごとのとらえかたでしょう。過去の投稿「【発想とは、編集である!】才能をひらく編集工学 世界の見方を変える10 の思考法|安藤昭子」で、以下のようなまとめを書きました。

「コード」は、情報の構造やルールやスペックのことです。ソースコードといえば、プログラミングの手続きのことであり、ドレスコードといえば、TPOに合わせて何を着るか?を定義します。

一方で、「モード」は少し複雑です。必ずしも言葉や絵にできないものです。訳すならば、印象だったり、様式や様相あるいは、英語では、スタイル、モダリティという言葉になるでしょう。目には見えない雰囲気やニュアンスとしてたち現れるものです。

【発想とは、編集である!】才能をひらく編集工学 世界の見方を変える10 の思考法|安藤昭子

ブランドは、「モード」も駆使して構築されていく必要があるのです。

これら3つの価値変数を上手にコントロールすることがブランディングであり、かつ、ブランディングによる経営力向上に紐づくアクションになります。

ブランドによる競争戦略というのは、この三つの価値のいずれかを選択して維持して、競争優位の源泉として顧客に対して価値訴求を行って、共創相手とは異なる独自のポジションを確立することなのだ。

ブランドが提供する三つの価値

それぞれの要素の競争優位性を高めていくときのアクションは、次のように分かれます。

1)機能価値・・流通改革
2)サービス価値・・ITを活用した事業構造改革
3)イメージ価値・・組織・人事改革制度

それぞれどれでアクションするかは、ブランドやそれが置かれている市場の状況によってことなるでしょう。

事業計画の組み立て方とは!?

本書の中で、河合拓さんのコンサルティングステップで作り上げる3つのシートがとてもユニークだと思ったので、取り上げたいと思います。

ステップ1「一枚目」放置シナリオをつくる

事業に何も手を加えない場合、これからの収益性はどうなるのか?を描きます。この「一枚目」を作る目的は、売上の見込みを現実的にフィックスさせ、コスト目標を逆算するためにあるといいます。

ステップ2「二枚目」改善シナリオをつくる

「一枚目」でコストにフォーカスした後には、改善レベルの施策を検討します。このとき有効なKPIの列挙が重要です。例えば、アパレル業界では、次にあげられるようなKPIが経営に直結するものとして重視されるといいます。

1)プロパー消化率
2)オフ率
3)商品企画原価率
4)残品率

詳しくは、河合拓さんによる著書『ZARA、ユニクロ圧勝の秘密を明かす 生き残るアパレル 死ぬアパレル』をご確認ください。過去の投稿「【アパレル市場は、未来市場!?】ZARA、ユニクロ圧勝の秘密を明かす 生き残るアパレル 死ぬアパレル|河合拓」でもご紹介しました。

こうした重要指標を競合と比べた時に、どれだけ自社が乖離しているのかを定量的に見出します。これを通じて、自社がどのような視点で負けているのかをはっきりさせることができます。かつ、「手が届きそうな」目標設定も可能となります。これを組織内で共有して、みなで成果を出すために向かっていくことが、改革の本質となります。

ステップ3「三枚目」成長シナリオをつくる

そして最後に作成されるのが「三枚目」です。「二枚目」までが正常化だとするならば、「三枚目」はビジョンを描き、挑戦の1枚となります。新しい製品や新しい市場などへの挑戦を描きます。私も補助金の支援を行ったりするのですが、まさに補助金の事業計画書は、河合拓さんのいう「三枚目」の構築となっています。そして、「三枚目」が他の2枚とことなるのは、相当に不確実性をはらんでいる点です。

スモールサクセスを摘み取るように、小さな失敗を繰り返して、軌道修正をしていく舵取りが求められるでしょう。

まとめ

  • ブランドはなぜ、必要なのか!?――経営力を向上させるさまざまなメリットが享受できるからです。
  • ブランドが提供する3つの価値とは!?――機能、サービス、イメージ価値です。これらを向上させるには、流通改革、事業構造改革、組織・人事改革が有効です。
  • 事業計画の組み立て方とは!?――「一枚目」から「三枚目」を駆使しながら、対象企業先とのコンセンサスとビジョンのすり合わせに基づく実行性担保が重要です。

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